ラグジュアリー・高級ブランド業界

ラグジュアリー・高級ブランド業界の世界市場シェア、市場規模、再編、大手ブランド会社の動向について分析をしています。三大ラグジュアリーブランドと言われるケリング、LVMH、リシュモンを中心に業界再編がおきています。

市場シェア

「高級ブランド会社の世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の高級ブランド業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はLVMH/モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの16.9%、2位はKERING/ケリングの5.6%、3位はのRichemont/リシュモンの5.0%となります。

2019年高級ブランド業界シェア

1位     LVMH/モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン    16.9%

2位     KERING/ケリング    5.6%

3位     Richemont/リシュモン    5.0%

4位     Chanel    /シャネル    4.0%

5位     Luxottica/ルックスオティカ    3.1%

6位     Swatch/スウォッチ    2.8%

7位     Hermès/エルメス    2.4%

8位     Ralph Laurent    /ラルフローレン    2.0%

9位     Tapestry/タペスリー    1.9%

10位     TIFFANY &Co    /ティファニー    1.4%

11位     PRADA/プラダ    1.1%

12位     BURBERRY/    バーバリー    1.1%

13位     GIORGIO ARMANI/ジョルジオアルマーニ    0.7%

14位     Salvatore Ferragamo/サルバトーレフェラガモ    0.5%

15位     VALENTINO/バレンチノ    0.4%

16位     TOD’S/トッズ    0.3%

世界1位は、フランスのLVMHです。2019年に米国の宝飾品大手であるティファニー買収を発表しましたが、新型コロナの影響もあり、買収を断念しております。世界2位は、Cartier(カルチェ)やモンブランブランドを有するフランスのリシュモンです。世界3位は、グッチ等のブランドを有するフランスのケリングの3.8%です。上位3社の頭文字をとったLUKERはブランドマネジメント大手として不動の地位となっています。

世界4位はフランスの独立系シャネルです。上位3社と異なり過去大型の買収をせず、内部成長(オーガニックグロース)を重視した戦略です。世界5位は、イタリアの高級サングラスメーカーであるルックスオティカです。世界6位には時計メーカーであるスウォッチグループです。それぞれ、高級サングラスと時計というカテゴリーキラーが上位に入っています。7位はフランスの高級スカーフで有名なエルメスです。LVMHからの買収提案をかわし、オーガニックグロースを目指します。

市場規模

コンサルティング会社のベイン&カンパニーによれば2019年の高級品市場の規模は3100億ドルです。(Global luxury goods sales were on course to expand to 281 billion euros ($310 billion) in 2019)

調査会社のGrand View Researchによれば、2018年の高級アパレル業界の市場規模は679億ドルです。2019年から2025年までの年平均成長率は約3.5%を見込みます。(The global luxury apparel market size was valued at USD 67.85 billion in 2018 expanding at a CAGR of 3.5% over the forecast period(2019-2025).)

調査会社のTechnavioによれば、高級ブランド市場は、2019〜2023年にかけて年平均5%で成長し、2018年に比べて831億ドル拡大します。(The personal luxury goods market size will grow by $83.06 billion during 2019-2023.)

よって2018年度の市場規模は約3000億ドルと逆算できます。

以上より、当サイトでは、高級ブランドの市場規模として3100億ドルを採用しています。

再編の歴史

LVMH、リシュモン、ケリング、グッチ等が各国のブランド会社を買収していくことで、現在の業界構造が生まれています。ブランド価値を高めるためのマーケティングや世界展開など、ブランドマネジメントに規模の経済が必要となってきています。一方でシャネルやエルメスは、大型の買収などを行わず、内部成長による企業価値の向上を目指しています。

1971年 Moët & ChandonとHennessyが経営統合しモエ・ヘネシー誕生

1987年 ルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーの両社が経営統合しLVMHが誕生

1988年 南アフリカのレンブランドからスピンオフする形でリシュモンが設立

1998年 リシュモンによるカルティエへの出資

1993年 LVMHによるケンゾー、ベルルッティの買収

1991年 ピノー・グループがオ・プランタンを買収後、PPRへ社名変更

1993年 リシュモンによるダンヒル、モンブラン、クロエの買収

1994年 LVMHによるゲランの買収

1996年 LVMHによるセリーヌ、ロエペ買収

1998年 グッチによるバレンシアガを買収

1998年 リシュモンによる仏 Vendôme Luxury Groupの買収

1999年 LVMHによるタグホイヤー、ショーメの買収

1999年 PPRによるグッチの買収

1999年 スウォッチによるブレゲ買収

2000年 LVMHによるエミリオ・プッチの買収

2000年 グッチによるブシュロンを買収

2000年 リシュモンによるジャガー・ルクルト、IWCの買収

2001年 LVMHによるダナキャラン、フェンディの買収

2001年 グッチによるイヴ・サン=ローラン、ボッテガ・ヴェネタを買収

2001年 リシュモンによるヴァンクリーフ&アーペル買収

2002年 LVMHによるデビアスへの出資

2006年 PPRによるオ・プランタン売却

2007年 PPRによるプーマ買収

2011年 PPRによるジラール・ペルゴ、ジャンリシャールを買収

2011年 LVMHによるイタリアの宝飾大手のブルガリ買収

2011年 スウォッチによる米Harry Winstonの買収

2012年 リシュモンによる米Peter Millarの買収

2013年 PPRがケリングへと社名変更。ブリオーニ買収

2017年 LVMHによるクリスチャン・ディオールの完全子会社化

2018年 マイケル・コース・ホールディングスによるイタリアのヴェルサーチの買収

2019年 LVMHによるティファニー買収(その後断念)

主要ブランド会社の動向

LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)

1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生した世界最大級の仏高級ブランド会社です。高級ブランド業界では圧倒的な存在感を示しており、バッグ、アパレル、ジュエリー、化粧品、ワイン等多面的な展開しています。Bernard Arnault氏が支配するChristian Dior(クリスチャン・ディオール)を通じて議決権のほぼ過半を所有しています。主要なブランドには、仏ファッションブランドのLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、スペインのレザーブランドのLOEWE (ロエベ)、仏ファッションブランドのCELINE (セリーヌ)、高田賢三が生み出したファッションブランドのKENZO (ケンゾー)、伊ラグジュアリブランドのEMILIO PUCCI (エミリオ・プッチ)、仏高級靴メーカーのBerluti (ベルルッティ)、仏ファッションブランドのChristian Dior (クリスチャン・ディオール)、伊ファッションブランドのFENDI (フェンディ)、仏ファッションブランドのGIVENCHY (ジバンシー)、米ファッションブランドのDonna Karan (ダナ・キャラン)、時計ブランドのTAG HEUER (タグ・ホイヤー)、FRED (フレッド)、ZENITH (ゼニス)、仏ジュエリーブランドのChaumet (ショーメ)、伊ブランドのBVLGARI(ブルガリ)が含まれます。

ワインや蒸留酒といった酒類系ではのDom Pérignon (ドン・ペリニヨン)、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)、Krug (クリュッグ)、Hennessy (ヘネシー)、Veuve Clicquot Ponsardin (ヴーヴ・クリコ)が有名です。

主要香水ブランドには、Dior / Parfums Christian Dior (ディオール/パルファン・クリスチャン・ディオール)、GUERLAIN (ゲラン)、BeneFit (ベネフィット)、LAFLACHERE (ラフラシェール)、ACQUA DI PARMA (アックア・ディ・パルマ)、MAKE UP FOR EVER (メイクアップフォーエバー)、Parfums GIVENCHY (パルファム・ジバンシィ)、KENZO Parfums (ケンゾー・パルファム)、Perfumes Loewe (ロエベ/パフュームス・ローウェ)等があります。

ケリング(KERING)

仏大手ブランドマネジメント会社です。2013年PPR(ピノー・プランタン・ルドゥート、Pinault-Printemps-Redoute)から社名を変更しました。伊ファッションブランドのグッチ(GUCCI)を筆頭に主にファッション・宝飾品関連のブランドを保有しています。主要ブランドには、グッチのほかに、英アパレルブランドのアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQeen)、バスク系スペイン人のクリストバル・バレンシアガによって生み出されたバレンシアガ(BALENCIAGA)、伊ファッションブランドのボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)、独スポーツブランドのプーマ(PUMA)、仏ファッションブランドのイブ・サン・ローラン(Yves Saint-Laurent)、伊ファッションブランドのセルジオ・ロッシ(Sergio Rossi)、英ファッションブランドのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、米スケートボード、スノーボード、サーフボード向けファッションブランドのボルコム(Volcom)、仏ヴァンドーム広場にブティックを構えた最初の宝石会社のブシュロン(BOUCHERON)、スイスの高級時計メーカーのジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)、スイスの高級時計メーカーのジャンリシャール(JEANRICHARD)、伊ジュエリーブランドのポメラート ドド(Pomellato)が含まれます。

リシュモン(Richemont)

リシュモン(フランス語:Compagnie Financière Richemont SA)は、スイスを本拠地とする企業グループです。南アフリカのレンブラントグループより高級ブランド事業が分社化され誕生しました。ジュエリー、時計、筆記具に強みを持ちます。主要ブランドとして、仏高級ジュエリー・時計ブランドのカルティエ(Cartier)、IWC、ジャガー・ルクルト((JAEGER-LECOULTRE)、ピアジェ(Piaget)、ヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)、モンブラン(MONTBLANC)、ダンヒル(dunhill)、クロエ (Chloé)等があります。

スウォッチグループ

スイスの世界最大の腕時計メーカー。オメガ(OMEGA)、ロンジン(Longines)、ハミルトン(Hamilton)、ブレゲ(Breguet)、 Rado、Blancpain等。

ティファニー(TIFFANY &Co)

米高級アクセサリーメーカー。2019年にLVMHが買収を発表。

タペストリー

Coach(コーチ)、kate spade new york(ケイト・スペード ニューヨーク)、Stuart Weitzman(スチュアート ワイツマン)のブランドを有するブランドマネジメント会社。ニューヨーク証券取引所に株主を上場。

エルメス(Hermès)

仏高級ファッションブランドメーカー。ケリーバックやバーキン等のバッグが有名。

ラルフローレン(Ralph Laurent)

米高級ファッションブランドメーカー。日本ではオンワード樫山にライセンスを供与していたが、2007年に契約を解消。現在は米本社が直接事業を展開。

サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)

伊ファッションブランドメーカー。

Luxottica(ルックスオティカ)

イタリアに本拠を置く世界最大手メガネ・サングラスメーカー。米サングラス名門のRay-Ban(レイバン、元々はボシュロム社 (Bausch & Lomb) の子会社)やOaklay(オークリー)、伊の名門Persol(ペルソール)等の高級ブランドを傘下に保有。

Harry Winston(ハリー・ウィンストン)

米高級宝飾メーカー。現在はスウォッチグループ傘下。

VALENTINO(ヴァレンティノ)

イタリアの名門ブランド会社。傘下に独ブランドのHUGO BOSS(ヒューゴ・ボス) 等。投資ファンドによる買収を経て現在はカタール政府系のMayhoola for Investmentsが所有。

TOD’S(トッズ)

イタリアの高級靴・バッグメーカー。

プラダ(PRADA)

伊高級ブランドメーカー。

バーバリー(BURBERRY)

1856年創業の英ファッションブランドメーカー。特徴あるチェック柄が有名。日本では三陽商会にライセンスをしていたが、バーバリー本体でも独自で直営店を展開している。

シャネル(Chanel)

仏ファッションメーカー。

ジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)

伊ファッションブランドメーカー。

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