フォワーディング・宅配便・物流業界の世界市場シェアの分析

フォワーディング・宅配便・物流業界の市場シェア、市場規模と業界の再編について分析をしています。ドイツポスト、UPS、日本郵便、ヤマト、DHL、DBシェンカー、 キューネ・アンド・ナーゲルといった大手物流企業の概要や動向も掲載しています。

物流業界とは

物流には、総合運輸と呼ばれている、陸運、海運、空運をすべて手掛ける業態、フォワーダーと呼ばれる、荷物の輸送のコーディネートをする業界、サードパーティ・ロジスティクスという、荷主の物流を包括的に請け負う業態があります。

総合運輸会社の分野では、フェデックス、ドイツポスト傘下のDHL、UPS、などが世界大手と言われています。日本では、日本通運やヤマト運輸があげられます。フォワーダーには、キューネ・アンド・ナーゲルやDBシェンカーがあります。フォワーダーは物流資産を持たなくてもよいことから、フォワーダー専業以外にも、フェデックスやDHLが参入しています。サードパーティロジスティクスは、XPOロジスティクスやCHロビンソンが大手となっています。物流の機能には、運送以外にも、保管、荷受け、包装・検品等の流通加工という機能があります。(下図参照)陸運には、鉄道、自動車、バス、タクシー等の事業者がおります。空運には飛行機が、海運には船舶が用いられ、船舶の種類によりコンテナ、バルク等に分けられます。保管に強みを発揮するのは倉庫業者です。また自らは資産を持たずに運送のアレンジを行う業態としてフォワーダーがあります。

物流バリューチェーン
物流バリューチェーン
出所:ディールラボ

配送センター内の作業
配送センター内の作業
出所:ディールラボ

世界市場シェア

宅配運輸・郵便・フォワーディング各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年の宅配・フォワーディング物流業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は中国郵政、2位はフェデックス、3位は米国郵便公社となります。⇒参照したデータの詳細情報

宅配運輸・郵便・フォワーディングの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

順位会社名市場シェア
1位中国郵政7.24%
2位フェデックス6.23%
3位米国郵便公社5.13%
4位ドイツ郵政5.03%
5位UPS4.02%
6位キューネ・アンド・ナーゲル2.67%
7位SFエクスプレス2.21%
8位日本郵便2.12%
9位ドイツ鉄道(DBシェンカー)1.76%
10位CHロビンソン1.54%
11位NIPPON EXPRESSホールディングス(日本通運)1.36%
12位シノトランス1.33%
13位ヤマトホールディングス0.98%
14位SNCF0.94%
15位SGホールディングス0.92%
16位XPOロジスティクス0.85%
宅配運輸・郵便・フォワーディングの世界市場シェアと業界ランキング(2021年) ©ディールラボ

宅配・フォワーディング・3PLの世界シェア(2021年)
宅配・フォワーディング・3PLの世界シェア(2021年)

郵便・宅配物流業界では上位5社である中国郵政、UPS、ドイツ郵政(DHL)、フェデックスがダントツの規模を誇っています。市場規模が大きいため、当該業界は引き続き分散的な市場と位置付けられ、ダントツといえども市場シェアは10%未満です。

6位はスイスのフォワーダー最大手であるキューネ・アンド・ナーゲルとなります。現在はスイスに拠点をおきますが、1890年の創業の場所はドイツのブレーメンです。

7位には中国の民間物流大手であるSFエクスプレス、9位はドイツ鉄道の子会社であるシェンカーです。

8位は日本郵便が入っています。民営化プロセスでの公正な競争を保ちながら競争力をつけていくかが課題となっています。

11位は日本の総合物流のトップである日本通運となっています。

日本勢は13位のヤマトホールディングス、15位のSGホールディングスと続きます。

市場規模

当データベースでは、宅配、フォアワーディング及びサードパーティロジスティクス(3PL)の2020年の市場規模を1兆5000億ドルとしております。参照にした各種統計データは次の通りです。

調査会社のグランビューリサーチによると、2021年の3PLの市場規模は、それぞれ9568億ドルです。2021年から2030年にかけて年平均8.6%の成長を見込みます。
調査会社のバリュエーツによると、フォワーディング業界の2021年の市場規模は1860億ドルです。2028年にかけて年平均3.3%の成長を見込みます。
一方調査会社のアイビーアイエスによると、2022年の宅配業界の市場規模は3638億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報

主なM&A

物流業界では、地域ネットワークや物流手段の補完や顧客基盤の拡充を狙ったM&Aが相次いでいます。

  • 2002年 ドイツポストによるDHLの買収
  • 2002年 ドイツポストによるStinnesの買収
  • 2005年 ドイツポストによる英Exelの買収
  • 2006年 投資ファンドApollo GlobalによるTNTロジスティクスの買収
  • 2007年 CEVAロジスティクス(旧TNTロジスティクス)によるEagle Global Logistics買収
  • 2008年 フランス国鉄によるGeodis買収
  • 2008年 DSVのよるABX Logistics Worldwide買収
  • 2012年 CH Robinsonによる米Phoenix International買収
  • 2015年 近鉄エクスプレスによるAPLロジスティクス買収
  • 2015年 日本郵便による豪Tollロジスティクス買収
  • 2015年 フェデックスによるオランダのTNT Expressの買収
  • 2015年 米XPO Logisticsによる仏Norbert Den Tressangleの買収
  • 2015年 米UPSによる米Coyote Logisticsの買収
  • 2015年 フランス国鉄による米Ozburn-Hessey Logisticsの買収
  • 2015年 オランダのDSVによる米国UTi Worldwideの買収
  • 2019年 CMA CGMがCEVAロジスティクスを買収
  • 2021年 SFエクスプレスがケリーロジスティクスを買収
  • 2021年 Tollのエクスプレス事業を投資ファンドに売却

世界の主要運輸会社の動向

Deutsche Post(ドイツ郵政、ドイツ)

Deutsche Post(ドイツ郵政、ドイツ・ポスト)は、元々国営の郵便会社です。郵政民営化に伴い2002年にDHLを完全子会社化し、企業間物流、フォワーダー、個人向け配送、郵便サービスを手掛ける総合物流会社へと成長しました。買収後、ドイツ・ポストにおける郵便・宅配事業の低下し、物流事業の比率が50%へと増加している等、顕著な買収効果が見て取れます。(下図参照)Packstationの名称でドイツ国内を中心に宅配ロッカー事業を展開しています。

ドイツポストの2019年売上構成

ドイツポストの2019年売上構成
©ディールラボ

United Parcel Service(ユナイテッド・パーセル・サービス、UPS)

1907年にクロード・ライアン(Claude Ryan)とジム・ケーシー(Jim Casey)によってアメリカン・メッセンジャー・カンパニーとして設立された米大手総合物流会社です。米国内陸上輸送に強みを有します。世界220か国以上で物流業務を展開しています。

FedEx(フェデックス)

FedEx(フェデックス)は1971年にフレデリック・W・スミス氏によって設立された米大手総合物流会社です。同氏がイエール大学の学生時代に提出した拠点空港を利用したハブ・アンド・スポーク理論を社会実装した航空輸送や国際宅配便ネットワークに強みを持ちます。国際エクスプレス配送はDHLと首位の座を競っています。 2016年には欧州同業のTNTエクスプレスを買収し、欧州にも強固な基盤を有しています。さらに詳しく

TNT Express(TNTエクスプレス)について
オランダに本社を置く欧州域内における宅配便大手です。旧オランダ郵政公社(KPN)が1998年に買収されたのち、2011年にユーロネクスト市場に上場しています。2015年フェデックスが買収しました。

US Postal Service(米国郵便公社、USPS)

米国の郵便事業を基盤に設立された郵便会社です。米国内におけるネットワークは最大級です。

DB Schenker(DBシェンカー)

Deutsche Bahn(ドイツ鉄道、独)傘下の総合物流企業です。鉄道網を利用した企業間物流やDB Schnker Logisticsで行うフォワーディング業務に強みです。空運・海運も手掛けています。日本では西濃運輸と西濃シェンカーを設立しています。

Kühne & Nagel(キューネ・アンド・ナーゲル)

スイスに本拠を置くDHL、FedExに次ぐフォワーディング大手の一角です。

EMS(Express Mail Service、国際スピード郵便)

世界の郵便事業会社が連携(万国郵便連合という)して提供する国際宅配便サービスです。DHL、FedEx、TNT Expressと競っています。Royal Mail(ロイヤルメール、英)、La Poste(ラ・ポスト、フランス)、USPS(米国郵便公社)、日本郵政(Japan Post)や中国郵政(China Post)等が加盟しています。2014年に日本郵政はラ・ポスト子会社のGeoPost(ジオポスト)と資本提携しました。

DSV(ディーエスヴイ)

欧州内の企業間物流等に強みを持つ物流会社です。2006年のFrans Maas Groep(フランス・マース・グループ、蘭)、2008年にABX Logistics(ABXロジスティクス、ベルギー)、2015年にUTiを買収し、欧州域内における物流事業を強化しています。

UTi Worldwide(UTiワールドワイド)
フォワーディング専業です。2015年にDSVに買収されました。

SNCF Geodis

フランス国鉄傘下の大手物流会社です。

Toll(トール)

オーストラリア最大の物流会社です。オーストラリア証券取引所に上場していましたが、2015年に日本郵政グループが買収しました。

CEVA Logistics(シーバ・ロジスティクス)

大手フォワーダー会社。投資会社のApollo Management(アポロ・マネジメント)が2006年にTNT Logisticsを買収、その後EGL Eagle Global Logistics(EGLイーグル・グローバル・ロジスティクス、米国)と経営統合し誕生しました。2019年にフランスの海運大手であるCMA CGMが17億ドルで買収しました。

CH Robinson Worldwide(CH・ロビンソン・ワールドワイド)

フォワーディング専業です。自社にて運送機を保有しておりません。

Expeditors International(エクスペディターズ・インターナショナル)

フォワーディング専業です。自社にて運送機を保有しておりません。

Dachser

ドイツの未公開企業です。フォワーディング業務に強みを持ちます。

Bollore SA(ボローレ)

Vincent Bolloré氏率いるコングロマリットです。フォワーディングに強みを持ちます。傘下に物流を行うBollore Logistic、音楽レーベル大手のUMGなどを傘下に持つビベンディを擁しています。

ビベンディとは

ビベンディ(Vivendi)は、フランスを代表するメディアグループです。傘下にユニバーサルミュージック、ペイTVのCanal+、広告代理店のHavas、ソーシャルゲームのGameloft、イベント運営のVidendi Village、ビデオ配信プラットホームのDailymotion、出版社のEditisを有しています。投資会社のBollore(ボロレ)が主要株主です。さらに詳しく

Panalpina World Transport(パナルピナ・ワールド・トランスポート)

フォワーディングに強みがあります。2019年にDSVが買収しました。

Sinotrans Limited(シノトランス)

フォワーディングに強みがあります。

チャイナポスト(中国郵便)

中国国営の郵便会社です。郵便会社としては世界最大規模です。

SF Express(順豊エクスプレス)

1993年に設立された中国の民間物流会社です。中国国内のECサイトの増加に伴い成長をしております。2021年に香港のケリーロジスティクスを買収しました。

日本の大手物流会社

日本の大手物流会社には企業間・フォワーディングに強いNIPPON EXPRESSホールディングス(日本通運)、宅配便サービスに強みを持つヤマトホールディングスや佐川急便、フォワーディング業務では日本通運についで国内2位で2015年にシンガポールのNOLよりAPLロジスティックスの買収を発表した近鉄エクスプレス、国策の郵便局を引き継ぎ国内最大の信書ネットワークを持ち、2015年には豪州大手の物流会社トールを約6000億円買収した日本郵政等があります。企業間物流では日立物流が大手です。

三菱倉庫

1887年に設立された物流会社です。社名の通り倉庫を軸とした陸上、港湾、フォワーディングといった物流に強みを持ちます。三菱グループの中でも5番目に古く設立された会社です。
三菱倉庫の業績推移、株価パフォーマンスや市場シェアなどさらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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