フェデックスの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

FedEx(フェデックス)は1971年にフレデリック・W・スミス氏によって設立された米大手総合物流会社です。同氏がイエール大学の学生時代に提出した拠点空港を利用したハブ・アンド・スポーク理論を社会実装した航空輸送や国際宅配便ネットワークに強みを持ちます。国際エクスプレス配送はDHLと首位の座を競っています。2016年には欧州同業のTNTエクスプレスを買収し、欧州にも強固な基盤を有しています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は前年度比6.48%増の69,693百万ドルになりました。営業利益は4.54%増の4,466百万ドルになりました。営業利益率は6.41%になりました。全セグメントにおいて燃料の影響がプラスに働き、わずかに増収増益となりました。特に、貨物と陸運事業での集積が増加しています。

2020年度
売上高は前年度比0.68%減の69,217百万ドルになりました。営業利益は45.88%減の2,417百万ドルになりました。営業利益率は3.49%になりました。コロナウイルスによって急増した家庭向け配送サービスに対応するコストを押さえることができず、大幅減益となりました。

2021年度
売上高は前年度比21.30%増の83,959百万ドルになりました。営業利益は142.33%増の5,857百万ドルになりました。営業利益率は6.98%になりました。前年度に引き続きコロナウイルスが引き続き猛威をふるいましたが、コスト改善によってEC配送分野の需要拡大にも対応できたため、増収増益となりました。

2022年度
売上高は前年度比11.38%増の93,512百万ドルになりました。営業利益は6.62%増の6,245百万ドルになりました。営業利益率は6.68%になりました。燃料費用の価格変動がポジティブに働いたことや変動インセンティブ報酬費用が削減されたことなどによって増収増益となりました。

2023年度
売上高は前年度比3.59%減の90,155百万ドルになりました。営業利益は21.35%減の4,912百万ドルになりました。営業利益率は5.45%になりました。需要低迷およびインフレーションや原油価格の高騰によるコスト上昇を受けて減収減益となりました。一方、2023年度にはNetwork2.0とDRIVEプログラムという2つのプロジェクトを発表し、数十億ドル規模の大幅なコスト削減を推進していく予定です。

フェデックスの業績推移

フェデックスの業績推移

業績推移(四半期)

2022年3ー5月
売上高は前年同期比8.11%増の24,394百万ドルになりました。営業利益は1,924百万ドル、営業利益率は7.89%になりました。燃料価格の下落や変動報酬費用の削減が売上高にプラスに働き、増収となりました。

2022年6ー8月
売上高は前年同期比5.63%増の23,242百万ドルになりました。営業利益は1,191百万ドル、営業利益率は5.12%になりました。経済状況の悪化を受けて世界的に取引量が減少しましたが、燃料サーチャージの増加などにより収率が向上したため、前年度比増収となりました。

2022年9ー11月
売上高は前年同期比2.81%減の22,814百万ドルになりました。営業利益は1,176百万ドル、営業利益率は5.15%になりました。国際配送の需要減を受けて、前年度比減収となりました。

2022年12月ー2023年2月
売上高は前年同期比6.23%減の22,169百万ドルになりました。営業利益は1,042百万ドル、営業利益率は4.70%になりました。フェデックスエクスプレスセグメントでの需要の弱まりが続いたことで、前年度比減収となりました。

2023年3ー5月
売上高は前年同期比10.10%減の21,930百万ドルになりました。営業利益は1,503百万ドル、営業利益率は6.85%になりました。需要低迷とコスト上昇が続いたことが響き、減収となりました。

フェデックスの四半期業績推移

フェデックスの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比8.03%増の15.48ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比95.33%増の5.86ドルになりました。配当性向は37.86%になりました。

EPS・配当額・配当性向の推移

フェデックスのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2023年6月
2024年会計年度の業績予測を発表しました。売上高は前年度比横ばいまたは1桁台前半の成長率を見込んでいます。また、20億ドル相当の株式買戻しを計画しており、配当が10%程度上昇する見込みだと発表されています。

売上構成

セグメントは、フェデックスエクスプレスセグメント、フェデックスグラウンドセグメント、フェデックスフレイトセグメント、フェデックスサービスセグメント、その他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

フェデックスの売上構成(2023年度)

フェデックスの売上構成(2023年度)

フェデックスエクスプレスセグメント(宅配便事業)
小包や貨物の配送を行っているセグメントで、アメリカ国内及び国際配送を行っています。曜日指定・時間指定での配送を提供しており、Priority(急ぎの配達)、Deferred(2〜3日後配達)、Economy(日数よりも値段の安さ優先)のサービスがあります。

フェデックスグラウンドセグメント(陸運事業)
米国およびカナダのビジネス向け・米国の個人向けに地上配送サービスを展開しています。事業所へ小型小包を配送できるサービスや宅配サービスを提供しています。

フェデックスフレイトセグメント(貨物輸送事業)
トラック積載量(LTL)未満の貨物サービスを提供しています。かさばる貨物や小口よりも重量がある貨物の配送を行っており、急ぎの配送に対応しています。

フェデックスサービスセグメント
セールス・マーケティング・IT・カスタマーサービスなど、各セグメントを支えるバックオフィス的な役割を担っています。

M&A情報

物流基盤の補完構築に向けたM&Aを積極的に行っています。元々フェデックスは北米・アジアでの航空貨物に強みを持っていたため、その他の地域での基盤拡大のために買収を行うケースが多いです。
例えば、TNTは欧州、Manton Air-Sea Pty Ltdは太平洋地域の基盤強化のために買収されました。

2016年 オランダのTNTエクスプレスを買収
2017年 在庫調査を行うNorthwest Researchを買収
2018年 イギリスのeコマース宅配を行うP2P Mailingを買収
2018年 オーストラリア物流大手のManton Air-Sea Pty Ltdを買収
2019年 イスラエルのFlying Cargo Groupから国際配送事業を買収
2020年 eコマースプラットフォームShopRunnerを買収

EN