航空貨物業界の世界市場シェアの分析

航空貨物業界の世界市場シェア、売上高ランキング、市場規模、および主要企業のM&A(合併・買収)動向について分析しています。

本分析では、インテグレーター最大手であるDHLやFedEx、UPSをはじめ、カタール航空、エミレーツ・スカイカーゴ、カーゴルックス航空といった貨物専業・メガキャリア、さらにはキャセイパシフィック航空、中国南方航空、エールフランス、チャイナエアライン、シンガポール航空カーゴ、全日本空輸(ANA)、ユナイテッド航空、エバー航空、大韓航空など主要航空貨物各社の最新動向と企業概要を掲載しています。

航空貨物業とは

航空貨物業とは、自社保有(または賃借)する航空機を用いて、顧客の貨物や郵便物を指定された空港まで迅速に運送し、対価として運賃を受領するサービスです。

肉・魚介・果物・野菜など鮮度が重要な食品や、緊急を要する医療機器・医薬品、精密機械・スマートフォンなど、スピードや厳格な管理が求められ長時間の輸送に不向きな貨物で中心的な役割を果たしています(※危険物など一部輸送制限あり)。
かつては運賃が高く一部の利用に限られていましたが、ジェット化や大型化により単位当たりの輸送費用が低下したことで、誰もが利用できる物流インフラへと進化しました。

市場環境と主要トレンド

  • 国際EC(越境EC)の拡大:Cross-Border ECの急速な成長に伴い、小口小包の航空輸送需要が世界的に高水準を維持しています。
  • コールドチェーン(低温輸送)の需要増:バイオ医薬品や精密化学品など、厳格な温度管理を要する高付加価値貨物の割合が増加しています。
  • 脱炭素・SAF(持続可能な航空燃料)の推進:環境規制への対応として、SAFの利用拡大や最新鋭の省燃費貨物機への刷新が各社で加速しています。
  • 供給網(サプライチェーン)の再構築:地政学リスクへの対応や製造拠点の分散化に伴い、柔軟かつ迅速に路線を変更できる航空貨物の価値が再評価されています。

【市場シェア】

航空貨物業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の航空貨物業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はDHLアビエーション、2位はFedEx、3位はUPSとなります。

航空貨物業界の市場シェア(2025年) ©2026 Deallab

順位 Company name(English) 企業名(日本語) 市場シェア
1位 DHL Aviation DHLアビエーション 28.90%
2位 FedEx Corporation フェデックス 28.25%
3位 United Parcel Service, Inc. ユナイテッド・パーセル・サービス 9.10%
4位 Qatar Airways カタール航空 1.34%
5位 Emirates SkyCargo エミレーツ・スカイカーゴ 1.31%
6位 Deutsche Lufthansa AG ルフトハンザドイツ航空 1.19%
7位 Cargolux Airlines International S.A. カーゴルックス航空 1.02%
8位 Turkish Cargo ターキッシュ・カーゴ 1.01%
9位 Cathay Pacific Airways キャセイパシフィック航空 0.92%
10位 China Southern Airlines 中国南方航空 0.86%
11位 China Cargo Airlines 中国貨運航空 0.70%
12位 Air France エールフランス 0.70%
13位 China Airlines Ltd. チャイナエアライン 0.63%
14位 Singapore Airlines Cargo シンガポール航空カーゴ 0.63%
15位 All Nippon Airlines 全日本空輸 0.59%
16位 United Airlines ユナイテッド航空 0.54%
17位 EVA Air エバー航空 0.51%
18位 Air China 中国国際航空 0.34%
19位 Korean Air Cargo 大韓航空 0.25%
航空貨物の世界市場シェアと業界ランキング(2025年) ©2026 Deallab

【主要企業の概要と動向】

【上位3社】業界を世界網で牽引する「メガ・インテグレーター」

上位3社(DHL、FedEx、UPS)は、自社で航空機・集配車両・大型 sorting hub(仕分け拠点)を一貫して保有する「統合型宅配キャリア(インテグレーター)」です。ドア・ツー・ドアの緊急輸送や越境EC物流において世界的なインフラを構築しています。

  • 1位:DHLアビエーション(DHL Aviation) ドイツポストDHLグループの空運部門。自社機および提携網を駆使し、急速に拡大する越境EC輸送とグローバルネットワークで業界首位を維持しています。SAF(持続可能な航空燃料)導入など脱炭素化の取り組みも先行しています。
  • 2位:フェデックス(FedEx Corporation) 世界220以上の国・地域を結ぶ自社航空・陸上網を展開。緊急・高価値貨物のドア・ツー・ドア輸送において高い市場占有率を誇ります。日本では「フェデラルエクスプレスジャパン合同会社」として展開しています。
  • 3位:ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS / United Parcel Service) 高度な物流ITと地上・航空網の統合力を強みとする米国最大手の一角です。近年は厳格な温度管理が求められるバイオ・医療機器などの「ヘルスケア物流」へ注力しています。

【中東・アジア】東西貿易のハブを握る「中核コンビキャリア」

中東およびアジアを拠点とする主要航空会社(旅客・貨物双方を扱うコンビキャリア)です。地政学的なハブ空港を活かし、大陸間の国際物流やアジア発の電子部品・EC貨物の動脈を担っています。

  • 中東メガキャリア(4位カタール航空 / 5位エミレーツ・スカイカーゴ)
    ドーハやドバイをハブ拠点とし、欧州・アジア・アフリカ・米州を結ぶ東西貿易の主力です。大型貨物専用機と大型旅客機の床下スペース(ベリー)を組み合わせ、医薬品や生鮮品などの温調輸送にも強みを持ちます。
  • アジア主要キャリア(9位キャセイパシフィック航空 / 13位チャイナエアライン / 14位シンガポール航空 / 15位ANAなど)
    香港、台北、シンガポール、成田・羽田などの主要ハブ空港を網羅するグループです。中国本土や東南アジアからのEC貨物・電子部品の国際輸送で極めて高い存在感を示しています。特に15位の全日本空輸(ANA)は、日本郵船からの日本貨物航空(NCA)買収・子会社化など、再編を通じた国際貨物競争力の強化を進めています。

【欧米・貨物専業】主要路線と特殊貨物を支える「基幹プレイヤー」

欧州・北米の大型航空会社および貨物専門キャリアです。

  • 貨物専業キャリア(7位カーゴルックス航空)
    ルクセンブルクを拠点とする欧州最大級の貨物専業会社です。大型貨物機(ボーイング747フリート)に特化し、精密機械や超大型重機、動物、危険物といった専門性の高い特殊貨物輸送に強みを持ちます。
  • 欧米メガ航空会社(6位ルフトハンザドイツ航空 / 12位エールフランス / 16位ユナイテッド航空など)
    自国の広大な旅客・貨物ネットワークを活用し、大西洋路線をはじめとする主要国際幹線の産業物資輸送を支えています。

【市場規模】

当データベースでは、2025年の航空貨物業界の市場規模を3,352億ドルとしております。

参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社アイマークによると、2025年の同業界の市場規模は3,352億ドルです。2026年から2034年にかけて年平均4.7%で成長し、規模は5,062億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模 成長率見込み
2025 3,352億ドル
2026 4,217億ドル
2034 5,062億ドル 4.7%

航空貨物業界の市場規模の成長予想 ©2026 Deallab

【M&Aの動向】

2019年 キャセイパシフィック航空、香港エクスプレス航空の買収を完了
2020年 FedExがECプラットフォームのShopRunnerを買収
2020年 カタール航空がIAG の 9.99% の株式を約 11 億 5000 万ポンドで購入
2021年 CMA CGMによるスイス・CEVA Logisticsの完全子会社化 & 航空貨物部門(CMA CGM Air Cargo)の本格設立
2022年 A.P. モラー・マースク、「セネター・インターナショナル(Senator International)」を買収
2022年 DHLがオランダのフルフィルメントプロバイダーMontaとメキシコを拠点とする医薬品およびヘルスケア ロジスティクスのスペシャリストである New Transport Applications (NTA) を買収
2023年 MSC(Mediterranean Shipping Company)、イタリアの航空貨物会社「AlisCargo Airlines」の過半数株式取得
2023年 中国国際航空が山東航空の親会社を買収
2023年 大韓航空のアシアナ買収を英国が承認
2023年 米アポロが率いる投資家グループが、J.F.リーマン・アンド・カンパニーおよびヒル・シティ・キャピタルと共同でアトラス・エア・ワールドワイドを買収
2024年 エールフランス-KLMグループは、SAS ABの非支配株式の取得を完了
2025年 ANAホールディングスが日本郵船から日本貨物航空を買収
2025年 フェデックス、ルートスマートテクノロジーズを買収、グローバル集配最適化をさらに強化
2025年 ルフトハンザグループ、ITAエアウェイズ(旧アリタリア航空)の株式41%を取得
2025年 UPS、ヘルスケア向けコールドチェーン物流プロバイダーのFrigo-TransとBPLの買収を完了
2025年 DSV、「Schenker(DBシェンカー)」を買収

【会社の概要】

DHL Aviation(DHLアビエーション)

DHLグループの国際エクスプレス・航空貨物輸送部門です。世界220以上の国・地域を結ぶ自社輸送網を展開し、越境EC物流や温調管理貨物に強みを持ちます。親会社のDHLグループはドイツ郵政の民営化を経て総合物流企業へ成長し、持続可能な航空燃料(SAF)導入など物流の脱炭素化を積極的に推進しています。さらに詳しく

FedEx Corporation(フェデックス)

1971年に設立された米国発の総合物流会社です。ハブ・アンド・スポーク理論を実装した自社航空・陸上網により、世界220以上の国・地域でドア・ツー・ドアの緊急輸送サービスを提供しています。TNTエクスプレスの買収などを通じて欧州網も強化しており、国際エクスプレス輸送において世界トップクラスのシェアを誇ります。さらに詳しく

United Parcel Service, Inc.(UPS)

米国に本社を置く世界最大級の総合Express物流企業です。高度な自社ロジスティクスネットワークとIT基盤を強みとし、小口小包から大規模輸送まで網羅しています。近年は厳格な温度管理を要するバイオ・医薬品領域(ヘルスケア物流)の強化や、サプライチェーン可視化に向けたデジタル投資を加速させています。さらに詳しく

Qatar Airways(カタール航空)

カタールの首都ドーハのハマド国際空港をハブとする国営航空会社です。世界170都市以上を結ぶ広範なネットワークを誇り、コンビキャリアとして先進的な大型貨物機フリートと旅客機ベリーを活用しています。医薬品専用輸送「Pharma」など、高品質な温調輸送サービスで高いグローバル評価を獲得しています。さらに詳しく

Emirates SkyCargo(エミレーツ・スカイカーゴ)

アラブ首長国連邦ドバイを拠点とするエミレーツ航空の貨物部門です。ドバイの地理的優位性を活かしたハブ構造のもと、ボーイング777F貨物機と大型旅客機(A380・B777)の床下スペースを運用し、6大陸140都市以上へ貨物を輸送しています。生鮮品や高級品、医薬品輸送において世界の主要動脈を担います。さらに詳しく

Deutsche Lufthansa AG(ルフトハンザドイツ航空)

ドイツ・フランクフルト等を拠点とする欧州最大級の航空グループです。貨物部門の「ルフトハンザ・カーゴ」は、専用貨物機とグループ旅客機のネットワークを組み合わせ、大西洋路線を中心に展開しています。欧州委の承認を経てITAエアウェイズの株式を取得するなど、グループ全体の路線網拡張を進めています。さらに詳しく

Cargolux Airlines International S.A.(カーゴルックス航空)

ルクセンブルクを拠点とする欧州最大級の貨物専業航空会社(All-Cargo Carrier)です。ボーイング747ジャンボ貨物機に特化したフリートを運用し、世界80都市以上を結んでいます。大型精密機械、自動車、超重量物、動物、危険物など、高度な専門性を要する特殊貨物輸送において高いグローバルシェアを持ちます。さらに詳しく

Turkish Cargo(ターキッシュ・カーゴ)

トルコのフラッグキャリアであるターキッシュ エアラインズの貨物部門です。イスタンブール空港の最新鋭巨大貨物ターミナル「SmartIST」を拠点とし、世界最多の飛行乗り入れ国数を誇る親会社のネットワークを活用して急成長を続けています。欧州・アジア・中東・アフリカを結ぶ交差点として高いプレゼンスを示します。さらに詳しく

Cathay Pacific Airways(キャセイパシフィック航空)

香港国際空港を拠点とする香港のフラッグキャリアです。国際航空貨物の超主要ハブである香港の強みを背景に、自社貨物機と大型旅客機のベリー枠を活用した大規模ネットワークを展開しています。中国本土からの越境EC貨物やハイテク部品の輸送において、アジア発幹線の中心的な役割を果たしています。さらに詳しく

China Southern Airlines(中国南方航空)

中国・広州および北京をハブとする中国最大級の航空会社です。広大な中国国内網に加え、大型貨物専用機と多数の旅客機ベリーを活用してアジア・欧州・米州を結ぶ国際貨物ネットワークを構築しています。中国国内の製造業輸出や国際EC需要の拡大を支える主要キャリアの一角です。さらに詳しく

China Cargo Airlines(中国貨運航空)

中国東方航空グループ傘下で上海(浦東・虹橋)を本拠地とする中国初の貨物専業航空会社です。上海の世界的物流ハブ機能を担い、長距離大型貨物機を中心としたフリートで北米・欧州・アジアの主要都市を結んでいます。国際EC需要の急増に伴い、上海発着の国際定期貨物便の拡充を続けています。さらに詳しく

Air France(エールフランス)

フランスのフラッグキャリアであり、エールフランス-KLMグループの中核です。パリ・シャルル・ド・ゴール空港をハブとし、グループの広大な国際ネットワークを活用した貨物輸送を行っています。KLM cargoやMartinairと連携した統合ブランド「Air France-KLM Cargo」を通じて、高付加価値貨物や持続可能なSAF推進に力を入れています。さらに詳しく

China Airlines Ltd.(チャイナエアライン)

台湾(中華民国)の桃園国際空港を拠点とする最大手航空会社です。台湾の半導体・電子部品産業の輸出動脈を支える存在として、ボーイング777Fなどの最新鋭貨物機フリートを運用しています。北米・アジア間を中心に高効率な幹線輸送網を構築し、グローバルサプライチェーンにおいて重要な役割を担っています。さらに詳しく

Singapore Airlines Cargo(シンガポール航空カーゴ)

シンガポール航空の貨物事業部門(旧完全子会社から本体事業へ統合)です。世界屈指のハブ施設であるチャンギ国際空港を基点に、専用貨物機と親会社の高品質な旅客機ネットワークを活用しています。医薬品輸送の国際認証(CEIV Pharma)を早期に取得するなど、高品質なコールドチェーン輸送に強みを持ちます。さらに詳しく

All Nippon Airways(全日本空輸 / ANA)

日本の大手航空会社で、成田・羽田の両空港をハブに国際貨物網を展開しています。旅客機ベリーと貨物専用機を組み合わせたネットワークに加え、近年の構造再編による日本貨物航空(NCA)のグループ化などにより国際貨物輸送能力を飛躍的に強化。アジアと北米・欧州を結ぶトライアングル輸送に強みを持ちます。さらに詳しく

United Airlines(ユナイテッド航空)

米国シカゴに本社を置き、世界主要都市を結ぶ米系大手コンビキャリアです。シカゴ、サンフランシスコ、ニューアークなどの自社ハブ空港を活用し、旅客機の広大なベリースペースを用いた貨物輸送を展開しています。北米発着の医薬品・精密機器・生鮮品など、速度重視の産業物資輸送で高い利便性を提供しています。さらに詳しく

EVA Air(エバー航空)

台湾の長栄(エバーグリーン)グループに属する大手民間航空会社です。台湾・桃園国際空港を拠点に、ボーイング777F貨物機および旅客機ベリーを活用した安定的な輸送網を展開しています。北米・アジア路線に強みを持ち、親会社の総合物流ノウハウを生かした高精度な精密機器・EC貨物輸送に定評があります。さらに詳しく

Air China(中国国際航空)

北京首都国際空港・北京大興国際空港を拠点とする中国の国営フラッグキャリアです。子会社のフラグシップ貨物会社「Air China Cargo(中国国際貨運航空)」とともに、専用貨物機とグループの広大な旅客機網を運用しています。中国の国家的な外交・貿易動脈を支え、欧米・アジア主要都市へ大規模な運送能力を供給しています。さらに詳しく

Korean Air Cargo(大韓航空)

韓国・仁川国際空港を世界有数の貨物ハブへ押し上げたアジア最大級の航空貨物キャリアです。大型貨物機(B747-8F、B777F)を中心とする強力なフリートを運用し、電子部品や自動車部品、超大型貨物輸送で世界トップクラスの実績を持ちます。アシアナ航空との統合プロセスを通じ、国際物流における規模と競争力を一段と高めています。さらに詳しく

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