スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の世界市場シェアの分析

スーパーマーケット、ハイパーマーケット業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。ウォルマート、テスコ、コストコ、カルフール、クローガー、メトロ等主要な小売店・スーパーマーケットの概要も掲載しています。ネット小売りの台頭、専業小売りの大型化等の新しい傾向に、既存総合スーパーがどのように対応するかで、優勝劣敗が明確化しつつあります。

【スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界とは】

スーパーマーケット・ハイパーマーケットは小売業の一種で、食品を中心に生活雑貨や衣類を販売しています。百貨店やドラッグストア、コンビニなど他の小売業と異なり、生鮮食品を含む食料品をメインに扱うのが特徴です。

ハイパーマーケットは郊外にある大規模スーパーのことで、ヨーロッパで誕生した小売形態のことです。通常のスーパーマーケットよりも駐車場・売り場面積が大きく、倉庫をそのまま利用しているような内装が特徴です。アメリカのコストコやフランスのカルフールが該当します。

日本では、ハイパーマーケットよりも「GMS(General Merchandise Store)」が主流です。食料品の販売をメインとしながら、日用品や衣類を販売するエリアや専門店街も設けています。イオンやイトーヨーカドーが該当します。

当データベースでは、GMSを含むスーパーマーケット・ハイパーマーケットの市場シェアを分析しています。

【スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の世界市場シェア+ランキング】

スーパーマーケット各社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はウォルマート、2位はコストコ、3位はシュワルツとなります。

      順位      企業名     市場シェア
1位 Walmart(ウォルマート**) 19.31%
2位 Costco(コストコ**) 7.57%
3位 Schwarz Group(シュワルツ) 5.21%
4位 Aldi(アルディ*) 4.83%
5位 Kroger(クローガー) 4.72%
6位 Target(ターゲット) 3.43%
7位 Carrefour(カルフール) 3.07%
8位 Ahold Delhaize(アホールド) 2.94%
9位 Alibaba(アリババ**) 2.62%
10位 Albertsons Companies(アルバートソンズ) 2.47%
11位 Tesco(テスコ) 2.06%
12位 Amazon(アマゾン*) 1.54%
13位 AEON(イオン) 1.43%
14位 Seven & i Holdings(セブンアンドアイ) 0.35%
スーパーマーケット・ハイパーマーケット各社の世界シェアと業界ランキング(2022年)
©2024 Deallab
*推計
**2023年会計年度(ウォルマート:2022年2月~2023年1月、コストコ:2022年9月~2023年8月、アリババ:2022年4月~2023年3月)のデータを使用

スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の市場シェア(2022年) ©2024 Deallab

ウォルマートが2位とは2倍以上の差をつけて、世界1位の座を維持しています。2位につけたのは、米コストコです。会員制ディスカウントストアというカテゴリを創出し、ローコストオペレーションによる顧客囲い込みで競争力を高めています。3位、4位につけたのはドイツのシュワルツとアルディです。欧米のみならずアメリカにも積極的に展開しています。アメリカ・ドイツのスーパーマーケットが強い要因の1つに、プライベートブランド商品を多く取り揃えコストを抑えられていることが挙げられます。

生鮮食品を取り扱うことからEC化が進みづらいと言われているスーパーマーケット業界ですが、近年では大手各社がネットスーパー事業に参入しています。ウォルマートやクローガーなどの主要スーパーに加えて、アマゾンやアリババなどEC事業をメインで行う企業もネットスーパー・食品宅配事業を手がけており、今後も競争が激化していくと考えられます。EC企業の中では、中国のJD集団もオンラインスーパー事業の展開を進めています

【スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の世界市場規模】

当データベースでは、スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の2022年の世界市場規模を31382億ドルとしております。参照した各種調査データは以下の通りです。

調査会社のBusiness Wireによると、2022年のスーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の市場規模は31382億ドルです。2023年には33739億ドルに達し、2023年から2027年にかけて年平均6.5%で成長し、同年には43461億ドルに成長すると予想しています。

参照したデータの詳細情報

      年     市場規模    成長率見込み
     2022    31382億ドル       -
     2023    33739億ドル      7.5%
     2027    43461億ドル      6.5%
スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の世界市場規模の成長率見込み ©2024 Deallab

スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の世界市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界の戦略軸の変化】

スーパーマーケットやハイパーマーケットという食品雑貨の販売手法は時代の流れとともに進化を続けています。

チェーンストアの確立:ドミナント戦略(2000年以前)

1970年〜1990年代はチェーンストア&ドミナント戦略の時代です。店頭商品の配送網を効率的に構築するために、地域集中戦略や立地重視戦略でスーパー各社が出店場所の面取り合戦をしました。大型・モールやコンビニフォーマットが全盛時代を迎えました。

ECの勃興:クロスリージョン戦略(2000年代)

一方、2000年代に入るとECを中心としたクロスリージョン&ロングテール戦略でドミナント戦略を駆逐する動きが活発になりました。賃料が高い地域でなく、地方に大倉庫を設け、地域をまたいで商品を届ける戦略です。家にいながら商品を受け取ることができる利便性が支持され、アマゾン、楽天、アリババなどが勢力を伸ばしました。

実店舗経営の反撃:オムニチャネル戦略(2010年代)

2010年代に入ると、実店舗を持つスーパーマーケットやハイパーマーケットが反撃に出ます。クロスリージョン戦略は時間や運送費がかかるために、生鮮食品分野を攻め切ることができませんでした。スーパー側は、店舗を倉庫と兼用したネットスーパーを導入することで、ECの弱点を攻めていきました。店舗とネットスーパーのオムニチャネル戦略で巻き返しを図ります。EC側は、アマゾンがホールフーズ・マーケットを買収するなど、オムニチャネルの拠点を得る動きを取りました。

ニューリテールの時代:コスト差別化戦略(2020年代)

2020年代に入ると、店舗フォーマットの更なる進化が見られました。配送専用のダークストア、店員を誰もおかない無人店舗で、店舗運営のコストを削減しながら、より消費者に近い場所でのサービス提供方法も模索しています。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

中国発ニューリテールとは?
ウォルマートのグローバル・マーケティング戦略[増補版]
スーパーマーケット近未来戦略

【M&Aの動向】

2023年 イオンが首都圏でスーパーマーケットを展開するいなげやを完全子会社化予定と発表

2023年 楽天が西友の株式をKKRに売却

2022年 カルフールがブラジル食品大手のGrupo BIGを13.5億ユーロで買収

2021年 カナダのコンビニ大手のアリメンテーション・カウチタードが、カルフールに対して買収を提案(のちに撤回)

2020年 ウォルマートが傘下の西友の保有株式を米投資ファンドKKRと楽天に売却

2017年 アマゾンが米スーパーマーケット大手Whole Foodsを132億ドルで買収

【会社の概要】

Walmart Inc.(ウォルマート)

米国に本拠を置く世界最大級のスーパーマーケットチェーンです。西友を買収し日本に参入しました。2021年にKKRと楽天に西友の持分を売却しました。

Costco Wholesale Corporation(コストコ)

Costco(コストコ)は、米国に本拠を置く会員制ディスカウントストアです。サンディエゴの飛行機格納庫を改造した倉庫店舗が発祥で、形態としてはハイパーマーケットに該当します。生鮮食品、日用品、雑貨など幅広い商品を取り扱っています。米国やカナダが主力事業ですが、日本でも展開しています。さらに詳しく

Schwarz Group(シュワルツ)

リドル (Lidl)とKauflandの名称でスーパーマーケットを展開するドイツを代表する小売会社です。非公開会社です。

Aldi Group(アルディ)

ドイツを代表するディスカウントストアチェーンで、欧州・米国・豪州などに出店しています。米国のスーパーマーケット、Trader Joe’sの親会社でもあります。

The Kroger Co.(クローガー)

Kroger(クローガー)は、1883年に設立された米国にてスーパーマーケット、日用品、ディスカウントチェーンなどを展開する小売大手です。The Kroger、Big K、Heritage Farm、Simple Truthといったブランドで展開しています。

Target Corporation(ターゲット)

米国の大手ディスカウントストアです。

Carrefour(カルフール)

フランスに本拠を置くハイパーマーケットです。2004年に日本からは撤退しました。

Ahold Delhaize(アホールド)

オランダを代表するスーパーマーケットチェーンです。

Alibaba Group Holding Limited(アリババ)

アリババ(阿里巴巴、Alibaba)は、馬雲(ジャックマー)氏によって設立された中国のeコマース最大手です。C2Cのタオバオ(淘宝網)はB2CのTモール(天猫)などを展開しています。クラウド分野ではアリクラウドを展開しています。アリババピクチャーズやアリヘルスなどの子会社上場にも積極的です。アリペイ等の決済分野は別法人で展開しています。さらに詳しく

Albertsons Companies, Inc.(アルバートソンズカンパニーズ)

1860年に設立された米国に本拠を置くスーパーやドラッグストアを展開する小売会社です。

Tesco PLC(テスコ)

英国に本拠を置くスーパーマーケットチェーンです。2011年に日本からは撤退しました。

Amazon.com, Inc.(アマゾン)

アマゾンは1994年に設立されたeコマース運営会社です。書籍のオンライン販売が祖業ですが、現在では書籍から家電まで幅広い商品を取り扱っています。eコマース以外にも領域を拡大し、クラウドサービス(AWS)、電子書籍端末(Amazon Kindle)、音楽・メディアの配信サービス等(Amzon music、Amazon Premium)も展開しています。

スーパーマーケット事業は、食料品の宅配サービスFreshや実店舗のAmazon Freshで展開しています。2017年にWhole Foodsを買収したことで話題となりました。2023年8月にはスーパーマーケット事業の刷新を発表し、店舗の改装やプライム会員以外へのFreshサービスの拡充を実施していく予定です。さらに詳しく

Aeon Co., Ltd.(イオン株式会社)

イオンは1758年に岡田惣左衛門氏によって創業された小間物商を源流とする小売りグループです。総合スーパー事業を核に、ドラッグストア、クレジットカード、コンビニや専門店などの事業を展開しています。さらに詳しく

Seven & i Holdings Co(セブンアンドアイ・ホールディングス)

セブン&アイホールディングスは、イトーヨーカ堂やセブンイレブンを中核として総合スーパー、コンビニ、百貨店、外食や金融事業を展開する流通グループです。傘下のグループ会社には、ヨークベニマル、そごう、西武、セブン&アイ・フードシステムズ、セブン銀行などを擁しています。米国でのコンビニ事業拡大に注力しています。さらに詳しく

JD.com, Inc.(京東集団)

中国の大手eコマース事業者です。B2C向けの「京東」でモール型や直販型の販売を行っています。子会社に京東物流も保有しています。ウォルマートやテンセントとも提携しています。

その他のスーパーマーケット・ハイパーマーケット

その他のスーパーマーケット・ハイパーマーケットには、Metro AG(ドイツ)、Auchan(フランス)、Woolworths(オーストラリア)などがあります。

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