塗料・コーティング業界の世界市場シェアの分析

塗料・コーティング業界の世界市場シェアランキングと市場規模について分析しています。アクゾノーベル 、PPGインダストリーズ 、シャーウィン・ウイリアムズ 、アクサルタ、関西ペイント、日本ペイントといった世界大手の塗料メーカーの概要や動向も掲載しています。

塗料・コーティング業界の世界市場シェア(2020年)

塗料メーカーの2021年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして塗料・コーティング業界の2021年の世界市場シェアを計算すると、世界1位は米国のシャーウィン・ウイリアムズ、2位は米国のPPGインダストリーズ、3位はオランダのアクゾノーベルとなります。

塗料メーカーの市場シェアランキング(売上高ベース、2021年度)

順位会社名市場シェア
1位シャーウィン・ウイリアムズ12.4%
2位PPGインダストリーズ10.5%
3位アクゾノーベル6.8%
4位日本ペイント5.4%
5位RPM3.8%
6位アクサルタ・コーティング・システムズ2.7%
7位BASF2.4%
8位関西ペイント2.3%
9位ジョータン1.4%
10位ヘンペル1.3%
11位アジアン・ペインツ・リミテッド1.2%
塗料メーカーの市場シェアランキング(売上高ベース、2021年度)

塗料コーティング業界の市場シェア(2021年)
塗料コーティング業界の市場シェア(2021年)

シャーウィン・ウイリアムズは同業のバルスパーを2016年に買収し、世界首位を維持しております。2位には同じく米国のPPGインダストリーズとなっております。2014年にメキシコの建築用塗料大手であるConsorcio Comexを買収して、規模拡大を図っております。
3位にはオランダのアクゾノーベルがつけます。スペシャリティケミカル事業をカーライルに売却する一方で、スペインや中国の中堅塗料会社を買収しています。2017年にアクゾノーベルとPPGインダストリーズの経営統合の検討がされました。4位にはWuthelam(ウットラム)と経営統合を行った日本ペイントHDとなっています。2019年に豪州のデュラックスグループを買収し海外事業の拡大を図っています。5位はRPM、、6位は自動車関連の塗料に特化しているアクサルタ、8位は関西ペイントです。9位は船舶塗料に強いジョータンとなっています。11位はインドのアジアン・ペインツです。

塗料上位4社のROAと売上高成長率の比較

塗料業界の世界シェア上位4社のROAと売上高成長率を比較すると下表のようになります。ROAが市場シェアのランキングと相似するランキングとなっており興味深いです。

塗料トップ4社の指標比較(2021年度決算ベース)
塗料トップ4社の指標比較(2021年度決算ベース)
“*ROAは直前期の当期利益と期初と期末の自己資本額の平均値から計算をしています。
**売上高成長率成長率は直前期を基準に過去3年間の年平均成長率(CAGR)を計算しています。”

市場規模

当メディアでは、塗料・コーティング業界の2021年の世界市場規模を1601億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のプレシデンスリサーチによると、2021年の同業界の市場規模は1601億ドルです。2030年にかけて年平均4.7%の成長が見込まれ、同年には2414億ドルへと拡大することが見込まれます。
市場調査会社のマーケットアンドマーケッツによると、2020年の同業界の市場規模は1472億ドル、2025年までに約4%の年平均成長と遂げると推計されています。
市場調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによれば、2019年の同市場規模は1546億ドルと推計されています。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模成長率見込み
2021年1601億ドル4.7%
2020年1472億ドル4%
2019年1546億ドルn/a
塗料・コーティング業界の推定市場規模の推移
©ディールラボ

塗料の用途

塗料の用途は幅広く建築物(Decorative)から自動車(Auto)・船舶(Ship)まで幅広く利用されています。塗料は、顔料、溶剤や添加剤といった要素から作られ、溶剤塗料、油性塗料、水性塗料や粉末塗料等用途ごとに特化した塗料が開発されています。塗料には、装飾以外にも、腐食を防ぐ、傷を防ぐ、耐熱性、耐久性や防水性を高めるといった様々な役割が求められます。

塗料業界の主要な再編

塗料は建築向けを中心に品質での差別化が難しくなってきており、各社ともの原材料の調達におけるコスト競争力を強化するために規模の拡大を図っています。直近では対象会社売上高に対して2~3倍の価格(企業価値ベース)でM&Aが行われています。

  • 1994年 オランダのアクゾとスウェーデンのノーベルインダストリーが経営統合し、アクゾノーベルが誕生
  • 2007年 アクゾノーベルによるICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)を買収
  • 2008年 PPGによるオランダの建築用コーティング大手シグマカロン・グループの買収
  • 2010年 関西ペイントによるFreeworld Coatingsの買収
  • 2013年 カーライルによるDuPont Performance Coatings(現アクサルタ コーティング システム)の買収
  • 2013年 PPGによるアクゾノーベルの北米建築用塗料事業の買収
  • 2014年 PPGによるメキシコの 建築用塗料大手コンソルシオ・コメックスの買収
  • 2014年 シンガポールのウットラムグループによる日本ペイントへの出資
  • 2016年 シャーウィン・ウイリアムズによるバルスパーの買収
  • 2016年 アクサルタ コーティング システムによるハイパフォーマンス・コーティングの買収
  • 2016年 アクゾノーベルによるコイルや壁紙向け工業用塗料事業のBASFからの買収
  • 2017年 アクサルタをめぐりアクゾノーベルと日本ペイントが争奪戦
  • 2019年 日本ペイントがトルコのベテック・ボイヤを買収
  • 2019年 日本ペイントによる豪州のデュラックスグループの買収
  • 2020年 ウットラムが日本ペイントを買収

塗料コーティング業界の買収マルチプル分析

塗料業界の売上高マルチプル
塗料業界の買収マルチプル(売上高マルチプル、横軸の単位は倍率、円の大きさは対象会社の企業価値を示す)

環境規制

溶剤系塗料製造に使用されるトルエンは、キシレン、酢酸エチルと並びVOC(volatile organic compounds、揮発性有機化合物)規制の対象となっています。浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの原因とされています。
【関連】環境省、大気汚染防止法

主要塗料会社の動向

Akzo Nobel(アクゾノーベル)

アクゾノーベル(Akzo Noble)は、オランダに本拠を置く世界最大級の化学・塗料会社です。1994年にオランダのアクゾとスウェーデンのノーベルが合併して誕生しました。ノーベルはノーベル賞の生みの親のアルフレッド・ノーベルが買収して誕生した由緒のある会社です。さらに詳しく

1994年 AkzoとNobelが経営統合し、アクゾノーベルが誕生
1997年 カーギルによるダイヤモンド・クリスタル・ソルト部門の買収
2016年 BASFから工業用塗料部門の事業を買収
2017年 米国のPPGより敵対的な買収提案を受ける
2017年 米国のアクサルタ・コーティング・システムズとの経営統合の交渉を発表

PPG Industries(PPGインダストリーズ)

PPG Industries(PPGインダストリーズ)は1883年に設立された米国に本拠を置く塗料メーカーです。ガラス製造会社が発祥です。現在は航空機、船舶や自動車用の塗料事業が主軸となっています。シャーウィン・ウイリアムズと米国首位の座を競っています。さらに詳しく

SHERWIN-WILLIAMS(シャーウィン・ウイリアムズ)

Sherwin-Williams(シャーウィンウィリアムズ)は1866年に設立された北米に本拠を置く老舗の大手塗料会社です。一般消費者や業者向けの塗料やコーティング剤の製造販売を行っています。塗料販売用の直営店での販売がメインです。2016年に米同業のバルスパーを買収しました。さらに詳しく

VALSPAR(バルスパー)
米に本拠を置く塗料大手でしたが、2016年にシャーウィン・ウイリアムズによって買収されました。

Axalta Coating Systems(アクサルタ・コーティング・システムズ)

旧デュポン パフォーマンス コーティングス。2013年にカーライルグループが買収し、Axaltaへと社名を変更しました。自動車向けの塗料に強く、Cromax(クロマックス)、Standox(スタンドックス)、Duxone等の有力ブランドで世界展開を強化しています。2014年にニューヨーク証券取引所に上場しました。2017年にアクゾノーベルとの経営統合の交渉を発表しましたが、その後日本ペイントとの交渉を発表し、結局決裂しています。

BASF(ビーエーエスエフ)

BASFは、1865年に設立された世界最大級の独化学メーカーです。バイエル、ヘキスト(現サノフィ・アヴェンティス)と並ぶドイツ三大化学メーカーの一角となっています。BASFとはバーデン・アニリン・ウント・ソーダ(Badische Anilin- und Soda-Fabrik)の略です。BASFの読み方はバスフでなく、ビーエーエスエフです。アンモニアの量産を可能にしたハーバー・ボッシュ法を発明したことでも有名です。化学業界の売上高ランキングでは、世界1位の座が定番の総合化学の雄と言えます。現在は、石油化学品、高性能製品、機能性材料、農薬事業を展開しています。さらに詳しく

Asian Paints Limited(アジアン・ペインツ・リミテッド)

1942年に設立されたインドの塗料最大手です。

RPM(アール・ピー・エム)

1947年にFrank C. Sullivan氏によって設立された北米に拠点を置く塗料大手です。Tremco、Carboline、Universal Sealants、Stonhard、Euco、Day-Glo、Dryvi、Zinsser、Rust-Oleum、DAP、Varathane、Testorsといったブランドで事業を展開しています。

SACAL(サカル)

1910年創業のイギリスの塗料会社です。

日本ペイントHD

1898年に茂木家によって設立された日本の大手塗料会社です。建設用塗料や自動車向けに強みを持ちます。売上高の約6割はアジアとなっています。シンガポールに本拠を置く塗料大手のWuthelam(ウットラム)と資本提携しました。2019年に豪州のデュラックスグループを買収しています。2020年にウットラムが日本ペイントの買収を発表しました。買収のストラクチャーはやや複雑で、日本ペイントが、ウットラムグループからアジアの合弁会社とウットラムのインドネシア子会社を買収する一方で、買収資金調達のためにウットラムに対して増資を行うことで、ウットラムが日本ペイントの株式の約6割を保有する形となります。さらに詳しく

関西ペイント

1918年に玉水弘氏によって設立された日本の大手塗料会社です。建築向けに強みがあります。2016年に北米のUSペイント、サウジアラビアのサウジインダストリアルペイントとマレーシアのサンコラペイントインダストリーズ、2017年にオーストリアの鉄道車両向け塗料大手のヘリオスグループを買収する等、海外展開を積極的に推進しています。

JOTUN(ジョータン)

1926年に設立されたノルウェーに本拠を置く塗料メーカーです。食品などを手掛けるコングロマリットであるOrkla Groupの関連会社です。

Hempel(ヘンペル)

1915年にデンマークで設立された塗料メーカーです。建築、船、コンテナ、産業機器、ヨットなどの最終製品にコーティングソリューションを提供しています。

中国の大手塗料会社にはCarpoly(嘉宝莉)や上海塗料があります。

参照したデータの詳細情報について


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