塗料・コーティング業界の世界市場シェアの分析

塗料・コーティング・インキ業界の世界市場シェアランキングと市場規模について分析しています。アクゾノーベル 、PPGインダストリーズ 、シャーウィン・ウイリアムズ 、アクサルタ、関西ペイント、日本ペイント等の世界大手の塗料・インキメーカーの動向も掲載しています。

塗料・コーティング業界の世界市場シェア(2020年)

「塗料メーカーの世界売上高ランキング(2020年版)」の売上高の情報を分子に、塗料業界の市場規模を分母に塗料・コーティング業界の世界市場シェアを計算すると、世界1位は米国のシャーウィン・ウイリアムズ、2位は米国のPPGインダストリーズ、3位はオランダのアクゾノーベルとなります。

1位 シャーウィン・ウイリアムズ 11.9%
2位 PPGインダストリーズ 10.1%
3位 アクゾノーベル 7.0%
4位 日本ペイント 4.2%

5位 RPM 3.7%
6位 アクサルタ・コーティング・システムズ 3.0%
7位 関西ペイント 2.5%
8位 サカル 2.5%
9位 ジョータン 1.4%
10位 アジアン・ペインツ・リミテッド 1.4%
11位 ヘンペル 1.1%

シャーウィン・ウイリアムズは同業のバルスパーを2016年に買収をし、売上高ランキングで世界首位を維持しております。2位には同じく米国のPPGインダストリーズとなっております。2014年にメキシコの建築用塗料大手であるConsorcio Comexを買収して、規模拡大を図っております。
3位にはオランダのアクゾノーベルがつけます。スペシャリティケミカル事業をカーライルに売却する一方で、スペインや中国の中堅塗料会社を買収しています。2017年にアクゾノーベルとPPGインダストリーズの経営統合の検討がされました。仮に経営統合をすると塗料業界ダントツの会社が誕生します。4位にはWuthelam(ウットラム)が大株主である日本ペイントとなっています。2019年に豪州のデュラックスグループを買収し海外事業の拡大を図っています。5位はRPM、6位は自動車関連の塗料に特化しているアクサルタとなっています。9位は船舶塗料に強いジョータン、10位はインドのアジアン・ペインツです。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、塗料・コーティング業界の2020年の世界市場規模を1500億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。市場調査会社のマーケットアンドマーケッツによると、2020年の同業界の市場規模は1472億ドル、2025年までに約4%の年平均成長と遂げると推計されています。一方、市場調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによれば、2019年の同市場規模は1546億ドルと推計されています。⇒参照したデータの詳細情報

塗料の用途

塗料の用途は幅広く建築物(Decorative)から自動車(Auto)・船舶(Ship)まで幅広く利用されています。塗料は、顔料、溶剤や添加剤といった要素から作られ、油性塗料、水性塗料や粉末塗料等用途ごとに特化した塗料が開発されています。

塗料業界の主要な再編

塗料は建築向けを中心に品質での差別化が難しくなってきており、各社ともの原材料の調達におけるコスト競争力を強化するために規模の拡大を図っています。

1994年 オランダのアクゾとスウェーデンのノーベルインダストリーが経営統合し、アクゾノーベルが誕生

2007年 アクゾノーベルによるICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)を買収

2008年 PPGによるオランダの建築用コーティング大手シグマカロン・グループの買収

2010年 関西ペイントによるFreeworld Coatingsの買収

2013年 カーライルによるDuPont Performance Coatings(現アクサルタ コーティング システム)の買収

2013年 PPGによるアクゾノーベルの北米建築用塗料事業の買収

2014年 PPGによるメキシコの 建築用塗料大手コンソルシオ・コメックスの買収

2014年 シンガポールのウットラムグループによる日本ペイントへの出資

2016年 シャーウィン・ウィリアムズによるバルスパーの買収

2016年 アクサルタ コーティング システムによるハイパフォーマンス・コーティングの買収

2016年 アクゾノーベルによるコイルや壁紙向け工業用塗料事業のBASFからの買収

2017年 アクサルタをめぐりアクゾノーベルと日本ペイントが争奪戦

2019年 日本ペイントによる豪州のデュラックスグループの買収

2020年 ウットラムが日本ペイントを買収

参考図書

主要塗料会社の動向

Akzo Nobel(アクゾノーベル)

アクゾノーベル(Akzo Noble)は、オランダに本拠を置く世界最大級の化学・塗料会社です。1994年にオランダのアクゾとスウェーデンのノーベルが合併して誕生しました。ノーベルはノーベル賞の生みの親のアルフレッド・ノーベルが買収して誕生した由緒のある会社です。

塗料・コーティング事業と機能性化学事業が二本柱です。塗料・コーティング事業では、建築物、自動車、船舶、飛行機向けの事業を展開していて、塗料・コーティング業界における世界シェアでは世界上位に位置しています。2007年に英国の老舗名門化学メーカーのICIを買収し、塗料事業を強化しました。建築用塗料のDuluxやウッドデッキ用コーティング塗料のCuprinol等のブランドで展開しています。
機能性化学事業では、キレート、ペルオキシド、硫黄、エチレン化合物等を手掛けています。過去事業の売却を行っており、米国の工業塩事業は塩事業はカーギルに売却しました。欧州での工業塩事業に集中しています。保水事業はフィンランドの水処理大手のケミラ(Kemira)へ、ソーダ灰事業はYunus Brothers Groupへ売却しています。

1994年 AkzoとNobelが経営統合し、アクゾノーベルが誕生
1997年 カーギルによるダイヤモンド・クリスタル・ソルト部門の買収
2016年 BASFから工業用塗料部門の事業を買収
2017年 米国のPPGより敵対的な買収提案を受ける
2017年 米国のアクサルタ・コーティング・システムズとの経営統合の交渉を発表

PPG Industries

米国に本拠を置くガラス・塗料メーカーです。ガラス会社が発祥です。シャーウィン・ウィリアムズと米国首位の座を競っています。

SHERWIN-WILLIAMS(シャーウィン・ウイリアムズ)

北米に本拠を置く大手塗料会社です。自前で塗料小売店を展開しています。2016年に米同業のバルスパーを買収しました。

Axalta Coating Systems(アクサルタ・コーティング・システムズ)

旧デュポン パフォーマンス コーティングス。2013年にカーライルグループが買収し、Axaltaへと社名を変更しました。自動車向けの塗料に強く、Cromax(クロマックス)、Standox(スタンドックス)、Duxone等の有力ブランドで世界展開を強化しています。2014年にニューヨーク証券取引所に上場しました。2017年にアクゾノーベルとの経営統合の交渉を発表しましたが、その後日本ペイントとの交渉を発表し、結局決裂しています。

BASF(バスフ)

1865年に設立された世界最大級の独化学メーカーです。バイエル、ヘキスト(現サノフィ・アヴェンティス)と並ぶドイツ三大化学メーカーの一角となっています。BASFとはバーデン・アニリン・ウント・ソーダ(Badische Anilin- und Soda-Fabrik)の略です。BASFの読み方はバスフでなく、ビーエーエスエフです。アンモニアの量産を可能にしたハーバー・ボッシュ法を発明したことでも有名です。化学業界の売上高ランキングでは、世界1位の座が定番の総合化学の雄と言えます。現在は、石油化学品、高性能製品、機能性材料、農薬関連、石油・ガスの輸送で事業を展開しています。

VALSPAR(バルスパー)

米に本拠を置く塗料大手でしたが、2016年にシャーウィン・ウィリアムズによって買収されました。

Asian Paints Limited(アジアン・ペインツ・リミテッド)

インドの塗料最大手です。

RPM(アール・ピー・エム)

北米に拠点を置く塗料大手です。

SACAL(サカル)

1910年創業のイギリスの塗料会社です。

日本ペイント

日本の大手塗料会社。自動車向けに強みを持ちます。売上高の約6割はアジアとなっています。シンガポールに本拠を置く塗料大手のWuthelam(ウットラム)と資本提携しました。2019年に豪州のデュラックスグループを買収しています。2020年にウットラムが日本ペイントの買収を発表しました。買収のストラクチャーはやや複雑で、日本ペイントが、ウットラムグループからアジアの合弁会社とウットラムのインドネシア子会社を買収する一方で、買収資金調達のためにウットラムに対して増資を行うことで、ウットラムが日本ペイントの株式の約6割を保有する形となります。

関西ペイント

日本の大手塗料会社です。2017年にオーストリアの鉄道車両向け塗料大手のヘリオスグループを買収する等、海外展開を積極的に推進しています。

JOTUN(ジョータン)

ノルウェーに本拠を置く塗料メーカーです。

中国の大手塗料会社にはCarpoly(嘉宝莉)や上海塗料があります。