アクゾノーベルの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

アクゾノーベル(Akzo Noble)は、オランダに本拠を置く世界最大級の化学・塗料会社です。1994年にオランダのアクゾとスウェーデンのノーベルが合併して誕生しました。ノーベルはノーベル賞生みの親のアルフレッド・ノーベルが買収して誕生した由緒のある会社です。

業績推移(年次)

2021年度
売上高は前年度比12.39%増の9,587百万ユーロになりました。営業利益は16.10%増の1,118百万ユーロになりました。営業利益率は11.66%になりました。販売価格の引き上げとともに販売数量も増加し、原材料費の上昇を吸収、前年度比増収増益になりました

2020年度
前年度比減収増益となりました。営業利益率は上昇しており、塗料事業への特化戦略の効果が出ています。

アクゾノーベルの業績推移

アクゾノーベルの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比18.76%増の2,862百万ユーロになりました。営業利益は-25.66%の168百万ユーロになりました。営業利益率は5.87%になりました。

2022年4ー6月
売上高は前年同期比13.62%増の2,853百万ユーロになりました。営業利益は-46.61%の205百万ユーロになりました。営業利益率は7.19%になりました。数量は9%減少しました。これは主に、欧州における DIY 向けの在庫調整と、中国におけるパフォーマンス コーティングと装飾用塗料の COVID-19 制限が継続したことによるものです。さらに、特に北米における供給の制約が数量にマイナスの影響を与えました。一方で、価格は16%上昇し、増収となりました。原材料費および運賃のインフレによって減益になりました。

2022年1ー3月
売上高は前年同期比11.58%増の2,525百万ユーロになりました。営業利益は-23.43%の232百万ユーロになりました。営業利益率は9.19%になりました。販売数量が減少した上、原材料費が増加し、減益になりました。

アクゾノーベルの四半期業績推移

アクゾノーベルの四半期業績推移

EPS成長(四半期)

希薄化後EPSは前年同期比-52.94%の0.64ドルになりました。

アクゾノーベルの希薄化後EPS(四半期)の推移

アクゾノーベルの希薄化後EPS(四半期)の推移

事業構成

塗料・コーティング事業と機能性化学事業が二本柱です。塗料・コーティング事業では、建築物、自動車、船舶、飛行機向けの事業を展開していています。
2007年に英国の老舗名門化学メーカーのICIを買収し、塗料事業を強化しました。建築用塗料のDuluxやウッドデッキ用コーティング塗料のCuprinol等のブランドで展開しています。
機能性化学事業では、キレート、ペルオキシド、硫黄、エチレン化合物等を手掛けています。過去事業の売却を行っており、米国の工業塩事業はカーギルに売却しました。欧州での工業塩事業に集中しています。保水事業はフィンランドの水処理大手のケミラ(Kemira)へ、ソーダ灰事業はYunus Brothers Groupへ売却しています。

アクゾノーベルの売上構成(2021年度)

アクゾノーベルの売上構成(2021年度)

M&A(合併買収)の動向

塗料以外の事業を売却する一方で塗料事業の強化を目指した買収を行っています。欧州最大の塗料メーカーであることから、米国の塗料大手とのM&Aが定期的に取り沙汰されます。

1994年 AkzoとNobelが経営統合し、アクゾノーベルが誕生
1997年 カーギルによるダイヤモンド・クリスタル・ソルト部門の買収
2016年 BASFから工業用塗料部門の事業を買収
2017年 米国のPPGより敵対的な買収提案を受ける
2017年  米国のアクサルタ・コーティング・システムズとの経営統合の交渉を発表
2017年 アクサルタ・コーティング・システムズとの経営統合を断念
2021年 自動車アフターマーケット部品向け塗料を手掛けるU-POLを買収

株主構成

ハリスアソシエイツやドッチ・アンド・コックスは資産運用会社ですが、ケースバイケースで「物言う株主」として経営陣に対して対案を提示します。直近ですと、ハリスアソシエイツはダイムラーの役員選任に、ドッチ・アンド・コックスは東京鋼鐵および大阪製鐵の経営陣と株式交換比率の見直しを求めています。

アクゾノーベルの株主構成(直前期末時点)

アクゾノーベルの株主構成(直前期末時点) 出所:マーケットスクリーナー

市場シェア

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