農機・農業機器メーカーの世界市場シェアの分析

農機業界の世界シェア・売上高ランキング・市場規模・業界再編について分析しています。ディア、CNH、アグロ、クボタ、クラース、マヒンドラといった主要農機メーカーの概要や動向も掲載しています。

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【農機とは】

農業機器の種類には色々ありますが、トラクター、田植え機、管理機、防除機とコンバインの5種類が主要農機です。トラクターは作業機をつければ用途が広がり、万能農機とも言われています。

稲等の植え付けに役に立つのは田植え機です。ミニ耕運機とも言われ、土を耕したり、溝を作ったりする時に使用するのが管理機です。除草作業、草刈等に活用されるのが防除機です。稲等の刈り取り・脱穀を行うのがコンバインです。

日本や韓国、タイなどのアジア諸国では米が主要農作物で田植え機の需要が高いですが、アメリカやカナダなど欧米諸国では小麦やトウモロコシが主要農作物なので、トラクターが主要な農業機械となっています。

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【農機・農業機器メーカーの世界市場シェア】

2024年度の農機メーカー各社の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、同業界の世界市場規模を分母にして、農機業界の2024年の市場シェアを簡易に算定すると、1位はディア、2位はクボタ、3位はCNHインダストリアル、4位はアグコとなっています。2020年にはコロナ禍で各社とも売上が伸び悩みましたが、その後売上を順調に伸ばしトップ4は不動となっています。

順位 Company name(English) 会社名 市場シェア
1位 Deere and Company ディア・アンド・カンパニー 17.68%
2位 Kubota Corporation 株式会社クボタ 10.22%
3位 CNH Industrial N.V. CNHインダストリアルN.V. 7.79%
4位 AGCO Corporation アグコ コーポレーション 6.48%
5位 YANMAR HOLDINGS CO., LTD.* ヤンマーホールディングス株式会社* 4.19%
6位 CLAAS Group クラース・グループ 3.03%
7位 Mahindra & Mahindra Limited マヒンドラ&マヒンドラ(M&M) 2.37%
8位 SDF SDF 0.99%
9位 FIRST TRACTOR COMPANY LIMITED ファーストトラクター
(第一拖拉机股份有限公司)
0.92%
10位 ISEKI & CO., LTD. 井関農機株式会社 0.65%
農業機械メーカーの売上高世界市場シェア(2024年)©2025 Deallab
*2024年数値が未公開のため、2023年数値

農業業界の市場シェア(2024年) ©2025 Deallab
*2024年数値が未公開のため、2023年数値

2024年の世界農業機械業界ランキングでは、依然として米国のディア・アンド・カンパニー(John Deere)が圧倒的な存在感を示し、シェア17.68%で首位を維持しています。
2位には日本のクボタ(10.22%)が入り、特にアジアや水稲市場での優位性を活かしたグローバル展開が評価されています。3位のCNHインダストリアル(7.79%)はトラクターやコンバインに加え、建機や商用車も手がける多角的プレーヤーです。

続く4位AGCO(6.48%)は、FendtやMassey Fergusonなどのブランドで欧米を中心に展開。5位はヤンマー(4.19%)で、ディーゼル技術を強みに農機や建機をグローバルに展開中です。6位のクラース(3.03%)は、欧州での強いブランド力と大型農機の技術力が特徴です。

7位のマヒンドラ(2.37%)や9位の中国ファーストトラクター(0.92%)、10位の井関農機(0.65%)など、新興国や中堅企業の台頭も見られます。

【農機・農業機器メーカーの世界市場規模】

当データベースでは、2024年の農機・農業機器業界の市場規模を1,799億ドルとしております。
参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社straits researchによると、2025年の同業界の市場規模は1,891億ドルです。2033年にかけて年平均5.1%で成長し、規模は2,815億ドルへと拡大することを見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 年平均成長率
2024年 1,799億ドル
2025年 1,891億ドル 5.1%
2033年 2,815億ドル 5.1%
農機業界の市場規模と年平均成長率見込み @2025 Deallab

農機・農業機器業界の市場規模の成長予想 ©2025 Deallab

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【M&Aの動向】

主にトップ4社が積極的に海外事業や周辺領域の拡大のための買収を行っています。

2007年 Deere(ディア)が害虫駆除製品を販売するLesco(レスコ)を買収
2007年 Deere(ディア)が中国のトラクター製造会社であるNingbo Benye Tractor & Automobile Manufactureを買収
2008年 Deere(ディア)が灌漑システム大手のPlastro Irrigation Systemsを買収
2010年 アグコが英Sparexを買収
2011年 アグコが穀物貯蔵庫大手のGSI Groupを買収
2012年 アグコがブラジル農機メーカーのSantal Equipamentosを買収
2012年 クボタがノルウェーのKverneland(クバンランド)を171億円で買収
2013年 CNHインダストリアルがCNHグローバルとFiat Industrial(フィアットインダストリアル)を吸収合併し、誕生した
2014年 CNHインダストリアルがMiller-St. Nazianzを買収
2016年 クボタが米国の農用作業機器Great Plains Manufacturingを4.3億ドルで買収
2021年 クボタがインドのトラクター大手Escortsを1400億円で買収

【会社の概要】

Deere and Company(ディア・アンド・カンパニー)

Deere and Company(ディア・アンド・カンパニー)は、1837年に創業された米国を代表する世界最大級の農機具メーカーです。グリーンのボディにイエローのホイールのトラクターとジョンディア (John Deere) の愛称で親しまれている老舗です。

現在では超高級車で知られているランボルギーニ社も、祖業はトラクターであり、現在でも販売しています。トラクターの他に、コンバイン、プランター、ベーダ―、フォークリフト、スキッダー、バックホーローダー、ブルドーザー、トランスミッション等も手掛けています。1000ヘクタール以上の農場向けの500馬力トラクターでは他社の追随を許しません。さらに詳しく

CNH Industrial N.V.(CNHインダストリアルN.V.)

CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。フィアット創業家であるアニェッリ家が大株主となっています。

建機、農機、商用車(トラック)事業を全世界180ヶ国で展開しています。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。2022年1月に商用車・トラック事業を担うIveco(イベコ)が分社化上場しました。さらに詳しく

Kubota Corporation(株式会社クボタ)

クボタは日本の最大手農機メーカーです。源流は、1890年に久保田権四郎氏によって設立された鋳物メーカーである大出鋳造所まで辿ることができます。コレラ対策のために、水道管の国産化を実現し飛躍しました。ノルウェーの農機メーカーのKverneland(クバンランド)、北米の種まき・草刈り機大手のグレートプレーンズマニュファクチュアリング社、インドのエスコーツ社を買収し、世界展開を強化しています。日本出自の農機メーカーということで、稲作用の農機に強みを持っています。農機以外にも、エンジン、建設機械、祖業の各種パイプ(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、スパイラル鋼管などを製造販売しています。さらに詳しく

AGCO Corporation(アグコ コーポレーション)

米国に本拠を置く大手農機メーカーです。畑作向けの農機に強みを持っています。

 YANMAR HOLDINGS CO., LTD.(ヤンマーホールディングス株式会社)

大阪に本社を置く、日本の農業機械メーカーです。農業機械や建設機械の他に発電機やエンジンの製造も手掛けています。非上場会社です。

CLAAS Group(クラース・グループ)

ドイツに本拠を置く大手農機メーカーです。欧州地域での展開に強みを持ちます。非上場です。

Mahindra & Mahindra Limited(マヒンドラ&マヒンドラ、M&M)

マヒンドラグループ(Mahindra)は、1945年に Kailash Chandra Mahindra(K.C.マヒンドラ)、J.C. Mahindra(J.C.マヒンドラ)とMalik Ghulam Mohammed(マリック・グラム・モハメッド)によって設立されたインドを代表する財閥です。当初はマヒンドラ&モハメッドとして創業しましたが、のちにマヒンドラ&マヒンドラへと社名変更しました。

事業の領域は多岐に亘り、航空宇宙産業、農業、自動車、防衛、エネルギー、農機、金融、物流、不動産、自動車、オートバイ等を行っています。グループ全体の売上高は約2兆円、世界で20万人以上の従業員を有しています。中核企業は、自動車と農機で、約7000-8000億円の売上規模となります。現在は、ハーバード・ビジネス・スクールを修了したJ.C.マヒンドラの孫にあたるアナンド・マヒンドラがCEOを務めています。さらに詳しく

SDF

1927年に設立されたイタリアに本拠を置く農機メーカーです。DEUTZ-FAHR(ドイツファール)、Lamborghini Trattori(ランボルギーニ・トラットリーチ)、Hurlimann(ヒューリマン)、SAME等のブランドで農機を展開しています。SDFはSAME DEUTZ-FAHRの略です。

FIRST TRACTOR COMPANY LIMITED(ファーストトラクター、第一拖拉机股份有限公司)

YTO Group Corporation(中国一拖集团有限公司)傘下の中国最大手農機メーカーです。

ISEKI & CO., LTD.(井関農機株式会社)

トラクターや田植え機、コンバインなどの農機を製造しています。クボタ、ヤンマーに続く国内3番手です。

Tractors and Farm Equipment Limited(トラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント、TAFE)

TAFEはインドに本拠を置く大手農機メーカーです。非上場会社です。

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