LVMHは、1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生した世界最大級の仏高級ブランド会社です。高級ブランド業界では圧倒的な存在感を示しており、バッグ、アパレル、ジュエリー、化粧品、ワイン、免税店等多面的に展開しています。
ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)氏が支配するChristian Dior(クリスチャン・ディオール)を通じて議決権のほぼ過半数を所有しています。主要なブランドには、仏ファッションブランドのLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、Christian Dior (クリスチャン・ディオール)、BVLGARI(ブルガリ)、シャンパンのDom Pérignon (ドン・ペリニヨン)、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)や免税店のDFSが含まれます。
2019年度
売上高は53,670百万ユーロで、前年度比15%増となりました。営業利益は11,504百万ユーロになりました。営業利益率は21%になりました。為替の変動は対ユーロで上昇し(特に米ドルが5%上昇)、売上の伸びを押し上げました。
2020年度
売上高は44,651百万ユーロで、前年度比17%減となりました。営業利益は8,305百万ユーロになりました。営業利益率は19%になりました。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のパンデミックにより、経営は著しく混乱し財務諸表に大きな影響を与えました。ほとんどの国で数カ月にわたり店舗や生産施設が閉鎖され、海外旅行が停止されたことが売上の減少、ひいてはすべての事業グループ全体の収益性の悪化の原因となりました。
2021年度
売上高は64,215百万ユーロで、前年度比44%増となりました。営業利益は17,151百万ユーロになりました。営業利益率は27%になりました。売上の自立成長率は36%となりました。売上成長率が高い地域は、アジアが31%、米国が25%でした。ヨーロッパでの売上は8%減少しました。時計&宝石セグメントの売上成長が最も大きく2.7倍となりましたが、これは企業買収の影響が大きく、自律成長率は40%でした。
2022年度
売上高は79,184百万ユーロで、前年度比23%増となりました。営業利益は21,055百万ユーロになりました。営業利益率は27%になりました。売上の自立成長率は17%で、為替変動の影響はプラス6%でした。地域別の売上構成は、アジア(日本を除く):30%、ヨーロッパ:24%、米国:27%、日本:7%でした。アジアでの売上が5ポイント減少しました。売上成長率が高い地域は、日本が31%、ヨーロッパが35%でした。全てのセグメントで20%前後の売上成長となりました。
2023年度
売上高は86,153百万ユーロで、前年度比9%増となりました。営業利益は22,802百万ユーロになりました。営業利益率は26%になりました。売上の自立成長率は13%でしたが、為替変動の影響がマイナス4%でした。地域別の売上構成は、アジア(日本を除く):31%、ヨーロッパ:25%、米国:25%、日本:7%でした。地域別の売上構成に大きな変動はありませんでした。売上成長率が高い地域は、日本が28%、アジアが18%でした。また、リテールセグメントの売上成長が最も大きく、20%でした。これは、海外旅行市場の回復の影響です。
2021年下半期(7ー12月)
売上高は35,550百万ユーロになりました。営業利益は9,553百万ユーロ、営業利益率は27%になりました。
2022年上半期(1ー6月)
売上高は36,729百万ユーロになりました。営業利益は10,127百万ユーロ、営業利益率は28%になりました。
2022年下半期(7ー12月)
売上高は42,455百万ユーロになりました。営業利益は10,928百万ユーロ、営業利益率は26%になりました。
2023年上半期(1ー6月)
売上高は42,240百万ユーロになりました。営業利益は11,564百万ユーロ、営業利益率は27%になりました。
2023年下半期(7ー12月)
売上高は43,913百万ユーロになりました。営業利益は11,238百万ユーロ、営業利益率は26%になりました。
希薄化後EPSは前年度比8%増の30.34ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比8%増の13ユーロになりました。配当性向は43%になりました。
セグメントは、ワイン&スピリッツ、アパレル&革製品、香水&化粧品、時計&宝石、リテールに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
主要なブランドには、仏ファッションブランドのLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、スペインのレザーブランドのLOEWE (ロエベ)、仏ファッションブランドのCELINE (セリーヌ)、高田賢三が生み出したファッションブランドのKENZO (ケンゾー)、伊ラグジュアリブランドのEMILIO PUCCI (エミリオ・プッチ)、仏高級靴メーカーのBerluti (ベルルッティ)、仏ファッションブランドのChristian Dior (クリスチャン・ディオール)、伊ファッションブランドのFENDI (フェンディ)、仏ファッションブランドのGIVENCHY (ジバンシー)、米ファッションブランドのDonna Karan (ダナ・キャラン)、時計ブランドのTAG HEUER (タグ・ホイヤー)、FRED (フレッド)、ZENITH (ゼニス)、仏ジュエリーブランドのChaumet (ショーメ)、伊ブランドのBVLGARI(ブルガリ)が含まれます。
ワインや蒸留酒といった酒類系ではDom Pérignon (ドン・ペリニヨン)、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)、Krug (クリュッグ)、Hennessy (ヘネシー)、Veuve Clicquot Ponsardin (ヴーヴ・クリコ)が有名です。
主要香水ブランドには、Dior / Parfums Christian Dior (ディオール/パルファン・クリスチャン・ディオール)、GUERLAIN (ゲラン)、BeneFit (ベネフィット)、LAFLACHERE (ラフラシェール)、ACQUA DI PARMA (アックア・ディ・パルマ)、MAKE UP FOR EVER (メイクアップフォーエバー)、Parfums GIVENCHY (パルファム・ジバンシィ)、KENZO Parfums (ケンゾー・パルファム)、Perfumes Loewe (ロエベ/パフュームス・ローウェ)等があります。
リテール分野では、DFSギャラリアにて世界展開しています。DFSは1960年に設立された香港に本拠を置く免税店世界大手で、現在はLVMHグループ傘下にあります。
特に革製品、シャンパンの分野では世界大手です。
グループ内の企業におけるシナジー獲得を目指して、高級ブランド会社を積極的に買収しています。
1971年 Moët & ChandonとHennessyが経営統合しモエ・ヘネシー誕生
1987年 ルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーの両社が経営統合しLVMHが誕生
1993年 ベルルッティの買収
1993年 ケンゾーの買収
1994年 ゲランの買収
1996年 セリーヌ買収
1996年 ロエベの買収
1999年 タグホイヤーの買収
1999年 ショーメの買収
2000年 エミリオ・プッチの株式を67%取得(2021年に完全買収)
2001年 ダナキャランの買収
2001年 フェンディの買収
2011年 イタリアの宝飾大手のブルガリ買収
2017年 クリスチャン・ディオールの完全子会社化
2020年 ティファニー買収
2021年 トッズの株式を買増し
2021年 エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)の株式を買増し
2023年 高級アイウェアの作成と製造を専門とするBarton Perreiraを買収へ
2023年 フランスのサングラスブランドVuarnetを買収
ベルナール・アルノー氏の管理会社であるクリスチャンディオール分をあわせるとほぼ過半数の持分を有しております。