免税店・トラベルリテーラー業界の世界市場シェアの分析

免税店・トラベルリテーラー業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。デュフリー、DFS、LSトラベル・リテール、ロッテ、中免集団といった免税店の概要や動向も掲載しています。

【市場シェア】

免税店各社の2020年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2020年の免税店業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はDFS、2位はデュフリー、3位は 中免集団 となります。

免税店業界の世界市場シェアと業界ランキング(2020年)

順位会社名市場シェア(2020年)
1位DFS27.48%
2位デュフリー21.95%
3位中免集団17.89%
4位ロッテ免税店13.06%
5位LSトラベル・リテール4.71%
6位新羅免税店4.63%
7位ハイネマン4.35%
8位キングパワー2.45%
9位ドバイデューティーフリー1.59%
免税店業界の世界市場シェアと業界ランキング(2020年)
免税店業界の世界シェア(2020年)
免税店業界の世界シェア(2020年)

免税店で世界最大の会社は、フランスの高級ブランド運営会社であるLVMHが展開するDFSグループとなっています。2位はスイスに本拠を置くデュフリーです。2015年にベネトンの創業ファミリーが保有していた同業大手であるワールド・デューティー・フリーを買収し、規模を拡大しています。3位には 中免集団 (チャイナ・デューティー・フリー・グループ)となっています。中国の購買力の向上によって急速に売上を伸ばしています。世界4位には、ロッテグループが運営するロッテ免税店となっています。空港外での免税店の売上高に占める割合が高いことも特徴です。じわじわと売上高を伸ばしています。5位はフランスのラガルデール社が展開するトラベル・リテールです。6位は、サムスングループ系の免税店である新羅免税店、7位はドイツのハイネマン、8位にはタイのキングパワー、消費者向けグローバルブランドを多数有する欧州勢と、購買力の成長著しいアジア勢が上位に入っていることが特徴です。

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、免税店業界の2020年の世界市場規模を441億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。

調査会社スタティスタによると、2020年の同業界の市場規模は441億ドルです。
調査会社ベリファイドマーケットリサーチによると、2019年度の同業界の市場規模は854億ドルです。2027年までに年平均6.8%の成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

免税店の推定市場規模前年比成長率
2020年441億ドル-49%
2019年854億ドルn/a
免税店業界の推定市場規模推移 ©ディールラボ

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

Q&A 免税店のはじめ方
スーパーマーケット・ハイパーマーケットの世界市場シェアの分析
リテール・小売・EC業界でM&Aや再編対象となる会社の分析

【会社の概要】

DFS(LVMH)

LVMHは、1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生した世界最大級の仏高級ブランド会社です。高級ブランド業界では圧倒的な存在感を示しており、バッグ、アパレル、ジュエリー、化粧品、ワイン、免税店等多面的に展開しています。Bernard Arnault氏が支配するChristian Dior(クリスチャン・ディオール)を通じて議決権のほぼ過半数を所有しています。主要なブランドには、仏ファッションブランドのLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、Christian Dior (クリスチャン・ディオール)、BVLGARI(ブルガリ)、シャンパンのDom Pérignon (ドン・ペリニヨン)、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)や免税店のDFSが含まれます。さらに詳しく

Dufry(デュフリー)

スイスに本拠を置く免税店大手です。2004年に投資ファンドが創業家より買収し、現在はスイス証券取引所に上場しています。2014年にスイスの同業のニュアンス・グループ、2015年にWorld Duty Freeの買収を行いました。2017年に中国のHNA(海航集団)が筆頭株主となりました。その後HNAは経営再建のため持分を売却し、カタール投資庁やアリババグループが大株主となっています。

World Duty Free(ワールドデューティーフリー)について

イタリアのベネトン家の資産会社であるEDIZIONE(エディツィオーネ)傘下の世界的免税店グループでしたが、2015年デュフリー傘下に入りました。

HNA(海航集団)について

海航集団(海南航空、HNA Group)は2000年に中国の海南省に設立された非公開のコングロマリットです。コングロマリットの中核の企業は前身が海南省航空公司である1993年に陳峰(Chen Feng、チェン・フェン)氏によって設立された海南航空(ハイナン・エアライン)となります。2000年に経営難となった長安航空を買収し、中国トップ5の規模の航空会社となりました。ホテル、不動産、航空機リース等の分野で積極的な投資を行いました。2017年末の時点で負債が12兆円となり、2018年には共同創業者である王健氏が死亡しています。2021年に破産プロセスに入りました。さらに詳しく

LS travel retail(LSトラベル・リテール)

フランスの出版・メディアコングロマリットであるラガルデール(Lagardère)傘下の免税店です。

Lotte Duty Free(ロッテ免税店)

日本・韓国のコングロマリット企業であるロッテが運営する免税店チェーンです。

Gebr Heinemann(ハイネマン)

ドイツに本拠を置く免税店大手です。ハイネマン家によって創業されました。

Shilla Duty Free(新羅免税店)

韓国のサムスングループ系列の新羅ホテルグループが運営する免税店です。

Dubai Duty Free(ドバイデューティーフリー)

ドバイに本拠を置く政府系ファンドのInvestment Corporation of Dubai(ドバイ投資公社)傘下の免税店です。ドバイ国際空港等で店舗展開をしています。

キングパワー(King Power)

タイに本拠を置く免税店大手です。創業家であるシーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)家が運営を行っています。1989年に創業以降、バンコク・スワンナプーム国際空港(スワンナプーム、Suvarnabhumi International Airport)、ドンムアン空港(Don Mueang International Airport)を核として世界に展開しています。2018年に創業者のウィチャイ・シーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)氏が事故死した。英国プレミアリーグのレスター・シティ(Leicester City)のオーナーでもあります。

中免集団(China Duty Free Group、CDFG)

1984年に設立された中国政府系の免税店です。急成長を遂げていて、中国国内の免税市場では8割から9割程度の市場シェアを占めているガリバー企業です。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した市場規模の情報
Verified Market Research
Statista

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