免税店・トラベルリテーラー業界の世界市場シェアの分析

免税店・トラベルリテーラー業界の世界市場シェアと市場規模の情報について分析をしています。デュフリー、DFS、LSトラベル・リテール、ロッテ、中免集団等の動向も掲載しています。

免税店業界の世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第7巻」に記載の免税店各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はDFS、2位はデュフリー、3位はロッテ免税店となります。

1位 DFS(LVMH) 19%
2位 デュフリー 11%
3位 ロッテ免税店 8%
4位 中免集団 7%
5位 新羅免税店 6%
6位 LSトラベル・リテール 6%
7位 ハイネマン 5%
8位 キングパワー 3%
9位 ドバイデューティーフリー 2%

免税店で世界最大の会社は、フランスの高級ブランド運営会社であるLVMHが展開するDFSグループとなっています。2位はスイスに本拠を置くデュフリーです。2015年にベネトンの創業ファミリーが保有していた同業大手であるワールド・デューティー・フリーを買収し、規模を拡大しています。世界3位には、ロッテグループが運営するロッテ免税店となっています。空港外での免税店の売上高に占める割合が高いことも特徴です。じわじわと売上高を伸ばしています。4 位にはチャイナ・デューティー・フリー・グループとなっています。中国の購買力の向上によって急速に売上を伸ばしています。5位は、サムスングループ系の免税店である新羅免税店、6位はフランスのラガルデール社が展開するトラベル・リテールです。7位はドイツのハイネマン、8位にはタイのキングパワー、消費者向けグローバルブランドを多数有する欧州勢と、購買力の成長著しいアジア勢が上位に入っていることが特徴です。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、免税店業界の2019年の世界市場規模を850億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。調査会社ベリファイドマーケットリサーチによると、2019年度の同業界の市場規模は854億ドルです。2027年までに年平均6.8%の成長を見込みます。アドロイトマーケットリサーチによれば、同業界は2025年に1127億ドルへと規模が拡大する見込みです。業界団体のデューディーフリーワールドカウンシルによると、2017年の同業界の規模は686億ドルでした。

世界の主要な免税店の動向

DFS(LVMH)

1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生した世界最大級の仏高級ブランド会社です。高級ブランド業界では圧倒的な存在感を示しており、バッグ、アパレル、ジュエリー、化粧品、ワイン等多面的な展開しています。Bernard Arnault氏が支配するChristian Dior(クリスチャン・ディオール)を通じて議決権のほぼ過半を所有しています。主要なブランドには、仏ファッションブランドのLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、スペインのレザーブランドのLOEWE (ロエベ)、仏ファッションブランドのCELINE (セリーヌ)、高田賢三が生み出したファッションブランドのKENZO (ケンゾー)、伊ラグジュアリブランドのEMILIO PUCCI (エミリオ・プッチ)、仏高級靴メーカーのBerluti (ベルルッティ)、仏ファッションブランドのChristian Dior (クリスチャン・ディオール)、伊ファッションブランドのFENDI (フェンディ)、仏ファッションブランドのGIVENCHY (ジバンシー)、米ファッションブランドのDonna Karan (ダナ・キャラン)、時計ブランドのTAG HEUER (タグ・ホイヤー)、FRED (フレッド)、ZENITH (ゼニス)、仏ジュエリーブランドのChaumet (ショーメ)、伊ブランドのBVLGARI(ブルガリ)が含まれます。

ワインや蒸留酒といった酒類系ではのDom Pérignon (ドン・ペリニヨン)、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)、Krug (クリュッグ)、Hennessy (ヘネシー)、Veuve Clicquot Ponsardin (ヴーヴ・クリコ)が有名です。

主要香水ブランドには、Dior / Parfums Christian Dior (ディオール/パルファン・クリスチャン・ディオール)、GUERLAIN (ゲラン)、BeneFit (ベネフィット)、LAFLACHERE (ラフラシェール)、ACQUA DI PARMA (アックア・ディ・パルマ)、MAKE UP FOR EVER (メイクアップフォーエバー)、Parfums GIVENCHY (パルファム・ジバンシィ)、KENZO Parfums (ケンゾー・パルファム)、Perfumes Loewe (ロエベ/パフュームス・ローウェ)等があります。

リテール分野では、DFSギャラリアにて世界展開しています。DFSは1960年に設立された香港に本拠を置く免税店世界大手で、現在はLVMHグループ傘下にあります。

特に革製品、シャンパンの分野では世界大手です。

2019年の売上高構成は以下の通りです。
ファッション:41%
リテール(DFS等):28%
香水・化粧品:13%
ワイン・蒸留酒:10%
時計・宝石:8%

主要株主はArnault家となり、議決権ベースでは過半を保有しております。

2009年 170(19.7%)
2010年 203(21.3%)
2011年 236(22.2%)
2012年 281(21.1%)
2013年 291(20.7%)
2014年 306(18.7%)
2015年 356(18.6%)
2016年 376(18.7%)
2017年 426(19.5%)
2018年 468(21.3%)
2019年 536(21.4%)

 

Dufry(デュフリー)
スイスに本拠を置く免税店大手です。2004年に投資ファンドが創業家より買収し、現在はスイス証券取引所に上場しています。2014年にスイスの同業のニュアンス・グループ、2015年にWorld Duty Freeの買収を行いました。2017年に中国のHNA(海航集団)が筆頭株主となりました。

World Duty Free(ワールドデューティーフリー)について
イタリアのベネトン家の資産会社であるEDIZIONE(エディツィオーネ)傘下の世界的免税店グループでしたが、2015年デュフリー傘下に入りました。

HNA(海航集団)について

海航集団(海南航空、HNA Group)は2000年に中国の海南省に設立された非公開のコングロマリットです。コングロマリットの中核の企業は前身が海南省航空公司である1993年に陳峰(Chen Feng、チェン・フェン)氏によって設立された海南航空(ハイナン・エアライン)となります。2000年に経営難となった長安航空を買収し、中国トップ5の規模の航空会社となりました。ホテル、不動産、航空機リース等の分野で積極的な投資を行う一方で、2017年末の時点で負債が12兆円となり、今後は負債圧縮を加速させています。2018年には、共同創業者である王健氏が死亡しました。
航空機リース分野では、2015年にアボロン(Avolon)、2016年に業界大手のCIT Aerospaceを子会社の渤海租賃(Bohai Leasing)が買収し、存在感を増しております。
機内食領域では、2016年に機内食大手のGate Group(ゲートグループ)を買収して、世界トップ3の一角を占めております。機内食事業は2019年にテマセク等へ売却しております。
ホテル分野では、世界最大手の一角であるヒルトングループの株式を25%を65億ドル取得してます(その後2018年4月に41億ドルで市場で売却しました)。2016年にCarlson Groupよりラディソンホテル、パークプラザホテルを買収しております。
空港グランドハンドリングでは、2015年にSwissportを買収し、世界上位となっております・
物流分野では、シンガポールのCWTインターナショナルを買収しています。
海上コンテナリースでは、Bohai Sea Leaseが世界大手です。

Hainan Traffic Administration Holding(海南交管控股有限公司)とHainan Province Cihang Foundation(海南省慈航公益基金会)が株主となっていると言われていますが、詳細は非開示となっています。陳峰氏や同グループの取締役の王健(Wang Jian)氏が海南交管控股有限公司を通じて間接的な株主と言われています。

事業再編・買収
2012年 海上コンテナリース大手のSeaCoを買収
2015年 グランドハンドリング大手のSwissportを買収
2015年 航空機リースのアボロン(Avolon)を買収
2016年 機内食大手のGate Groupを買収
2016年 ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの株式の25%を65億ドルで買収
2016年 航空機リースのCIT Aerospaceを買収
2016年 ラディソンホテル、パークプラザホテルを買収
2017年 ドイツ銀行に9.9%出資
2017年 シンガポールのロジスティクス大手のCWTに買収提案
2017年 スイスのグレンコアから物流事業を買収
2017年 スイスの免税店のデュフリーの筆頭株主となる
2018年 ヒルトン株式を売却
2019年 ゲートグループ売却

LS travel retail(LSトラベル・リテール)
フランスの出版・メディアコングロマリットであるラガルデール(Lagardère)傘下の免税店です。

Lotte Duty Free(ロッテ免税店)
日本・韓国のコングロマリット企業であるロッテが運営する免税店チェーンです。

Gebr Heinemann(ハイネマン)
ドイツに本拠を置く免税店大手です。ハイネマン家によって創業されました。

Shilla Duty Free(新羅免税店)
韓国のサムスングループ系列の新羅ホテルグループが運営する免税店です。

Dubai Duty Free(ドバイデューティーフリー)
ドバイに本拠を置く政府系ファンドのInvestment Corporation of Dubai(ドバイ投資公社)傘下の免税店です。ドバイ国際空港等で店舗展開をしています。

キングパワー(King Power)
タイに本拠を置く免税店大手です。創業家であるシーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)家が運営を行っています。1989年に創業以降、バンコク・スワンナプーム国際空港(スワンナプーム、Suvarnabhumi International Airport)、ドンムアン空港(Don Mueang International Airport)を核として世界に展開しています。2018年に創業者のウィチャイ・シーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)氏が事故死した。英国プレミアリーグのレスター・シティ(Leicester City)のオーナーでもあります。

中免集団(China Duty Free Group、CDFG)
1984年に設立された中国政府系の免税店です。急成長を遂げている中国の免税市場の中国の8割から9割程度の市場シェアを占めているガリバー企業です。

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