眼内レンズ業界の世界市場シェアの分析

眼内レンズ業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。眼内レンズ大手メーカーであるアルコン、クーパービジョン、カール・ツァイス、HOYA、スターサージカル、ジョンソン&ジョンソン、ボシュロムの概要や動向についても記載しています。

【眼内レンズ業界とは】

眼内レンズ(IOL、intraocular lens)は水晶体内に取り付ける人工水晶体です。白内障の手術で移植される場合が多いですが、最近は視力回復のために移植されることもあります。水晶内に移植するため、半永久的に使用することを前提としたレンズです。

眼内レンズの種類は、近くもしくは遠くの焦点を絞った単焦点眼内レンズと多様な距離をカバーできる多焦点眼内レンズがあります。

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【市場シェア】

眼内レンズ業界の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年の眼内レンズ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアルコン、2位はジョンソン&ジョンソン、3位はクーパービジョンとなります。

眼内レンズメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2023年)

順位 Company name
(English)
会社名 市場シェア
1位 Alcon, Inc. アルコン 25.76%
2位 Johnson and Johnson Vision Care, Inc. ジョンソン&ジョンソン 20.72%
3位 HOYA CORPORATION HOYA 15.67%
4位 The Cooper Companies Inc. クーパービジョン 12.53%
5位 Bausch & Lomb Incorporated ボシュロム 11.60%
6位 Carl Zeiss Meditec AG (ZEISS International) カールツァイス 7.65%
7位 STAAR Surgical Company スターサージカル 4.88%
8位 Rayner レイナ― 1.20%
眼内レンズの世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2024 Deallab

眼内レンズ業界の市場シェア(2023年) ©2024 Deallab

1位はノバルティス保有のアルコンになります。
2位は米国に本拠を置く世界最大級の日用品・医療機器メーカー、ジョンソン&ジョンソンです。
3位は日本を代表する光学メーカー、HOYAです。
4位は米国に本社を置くコンタクトレンズ・医療機器メーカー、クーパービジョンとなります。
5位に米国に本拠を置く大手コンタクトレンズメーカー、ボシュロムとなっています。眼内レンズ、眼科手術用機器、眼科用医薬品が事業の柱となっています。
6位にドイツに本拠を置く光学レンズメーカー、カールツァイスとなっております。

【市場規模】

当データベースでは、2023年の眼内レンズ業界の市場規模を対象企業の売上高の合計値66.1億ドルとして算出しています。

参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社フォーチュンビジネスインサイツによると、2023年の同業界の市場規模は45億ドルです。2030年にかけて年平均7%で成長し、規模は62億ドルへと拡大することを見込んでいます。

調査会社グランドビューリサーチによると、2023年の同業界の市場規模は44.7億ドルです。2030年にかけて年平均4.63%で成長し、規模は61.7億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模 年平均成長率
2023 45億ドル
2030 62億ドル 7%

眼内レンズ業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

2016年 ジョンソン・エンド・ジョンソン、アボット・メディカル・オプティクス社の買収契約を発表
2022年 アルコン、Aerie Pharmaceuticals, Inc.の買収を完了し、眼科用医薬品事業を強化2023年 HOYA株式会社がWASSENBURG Medical B.V.の残りの株式を取得
2023年 ボシュロム、XIIDRA®の買収を完了
2023年 カール ツァイス メディテック AG がオランダ眼科研究センター (D.O.R.C.) を買収する合意を発表
2024年 レイナー社は、スイスに本拠を置くSophi phaco 乳化装置の発明、開発、製造元である This AG を買収
2024年 クーパーカンパニーズがobp Surgicalを買収し、クーパーサージカルの主要医療機器ポートフォリオを拡大

【会社の概要】

Alcon(アルコン、旧CIBA Vision(チバビジョン))

アルコンは、1945年に米国の眼科薬局にルーツを遡ることができ、70年代後半にネスレに買収されたのち、2010年にスイスの大手医薬品会社であるノバルティスが買収をしました。2014年にノバルティスの前身であるチバガイギー(1996年にサンドと経営統合をして現ノバルティスが誕生)のアイケア部門であった、チバビジョンとアルコンが経営統合を行い、現アルコンが誕生しました。2018年にノバルティスがアルコンを分社化上場させ、現在は独立系です。このような経緯から、同社は眼科治療機器を取り扱うサージカル事業とビジョンケア事業の2事業を柱としています。主力ブランドはデイリーズです。コンタクトレンズと並ぶ事業には、白内障(cataract)、網膜(Retinal)、屈折強制(Refractive)等の眼科治療機器や屈折矯正手術の際に角膜と水晶体の間に埋め込む眼内レンズのICL(Implantable Collamer Lens)があります。

分社化ハイライト
2018年に、ノバルティスは、アルコンをスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に分社化上場をすると発表しました。

アルコン分社化

アルコン分社化
出所:ノバルティス

ノバルティスは、シンジェンタやチバスペシャリティケミカル(現BASF)も過去分社化しており、ポートフォリオの入れ替えによる成長戦略を得意としています。分社化後のアルコンの売上高は約70億ドルで従業員は2万人以上の規模となりました

サージカル事業

白内障、網膜、緑内障、屈折矯正手術用の眼科手術機器、先進技術眼内レンズ(ATIOL)、洗浄液、点眼薬等を取扱っています。眼科手術機器分野の競合には、ジョンソン&ジョンソン、カールツアイス、ボシュロム等があるものの、売上規模では世界1位です。眼科手術機器の市場規模は概ね80億ドルと言われており、市場シェアでは40-50%程度を占めます。

ビジョンケア事業

視力の矯正用のコンタクトレンズ(1日使い捨てタイプ、2週間/1カ月交換タイプおよびカラーコンタクトレンズ)、消毒剤等の製品を取り扱っています。

Cooper(クーパー)

米国に本社を置くコンタクトレンズ・医療機器メーカーです。Cooper Vision(クーパービジョン)がコンタクトレンズ事業を担っており、ワンデーアクエアシリーズを展開しています。眼科治療事業にも強みを持ちます。2014年に欧州のソフトコンタクトレンズの製造販売を行うSauflon Pharmaseuticalsを買収しました。2017年には後発薬大手のテバから避妊具大手のパラガード(Paragard)を買収しています。

カール・ツァイス

ドイツの本拠を置く光学レンズメーカーの老舗です。眼鏡レンズ以外にもカメラレンズや顕微鏡等レンズ分野における技術力の高さには定評があります。半導体製造装置、眼科診断機器等の医療機器、計測機器や顕微鏡なども手掛けています。カール・ツァイス財団(Carl Zeiss Foundation)が株主となっている非公開会社です。

HOYA

HOYAは、1941年に山中氏によって設立された東洋光学硝子製造所を源流とする日本を代表する光学メーカーです。江戸切子職人の技術を承継したクリスタルガラス製造技術から展開していった非球面光学ガラスレンズ、眼鏡レンズ、HDD用ガラスディスクやLCDフォトマスクといった分野に強みを持ちます。さらに詳しく

STAAR Surgical(スターサージカル)

1982年に米国に設立された眼内レンズ製造専門の会社です。

Johnson&Johnson(ジョンソン&ジョンソン)

Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)は1887年にジョンソン三兄弟によって創設された米国に本拠を置く世界最大級の日用品・医療機器メーカーです。医療・衛生用品のバンドエイドや綿棒、スキンケア用のベビーローション、オーラルケアのリステリン、一般医薬品、外科関連の手術器具では圧倒的な強みを有しています。続きを読む

Bausch Health(ボシュヘルス)

ボシュヘルスは1959年に設立されたカナダに本拠を置く皮膚疾患、胃腸疾患、眼科、神経疾患向けの製薬メーカーです。後発薬に強みを持ちます。

Bausch & Lomb(ボシュロム)について

米国に本拠を置く大手コンタクトレンズメーカーです。2013年にValeant Pharmaceuticals(ヴァリアント・ファーマシューティカルズ)が買収し、その後ヴァリアントはボシュヘルスへと社名を変更しました。世界初のコンタクトレンズを製品化したと言われています。主力ブランドにはメダリスト等があります。コンタクトレンズ以外にも、眼内レンズ、眼科手術用機器、眼科用医薬品が事業の柱となっています。

参照したデータの詳細情報について


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