コンタクトレンズメーカーの世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ビッグ4と言われるJ&J、アルコン、ボシュヘルス、クーパービジョンを中心に世界の主要なコンタクトレンズメーカーの概要や動向も掲載しています。
【市場シェア】
コンタクトレンズメーカー各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年のコンタクトレンズ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はジョンソン&ジョンソン、2位はアルコン、3位はクーパービジョンとなります。⇒参照したデータの詳細情報
コンタクトレンズメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | ジョンソン&ジョンソン | 23.6% |
2位 | アルコン | 21.9% |
3位 | クーパービジョン | 14.7% |
4位 | ボシュヘルス | 9.5% |
参考 | メニコン | 6.0% |
コンタクトレンズの世界最大手は、米国のジョンソン&ジョンソンが首位固めです。
2位のスイスのアルコンは、2018年にノバルティス傘下から、分社化上場をしました。
3位はワンデーアクエア等を展開する米国のクーパービジョンです。
4位はメダリストで有名なボシュロムとなっています。
日本の最大手であるメニコンも追いかけます。サブスクリプション型のメルプラスで売上を伸ばしています。上位4社で、市場シェアの約7割超を占めている、寡占的な市場です。
【市場規模】
当データベースでは、2021年のコンタクトレンズ業界の市場規模を146億ドルとしております。参照した各種統計データは次の通りです。
調査会社のグランビューリサーチによれば、2021年のコンタクトレンズ業界の市場規模は146億ドルです。2030年にかけて平均4.3%での成長を見込みます。
調査会社のモルドールインテリジェンスによると、2020年の同業界の市場規模は、約98億ドルです。2026年にかけて年平均5%で成長し、同年には約117億ドルになる見込みです。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 推定市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2021年 | 146億ドル | 4.3% |
2020年 | 98億ドル | 5% |
2019年 | 128億ドル | 5% |
©ディールラボ
コンタクトレンズの素材
コンタクトレンズの素材には、ソフトコンタクトは、酸素の透過性が高位シリコンハイドロゲル(SiHy)やヒドロキシエチルメタクリレートがあり、ハードコンタクトレンズにはシリコンメタクリレート(SiMA)などがあります。
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
コンタクトレンズと眼鏡の科学
コンタクトレンズデータブック
メガネ(眼鏡)レンズ業界の世界市場シェアの分析
眼内レンズ業界の世界市場シェアの分析
【会社の概要】
Johnson&Johnson(ジョンソン&ジョンソン)
Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)は1887年にジョンソン三兄弟によって創設された米国に本拠を置く世界最大級の日用品・医療機器メーカーです。医療・衛生用品のバンドエイドや綿棒、スキンケア用のベビーローション、オーラルケアのリステリン、一般医薬品、外科関連の手術器具では圧倒的な強みを有しています。続きを読む
Alcon(アルコン、旧CIBA Vision(チバビジョン))
アルコンは、1945年に米国の眼科薬局にルーツを遡ることができ、70年代後半にネスレに買収されたのち、2010年にスイスの大手医薬品会社であるノバルティスが買収をしました。2014年にノバルティスの前身であるチバガイギー(1996年にサンドと経営統合をして現ノバルティスが誕生)のアイケア部門であった、チバビジョンとアルコンが経営統合を行い、現アルコンが誕生しました。2018年にノバルティスがアルコンを分社化上場させ、現在は独立系です。このような経緯から、同社は眼科治療機器を取り扱うサージカル事業とビジョンケア事業の2事業を柱としています。主力ブランドはデイリーズです。コンタクトレンズと並ぶ事業には、白内障(cataract)、網膜(Retinal)、屈折強制(Refractive)等の眼科治療機器や屈折矯正手術の際に角膜と水晶体の間に埋め込む眼内レンズのICL(Implantable Collamer Lens)があります。
分社化ハイライト
2018年に、ノバルティスは、アルコンをスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に分社化上場をすると発表しました。
ノバルティスは、シンジェンタやチバスペシャリティケミカル(現BASF)も過去分社化しており、ポートフォリオの入れ替えによる成長戦略を得意としています。分社化後のアルコンの売上高は約70億ドルで従業員は2万人以上の規模となりました。
サージカル事業
白内障、網膜、緑内障、屈折矯正手術用の眼科手術機器、先進技術眼内レンズ(ATIOL)、洗浄液、点眼薬等を取扱っています。眼科手術機器分野の競合には、ジョンソン&ジョンソン、カールツアイス、ボシュロム等があるものの、売上規模では世界1位です。眼科手術機器の市場規模は概ね80億ドルと言われており、市場シェアでは40-50%程度を占めます。
ビジョンケア事業
視力の矯正用のコンタクトレンズ(1日使い捨てタイプ、2週間/1カ月交換タイプおよびカラーコンタクトレンズ)、消毒剤等の製品を取り扱っています。
ノバルティスについて
Novartis(ノバルティス)は、スイスに本拠を置く世界最大級の製薬メーカーです。後発医薬品メーカー大手のSandoz(サンド)を傘下に保有しています。2014年に英グラクソ・スミスクラインの抗がん剤事業を160億ドルで、2017年にフランスの放射性医薬品会社アドバンスト・アクセレーター・アプリケーションズを39億ドルで、2018年に米国のがん治療薬メーカーであるエンドサイトを21億ドルで買収すると発表する一方で、コンタクトレンズ会社のアルコンは分社化、大衆薬事業は合弁相手のグラクソ・スミスクラインに売却し、先端医薬品分野を強化しています。さらに詳しく
Bausch Health(ボシュヘルス)
ボシュヘルスは1959年に設立されたカナダに本拠を置く皮膚疾患、胃腸疾患、眼科、神経疾患向けの製薬メーカーです。後発薬に強みを持ちます。
Bausch & Lomb(ボシュロム)
米国に本拠を置く大手コンタクトレンズメーカーです。2013年にValeant Pharmaceuticals(ヴァリアント・ファーマシューティカルズ)が買収し、その後ヴァリアントはボシュヘルスへと社名を変更しました。世界初のコンタクトレンズを製品化したと言われています。主力ブランドにはメダリスト等があります。コンタクトレンズ以外にも、眼内レンズ、眼科手術用機器、眼科用医薬品が事業の柱となっています。
Cooper(クーパー)
米国に本社を置くコンタクトレンズ・医療機器メーカーです。Cooper Vision(クーパービジョン)がコンタクトレンズ事業を担っており、ワンデーアクエアシリーズを展開しています。眼科治療事業にも強みを持ちます。2014年に欧州のソフトコンタクトレンズの製造販売を行うSauflon Pharmaseuticalsを買収しました。2017年には後発薬大手のテバから避妊具大手のパラガード(Paragard)を買収しています。
メニコン
日本を代表するコンタクトレンズメーカー。日本で初めてコンタクトレンズの開発に成功。ハードレンズに強みを持つが、国内に使い捨てコンタクトレンズで参入した海外大手に対抗するために、定額会員制プログラムであるメルスプランを開始。国内市場では高い市場シェアを誇る。メニコン以外では、シードが日本の大手コンタクトレンズメーカーです。
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。
参照した売上高の情報
コンタクトレンズ業界の売上高ランキング(2022年)
参照した市場規模の情報