眼内レンズ業界の世界市場シェアの分析

眼内レンズ業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。眼内レンズ大手メーカーであるアルコン、クーパービジョン、カール・ツァイス、HOYA、スターサージカル、ジョンソン&ジョンソン、ボシュヘルスの概要や動向についても記載しています。

市場シェア

眼内レンズメーカーの2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の眼内レンズ業界の世界市場シェアを簡易に計算すると、1位はアルコン、2位はジョンソン&ジョンソン、3位はHOYAとなります。

眼内レンズメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2020年)

  • 1位 アルコン 27.3%
  • 2位 ジョンソン&ジョンソン 20.9%
  • 3位 HOYA 15.0%
  • 4位 カール・ツァイス 13.6%
  • 5位 ジョンソン&ジョンソン 13.4%
  • 6位 ボシュヘルス 5.7%
  • 7位 スターサージカル 3.6%

眼内レンズ業界の世界シェア(2020年)
眼内レンズ業界の世界シェア(2020年)

眼鏡レンズ系のプレーヤー(HOYA、カール・ツァイス)とコンタクトレンズ系のプレーヤー(アルコン、ジョンソン&ジョンソン、ジョンソン&ジョンソン、ボシュヘルス)が上位を競っています。

眼内レンズとは

眼内レンズ(IOL、intraocular lens)は水晶体内に取り付ける人工水晶体です。白内障の手術で移植される場合が多いですが、最近は視力回復のために移植されることもあります。水晶内に移植するため、半永久的に使用することを前提としたレンズです。
眼内レンズの種類は、近くもしくは遠くの焦点を絞った単焦点眼内レンズと多様な距離をカバーできる多焦点眼内レンズがあります。

市場規模

調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2020年の眼内レンズ業界の市場規模は36.3億ドルです。2021年から2028年までの年平均5.39%で成長し、2028年には55.2億ドルに達すると予測されています。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2018年の同市場規模は32.6億ドルです。2026年にかけて年平均6.8%で成長し、2026年には53.2億ドルへ拡大すると予測されます。⇒参照したデータの詳細情報
一方、上述した7社の売上高合計が44億ドルとなっていることから、市場シェアの計算上は、便宜的に44億ドルを市場規模としています。

眼内レンズ会社の概要

Alcon(アルコン、旧CIBA Vision(チバビジョン))

アルコンは、1945年に米国の眼科薬局にルーツを遡ることができ、70年代後半にネスレに買収されたのち、2010年にスイスの大手医薬品会社であるノバルティスが買収をしました。2014年にノバルティスの前身であるチバガイギー(1996年にサンドと経営統合をして現ノバルティスが誕生)のアイケア部門であった、チバビジョンとアルコンが経営統合を行い、現アルコンが誕生しました。2018年にノバルティスがアルコンを分社化上場させ、現在は独立系です。このような経緯から、同社は眼科治療機器を取り扱うサージカル事業とビジョンケア事業の2事業を柱としています。主力ブランドはデイリーズです。コンタクトレンズと並ぶ事業には、白内障(cataract)、網膜(Retinal)、屈折強制(Refractive)等の眼科治療機器や屈折矯正手術の際に角膜と水晶体の間に埋め込む眼内レンズのICL(Implantable Collamer Lens)があります。

分社化ハイライト
2018年に、ノバルティスは、アルコンをスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に分社化上場をすると発表しました。

アルコン分社化

アルコン分社化
出所:ノバルティス

ノバルティスは、シンジェンタやチバスペシャリティケミカル(現BASF)も過去分社化しており、ポートフォリオの入れ替えによる成長戦略を得意としています。分社化後のアルコンの売上高は約70億ドルで従業員は2万人以上の規模となりました

サージカル事業
白内障、網膜、緑内障、屈折矯正手術用の眼科手術機器、先進技術眼内レンズ(ATIOL)、洗浄液、点眼薬等を取扱っています。眼科手術機器分野の競合には、ジョンソン&ジョンソン、カールツアイス、ボシュロム等があるものの、売上規模では世界1位です。眼科手術機器の市場規模は概ね80億ドルと言われており、市場シェアでは40-50%程度を占めます。

ビジョンケア事業
視力の矯正用のコンタクトレンズ(1日使い捨てタイプ、2週間/1カ月交換タイプおよびカラーコンタクトレンズ)、消毒剤等の製品を取り扱っています。

Cooper(クーパー)

米国に本社を置くコンタクトレンズ・医療機器メーカーです。Cooper Vision(クーパービジョン)がコンタクトレンズ事業を担っており、ワンデーアクエアシリーズを展開しています。眼科治療事業にも強みを持ちます。2014年に欧州のソフトコンタクトレンズの製造販売を行うSauflon Pharmaseuticalsを買収しました。2017年には後発薬大手のテバから避妊具大手のパラガード(Paragard)を買収しています。

カール・ツァイス

ドイツの本拠を置く光学レンズメーカーの老舗です。眼鏡レンズ以外にもカメラレンズや顕微鏡等レンズ分野における技術力の高さには定評があります。半導体製造装置、眼科診断機器等の医療機器、計測機器や顕微鏡なども手掛けています。カール・ツァイス財団(Carl Zeiss Foundation)が株主となっている非公開会社です。

HOYA

日本を代表する光学メーカー。眼鏡レンズだけでなく、HDD用ガラスディスク、LCDフォトマスク、非球面光学ガラスレンズ等世界シェアトップ級の事業を展開しています。

STAAR Surgical(スターサージカル)

1982年に米国に設立された眼内レンズ製造専門の会社です。

Johnson&Johnson(ジョンソン&ジョンソン)

Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)は1887年にジョンソン三兄弟によって創設された米国に本拠を置く世界最大級の日用品・医療機器メーカーです。医療・衛生用品のバンドエイドや綿棒、スキンケア用のベビーローション、オーラルケアのリステリン、一般医薬品、外科関連の手術器具では圧倒的な強みを有しています。続きを読む

Bausch Health(ボシュヘルス)

ボシュヘルスは1959年に設立されたカナダに本拠を置く皮膚疾患、胃腸疾患、眼科、神経疾患向けの製薬メーカーです。後発薬に強みを持ちます。

Bausch & Lomb(ボシュロム)
米国に本拠を置く大手コンタクトレンズメーカーです。2013年にValeant Pharmaceuticals(ヴァリアント・ファーマシューティカルズ)が買収し、その後ヴァリアントはボシュヘルスへと社名を変更しました。世界初のコンタクトレンズを製品化したと言われています。主力ブランドにはメダリスト等があります。コンタクトレンズ以外にも、眼内レンズ、眼科手術用機器、眼科用医薬品が事業の柱となっています。

参照したデータの詳細情報について


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