通信・携帯基地業界の世界市場シェアの分析

通信・携帯基地業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。通信・携帯基地局向け機器メーカーであるEricsson(エリクソン) 、Nokia(ノキア) 、Huawei(ファーウェイ、華為技術) の動向も記載しています。

通信・携帯基地業界の世界市場シェア(2019年)

最新業界別売上高世界ランキング第3巻」に記載の通信・携帯基地各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の通信・携帯基地業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はファーウェイ、2位はエリクソン、3位はノキアとなります。

1位 ファーウェイ 46%
2位 エリクソン 19%
3位 ノキア 14%
4位 ZTE 10%
5位 サムスン電子 5%

商用化が急速に進んでいる第4世代の100倍の速度を持つ第5世代(5G)向けの携帯基地局を含む通信基地局の市場シェアでは、中国のファーウェイが、スウェーデンのエリクソンを抜き去り世界1位となっています。世界2位は、ファーウェイに敗れたエリクソン、世界3位は、フィンランドの通信機器大手であるノキア、世界4位は中国のZTEとなっています。世界5位はサムスンとなっています。

市場規模

調査会社の富士キメラ総研によれば、2019年の5Gに関連する携帯基地局の世界市場規模は4兆6380億円です。調査会社のQYリサーチによれば、5G基地局業界の市場規模は、2019年に331億5000万米ドルです。また調整会社のテクノナビによれば、2019年~2023年の4年間にLTE基地局の市場は年平均17%、金額にして294億ドル拡大するとしており、逆算すると2019年の規模は336億ドルとなります。当サイトでは市場シェアの計算にあたり、携帯基地局の市場規模を900億ドルとしています。

携帯基地局に必要な機器とは?
基地局には、送受信信号を増幅するための装置、変復調装置、音声処理装置、基地局制御装置、アンテナ、電源といった機器が必要となります。

世界の主要な携帯基地局メーカーの一覧

Ericsson(エリクソン)

スウェーデンに本拠を置く通信機器メーカー大手です。ソニーと携帯電話事業の合弁を組んでいましたが、現在は解消しています。基地局向け機器を販売するネットワーク事業、仮想ネットワークインフラストラクチャーを提供するデジタルサービス事業、ネットワークの最適化をAIを用いて運用管理するマネージドサービス事業が主要な事業となります。

Nokia(ノキア)

Nokia(ノキア)は、フィンランドに本拠を置く通信機器メーカーです。かつで携帯電話機器で世界1位でしたが、スマホの台頭により、携帯事業をマイクロソフトに売却しました。一方で無線通信機器事業を強化するためにフランスのアルカテル・ルーセントを買収しています。LTE向けの通信機器では世界大手でしたが、5Gの通信基地では、ファーウェイに遅れをとっています。米国の制裁強化を利用して巻き返しを図っています。

Huawei(ファーウェイ・テクノロジーズ、 華為技術有限公司)

1987年に任 正非(Ren Zhengfei、レン・ツェンフェイ)によって設立された中国シンセンに本拠を置く世界最大級の通信機器メーカーです。通信基地向け機器、スマホ、タブレット、ルータ等の分野で存在感を示します。通信基地局では、ノキアやアノキアと並ぶ大手です。スマートフォン(スマホ)業界やタブレット業界でも、アップルやサムスンと並ぶ大手です。通信用の海底ケーブル業界では、アルカテルルーセント、タイコ、NEC、富士通と並ぶ大手の一角を占めています。一方、次世代通信「5G」では、米国勢に先駆けて通信基地局を展開し、米中におけるハイテク戦争の渦中に巻き込まれています。

特に、米国商務省産業安全保障局(BIS)から、2019年5月にエンティティ―リストに記載され、2020年8月には、半導体等の米国からの輸出が制限されました。オーストラリア政府からも、サイバー安全保障の観点から、ZTEとともに5Gの参入を禁止されています。またイギリスも5Gでファーウェイの入札参加を禁止しています。住友電気工業が5G対応携帯基地局向けの窒化ガリウム(GaN)デバイスをファーウェイに提供するなど、日本部品メーカーがファーウェイとの取引を行っており、今後の影響が危惧されます。

ZTE(中興通訊、チョンシントンシュン)

1985年に深センで設立された通信機器メーカーでう。携帯端末や携帯基地局に強みを持ちます。1999年に香港証券取引所に上場しました。2016年に米国への輸出規制措置が発動され、2017年に10億ドルの罰金支払いで司法取引しています。

サムスン電子

Samsung(サムスン電子)は、韓国を代表する総合家電メーカーです。スマホ、半導体、テレビ、白物家電など、最終商品まで手掛けていることが強みです。垂直統合型の半導体チップメーカーとして、DRAM、NANDフラッシュメモリ、SSDの自社製造を手掛けています。最終製品のスマホやテレビにも強みを持ちます。OLEDや液晶パネルの製造はサムスンディスプレイ、リチウムイオン電池はサムスンSDI、電子部品はサムスン電気、造船はサムスン重工、バイオ製薬の製造はサムスンバイオロジックスで手掛けています。2016年には車載音響機器大手のハーマンを買収しました。

日本のNECと富士通も携帯基地局事業を展開しますが、上位4社には大きく引き離されています。ただしファーウェイへの米国の輸出規制や、今後5G基地局の陣取り合戦が加速するため、国際仕様であるOpen RAN対応の基地局の展開次第では、業界の地殻変動が起こる可能性があります。2020年にNECはNTTと資本提携し、基地局分野での巻き返しを図っています。