衛星通信業界の世界市場シェアの分析

人工衛星を用いて通信を行う衛星通信オペレーターの世界シェアや市場規模の情報を掲載しています。インテルサット、SES、ユーテルサット、テレサット、インマルサット、イリジウム、JSATといった大手固定・移動衛星通信会社の最新の動向も分析しています。

【市場シェア】

衛星通信オペレーター各社の2020年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の衛生通信オペレーター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はインテルサット、2位はヴィアサット、3位はSESとなります。

衛星通信オペレーターの世界市場シェア(2020年)

順位衛星通信オペレーター名市場シェア(2020年)
1位インテルサット3.71%
2位ビアサット3.45%
3位SES3.39%
4位インマルサット*2.25%
5位ユーテルサット2.16%
6位テレサット0.97%
7位イリジウム・コミュニケーションズ0.87%
8位スカパーJSAT0.83%
9位アルヤーサテライトコミュニケーションズ0.60%
*2018年度の売上高
衛星通信オペレーターの世界市場シェアと業界ランキング(2020年)
©ディールラボ
衛星通信オペレーターの世界シェア(2020年)
衛星通信オペレーターの世界シェア(2020年)

世界1位はルクセンブルクに本拠を置くインテルサットです。実体は北米を地盤にしています。元々は非営利の、人工衛星を用いた通信サービス提供組織でしたが、2001年にインテルサットとして民営化されています。
世界2位は米国のビアサットです。世界3位は同じくルクセンブルクに本拠を置くSESです。固定衛星通信を中心に展開し、インテルサット、ビアサットと首位争いをしています。
4位はインマルスタットです。こちらは、移動衛星通信に強みを持ちます。2019年に投資ファンドによって非公開化されました。
5位はフランスのユーテルサットです。2005年に、ユーロネクストに上場しています。
6位はカナダに本拠を置くテレサットです。7位はイリジウム・コミュニケーションズ、8位には日本のジェイサットが続きます。

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、衛星通信オペレーター業界の2020年の世界市場規模を666億ドルとして市場シェアを計算しております。

参照にしたデータは以下の通りです。調査会社のグランビューリサーチによると、2019年と2020年の同業界の市場規模は621億ドルと666億ドルです。2028年にかけて年平均9.8%での成長を見込みます。調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年の衛星通信サービスの市場規模は560億ドルです。2027年にかけて9.2%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模成長率
2020年666億ドル9.8%
2019年560~621億ドル9.2%
衛星通信オペレーターの推定市場規模の推移
©ディールラボ

さらに詳しく業界を分析するためのお薦め書籍と関連サイト

衛星通信ガイドブック
衛星通信年報
宇宙船開発スタートアップの市場シェアとカオスマップの分析
M&Aの対象となるメディア・通信会社の分析

【会社の概要】

インテルサット(Intelsat)

1964年に設立された「国際電気通信衛星機構」が出自です。2001年に通信衛星オペレーター事業が、インテルサットとして分社化されて誕生しました。固定衛星通信に強みを持ちます。現在は、投資ファンドのBCパートナーズ傘下に入っています。

SES

ルクセンブルク政府によって1985年に設立されたSociété Européenne des Satellitesが源流です。2005年にはユーロネクストに上場をしました。固定衛星通信に強みを持ちます。ルクセンブルク政府が大株主です。

ユーテルサット(Eutelsat)

1977年に設立された欧州通信衛星機構が前身です。フランスに本拠を置き、2001年に民営化されました。2005年にユーロネクストに上場しました。大株主は、フランスの財投を原資とするBpifrance(公的投資銀行)、China Investment Corporation(中国国家投資)等があります。

インマルサット(Inmarsat)

1979年に設立された国際海事衛星機構を前身とします。元々は海上通信用でした。移動体通信(携帯等)への通信を提供する移動衛星を主軸とします。2005年にロンドン証券取引所に上場しました。設立の経緯から、KDDIが大株主でもあります。2019年にApaxとWarburg Pincusによって非上場化されました。2021年にビアサットが買収を発表しました。

テレサット(Telesat)

1969年にカナダ政府によって設立されました。1998年に民営化され、現在は衛星製造会社でナスダック証券取引所に上場するロラール・スペース&コミュニケーションズ(Loral Space & Communications Inc.)とカナダ公務員年金投資委員会(Canada’s Public Sector Pension Investment Board)の傘下にあります。

ジェイサット(JSAT)

1985年に設立された日本通信衛星が前身です。2000年に上場しました。有料衛星チャンネル提供会社で日本最大手のスカイパーフェクト・コミュニケーションズと経営統合をし、現在はスカパーJSATの傘下企業となりました。

イリジウム・コミュニケーションズ(Iridium Communications)

米国に本拠を置く移動衛星運営会社です。元々は携帯大手のモトローラが支援して設立されたが、過大な設備投資が祟り、経営破たんしました。その後、紆余曲折を経て、現在はイリジウム・コミュニケーションズとして上場しております。

アルヤーサテライトコミュニケーションズ(Al Yah Satellite Communications)

アブダビに本拠を置く衛星通信会社です。ムバダラ投資会社PJSCの子会社ですが上場をしています。

ビアサット(Viasat)

1986年に設立された米国に本拠を置く衛星通信会社です。高速衛星ブロードバンドサービス、航空機向けの通信サービスに利用されています。2021年にインマルサットの買収を発表しました。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した市場規模
Grand View Research
Allied Market Research

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