宇宙船開発スタートアップの市場シェアとカオスマップの分析
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宇宙船開発スタートアップの市場シェアとカオスマップの分析

2021年7月にヴァージン・ギャラクティックやブルーオリジンによる宇宙旅行が無事に実施されたことを受け、宇宙旅行に向けた宇宙船開発が今後加速される可能性があります。商用宇宙船の開発を行うスタートアップのカオスマップ(業界マップ)、資金調達額の市場シェアとランキング、Blue Origin、SpaceX、Axiom Space、Rocket Lab、Virgin Galacticといった有力会社の概要について分析を行なっています。

宇宙旅行とは?

地球からの宇宙までの距離は、国際航空連盟(Federation Aeronautique Internationale: FAI)によると高度100Km、米国空軍によると高度80kmとなります。宇宙旅行(サブオービタル旅行)は、ロケットにのり高度80km〜100kmに到達後、無重力感を味わい、その後地表に戻ってくる行程のことを言います。

図解:宇宙旅行とは?
図解:宇宙旅行とは?
©️ディールラボ

宇宙船開発会社のカオスマップ

宇宙開発のスタートアップを直近の投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは資金調達累計額となります。またIPOをした会社の場合は、直近1年間の資本金及び資本準備金の増減と合計を直近の資金調達額と資金調達累計額とみなしております。

宇宙船開発スタートアップのカオスマップ(2021年)
宇宙船開発スタートアップのカオスマップ(2021年) 出所:Trancxn、会社情報より作成

資金調達ではイーロンマスク氏率いるスペースXが抜きん出ています。一方、2021年7月に初の宇宙旅行を成功裡に終えたヴァージンギャラクティックはシリーズラウンドを終え、株式を公開しています。上記スタートアップの累計調達額は、本ページの更新時点で約8771百万ドルとなっております。

宇宙船開発会社の市場シェア(資金調達累積額ランキング)

宇宙船開発メーカー各社の累計調達額(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額シェアを計算し、ランキング化すると、2021年7月時点では、1位はスペースX、2位はヴァージンギャラクティック、3位はロケットラボとなります。

  • 1位 スペースX 79.8%
  • 2位 ヴァージンギャラクティック 14.8%
  • 3位 ロケットラボ 3.3%
  • 4位 Axiom Space 1.7%
  • 5位 ブルーオリジン 0.4%
宇宙船開発スタートアップの市場シェア(2021年)
宇宙船開発スタートアップの市場シェア(2021年) 出所:Trancxn、会社情報より作成

市場規模

調査会社のリサーチアンドマーケッツによると、宇宙旅行(サブオービタルツーリズム)の2020年の市場規模は651百万ドルです。2027年にかけて15.2%で成長することが見込まれます。一方、調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年の宇宙船打ち上げ市場の規模は98.8億ドルです。2027年にかけて年平均15.7%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
宇宙船開発は、政府における防衛予算などを背景にした官需によって成立していますが、今後宇宙旅行などの民需の市場が拡大することが見込まれます。

業界のM&A

防衛宇宙大手や投資ファンドによるスタートアップの買収はまだ積極的に行われていません。

2007年:ノースロップ・グラマンが宇宙機メーカーであるスケールド・コンポジッツを買収

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

宇宙旅行入門
最新! スターシップ理論―銀河系を旅行する宇宙航法はこれだ!!―

主要な宇宙船開発スタートアップ

Blue Origin(ブルーオリジン)

本社所在地:米国
設立年:2000年
創業者:ジェフベゾス(アマゾン創業者)
ブルーオリジンは、再利用可能な宇宙ロケットを開発する企業です。2021年7月にジェベゾス氏が宇宙旅行を成功させました。

SpaceX(スペースX)

本社所在地:米国
設立年:2002年
創業者:イーロンマスク
SpaceX(スペースX)は再使用可能な宇宙用ロケットを提供する企業です。貨物や人間、ペイロードを宇宙に輸送するためのロケットや宇宙船を設計・製造しています。   

Virgin Galactic(ヴァージンギャラクティック)

本社所在地:米国
設立年:2004年
創業者:リチャード・ブランソン
Virgin Galactic(ヴァージンギャラクティック)は再利用可能な宇宙飛行システムと乗客を運ぶサブオービタル宇宙船を開発・運営しています。   

Axiom Space

本社所在地:米国
設立年:2016年
創業者:Michael Suffredini、Kam Ghaffarian
Axiom Spaceは商業用宇宙ステーションの開発会社です。   

Rocket Lab(ロケットラボ)

本社所在地:ニュージーランド
設立年:2007年
創業者:Peter Beck
ロケットラボは、ニュージランドに本拠を置くロケットの開発会社です。   

インターステラテクノロジズ

本社所在地:日本
設立年:2003年
創業者:堀江貴文
インターステラテクノロジズは日本の民間ロケット開発会社です。元ライブドアの社長である堀江氏がファウンダーであることでも有名です。   

PDエアロスペース

本社所在地:日本
設立:2007年
創業者:緒川 修治
PDエアロスペースは完全再使用型無人サブオービタル機の開発製造を行なっています。   

宇宙船開発分野に積極的なVC、PEファンドや戦略的投資家

Sequoia Capital、Valor Equity Partners、NXC、Legendary Ventures、Legendary Ventures、C5 Capital, Starbridge Venture Capital、Starbridge Venture Capital、Future Fund, Bessemer Venture Partners、Bessemer Venture Partners, Khosla Venturesなどが積極的に投資を行っています。

宇宙船に必要な存在と日本企業の動向

ロケットの主要な部品は、主にアルミニウム合金、ニッケル合金、炭素繊維複合材料、耐熱素材であるポリイミド樹脂などが用いられています。日本のメーカーにはこうした部材供給に強みを有していて、東レ、宇部興産、カネカ、昭和飛行機などが供給を行なっています。三菱重工、川崎重工やIHIはエンジンおよび機体ケースの製造を行なっています。衛星システムでは三菱電機やNECが供給を行なっています。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

資金調達累計額

宇宙船開発スタートアップの資金調達累計額
宇宙船開発スタートアップの資金調達累計額 出所:Trancxn、会社情報より作成

参照した市場規模の情報
Research and Markets
Allied Market Research

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