M&Aの対象となるメディア・通信会社の分析

業界再編が予想されるブロードバンド回線サービス、ペイTV、テレビ放送、音楽やコンテンツのストリーミング、ビデオ会議、出版、通信タワーといった分野の市場動向やM&Aの対象となる会社について分析をしています。

なお、本記事の作成日以降にM&Aによって下記会社が買収されている可能性もありますことを予めご了承下さい。

今後エグジットが予想されるメディア・通信会社

ペイTV分野で今後M&Aの可能性がある会社

調査会社のグランドビューリサーチによると、有料テレビ(ペイTV)の2019年の市場規模は2259億ドルです。2017年にかけて年平均1.5%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
地域ごとに視聴者の嗜好が異なることからグローバルで展開をしているテレビ・メディア企業はありません。地域ごとに有力なコンテンツプロバイダーをロールアップする観点から投資ファンドが積極的に買収を行っています。投資ファンドが保有株式を売却する可能性がある会社は以下の通りです。

社名:United Group
本社所在地:オランダ
株主:BCパートナーズ
United Group(ユナイテッドグループ)は南東欧でペイTV、ブロードバンドサービス、モバイルサービスを展開する通信会社です。BCパートナーズがKKRから買収しました。買収時点の想定企業価値は25億ユーロです。

ブロードバンド回線分野で今後M&Aの可能性がある会社

調査会社のグランドビューリサーチによれば、2019年のブロードバンド回線の市場規模は3267億ドルです。2027年にかけて年平均9%での成長を見込みます。ブロードバンド回線には、光回線、無線接続、衛星接続、ケーブル(光同軸)接続、固定電話回線があります。速度と安定性から光回線が徐々に市場規模を拡大させています。グローバルで展開するブロードバンドサービスの提供会社はおらず、成長力のある分散的な市場のため、投資ファンドによるM&Aが活発に行われています。今後投資ファンドが売却する可能性がある会社は以下の通りです。

社名:Ufinet
本社所在地:スペイン
買収年:2018年
株主:シンベン
Ufinet(ウフィネット)は、スペインのマドリッドに本拠を置く、光ファイバー網整備を手がける通信企業です。中南米を中心にアメリカやメキシコにも拠点を広げています。シンベンが2018年に買収をしました。買収時点の想定企業価値は 1375 億ドルです。

社名: Hotwire Communications
本社所在地: 米国
買収年: 2021年
株主: Blackstone
Hotwire Communicationsは光回線でのインターネットや通信サービスを提供する会社です。ブラックストーンが2021年に買収しました。

社名:Desktop Sigmanet
本社所在地:ブラジル
買収年:2020年
株主:HIG
1999年に設立されたブラジルに本拠を置くCATVを軸に電話やインターネット回線の提供を行うISP(インターネットサービスプロバイダー)です。2020年にHIGキャピタルが買収しました。

社名:Aventiv
本社所在地:米国
買収年:2017年
株主:プラチナムエクイティ
Aventiv(アヴェンティブ)は、刑務所等に収監されている約120万人の収容者向けの通信会社です。同業のGlobal Tel Link (GTL)と業界首位の座を競っています。米国は、アヴェンティブとGTLの2社が市場をほぼ独占しており、収容施設の運営者への手数料も加算されている収容者の通話料金は高止まりしています。セキュラスは、通話でだけなく、ビデオ接見システム、メール、タブレットシステム等のサービスも収容者に提供しています。2019年にSecurus Technologies(セキュラス・テクノロジーズ)からAventiv(アヴェンティブ)へと社名変更をしました。プラチナムエクイティが2017年11月に投資ファンドのABRY Partnersより買収(ABRY Partnerは、2013年に640百万ドルでCastle Harlanより同社を買収している。)をしました。

社名:ATX
本社所在地:米国
買収年:2015年
株主:HIGキャピタル
ATX Networks (ATXネットワークス ネットワークス)はインフラシステムプロバイダーです。HIGキャピタルが2015年にPamlico Capitalから買収をしました。

社名:MASMOVIL
本社所在地:スペイン
買収年:2020年
株主:シンベン、KKR、Providence Equity Partners
MASMOVIL IBERCOMはスペイン第4位の固定・携帯電話会社です。Yoigo、MASMOVIL、Pepephone、Llamaya、Lebara、Lycamobile、Hits mobileといったブランドで展開しています。2020年にシンベン、KKR、Providence Equity Partnersが買収をしました。

テレビ放送分野で今後M&Aの可能性がある会社

ザビジネスリサーチカンパニーによると、2020年のテレビ放送業界の市場規模は2342億ドルです。2021年に向けて7.9%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
テレビ放送は言論や報道の自由との関連から各国ごとに規制があり、グローバル展開がしにくい業態です。日本の場合も、古くはソフトバンクによる朝日テレビの買収やライブドアによるフジテレビの買収の動きがありましたが、いずれも失敗に終わっています。ブロードバンド回線の発展とともに、テレビやメディアの配信も電波からインターネットを介して行われるようになり、テレビ放送局とインターネットの動画との垣根は崩れつつあります。高い成長性が見込める市場での更なるコンテンツの拡充を目指して、投資ファンドも放送局の買収を積極的に行っています。今後M&Aの対象となる可能性がある会社は以下の通りです。

社名:Euro Media
本社所在地:フランス
買収年:2014年
株主:PAIパートナーズ
2007年にフランスで設立されたEuro Media Group( ユーロメディアグループ)は、フランス・ベルギーなど計8ヵ国で展開する放送局です。ヨーロッパのメディアサービス市場で大きなシェアを占め、FIFAワールドカップやツールドフランスなど多くの国際イベントのパートナーとなっています。2020年には、Global Production(イタリアなどで屋外放送サービスを手掛ける大手企業)を買収しました。PAIパートナーズが2014年に買収をしました。買収時点の企業価値は170百万ユーロです。

社名:Mediacorp
本社所在地:シンガポール
株主:テマセク
Mediacorp(メディアコープ)はシンガポールの放送局です。テレビ、ラジオ、インターネット等多角的なメディア事業を展開しています。テマセクが100%の株式を保有しています。

社名:DirecTV
本社所在地:米国
買収年:2021年
株主:TPG
2021年にTPGはAT&Tが保有する衛星放送大手のDirecTVの株式30%を取得しました。70%はAT&Tが継続保有します。AT&Tは2014年にDirecTVを買収しています。

AT&TとDirecTVの買収額とマルチプル推移

買収会社売手対象会社企業価値通貨売上高倍率(倍)
2014AT&T公開買付DirecTV477億ドル2.1
2021TPGAT&TDirecTV162億ドル0.6
©各種情報よりディールラボ作成(⇒参照したデータの詳細情報
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算

音楽・コンテンツ配信分野で今後M&Aの可能性がある会社

音楽配信分野ではspotify、アップル、アマゾン、テンセント、ユーチューブが大きな市場シェアを既に獲得しています。調査会社のグランドビューリサーチによると、2019年の音楽配信の市場規模は209億ドルです。2017年に向けて年平均17.8%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
寡占的な市場ではあるものの、二桁成長が見込まれることから、多くの配信会社が参入をしています。投資ファンドによる買収も行われています。今後売却の可能性がある音楽配信会社やコンテンツ配信会社は以下の通りです。

社名:Epidemic Sound
本社所在地:スウェーデン
買収年:2021年
株主:EQTとブラックストーン
Epidemic Soundは音楽のサブスクリプションサービスを手掛けています。EQTとブラックストーンが出資しています。

社名:Deluxe Media
本社所在地:米国
買収年:2020年
株主:プラチナムエクイティ
Deluxe Mediaは映画制作会社の制作コンテンツを映画館、オンデマンド、DVDやブルーレイ等のフォーマットにあわせて加工及び配信するサービスを提供する会社です。プラチナムエクイティが買収しました。2021年にソニーの子会社で同様のサービスを提供するSonyNMSを買収しました。

インターネットポータルサイト分野で今後M&Aの可能性がある会社

社名: VerizonMedia
本社所在地: 米国
買収年: 2021年
株主: Apollo
VerizonMediaは、Yahoo、TechCrunch、EngadgetやAOL等のメディアサイトと広告の運営会社です。アポロが2021年にベライゾンから50億ドルで買収しました。

その他のメディア・通信領域で今後M&Aの可能性がある会社

社名:AVI-SPL
本社所在地:米国
買収年:2020年
株主:HIGキャピタル
AVI-SPLは、ビデオ会議等のシステムを提供会社です。カナダ、ドイツ、アラブ首長国連邦、英国でも事業を展開しています。AVIはMarlin Equity Partnersの傘下企業であるWhitlockと経営統合し、売上高は19億ドルの企業が誕生します。HIGキャピタルが2020年にMarlin Equity PartnersへAVI-SPLの過半数の株式を売却しました。

社名:Springer Nature
本社所在地:イギリス
買収年:2013年
株主:BCパートナーズ
Springer Nature(スプリンガーネイチャー)は科学・医学向けのジャーナルの出版を行っています。英語での学術文献では世界1位です。2015年に同業のHolzbrinck Publishing Group Science and Educationと経営統合をしました。BCパートナーズが2013年に想定企業価値49億ユーロで買収しました。

社名:Sensis
本社所在地:米国
買収年:2014年
株主:プラチナムエクイティ
Sensis(センシス)は、イエローページやホワイトページの制作会社です。プラチナムエクイティが2014年にTelstra社から買収をしました。

社名:Tribune
本社所在地:米国
買収年:2021年
株主:Alden Global Capital
Tribune Publishing(トリビューンパブリッシング)は、シカゴ・トリビューンなどの新聞を発刊する米国の出版メディア大手です。2021年にAlden Global Capitalが買収しました。

社名:Gannett
本社所在地:米国
買収年:2019年
株主:アポログローバルマネジメント
Gannet(ガネット)は、新聞大手のUSA TODAYなどを発刊するメディア大手です。2019年にアポログローバルマネジメントが出資をしました。

社名:INWIT
本社所在地:イタリア
買収年:2020年
株主:アーディアン
2020年にイタリアのテレコムキャリアであるTIMから、同社が保有するイタリア国内で通信タワーの保有・運営会社をするInfrastrutture Wireless Italiane(INWIT)の持ち分30%を、アーディアン、TIM、ボーダフォンが設立した持ち株会社が買収をしました。

社名:M Group
本社所在地:イギリス
買収年:2018年
株主:PAIパートナーズ
M Group Services( エムグループサービス )は、2016年にイギリスで設立されました。ユーティリティ(ガス・電気・水道)・輸送・通信施設の運営・管理・保守を行っています。PAIパートナーズが2018年に買収をしました。

社名:WHP Telecoms
本社所在地:イギリス
買収年:2018年
株主:エクイストーン
通信キャリアや通信タワー運営会社がクライアントです。エクイストーンが買収しました。

参照したデータの詳細情報について


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