NTTの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

NTTは1952年に日本電信電話公社として設立された国策通信キャリアです。1985年にNTTとして民営化されました。数度の再編を経て、現在は固定通信のNTT東西、モバイル通信のNTTドコモ、データサービスのNTTデータ&NTT Ltd.という体制で世界的に事業を展開しています。
国内では、その出自や規制業種ということもあり、公正な競争を維持しながらの成長、一方海外ではM&Aによる巨額減損を再度発生させないような事業展開が課題となっています。通信における技術力では引き続き世界最高水準を維持していると言われ、様々な柵の中で成長戦略を遂行しています。

業績推移(年次)


2018年度
売上高は11,879,842百万円で、前年度比1%増となりました。これは、国内及び海外におけるデータ通信事業セグメントの増収、通信端末販売収入の増加及びドコモ光の成長等による移動通信事業セグメントの増収等によるものです。営業利益は1,693,833百万円になりました。営業利益率は14%になりました。

2019年度
売上高は11,899,415百万円で、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は1,562,151百万円になりました。営業利益率は13%になりました。

2020年度
売上高は11,943,966百万円で、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は1,671,391百万円になりました。営業利益率は14%になりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による移動通信事業セグメントの端末機器販売収入や海外におけるシステムインテグレーション収入の減少、グローバル事業会社のNTT Ltd.の一部収入の会計処理方法の変更等による減収はあるものの、移動通信事業セグメントのスマートライフ領域の増収や国内におけるシステムインテグレーション収入は増加しました。

2021年度
売上高は12,156,447百万円で、前年度比2%増となりました。これは、国内外ともに、旺盛なデジタル化需要を取り込んだことによるシステムインテグレーション収入や総合ICT事業におけるスマートライフ領域の拡大によるその他の営業収入の増加等によるものです。営業利益は1,768,593百万円になりました。営業利益率は15%になりました。人件費は、前期比4.3%増加しました。これは、グローバル・ソリューション事業セグメントにおいて、事業の業容拡大により人件費が増加したこと等によるものです。経費は、前期比0.6%減少しました。これは、地域通信事業セグメントやグローバル・ソリューション事業セグメントにおける収益連動経費の増加等があったものの、総合ICT事業セグメントにおいて、販売関連経費の減少等によるものです。

2022年度
売上高は13,136,194百万円で、前年度比8%増となりました。これは、固定音声関連収入や移動音声関連収入の減収はあるものの、システムインテグレーション収入やその他の営業収入の増加等によるものです。営業利益は1,828,986百万円になりました。営業利益率は14%になりました。人件費は、前期比7.9%増加しました。これは、グローバル・ソリューション事業セグメントにおいて、事業の業容拡大により人件費が増加したこと等によるものです。経費は、前期比12.4%増加しました。これは電気料収入の増加等に伴い、収益連動費用が増加したこと等によるものです。

NTTの業績推移

NTTの業績推移

業績推移(四半期)

2022年度第2四半期(07ー09月)
売上高は3,217,306百万円になりました。営業利益は493,187百万円、営業利益率は15%になりました。

2022年度第3四半期(10ー12月)
売上高は3,286,417百万円になりました。営業利益は524,290百万円、営業利益率は16%になりました。

2022年度第4四半期(01ー03月)
売上高は3,563,600百万円になりました。営業利益は308,157百万円、営業利益率は9%になりました。

2023年度第1四半期(04ー06月)
売上高は3,111,073百万円になりました。営業利益は474,650百万円、営業利益率は15%になりました。

2023年度第2四半期(07ー09月)
売上高は3,253,497百万円になりました。営業利益は476,296百万円、営業利益率は15%になりました。

NTTの四半期業績推移

NTTの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比6%増の347.99円になりました。1株当たりの配当は前年度比4%増の120円になりました。配当性向は34%になりました。

NTTのEPS・1株配当・配当性向の推移

NTTのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2023年11月
2023年度第二四半期の決算短信において、2023年度通期の営業収益は13,060,000百万円、営業利益は1,950,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成


セグメントは、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業、その他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

NTTの売上構成(2022年度)

NTTの売上構成(2022年度)

総合ICT
当事業は、携帯電話事業、国内電気通信事業における県間通信サービス、国際通信事業、ソリューション事業、システム開発事業及びそれに関連する事業を主な事業内容としています。
(連結子会社)
株式会社NTTドコモ、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 他94社

地域通信
当事業は、国内電気通信事業における県内通信サービスの提供及びそれに附帯する事業を主な事業内容としています。
(連結子会社)
東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社 他55社

グローバルソリューション
当事業は、システムインテグレーション、ネットワークシステム、クラウド、グローバルデータセンター及びそれに関連する事業を主な事業内容としています。
(連結子会社)
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、株式会社NTT DATA,Inc.、NTT Ltd.、Dimension Data Holdings、NTTセキュリティ株式会社、NTT America、NTT EUROPE、NTT Global Data Centers EMEA、NTT Cloud Communications International Holdings、NTT Global Data Centers Americas、NTT Global Networks、NETMAGIC SOLUTIONS、NTT Global Data Centers EMEA UK、NTT Managed Services Americas Intermediate Holdings、Transatel、Spectrum Holdings、NTT America Holdings Ⅱ、Dimension Data Commerce Centre、NTT DATA Americas、NTT DATA Services、NTT Data International、NTT DATA Europe & Latam 他602社

その他の事業
金融や不動産事業、エネルギー事業などを展開しています。
(連結子会社)
NTTアーバンソリューションズ株式会社、エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、NTTアノードエナジー株式会社、NTTファイナンス株式会社、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 他134社

M&A情報

海外事業の強化、モバイルやクラウドサービスの強化と視点から大型M&Aを積極的に行っています。

1985年 電電公社からNTTへと民営化しました。
2010年 ICTサービス大手のディメンションデータとKeaneを買収しました。
2013年 クラウド型会議システムのアルカディン・インターナショナルを買収しました。
2013年 国際データ通信サービスのバーテラ・テクノロジー・サービスを買収しました。
2015年 NTTコムがドイツのデータセンターのLuxイーシェルターを買収しました。
2015年 NTTコミュニケーションズは、インドネシアのジャカルタ最大のデータセンター事業者であるPT.Cyber CSFの株式取得手続きを完了しました。
2018年 NTTコミュニケーションズ株式会社は、NTT Com、株式会社セールスフォース・ドットコム、日本マイクロソフト株式会社、シスコシステムズ合同会社などの製品と連携する国内市場シェア第1位のクラウド電話帳サービス、クラウドサービスの企画・開発・販売および各種IP-PBXやコミュニケーションツールの設計・構築・保守、その他通信設備工事などを手掛ける株式会社Phone Appliの株式取得を完了し、連結子会社としました。
2018年 NTTコミュニケーションズは、SAP・Oracleなどのアプリケーションの保守・運⽤に強みを持つ⽶国⼤⼿ITマネージドサービス事業者Secure-24 Intermediate Holdings, Inc.の株式100%を取得完了しました。
2019年 NTTコミュニケーションズ株式会社は、グローバルにIoT向けモバイルコネクティビティサービスを提供している Transatel(フランス)の株式取得を完了し、連結子会社としました。
2020年 NTTドコモを買収しました。
2020年 NTTコミュニケーションズ株式会社は、Webブラウザだけで手軽に利用できる授業支援システム「schoolTakt」を主軸に、生徒同士による協働学習や、生徒間の人間関係の分析・可視化を通じた学級経営支援などを実現するソリューションを展開する、株式会社コードタクトの株式取得を完了しました。
2023年 NTTアノードエナジー株式会社と株式会社JERAは、米国の再生可能エネルギー事業者 Pattern Energy Group LPが保有する株式会社グリーンパワーインベストメントの株式の取得等を完了しました。

株主構成

日本政府が引続き33.4%以上の議決権を保有しております。

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