負極材業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしております。負極材大手メーカーである璞泰来(プータイライ)、BTRニューエナジー、杉杉集団、レゾナック、三菱ケミカルといった会社の動向も記載しております。負極材メーカーにおける負極材部門の数値抽出ができない場合は、ランキングから外しております。
負極材とは
リチウムイオン電池は、電気自動車のバッテリーに使用されるなど、これからの時代には需要が拡がる素材です。また新技術を搭載し、バッテリー容量を向上させるために、新素材も開発され投入されます。リチウムイオン電池の内部には、正極(陽極)・負極の両方があり、正極には金属や金属化合物が使用されます。負極材は、リチウムイオンを貯蔵するシートで、コールタールや石油系のニードルコークスから製造される天然及び人造黒鉛(グラファイト)を主材料とします。電池の効率向上に向けシリコンベースの負極材の開発も進みます。
負極材は、リチウムイオンを貯蔵するシートで、コールタールや石油系のニードルコークスから製造される天然及び人造黒鉛(グラファイト)を主材料とします。電池の効率向上に向けシリコンベースの負極材の開発も進みます。
世界市場シェア
負極材業界のの2023年度の地域別生産量⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年の負極材業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は中国69%、2位が日本13%、同程度の生産量が韓国13%となります。
三菱ケミカルとポスコフューチャーエムは推定で算出しております。
負極材業界の世界市場シェア(2023年)
順位 | Company name(English) | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | BTR | BTRニューエナジー | 7.48% |
2位 | NINGBO SHANSHAN CO.,LTD. | 杉杉集団 | 4.42% |
3位 | Putailai | プータイライ | 4.02% |
4位 | POSCO Chemical | ポスコフューチャーエム (ポスコケミカル) |
2.34% |
5位 | Resonac | レゾナック (旧昭和電工マテリアルズ |
0.99% |
6位 | Mitsubishi Chemical | 三菱ケミカル | 0.44% |
市場規模
当サイトでは、各調査会社等の公表データを参考にし、負極材業界の2023年の世界市場規模を230億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のマーケットUSによると、2023年の同業界の市場規模は230億ドルとなります。2032年にかけて年平均9.1%で成長し、同年には504億ドルへと規模が拡大することが見込まれます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023年 | 230億ドル | – |
2024年 | 249億ドル | 9.4% |
2032年 | 504億ドル | 9.4% |
M&Aの動向
2016年 レゾナック(旧昭和電工マテリアルズ)は、2016年 日立化成ポリマー株式会社を吸収合併。レゾナック(旧昭和電工マテリアルズ)は、2014 年、日立粉末冶金株式会社を吸収合併。
2017年 杉杉集団が中国モリブデンのA株を私募で取得。
2018年 プータイライは、Liyang Yuequan Electric Energy Co., Ltd.の株式66.67%の追加取得。
2023年 昭和電工株式会社および昭和電工マテリアルズ株式会社は、2023年1月1日に統合し、新会社「レゾナック」が誕生。
2023年 ポスコケミカル、社名を「POSCO FUTURE M」に変更。
2023年 三菱ケミカルグループは、イタリアの炭素繊維複合材料メーカー・CPC社の全株式取得。
2023年 住友金属鉱山株式会社は、外装建材大手のケイミュー株式会社に子会社である住友金属鉱山シポレックス株式会社の当社保有全株式を譲渡。
主要な負極材メーカーの動向
三菱ケミカル
三菱ケミカルホールディングスは、日本の最大手の化学メーカーです。三菱レイヨンや大陽日酸を買収し、機能性化学分野の強化を図っています。アクリル樹脂の分野では、ダウケミカルやエボニックといった、大手化学メーカーを抑え、世界最大級の規模となっています。また、炭素繊維分野では、傘下の三菱レイヨンがパイロフィルの商標で炭素繊維を世界展開し、自動車会社とも開発を加速させています。電池材料では、正極材からは撤退し、電解液と負極材を強化しています。水処理膜事業では、MBR膜に強く、ステラポアーブランドで展開をしています。さらに詳しく
昭和電工マテリアルズ
旧社名は日立化成です。2020年に昭和電工が買収しました。半導体用材料、負極材、成形樹脂、蓄電池部材、カーボン、セラミックス等の分野に強みを持ちます。
昭和電工について
レゾナック・ホールディングス(昭和電工)は、1939年に設立された日本を代表する化学・素材メーカーです。戦前は森コンツェルンの中核企業でした。また設立の経緯から味の素グループとも関係が深い会社です。2020年に日立化成を買収し、日立化成は昭和電工マテリアルズとなりました。石油化学、産業ガス、高純度ガス、アルミニウム圧延、ハードディスク、黒鉛電極、パワー半導体用SiCエピウェハ、LED、モーター用のレアアース磁石合金、リチウムイオン電池材料、セラミックス製品、工業薬品など幅広い分野を手掛けています。黒鉛電極の分野では、2012年に中国のSinosteel(中国中鋼集団)より傘下の四川炭素(Sichuan Carbo)、2016年にドイツのSGLカーボンより黒鉛電極事業を買収しました。2020年の黒鉛電極の年間生産量は21万トンです。アルミ缶事業も手掛けています。
貝特瑞新能源(BTRニューエナジー、Beterui New Materials Group)
主にハイテクや新素材への投資を行う中国宝安グループ(China Baoan Group)傘下で負極材や正極材の開発生産会社です。2000年に設立されました。パナソニックやSKIが大手顧客となっています。天然グラファイトの採掘にも強みを持ちます。
上海璞泰來新能源(Shanghai Putailai New Energy、プータイライ)
中国の化学メーカーです。コーティングや包装材も手掛けています。負極材は、子会社のZichen Technology(江西紫宸)が手掛けています。CATL、BYD、AVICリチウムなどが主要顧客となっています。
カイジン(Kaijin、凱金能源)
2021年に設立された負極材メーカーです。CATL、Lishen、Penghui、Funeng、Gatewayなどへ負極材を供給しています。
ポスコケミカル
韓国の大手製鉄会社のポスコの化学子会社です。負極材などのバッテリー部材、炭素材料、耐火物や焼石灰などを手掛けています。
深圳斯諾(Sinuo)
深圳市系の負極材開発メーカーです。
シラ・ナノテクノロジーズ(Sila Nanotechnologies)
元テスラの技術者が設立した負極材の開発を行うスタートアップです。グラファイトを使用しないシリコンベースの負極材を開発しています。
参照したデータの詳細情報について
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