造船業界の世界市場シェアの分析

造船業界の世界シェア、市場規模や再編について分析をしています。ジェネラル・ダイナミクス、現代重工業(韓国造船海洋)、ハンティントン・インガルス・インダストリなど主要造船メーカーの概要も掲載しています。

【船舶の種類】

造船とは、船舶の設計・建造・修繕を行う産業であり、海上輸送や漁業、防衛などを支える重要な基幹産業です。

船舶は、大きく商船、漁船、軍艦の3つに分類されます。

  1. 商船…人や貨物を輸送する民間向けの船舶。旅客船(フェリー、クルーズ船など)、貨物船(ばら積み船、タンカー、コンテナ船など)が含まれる。
  2. 漁船…水産資源の漁獲や養殖などに使用される民間向けの船舶。
  3. 軍艦…各国の海軍や沿岸警備機関が保有し、防衛や警備任務に使用される船舶。航空母艦、潜水艦、哨戒艦・巡視船 などが含まれる。

かつて日本は、高い建造技術と生産能力を背景に世界最大の造船国として市場をリードし、1970年代から1980年代にかけて世界トップクラスのシェアを維持していました。しかし、近年では韓国や中国の造船会社が技術力や生産能力を大きく向上させています。特にLNG運搬船、大型コンテナ船、タンカーなどの分野では、韓国企業が世界市場をリードしています。

一方、日本の造船企業は、シェアは縮小しているものの、省エネルギー技術や高品質な建造技術を強みとし、防衛艦艇や特殊船を中心に競争力を維持しています。

【造船業界の世界市場シェア】

造船業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の造船業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は中国船舶集団(CSSC)、2位はジェネラル・ダイナミクス、3位は韓国造船海洋となります。

造船業界の市場シェア(2025年) ©2026 Deallab

順位 Company name
(English)
企業名(日本語) 市場シェア
1位 China State Shipbuilding* 中国船舶集団(CSSC)* 11.58%
2位 General Dynamics ジェネラル・ダイナミクス 10.07%
3位 Korea Shipbuilding & Offshore Engineering 韓国造船海洋 8.19%
4位 Huntington Ingalls Industries ハンティントン・インガルス・インダストリーズ 7.52%
5位 Hanwha Ocean* ハンファオーシャン* 5.19%
6位 Fincantieri フィンカンティエリ 4.64%
7位 Samsung Heavy Industries サムスン重工業 4.22%
8位 BAE Systems BAEシステムズ 3.35%
9位 Imabari Shipbuilding* 今治造船* 2.52%
10位 Damen Shipyards Group* ダーメン・グループ 2.29%
11位 Japan Marine United ジャパンマリンユナイテッド* 1.51%
12位 Tsuneishi Shipbuilding 常石造船 1.00%
13位 Ooshima Shipbuilding* 大島造船所* 0.82%
14位 Kawasaki Heavy Industries 川崎重工 0.41%
15位 Mitsubishi Shipbuilding* 三菱造船* 0.26%
造船企業の世界市場シェアと業界ランキング(2025年) ©2026 Deallab
*…売上高は公開されている新聞・業界紙等の報道に基づく

主要企業のランキングから、世界の造船業界が防衛向け造船と商船向け造船の二極化を強めていることが読み取れます。2位のジェネラル・ダイナミクス、3位のハンティントン・インガルス、7位のBAEシステムズと軍艦を主力とする欧米企業が上位に入っており、防衛費拡大を背景に存在感を高めています。

一方、商船分野では韓国造船海洋、ハンファオーシャン、サムスン重工業といった韓国勢が引き続き高い競争力を維持しており、LNG船や大型商船を中心に世界市場をリードしています。

そして、ランキング首位のCSSC(中国船舶工業)は、単なる商業造船大手にとどまらず、中国海軍向けの軍艦も大量に製造しており、商船と防衛の双方で圧倒的な規模と存在感を放っています。

また、日本勢は今治造船やジャパンマリンユナイテッド、大島造船所、常石造船など複数社がランクインしているものの、いずれもシェアは限定的です。かつて世界市場を牽引した日本造船業は、韓国・中国との価格競争や国内需要の縮小などを背景に世界市場での存在感が低下しており、高付加価値船や環境対応船へのシフトが今後の競争力維持の鍵となっています。

【造船業界の世界市場規模】

当データベースでは、2025年の造船業界の市場規模を1665億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社アイマークグループとリサーチ・アンド・マーケットによると、2025年の同業界の市場規模は1665億ドルです。2034年にかけて年平均2.87%で成長し、規模は2164億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模 年平均成長率
2025 1655億ドル
2034 2164億ドル 2.87%
造船業界の世界市場規模の年平均成長率見込み(2025年) ©2026 Deallab

造船業界の市場規模の予想成長推移 ©2026 Deallab

【M&Aの動向】

近年の造船業界では、業界再編や事業統合による競争力強化が世界的に進んでいます。

2013年 ユニバーサル造船とIHIマリンユナイテッドが経営統合してジャパンマリンユナイテッドが誕生
2019年 中国船舶工業集団(CSSC)と中国船舶重工集団(CSIC)が経営統合
2021年 三菱重工業が造船大手である三井E&Sの艦艇・官公庁船事業を買収
2021年 JMUと今治造船が共同出資会社「日本シップヤード(NSY)」を設立
2023年 大宇造船海洋が韓国防衛大手Hanwha Groupに買収され、ハンファオーシャンに改名
2024年 韓国造船海洋が舶用エンジン・機械メーカーのSTX重工を買収
2024年 フィンカンティエリが伊造船無益機メーカーRemazel Engineeringを買収
2024年 常石造船が三井E&Sから「三井E&S造船」の全株式を取得し完全子会社化
2025年 フィンカンティエリが伊の防衛・航空宇宙メーカーLeonardoのUAS(水中兵器)事業を買収
2025年 中国船舶集団(CSSC)と中国重工が合併
2026年 今治造船がJMUへの出資比率を60%まで引き上げ、子会社化

【会社の概要】

China State Shipbuilding(中国船舶集団公司、CSSC)

2019年10月に、中国の造船1位と2位である中国船舶工業集団(CSSC)と中国船舶重工集団(CSIC)が経営統合をして誕生しました。旧CSSCは中国に本拠を置く国営の造船会社で、中国の南部を地盤としていました。祖業の舶用ディーゼルエンジンメーカーにも強みをもちます。CSICは中国北部を地盤としていました。さらに詳しく

アメリカの世界的な航空宇宙・防衛会社です。ビジネス航空、船舶の建造と修理、陸上戦闘車両、兵器システムおよび軍需品、技術製品およびサービスの分野で製品とサービスを提供しています。原子力潜水艦を建造できる2社のうちの1社です。さらに詳しく

Korean Shipbuilding & Offshore Enineering (韓国造船海洋)

2019年に現代重工業の造船部門が分社化して誕生しました。 グループ会社にFPSOやLNGタンカー等に強みを持つ現代三湖重工業(Hyundai Samho Heavy Industries)を有しています。さらに詳しく

アメリカ合衆国の造船会社です。アメリカ海軍の原子力空母の設計・建造・燃料交換が行える唯一の造船所であり、原子力潜水艦を建造できる2社のうちの1社(もう1社はジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート)でもあります。さらに詳しく

韓国を代表する総合造船会社の一つです。2023年に韓国の防衛・航空宇宙大手であるハンファグループが大宇造船海洋(Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering:DSME)を買収し、現在の社名へと変更されました。LNG運搬船やコンテナ船、タンカーなどの商船に加え、潜水艦や駆逐艦などの艦艇も手掛ける造船メーカーです。現在は、商船事業と防衛事業の両輪で事業を展開し、環境対応船や海洋エネルギー関連分野の強化にも注力しています。さらに詳しく

Fincantieri(フィンカンティエリ)

トリエステに本社をおくイタリアの造船会社で、1959年に設立されました。
商船、客船、艦船の建造に加え、改造や修理等も積極的に行っています。さらに詳しく

Samsung Heavy Industries(サムスン重工業、SHI)

韓国の造船大手です。サムスングループの1社です。ドリルシップの分野に強みを持っています。さらに詳しく

BAE Systems(BAEシステムズ)

1999年に設立されたイギリスの国防・情報セキュリティ・航空宇宙関連企業です。高度軍事防衛と宇宙航空システムの開発、製造、サポートを手掛けています。さらに詳しく

愛媛県今治市に本社を置く日本最大の非上場造船会社です。2021年に業界2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)と共同出資で、日本シップヤード(NSY)を設立し、LNG船を除く一般商船・海洋浮体構造物の設計・営業機能を統合しました。さらに2026年にはJMUへの出資比率を60%まで引き上げて子会社化し、日本の造船業界再編をリードしています。さらに詳しく

造船と修理ヤードに従事しているオランダの企業です。6,500隻以上の船舶を建造してき武実績があり、年間175隻以上の船舶を引き渡せる能力を有しています。5大陸に35か所の造船所を持ち、世界のほぼ全域で船舶の整備・修理ができることでも知られています。さらに詳しく

日立造船、石川島播磨重工業、JFE(旧日本鋼管)、住友重機械の造船部門が集結して誕生した造船会社です。2020年に今治造船との資本提携を発表し、「日本シップヤード株式会社」が誕生しました。2026年、今治造船の子会社となりました。さらに詳しく

アジアを拠点にばら積み貨物船、タンカー、木材チップ運搬船、コンテナ運搬船など、市場のニーズを捉えた多様な船舶を開発・建造しています。さらに詳しく

大島造船所は長崎県西海市に本社を置く造船会社です。中小型のばら積み貨物船(バルクキャリア)の建造を主力事業としており、この分野では世界トップクラスの生産性と技術力を持つ日本有数の造船メーカーとして知られています。さらに詳しく

Kawasaki Heavy Industries(川崎重工)

1896年に松方正義の支援によって川崎正蔵氏によって設立された川崎築地造船所を源流とする日本を代表する宇宙防衛・重電大手メーカーです。戦前の神戸川崎財閥には、川崎造船(川崎重工)の他に、川崎汽船、川崎製鉄(JFE)が属していました。技術者の育成には定評があります。現在は、防衛、航空エンジン、鉄道車両、プラント、油圧機器、溶接やシリコンウエハの搬送等の産業用ロボット、造船、中大型バイク、オフロード四輪車、パーソナルウォータークラフト(ジェットスキーの商標で展開しています)、汎用エンジンを開発製造しています。さらに詳しく

Mitsubishi Shipbuilding(三菱造船)

三菱重工グループの造船会社です。商船の建造は縮小し、現在はLNG・LPG運搬船などのガス船やフェリー、防衛・官公庁向け船舶、海洋・環境関連設備を中心に事業を展開しています。2021年には三井E&Sホールディングスから艦艇・官公庁船事業を取得し、防衛・公共分野の事業基盤を強化しています。さらに詳しく

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