イースト菌・酵母業界の世界シェアや市場規模について分析しています。
近年の酵母業界は、パン酵母だけでなく、酵母エキスや栄養酵母、工業用酵母など多様な用途で市場が拡大しています。
本記事では、ルサッフル、ABマウリ、ラレマン、エンジェルイースト、オリエンタル酵母といった主要メーカーの動向を踏まえ、2025年時点の世界市場構造を整理しています。なお、売上数値が公表されていない企業は本ランキングの対象外としております。
【イースト菌とは】
イースト菌とは、酵母菌の中でも特に発酵力が強い菌の総称で、パン、ビール、ワイン、しょうゆ、みそなどの製造に欠かせない存在です。一般的にはパンの発酵に使われるパン酵母を指しますが、酵母は食品素材や工業用途にも広く利用されています。
近年は、酵母を分解して得られる「酵母エキス」が代替肉・ヴィーガン食品の風味付けやクリーンラベル対応の天然うま味素材として需要を伸ばしています。天然に存在する酵母菌を利用したものは天然酵母と呼ばれ、パン製造向けには乾燥させたドライイーストが広く使用されています。
【イースト菌・パン酵母業界の市場シェア+ランキング】
イースト菌・酵母業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年のイースト菌・酵母業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はルサッフル、2位はエンジェルイースト、3位はABマウリとなります。
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| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Lesaffre | ルサッフル | 38.56% |
| 2位 | Angel | エンジェルイースト | 18.03% |
| 3位 | AB Mauri | A Bマウリ | 16.49% |
| 4位 | Lallemand | ラレマン | 15.46% |
| 5位 | Oriental Yeast | オリエンタル酵母 | 4.95% |
2025年の世界イースト菌・酵母市場は、フランス、中国、英国、カナダ、日本の主要企業が牽引しており、上位企業が世界シェアの大半を占める構造となっています。総合的な酵母市場として、パン酵母だけでなく、酵母エキスや栄養酵母、工業用酵母などを含めた事業ポートフォリオが各社の競争力を左右しています。
1位はフランスの Lesaffre(ルサッフル)です。
2025年も世界最大級の酵母メーカーとして首位級のポジションを維持しています。近年は M&A や提携を通じて、伝統的な製パン用酵母にとどまらず、高付加価値な食品原料やバイオテクノロジー領域へと事業を拡大しています。発酵技術や合成生物学を活用したソリューションにより、植物性代替肉の風味向上やクリーンラベル(無添加・天然由来)志向の食品市場で存在感を高めています。
2位は中国最大の酵母メーカー、Angel Yeast(エンジェルイースト)です。
急成長するアジア市場の需要を取り込みつつ、エジプトやロシア、インドネシアなどグローバルな製造拠点を拡大しています。酵母エキスや栄養酵母を中心に、クリーンラベル対応の食品原料や酵母タンパク質製品(AngeoPro など)の供給を強化しており、代替肉・植物性食品分野での存在感を高めています。
3位は英国の AB Mauri(ABマウリ)です。
英国の ABF(Associated British Foods)グループのベーカリー原料・酵母事業を担い、世界50か国以上で展開しています。過去の買収や事業統合を通じて欧州の製パン・ピザ用原料事業を強化し、酵母と改良剤、ミックス粉などを組み合わせた製パン総合ソリューションとしての地位を固めています。
4位はカナダの Lallemand(ラレマン)です。
醸造酵母、栄養酵母、イーストエキス、発酵技術など多様な事業を展開するグローバル酵母メーカーです。特にワイン・ビールなどの醸造用酵母や、ヘルスケア・動物栄養・植物分野におけるバイオ発酵ソリューションに強みを持ち、専門性の高い市場で高いシェアを獲得しています。
5位は日本の Oriental Yeast(オリエンタル酵母工業)です。
日清製粉グループ本社傘下の酵母・食品素材メーカーであり、国内では製パン向け酵母の主要サプライヤーとして知られています。長年培った酵母培養技術をベースに、パン酵母だけでなく酵母エキスなどの食品素材事業を展開しており、国内市場を中心にアジア圏などへの展開も進めています。
【イースト菌・パン酵母業界の世界市場規模】
当データベースでは、2025年のイースト菌・パン酵母業界の市場規模を97億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社TRANSPARENCY MARKET RESEARCHによると、2025年の同業界の市場規模は97億ドルでした。2036年にかけて年平均5.1%で成長し、2036年には169億ドルへと拡大することが見込まれています。
| 年 | 市場規模 | 成長率見込み |
| 2025 | 97億ドル | – |
| 2036 | 169億ドル | 5.1% |

【M&Aの動向】
2019年 ABマウリイタリアがイタルミルを買収
2020年 Lesaffre、Biohymnを買収
2022年 Lesaffre、Recombiaを買収
2022年 Lesaffre、Bioriginを買収
2024年 Lesaffre、DSM-Firmenichの酵母エキス事業を買収
【会社の概要】
Lesaffre(ルサッフル/フランス)
Lesaffre は1853年創業のフランス本社のグローバル酵母メーカーで、パン酵母、イーストエキス、発酵技術、栄養酵母など幅広い事業を展開しています。
世界80か国以上で事業を行い、製造拠点は50以上。2024年には DSM-Firmenich のイーストエキス事業を買収し、食品原料領域をさらに強化。公式サイトでは「発酵の力でより良い食と健康を支える」ことを掲げています。
AB Mauri(ABマウリ/英国)
AB Mauri は英国のアソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ(ABF)傘下のベーカリー原料・酵母メーカーで、世界50か国以上で事業を展開しています。
パン酵母、改良剤、ミックス粉などを提供し、製パン産業向けの総合ソリューション企業として位置づけられています。起源は豪州 Burns Philp と ABF の合弁事業で、現在は ABF の Ingredients 部門の中核企業。公式サイトでは「ベーカリーの革新を支えるグローバルパートナー」を掲げています。
Angel Yeast(エンジェル/中国)
Angel Yeast は1986年設立、湖北省宜昌市に本社を置く中国最大の酵母メーカーです。
パン酵母、イーストエキス、栄養酵母、健康食品原料、発酵技術など幅広い事業を展開し、世界160か国以上に製品を供給しています。近年は食品原料事業が急成長し、海外工場(エジプト・ロシア・インドネシア)も拡大。公式サイトでは「酵母と発酵技術で世界の食と健康に貢献する」ことを掲げています。
Lallemand(ラレマン/カナダ)
Lallemand は1915年創業、カナダ・モントリオール本社の家族経営(Chagnon家)によるグローバル酵母メーカーです。
パン酵母、醸造酵母、栄養酵母、イーストエキス、微生物製剤、発酵技術など多岐にわたる事業を展開。世界に80以上の生産・研究拠点を持ち、食品、飼料、バイオ発酵、ワイン・ビールなど幅広い産業を支えています。公式サイトでは「微生物の力でより良い世界を創る」を掲げています。
Oriental Yeast(オリエンタル酵母/日本)
オリエンタル酵母工業は1947年創業、日清製粉グループ本社の傘下企業で、パン酵母、酵母エキス、食品素材、微生物製剤、飼料用酵母などを製造しています。
国内では製パン向け酵母の主要メーカーであり、食品素材(酵母エキス)の研究開発力に強みを持ちます。公式サイトでは「酵母と微生物の力で食と健康に貢献する」を掲げ、研究開発型企業としての姿勢を強調しています。
Pakmaya(パクマヤ/トルコ)
Pakmaya はトルコの Pak Group(旧称:Pak Holdings)傘下の酵母メーカーで、1973年に設立。生イースト、ドライイースト、インスタントイースト、ベーカリー改良剤、イーストエキスなどを製造し、世界80か国以上に輸出しています。
トルコ国内に3つの酵母工場を持ち、年間生産能力は世界最大級。公式サイトでは「世界中のパン文化を支える酵母メーカー」として、品質と価格競争力を強みとしています。
