ナブテスコの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

ナブテスコは、日本を代表する自動ドアメーカーです。鈴木商店を源流とするナブコと帝人製機が経営統合をして誕生しました。自動ドアでは国内最大手です。「NABCO」「GILGEN」というブランドで建物用自動ドア、特殊用途向け自動ドア、産業用自動ドア自動ドアを日米欧アジアで展開しています。自動ドア以外にも鉄道車両用機器のブレーキ装置、産業用ロボット関節、ドア開閉装置等に強みを持ちます。2011年にはスイスのカバより自動ドア事業(ギルゲン・ドア・システム(Gilgen Door Systems))を買収しています。

業績推移

2019年度
売上高は289,808百万円で、前年度比2%減となりました。営業利益は25,320百万円になりました。営業利益率は9%になりました。自動ドア事業が好調に推移した一方、米中貿易摩擦等による設備投資の低迷により精密減速機の需要が減少したこと等により、売上高は減少しました。

2020年度
売上高は279,358百万円で、前年度比4%減となりました。営業利益は28,533百万円になりました。営業利益率は10%になりました。多くの事業分野で新型コロナウイルス感染拡大による世界的な経済活動の停滞の影響を受けました。建設 機械向け油圧機器が中国において好調に推移しましたが、自動ドア事業、航空機器事業、商用車用機器事業では、新型コロナウイルスによる移動制限等で各市場において需要が減少し、売上高は減少しました。

2021年度
売上高は299,802百万円で、前年度比7%増となりました。営業利益は30,017百万円になりました。営業利益率は10%になりました。国内外で移動制限の影響が継続したことにより航空機器、鉄道車両用機器では需要が減少したものの、産業用ロボット向け精密減速機では、自動車産業を中心とした世界的な設備投資が旺盛であったこと、及び建設機械向け油圧機器においても、中国市場における上半期での高い需要等が貢献し、売上高は増加しました。

2022年度
売上高は308,691百万円で、前年度比3%増となりました。営業利益は18,097百万円になりました。営業利益率は6%になりました。建設機械向け油圧機器において中国市場での需要が大幅に減少したものの、産業用ロボット向け精密減速機において高い需要が継続したことに加え、円安による為替効果もあり売上高は増加しました。

2023年度
売上高は333,631百万円で、前年度比8%増となりました。営業利益は17,376百万円になりました。営業利益率は5%になりました。航空機器において民間航空機や防衛省向けでの需要回復が見られたこと、また舶用機器では新造船向け及び環境規制対応でのMRO需要が好調であったことに加え、自動ドア事業では国内での建物用ドアの堅調な需要及び海外市場での為替効果により、売上が増加しました。営業利益の減少は、トランスポートソリューション事業では増収増益となり、またアクセシビリティソリューション事業においは国内連結子会社に係る土地建物交換差益を計上した一方、コンポーネントソリューション事業では下期での需要減少に加え、人件費や電力価格の高騰と価格転嫁の遅れがあり、さらに、トランスポートソリューション事業ではOVALO社に係る固定資産の減損損失を計上したことと、アクセシビリティソリューション事業では Gilgen社に係るのれんの減損損失したことが要因です。

ナブテスコの業績推移

ナブテスコの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は82,193百万円になりました。営業利益は5,779百万円、営業利益率は7%になりました。精密減速機において産業用ロボット向けの高い需要が継続したことに加え、航空機器、舶用機器でも需要が好調であったことから、売上高は前年同期比で17%増加しました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は80,804百万円になりました。営業利益は2,911百万円、営業利益率は4%になりました。第2四半期連結累計期間の業績は、精密減速機においてEV関連への設備投資による大型産業用 ロボット向けの高い需要が継続したことに加え、航空機器での需要が順調に回復し、舶用機器でも需要が好調であ ったことから、売上高は、前年同期比で15%増加し、営業利益については、10%増加しました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は80,587百万円になりました。営業利益は4,258百万円、営業利益率は5%になりました。精密減速機部門において上半期に自動化設備投資による産業用ロボット向け需要が堅調であったことに加え、航空機器及び舶用機器でも需要が好調であったことから、今期までの累計売上高は、前年同期比11%増となりました。今期までの累計営業利益は、コンポーネントソリュ ーション事業での調達費増加等の影響を受けたものの、他セグメントでの増益により13%増加しました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は90,047百万円になりました。営業利益は4,428百万円、営業利益率は5%になりました。売上高は前年同期比でほぼ同額となりました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は72,181百万円になりました。営業利益は3,991百万円、営業利益率は6%になりました。自動ドアにおいて好調な国内外の建物用ドア需要や海外事業での為替効果があったことに加え、航空機器においては民間・防衛向けとも に需要が伸びたことにより前年同期比で増収となりましたが、コンポーネントソリューション事業では大幅な需要減少により減収となりました。営業利益はトランスポートソリューション事業やアクセシビリティソリューション事業での増収による増益はあっ たものの、コンポーネントソリューション事業での減収による減益の影響が大きく、前年同期比で31%減少となりました。

ナブテスコの業績推移

ナブテスコの業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比54%増の121.23円になりました。1株当たりの配当は前年度比3%増の80円になりました。配当性向は66%になりました。

ナブテスコのEPS・配当額・配当性向の推移

ナブテスコのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年4月
2024年度第一四半期の決算短信において、2024年度通期の売上は323,700百万円、営業利益は13,500百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、精密減速機、油圧機器 、鉄道車両用機器、航空機器、商用車用機器、舶用機器 、自動ドア 、包装機に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ナブテスコの売上構成(2023年度)

ナブテスコの売上構成(2023年度)

精密減速機
精密減速機は産業用ロボットの動作をコントロールする部品です。同社によれば、中大型産業用ロボット関節用途では同社の精密減速機は世界シェア60%です。

油圧機器
油圧機器では、パワーショベルを動かす走行ユニット、各種アクチュエーターを制御するコントロールバルブを製造しています。同社によれば、パワーショベル用走行ユニットの世界シェアは25%です。

鉄道車両機器
鉄道車両用機器
鉄道車両機器では、ブレーキシステムやドア開閉装置を手掛けています。

航空機部品
航空機部品では、機体コントロールの中核となる操縦系統システム(フライト・コントロール・アクチュエーション・システム)を手掛けています。

商用車用機器
商用車用機器では、エアブレーキ製品、乗用車用油圧クラッチ製品を手掛けています。

船舶用機器
船舶用機器では、主推進機遠隔制御装置を手掛けています。レトルト食品用充填包装機や自動ドアも手掛けています。

自動ドア
自動ドアでは、建物用自動ドア、プラットホーム用可動柵やスクリーンドア、福祉機器等を手掛けています。

包装機
包装機では、産業用自動包装機を手掛けています。

M&A情報

2015年 油圧機器事業を行うハイエストコーポレーションを東芝機械から買収
2016年 商用車用コンプレッサーメーカーITG Serienfertigung Fahrzeugteile GmbHとITG Kompressoren GmbH を買収
2017年 ギアボックスやあらゆる種類の電動モーターなどの駆動要素、および関連する制御装置、ソフトウェア、センサー、電子部品、その他の付属品の開発、製造、販売を専門とする OVALO GmbH を買収
2021年 食品およびペットフード包装のシール検査システムメーカー Engilico グループを買収
2023年 フランス自動ドア販売会社の Copas Systèmes SASを買収
2023年 AIを活用した船舶向けソリューションを提供する Deep Sea Technologies を買収

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