オイルメジャー・石油開発業界の世界市場シェアの分析

原油、石油やガスを開発生産する企業(オイルメジャー)の世界市場シェア、埋蔵量や業界再編についての情報を分析をしています。サウジアラムコ 、ガスプロム 、ペトロブラス、イラン国営石油、 シノペックといった世界大手石油ガス開発会社の一覧も掲載しています。

世界市場シェア

石油ガス開発業界の世界市場シェア(売上高ベース、2020年)

石油ガス開発会社各社の2020/2019年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、下記に記載の市場規模を分母にして、市場シェアを計算すると、2020年の石油ガス開発業界の世界シェア1位は中国のペトロチャイナ、2位はサウジアラビアのサウジアラムコ、3位は米国のシェルとなります。

  • 1位 ペトロ・チャイナ 12.95%
  • 2位 サウジアラムコ 10.26%
  • 3位 シェル 8.06%
  • 4位 BP 8.05%
  • 5位 エクソン・モービル 7.97%
  • 6位 トタル 5.34%
  • 7位 ロスネフチ 5.31%
  • 8位 イラン国営石油 4.91%
  • 9位 ガスプロム 4.79%
  • 10位 シェブロン 4.22%
  • 11位 レプソル 2.64%
  • 12位 プルタミナ 2.43%
  • 13位 ペトロブラス 2.40%
  • 14位 ベネズエラ国営石油公社 2.14%
  • 15位 ぺメックス 2.09%
  • 16位 エクイノール 2.04%
  • 17位 ENI 2.00%
  • 18位 ペトロナス 1.99%
  • 19位 シノペック 1.41%
  • 20位 中国海洋石 1.04%
  • 21位 コノコフィリップス 0.84%
  • 22位 オキシデンタル・ペトロリアム 0.79%
  • 参照 国際石油開発帝石 0.41%

2020年もペトロチャイナがシェルとサウジアラムコを抑え世界1位となりました。GDPの成長を続ける中国の強さを物語っています。2位のサウジアラムコは、原油埋蔵量、原油生産量等では世界断トツの1位です。3位、4位、5位、6位、10位は、米国シェア、英国BP、米国エクソン・モービル、仏トタル、米国シェブロンと世界メジャーがしのぎを削っています。7位は、ロシアの国営石油会社であるロスネフチが入っています。BPが20%を出資しています。8位には埋蔵量では世界有数を誇るイラン国営石油が入っています。米国の経済制裁下が成長の重しとなっています。9位には、世界最大の天然ガス埋蔵量を誇るロシアのガスプロムです。ロスネフチとガスプロムは戦略的な提携を締結しています。11位以下も各国を代表する石油ガス会社がランクインしています。

1位 ペトロ・チャイナ
2位 シェル
3位 サウジアラムコ
4位 BP
5位 エクソン・モービル
6位 トタル
7位 シェブロン
8位 ロスネフチ
9位 イラン国営石油
10位 ガスプロム
11位 ENI
12位 ぺメックス
13位 エクイノール
14位 アブダビ国営石油
15位 ペトロナス
16位 ペトロブラス
17位 レプソル
18位 ベネズエラ国営石油公社
19位 コノコフィリップス
20位 中国海洋石
21位 シノペック
22位 オキシデンタル・ペトロリアム
参考 国際石油開発帝石

石油ガス開発業界の世界市場シェア(生産量ベース、2020年)

石油・ガス開発会社の2020年の原油換算生産量(日量、⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、下記に記載の市場規模を分母にして、2020年の原油生産量ベースの石油・ガス開発会社の市場シェアを計算すると以下の通りとなります。石油・ガス開発業界の生産量ベースの世界シェア1位はサウジアラムコ、2位はロシアのガスプロム、3位はロスネフチとなっています。

  • 1 位 サウジアラムコ 10.0%
  • 2 位 ガスプロム 8.7%
  • 3 位 ロスネフチ 6.3%
  • 4 位 イラン国営石油 5.0%
  • 5 位 エクソン・モービル 4.1%
  • 6 位 シェル 3.7%
  • 7 位 シェブロン 3.4%
  • 8 位 トタル 3.3%
  • 9 位 ベネズエラ国営石油公社 2.7%
  • 10 位 BP 2.6%
  • 11 位 ぺメックス 2.6%
  • 12 位 ペトロブラス 2.6%
  • 13 位 ペトロナス 2.4%
  • 14 位 エクイノール 2.3%
  • 15 位 ENI 1.8%
  • 16 位 ペトロ・チャイナ 1.7%
  • 17 位 中国海洋石 1.5%
  • 18 位 コノコフィリップス 1.2%
  • 19 位 オキシデンタル・ペトロリアム 1.1%
  • 20 位 プルタミナ 1.0%
  • 21 位 レプソル 0.8%
  • 22 位 国際石油開発帝石 0.4%
  • 23 位 シノペック 0.4%

こちらは売上高と異なり、原油・ガスの生産量ランキングなので、純粋な上流領域での事業規模の比較ができます。ロシアのガスの覇者ガスプロムと原油の覇者ロスネフチが、サウジアラムコを追い上げます。イラン国営石油は、オイルメジャーを上回る規模です。9位には、原油埋蔵量世界1位で超重質油の比率が多いベネズエラ国営石油公社が入っています。売上高市場シェアに比べて、中国の石油メジャー(ペトロ・チャイナや中国海洋石油)の順位が低いことから、中国勢は上流分野よりも石油化学等の下流分野に強みを持つことが分かります。

1位 サウジアラムコ
2位 ガスプロム
3位 ロスネフチ
4位 イラン国営石油
5位 エクソン・モービル
6位 シェル
7位 シェブロン
8位 トタル
9位 ペトロブラス
10位 BP
11位 ベネズエラ国営石油公社
12位 ペトロナス
13位 ぺメックス
14位 エクイノール
15位 ENI
16位 ペトロ・チャイナ
17位 中国海洋石油
18位 コノコフィリップス
19位 オキシデンタル・ペトロリアム
20位 プルタミナ
21位 レプソル
22位 国際石油開発帝石
23位 シノペック

石油業界の構造

石油産業は大きく原油の開発(探鉱・採掘)に関わる上流と、原油の精製やガソリンなどの石油製品の販売を手掛ける下流があります。欧米の石油メジャーは上流・下流ともに手掛けており、石油産業を理解する上では、こうした石油メジャーの動向を理解することが非常に大切になります。
出典:15分で石油業界を理解しよう!

石油業界の業界再編

現在の欧米の石油メジャーの源流は、かつて石油産業を独占したスタンダード・オイル・トラストの末裔とも言うべき会社です。スタンダード・オイル・トラストは1911年に7社に分割されますが、セブン・シスターズと言われ、その7社は数々の再編を経て、現在の欧米メジャーのエクソンモービル、BP、シェブロン、ロイヤル・ダッチ・シェルの源流になっています。
1960年に設立されたOPEC(石油輸出国機構、Organization of the Petroleum Exploring Countries)による原油価格の統制や、1970年代の中東の産油国による石油会社や鉱区の国有化が大きな影響を及ぼしました。こうした地政学リスクも業界再編に影響を及ぼします。石油価格が下落した1999年~2002年にかけて石油メジャー同士の再編が頻発しています。最近の石油価格の下落が業界再編に与える影響には注目です。

  • 1984年:米国のSoCalとGulfの合併
  • 1998年:英国のBPと米国のAmocoが合併が合併してBP Amocoが誕生
  • 1999年:フランスのTotalとベルギーのPetro Finaが合併してTotalFinaが誕生
  • 1999年:米国のExxonとMobilが合併してExxon Mobilが誕生
  • 2000年:BP Amocoが米国のArcoと経営統合をしてBPが誕生
  • 2000年:TotalFinaとElf Aquitaineが経営統合をしてTotalが誕生
  • 2001年:ChevronとTexacoが経営統合をしてChevronが誕生
  • 2009年:エクソンモービルによるXTOエナジーの買収
  • 2013年:中国CNOOCがカナダのネクセンを買収
  • 2015年:ロイヤル・ダッチ・シェルによるBGの買収
  • 2016年:エクソンモービルよるインターオイルの買収
  • 2017年:フランスのトタルによるAPモラーマースクの石油上流権益の買収
  • 2017年:フランスのトタルによるエンジーのLNG事業の買収
  • 2017年:エクソンモービルによるモザンビークの天然ガス事業のイタリア・エネルからの買収
  • 2018年:フランスのトタルによる電力供給会社のディレクト・エネルジーの買収

市場規模の分析

本サイトでは2019年の石油ガス業界(上流+下流)の金額ベースの市場規模を3.44兆ドル、2020年を2.24兆ドルとしています。調査会社のIBISによれば2019年と2020年の石油・ガスの開発市場の規模は約3兆ドルと1.8兆ドルです。一方、調査会社のグランビューリサーチによれば、2019年の石油化学業界の世界市場規模は4410億ドルです。 US Energy Information Administrationによれば、2019年、2020年の年間原油生産量は原油換算101百万バレル、92百万バレル / 日(mmboed)とされています。⇒参照したデータの詳細情報

ショートタームエナジーアウトルック
ショートタームエナジーアウトルック 出所eia

原油埋蔵量は約1兆7千億バレル程度と推計されます。地域別の埋蔵量の分布では中東が約50%、南米20%、北米15%、欧州とアフリカが其々8%、アジア数%程度と言われています。

原油価格推移(ブレント原油)

原油価格には、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)、北海のブレント油田のブレント原油、アラブ首長国連邦のドバイ原油に基づく価格があります。WTI主に米国における原油指標、ブレントは欧州、アジアはドバイ原油が価格指標となっています。




日本の石油権益と石油メジャーの権益の比較

日本の大手商社やインペックス(国際石油開発帝石)が束になっても石油持分権益では、大手石油メジャーの足元にも及びません。なお、2016年と2017年の日本の商社の石油換算の持分生産量は以下の通りです。

三井物産 24.4
三菱商事 17.9
丸紅 3.3
伊藤忠 3.2
双日 1.4
住友商事 0.7

三井物産 24.3
三菱商事 18.8
丸紅 2.8
伊藤忠 3.3
双日 1.6
住友商事 0.8

なお、国際石油開発帝石は日量40-50万バレル前後なので、世界ランキングで20位前後となります。
他に、2005年に石油公団の後継として誕生したJOGMEG(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)といった石油、天然ガスや鉱物の探鉱・備蓄や技術開発等を行う独立行政法人等はありますが、日本の石油会社はほとんどが下流分野やナフサや重油等の石油化学分野に特化しています。

世界の石油会社の動向

Saudi Aramco(サウジアラムコ)

サウジアラビアの国営石油会社です。世界三大国営石油会社(NOC)の一角です。原油生産量ではエクソンモービルの3倍超、埋蔵量では20倍と圧倒的存在感を示しています。

Gazprom(ガスプロム)

ロシアの国営エネルギー会社です。世界三大国営石油会社(NOC)の一角です。ガス確認埋蔵量は全世界の20%弱、ロシアの70%超を占めるといわれており、非常に大きな影響力を持っています。国営石油会社のロスネフチとシブネフチを買収しています。

Royal Dutch Shell(ロイヤル・ダッチ・シェル)

英蘭石油メジャーです。民間石油メジャーとしてエクソン・モービル、BPと覇権を競っています。

Exxon Mobil(エクソン・モービル)

米に本拠を置く石油メジャーです。1999年にエッソとモービルが合併して誕生しました。

BP(British Petroleum、ビーピー)

英に本拠を置く石油メジャーの一角です。2015年に英ガス大手のBGを買収しました。

中国石油天然気集団公司

China National Petroleum Corporationの略称であるCNPCがよく使われています。中国政府系の国営石油会社。子会社に石油会社の事業を行うPetro China(中国石油)を保有しています。SinopecとCNOOCと併せて、中国の3大石油会社と言われています。

Chevron(シェブロン)

米カリフォルニア州に本拠を置く石油メジャーの一角です。ガルフオイルやテキサコを買収し上位3強入りを狙っています。2019年には、独立系の米石油大手アナダルコを買収しました。買収総額は500億ドルです。

TOTAL(トタル)

仏に本拠を置く石油メジャーの一角です。地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定に沿う形で、近年はガス・電力のバリューチェーンを拡大しています。2018年に電力供給会社である仏ディレクト・エネルジーを買収しました。脱化石燃料を明確にするために、2021年に社名をTotal Energies(トタル・エナジーズ)へと変更しました。

ConocoPhillips(コノコフィリップス)

米ヒューストンに本拠。2002年にコノコとフィリップスが合併して誕生しました。

ENI(イーエヌアイ)

1926年にイタリア石油公団として設立された政府系の総合エネルギー会社です。現在のイタリア政府の持分は30%です。関連会社に石油やガス油田開発の大手エンジニアリング会社であるサイペム(Saipem)があります。

Petronas(ペトロナス)

マレーシアの国営石油会社です。

Petrobras(ペトロブラス)

ブラジルを代表する半官半民の石油会社です。政府との癒着は政治問題化し、2015年には経営陣の刷新が行われました。ブラジルの深海沖での石油開発はFPSOを利用するため、日本のMODEC(三井海洋開発)と協業を行っています。

中国海洋石油总公司CNOOC(China National Offshore Oil Corporation、中国海油)

中国国営の総合エネルギー会社で海洋の権益に強みを持ちます。カナダの大手エネルギー会社であるネクセンを買収しています。

Sinopec(China Petrochemical Corporation、シノペック)

中国国営の三大総合エネルギー会社の一角です。

Sinochem(シノケム、中国中化集団)

中国国営の化学会社です。2021年にシノペックと経営統合をしました。

Petróleos de Venezuela(ペトロレオス、ベネズエラ国営石油公社)

ベネズエラの国営石油会社です。API比重で原油を分類したときに26度以下の超重質油が産出されることが特徴ですが、開発技術の導入等が遅れています。

台湾中油

台湾の国営石油会社です。中華民国政府によって設立された中国石油公司(China Petroleum Corp)が起源となります。

Pemex(ぺメックス)

メキシコに本拠を置く国営石油会社です。

National Iranian Oil Company(イラン国営石油、 NIOC)

イランの国営石油会社です。世界三大国営石油会社(NOC)の一角です。

Pertamina(プルタミナ)

インドネシアの国営石油・ガス会社です

OAO Rosneft(ロスネフチ)

ロシアの大手国営石油会社です。2017年に石油商社業界大手のトラフィギュラと組み、インドのエッサールグループより石油精製所及び給油会社を1兆4千億円で買収しています。

エクイノール

Equinor(エクイノール)は、ノルウェーの国営石油会社です。旧Statoil(スタトイル)です。石油ガス開発とリニューアブル発電事業に注力をしています。今後のエネルギー転換に備え、2018年に社名からオイルを外す形で社名変更を行っています。

Marathon Oil (マラソンオイル)

米民間の独立系石油会社です。

Occidental Petroleum Corporation(オキシデンタル・ペトロリアム)

1920年に故アーマンド・ハマー氏によってカリフォルニアで創業された米の独立系石油会社です。2019年に米国の独立系の石油開発会社であるアナダルコをシェブロンを退けて、570億ドル(6兆2700億円)で買収しました。アナダルコも保有していたシェールオイルの有力油田のあるパーミアンにおける権益確保を、同油田に権益を持つシェブロンとオキシデンタル・ペトロリアムが競った形での買収合戦といわれています。

Apache Corporation(アパッチ)

1954年にレイモンド・プランクによって創業された米の独立系石油会社です。

レプソル(Repsol S.A)

スペイン最大手の石油・ガス会社です。

タイ石油公社(PTT)

タイに本拠を置く国営石油・ガス開発会社です。旧国営のタイ石油公団。2001年に上場しています。

参照したデータの詳細情報について


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