バイク業界の世界市場シェアの分析

バイク・オートバイ・二輪車メーカーの世界市場シェアや市場規模を分析しています。ホンダ、ヤマハ発動機、ハーレー・ダビッドソン、ヒーロー・モトコープ、バジャージ、BMW、TVSモーターといった世界大手の二輪車メーカーの概要や動向も掲載しています。

【バイク業界とは】

バイクやスクーターなどの二輪車を開発・製造し、販売するのがバイク業界です。バイクは自動車(四輪車)と比べて、コンパクトかつ低コストというメリットがあり、インドや東南アジアなどでは車に変わる移動手段として広く利用されています。一方で、ツーリングなど趣味や娯楽で楽しむニーズもあります。

バイクはエンジンの排気量によって分類され、125cc未満を小型二輪車、125cc以上を中・大型二輪車と呼びます。販売台数のうち95%以上は小型二輪車が占めています。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

日本のオートバイの歴史―二輪車メーカー興亡の記録
二輪車産業グローバル化の軌跡―ホンダのケースを中心にして
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自動車業界の世界市場シェアと販売台数ランキングの分析
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【外部リンク】より詳細な業界分析レポートをご希望の方は下記リンクもご参照ください。

バイク/二輪の市場調査レポート | グローバルインフォメーション (gii.co.jp)

【バイク業界の世界市場シェア】

オートバイ業界の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のオートバイ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はホンダ、2位はヤマハ発動機、3位はハーレー・ダビッドソンとなります。

バイク業界の市場シェア(2023年)

順位 Company name
(English)
会社名 市場シェア
1位 Honda ホンダ 17.58%
2位 Yamaha Motor ヤマハ発動機 7.69%
3位 Harley-Davidson ハーレー・ダビッドソン 3.51%
4位 Hero MotoCorp ヒーロー・モトコープ 2.69%
5位 Bajaj Auto バジャージ 2.63%
6位 BMW Motorrad BMWモトラッド 2.45%
7位 Suzuki スズキ 2.00%
8位 TVS motor TVSモーター 1.89%
9位 Piere Mobility ピエールモビリティ 1.84%
10位 Kawasaki 川崎重工業 1.75%
11位 Piaggio ピアッジオ 1.52%
12位 Ducati ドゥカティ 0.81%
バイク業界の世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2025 Deallab

バイク業界の世界シェアと業界ランキング(売上高ベース、2023年)©2025 Deallab

前年に引き続き、ホンダが圧倒的な強さを見せて1位の座を堅守しています。2位はヤマハ発動機で、日本勢が1位と2位を独占しています。ホンダ・ヤマハ発動機に加えてスズキと川崎重工業の4社が日本のバイク会社の4強で、世界シェアの3割程度を占めます。

3位は米国のハーレー・ダビッドソンです。大排気量のエンジンと重厚感のある車体が人気で、ツーリング目的でバイクに乗る人に根強い人気があります。

4位はヒーロー・モトコープ、5位はバジャージのインド勢がランクインしました。インド国内のバイク需要が高いことから、インドのバイク会社がシェアを拡大しています。

6位はBMWのグループ会社、BMWモトラッドがランクインしました。1900年前半にオートバイ・バイクが世界に誕生したのち、当初は欧州メーカー同士の競争が主流でしたが、戦後は欧米バイクメーカーの牙城を日本オートバイメーカーが崩していきました。現在は、台頭するインドのオートバイメーカーと日本勢との競争に軸が移っています。

なお、日本・インド・中国・欧州それぞれの主要バイク会社をまとめると次のようになります。

日本 ホンダ、ヤマハ発動機、川崎重工業、スズキ
インド バジャージ、ヒーロー・モトコープ、TVSモーター
中国 ロンシン、リーファン、グランドリバー
欧米 ハーレー・ダビットソン、BMWモトラッド、ピアッジオ、ドゥカティ
日本の4大メーカーはすべてバイク専業ではなく、多角経営の一事業としてバイク製造を手がけています。一方、インドや中国、欧州では専業メーカーが多いのが特徴です。

【バイク業界の世界市場シェア(数量ベース)】

2023年度のオートバイメーカー各社の販売台数⇒参照したデータの詳細情報を分子に、市場規模を分母にして市場シェアを分析すると、上位6社中3社がインド勢となります。

順位 Company name(English) 会社名 市場シェア
1位 Honda ホンダ 21.44%
2位 Hero MotoCorp ヒーロー・モトコープ 9.82%
3位 Yamaha Motor ヤマハ発動機 8.47%
4位 TVS motor TVSモーター 6.46%
5位 Bajaj Auto バジャージ 6.04%
6位 Suzuki スズキ 3.35%
7位 Piaggio ピアッジオ 0.98%
8位 Kawasaki 川崎重工業 0.78%
9位 Piere Mobility ピエールモビリティ 0.67%
10位 BMW Motorrad BMWモトラッド 0.37%
11位 Harley-Davidson ハーレー・ダビッドソン 0.29%
12位 Ducati ドゥカティ 0.10%
オートバイ業界の世界シェア(販売台数ベース、2023年)

オートバイ業界の世界シェア(販売数量ベース、2023年)©2025 Deallab

中国系企業のロンシンとリーファンは公表データがなかったため、除外しています。

販売台数だけで見るとヒーロー・モトコープが2位につけています。他のバイク会社と比べて低価格なモデルを多く販売しているため売上高ベースでみると4位ですが、販売台数は多く、インド国内ではトップのシェアを誇っています。

一方、高級二輪車として知られるハーレー・ダビッドソンは売上高ベースではランキング上位に入りますが、販売台数ベースでは大きくシェアを下げていることがわかります。

【バイク業界の世界市場規模】

当データベースでは、2023年のバイク業界の市場規模を1392.5億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社ジオンマーケットリサーチによると、2023年の同業界の市場規模は1392.5億ドルです。2032年にかけて年平均3.68%で成長し、規模は1927.7億ドルへと拡大することを見込んでいます。

世界の人口増加に伴い、バイク需要も増加していくと考えられます。特にインドなど新興国では自動車よりもバイクを利用する人が多く、今後も安定した需要が見込まれます。

市場規模 年平均成長率
2023年 1392.5億ドル
2032年 1927.7億ドル 3.68%

バイク業界の市場規模の予想成長推移 ©2025 Deallab

【バイク電動化の動き】

四輪車は電気自動車(EV)へのシフトがトレンドになっており、世界各国でゼロエミッション車への移行が進んでいます。バイク業界でも電動化の流れが起きており、各バイクメーカーが電動バイクの販売を開始しています。日系4社の電動化への取り組みは次のようになります。

バイクの分類

ホンダ •2030年に年間350万台レベルの電動二輪車の販売を目指すと発表
•二輪車の電動化に向けて2021年間からの10年間で約5000億円の投資を計画していると発表
ヤマハ発動機 •2050年の二輪車世界販売のうち、90%を電動にする方針を発表
•2024年までに10モデル以上の電動バイクを投入予定
川崎重工業 •2023年に同社初の電動バイクモデルを発表
•2035年までに先進国向けの主要モデルを全電動化予定
スズキ •日本と欧州で2050年、インドで2070年のカーボンニュートラル達成を計画
•2024年に小型・中型バイクにバッテリーEVを投入
•2030年までにバッテリーEVを8モデル販売予定

電動バイクはCO2を排出しないだけでなく、排出音も発生せず静かに走行できるというメリットがあります。ただし、電動バイクは航続距離が短いというデメリットがあり、長くするためにバッテリーを大きくするとバイクの重量が増え、航続距離が短くなってしまいます。今後は、航続距離を伸ばすためにバッテリーの性能を上げることが課題とされています。

とは言え、全世界でゼロエミッション・カーボンニュートラルの流れが加速化していることを加味すると、今後は四輪車と同様、バイクも電動化が進んでいくことは間違いありません。

なお、調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年の電動バイク業界の市場規模は301.1億ドルです。2023年から2030年にかけて年平均19%で成長し、同年の市場規模は1210.7億ドルに達すると見込んでいます。同社はバイク業界そのものの年平均成長率は2023年から2028年にかけて7.4%としており、電動バイクのみでは成長率が2倍以上に上がることがわかります。⇒参照したデータの詳細情報

【M&Aの動向】

オートバイメーカーのM&Aはあまり盛んではありません。買収の売上高マルチプルは概ね0.2〜1.4倍程度で、平均値・中間値はどちらも0.8です。

2011年 ヒーローがホンダより合弁会社ヒーローホンダの持分株式26%を384.2億ルピーで買収

2012年 アウディがドゥカティを投資ファンドから8.6億ユーロで買収

2022年 ハーレー・ダビッドソンがEVバイクをライブワイヤーとして分社化上場を発表

【会社の概要】

Honda Motor Co., Ltd. (本田技研工業株式会社)

1948年に本田宗一郎氏によって設立された日本の誇る自動車・オートバイメーカーです。乗用車では世界大手、オートバイでは世界最大手です。船外機、芝刈り機などのガーデニング機器、高級エアクラフト機であるホンダジェット、販売金融、人型のロボット開発(ASIMO)といった事業も手掛けています。さらに詳しく

Yamaha Motor(ヤマハ発動機株式会社)

1955年に設立された日本を代表する輸送機メーカーです。楽器を手掛けるヤマハとは源流が同じ兄弟会社です。バイク、プレジャーボート、オフロード車、スノービークル、電動アシスト自転車、ゴルフカートなど幅広い輸送機を手掛けていることが特徴です。さらに詳しく

Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン)

米国に本拠を置く大型バイクメーカーです。ハーレーの愛称で呼ばれています。2021年12月に電動バイク部門を分割し、ライブワイヤー(LiveWire)としてSPAC上場させると発表しました。

 Bajaj Auto Limited (バジャージ・オート)

バジャージ財閥の中核です。日本の川崎重工業からの技術供与を受け成長しました。

BMW Motorrad(BMWモトラッド)

1916年に航空機エンジンメーカーとして設立されたBMWは、現在はドイツの高級自動車メーカーです。BMW、MINI、ロールスロイス、オートバイのBMWのモトラッドブランドで世界展開しています。ロールスロイスは1998年、MINIは1994年にBMWの傘下に入りました。モトラッドは1923年から展開している大型バイクメーカーです。自動車リースも手掛け、Alphabet(アルファベット)で展開しています。電気自動車(EV)でも上位に位置します。さらに詳しく

Hero MotoCorp(ヒーロー・モトコープ株式会社)

1984年に設立されたインド最大手の二輪車メーカーです。ホンダからの技術供与を受け成長しましたが、ホンダとの合弁会社を2010年に解消しました。

Suzuki Motor Corporation(スズキ株式会社)

スズキは、1909年に鈴木式織機として設立された自動車、二輪車および船外機メーカーです。特に、軽自動車、小型車やオートバイに強みを有しております。海外ではインド4輪市場で圧倒的な存在感を示しています。さらに詳しく

Kawasaki Heavy Industries, Ltd.(川崎重工業株式会社)

1896年に松方正義の支援によって川崎正蔵氏によって設立された川崎築地造船所を源流とする日本を代表する宇宙防衛・重電大手メーカーです。戦前の神戸川崎財閥には、川崎造船(川崎重工)の他に、川崎汽船、川崎製鉄(JFE)が属していました。技術者の育成には定評があります。現在は、防衛、航空エンジン、鉄道車両、プラント、油圧機器、溶接やシリコンウエハの搬送等の産業用ロボット、造船、中大型バイク、オフロード四輪車、パーソナルウォータークラフト(ジェットスキーの商標で展開しています)、汎用エンジンを開発製造しています。さらに詳しく

TVS motor(TVSモーター)

1982年にスンダラム・アイアンガー氏によって設立されたインド大手のオートバイメーカーです。スズキからの技術供与で成長しました。BMWとも親密です。

KTM Sportmotorcycle AG(KTM、ケーティーエム・スポーツモーターサイクル・アーゲー)

オーストリアに本拠を置くバイクメーカーです。オフロードバイクに強みを持っています。

Piaggio & C. SpA(ピアッジオ)

イタリアに本拠を置くオートバイメーカーです。「ベスパ」シリーズは有名です。地域別売上高を見ますと、2019年度の売上高の約5割は欧米ですが、約3割をインドで売り上げております。

Ducati Motor Holding S.p.A(ドゥカティ・モーター・ホールディング)

イタリアに本拠を置く高級バイクメーカーです。Audi(アウディ)が買収し、現在はフォルクスワーゲングループに属しています。

Loncin Motors(ロンシン・モーター)

重慶に本拠を置くオートバイメーカーです。BMWのオートバイのOEM生産やLoncinブランドのバイクの生産を行っています。オートバイ・エンジンや農機、造園機器も手掛けています。

Lifan Industry Co., Ltd.(リーファン、力帆実業股份有限公司)

重慶に本拠を置く自動車・オートバイメーカーです。Lifanブランドにて展開しています。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

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バイク/二輪の市場調査レポート | グローバルインフォメーション (gii.co.jp)


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

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