バイク業界の世界市場シェアの分析

バイク・オートバイ・二輪車メーカーの世界市場シェアや市場規模を分析しています。ホンダ、ヤマハ、ハーレー・ダビッドソン、バジャージ、ヒーロー・モトコープ、BMW、TVSモーターといった世界大手の二輪車メーカーの概要や動向も掲載しています。

【バイク業界とは】

バイクやスクーターなどの二輪車を開発・製造し、販売するのがバイク業界です。バイクは自動車(四輪車)と比べて、コンパクトかつ低コストというメリットがあり、インドや東南アジアなどでは車に変わる移動手段として広く利用されています。一方で、ツーリングなど趣味や娯楽で楽しむニーズもあります。

バイクはエンジンの排気量によって分類され、125cc未満を小型二輪車、125cc以上を中・大型二輪車と呼びます。販売台数のうち95%以上は小型二輪車が占めています。

【バイク業界の世界市場シェア+ランキング】

オートバイ会社の2022年度売上高を分子に、また後述する市場規模を分母にして、2022年のバイク業界の世界市場シェアを計算すると、世界1位はホンダ、2位はヤマハ、3位はハーレー・ダビッドソンとなります。⇒参照したデータの詳細情報

順位 会社名 市場シェア
1位 Honda(ホンダ) 20.63%
2位 Yamaha Motor(ヤマハ発動機) 9.16%
3位 Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン) 4.02%
4位 Bajaj Auto(バジャージ) 2.99%
5位 BMW Motorrad(BMWモトラッド) 2.93%
6位 Hero MotoCorp(ヒーロー・モトコープ) 2.76%
7位 Suzuki(スズキ) 2.36%
8位 Kawasaki(川崎重工業) 2.32%
9位 TVS motor(TVSモーター) 2.15%
10位 KTM 2.08%
11位 Piaggio(ピアッジオ) 1.55%
12位 Ducati(ドゥカティ) 1.09%
オートバイ会社の世界シェアと業界ランキング(売上高ベース、2022年)

バイク業界の世界シェアと業界ランキング(売上高ベース、2022年)©2024 Deallab

前年に引き続き、ホンダが圧倒的な強さを見せて1位の座を堅守しています。2位はヤマハで、日本勢が1位と2位を独占しています。ホンダ・ヤマハに加えてスズキと川崎重工業の4社が日本のバイク会社の4強で、世界シェアの4割程度を占めます。

3位は米国のハーレー・ダビッドソンです。大排気量のエンジンと重厚感のある車体が人気で、ツーリング目的でバイクに乗る人に根強い人気があります。
4位と6位にはインド勢のバジャージとヒーロー・モトコープがランクインしました。インド国内のバイク需要が高いことから、インドのバイク会社がシェアを拡大しています。

5位はBMWのグループ会社、BMWモトラッドがランクインしました。1900年前半にオートバイ・バイクが世界に誕生したのち、当初は欧州メーカー同士の競争が主流でしたが、戦後は欧米バイクメーカーの牙城を日本オートバイメーカーが崩していきました。現在は、台頭するインドのオートバイメーカーと日本勢との競争に軸が移っています。

なお、日本・インド・中国・欧州それぞれの主要バイク会社をまとめると次のようになります。

日本 ホンダ、ヤマハ発動機、川崎重工業、スズキ
インド バジャージ、ヒーロー・モトコープ、TVSモーター
中国 ロンシン、リーファン、グランドリバー
欧米 ハーレー・ダビットソン、BMW、ピアッジオ、ドゥカティ
日本の4大メーカーはすべてバイク専業ではなく、多角経営の一事業としてバイク製造を手がけています。一方、インドや中国、欧州では専業メーカーが多いのが特徴です。

【バイク業界の世界市場シェア+ランキング(数量ベース)】

2022年度のオートバイメーカー各社の販売台数⇒参照したデータの詳細情報を分子に、市場規模を分母にして市場シェアを分析すると、上位6社中3社がインド勢となります。

順位 会社名 市場シェア
1位 Honda(ホンダ) 20.13%
2位 Hero MotoCorp(ヒーロー・モトコープ) 8.77%
3位 Yamaha Motor(ヤマハ発動機) 7.90%
4位 TVS motor(TVSモーター) 6.10%
5位 Bajaj Auto(バジャージ) 5.08%
6位 Suzuki(スズキ) 3.08%
7位 Kawasaki(川崎重工業) 0.92%
8位 Piaggio(ピアッジオ) 0.85%
9位 KTM 0.62%
10位 BMW Motorrad(BMWモトラッド) 0.34%
11位 Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン) 0.30%
12位 Ducati(ドゥカティ) 0.10%
オートバイ業界の世界シェア(販売台数ベース、2022年)

オートバイ業界の世界シェア(販売数量ベース、2022年)

中国系企業のロンシンとリーファンは公表データがなかったため、除外しています。

販売台数だけで見るとヒーロー・モトコープが2位につけています。他のバイク会社と比べて低価格なモデルを多く販売しているため売上高ベースでみると5位に甘んじていますが、販売台数は多く、インド国内ではトップのシェアを誇っています。

一方、高級二輪車として知られるハーレー・ダビッドソンは売上高ベースではランキング上位に入りますが、販売台数ベースでは大きくシェアを下げていることがわかります。

【バイク業界の世界市場規模】

当サイトでは、バイク・オートバイ業界の2022年の世界市場規模を1226.7億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のグロースマーケットレポートによると、2022年の同業界の市場規模は1226.7億ドルです。2023年から2031年にかけて年平均6.3%で成長し、同年の市場規模は2125.9億ドルに達すると見込んでいます。

調査会社のグランドビューリサーチによると、2023年の同業界の市場規模は1100億ドルです。2023年から2028年にかけて年平均7.4%で成長し、同年の市場規模は1715億ドルに達すると見込まれています。

調査会社のファクトMRによると、2022年の同業界の市場規模は1080億ドルです。2023年から2033年にかけて年平均4.0%で成長し、同年の市場規模は1630億ドルに達すると見込んでいます。

調査会社のモーターサイクルデータによると、2022年のバイク業界の販売台数は6400万台です。2021年から2.6%増加しました。⇒⇒参照したデータの詳細情報

世界の人口増加に伴い、バイク需要も増加していくと考えられます。特にインドなど新興国では自動車よりもバイクを利用する人が多く、今後も安定した需要が見込まれます。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

日本のオートバイの歴史―二輪車メーカー興亡の記録
二輪車産業グローバル化の軌跡―ホンダのケースを中心にして
アジアの二輪車産業―地場企業の勃興と産業発展ダイナミズム
図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み
自動車業界の世界市場シェアと販売台数ランキングの分析
電動バイク・スクーター・キックボードのカオスマップ

【外部リンク】より詳細な業界分析レポートをご希望の方は下記リンクもご参照ください。

バイク/二輪の市場調査レポート | グローバルインフォメーション (gii.co.jp)

【バイク電動化の動き】

四輪車は電気自動車(EV)へのシフトがトレンドになっており、世界各国でゼロエミッション車への移行が進んでいます。バイク業界でも電動化の流れが起きており、各バイクメーカーが電動バイクの販売を開始しています。日系4社の電動化への取り組みは次のようになります。

バイクの分類

ホンダ •2030年に年間350万台レベルの電動二輪車の販売を目指すと発表
•二輪車の電動化に向けて2021年間からの10年間で約5000億円の投資を計画していると発表
ヤマハ発動機 •2050年の二輪車世界販売のうち、90%を電動にする方針を発表
•2024年までに10モデル以上の電動バイクを投入予定
川崎重工業 •2023年に同社初の電動バイクモデルを発表
•2035年までに先進国向けの主要モデルを全電動化予定
スズキ •日本と欧州で2050年、インドで2070年のカーボンニュートラル達成を計画
•2024年に小型・中型バイクにバッテリーEVを投入
•2030年までにバッテリーEVを8モデル販売予定

電動バイクはCO2を排出しないだけでなく、排出音も発生せず静かに走行できるというメリットがあります。ただし、電動バイクは航続距離が短いというデメリットがあり、長くするためにバッテリーを大きくするとバイクの重量が増え、航続距離が短くなってしまいます。今後は、航続距離を伸ばすためにバッテリーの性能を上げることが課題とされています。

とは言え、全世界でゼロエミッション・カーボンニュートラルの流れが加速化していることを加味すると、今後は四輪車と同様、バイクも電動化が進んでいくことは間違いありません。

なお、調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年の電動バイク業界の市場規模は301.1億ドルです。2023年から2030年にかけて年平均19%で成長し、同年の市場規模は1210.7億ドルに達すると見込んでいます。同社はバイク業界そのものの年平均成長率は2023年から2028年にかけて7.4%としており、電動バイクのみでは成長率が2倍以上に上がることがわかります。⇒参照したデータの詳細情報

【M&Aの動向】

オートバイメーカーのM&Aはあまり盛んではありません。買収の売上高マルチプルは概ね0.2〜1.4倍程度で、平均値・中間値はどちらも0.8です。

2011年 ヒーローがホンダより合弁会社ヒーローホンダの持分株式26%を384.2億ルピーで買収

2012年 アウディがドゥカティを投資ファンドから8.6億ユーロで買収

2022年 ハーレー・ダビッドソンがEVバイクをライブワイヤーとして分社化上場を発表

【会社の概要】

ホンダ(Honda)

1948年に本田宗一郎氏によって設立された日本の誇る自動車・オートバイメーカーです。乗用車では世界大手、オートバイでは世界最大手です。船外機、芝刈り機などのガーデニング機器、高級エアクラフト機であるホンダジェット、販売金融、人型のロボット開発(ASIMO)といった事業も手掛けています。さらに詳しく

ヤマハ発動機(Yamaha Motor)

1955年に設立された日本を代表する輸送機メーカーです。楽器を手掛けるヤマハとは源流が同じ兄弟会社です。バイク、プレジャーボート、オフロード車、スノービークル、電動アシスト自転車、ゴルフカートなど幅広い輸送機を手掛けていることが特徴です。さらに詳しく

ハーレー・ダビッドソン(Harley-Davidson)

米国に本拠を置く大型バイクメーカーです。ハーレーの愛称で呼ばれています。2021年12月に電動バイク部門を分割し、ライブワイヤー(LiveWire)としてSPAC上場させると発表しました。

バジャージ(Bajaj Auto)

バジャージ財閥の中核です。日本の川崎重工業からの技術供与を受け成長しました。

BMWモトラッド(BMW Motorrad)

1916年に航空機エンジンメーカーとして設立されたBMWは、現在はドイツの高級自動車メーカーです。BMW、MINI、ロールスロイス、オートバイのBMWのモトラッドブランドで世界展開しています。ロールスロイスは1998年、MINIは1994年にBMWの傘下に入りました。モトラッドは1923年から展開している大型バイクメーカーです。自動車リースも手掛け、Alphabet(アルファベット)で展開しています。電気自動車(EV)でも上位に位置します。さらに詳しく

ヒーロー・モトコープ(Hero MotoCorp)

1984年に設立されたインド最大手の二輪車メーカーです。ホンダからの技術供与を受け成長しましたが、ホンダとの合弁会社を2010年に解消しました。

スズキ(Suzuki)

スズキは、1909年に鈴木式織機として設立された自動車、二輪車および船外機メーカーです。特に、軽自動車、小型車やオートバイに強みを有しております。海外ではインド4輪市場で圧倒的な存在感を示しています。さらに詳しく

川崎重工業(Kawasaki)

1896年に松方正義の支援によって川崎正蔵氏によって設立された川崎築地造船所を源流とする日本を代表する宇宙防衛・重電大手メーカーです。戦前の神戸川崎財閥には、川崎造船(川崎重工)の他に、川崎汽船、川崎製鉄(JFE)が属していました。技術者の育成には定評があります。現在は、防衛、航空エンジン、鉄道車両、プラント、油圧機器、溶接やシリコンウエハの搬送等の産業用ロボット、造船、中大型バイク、オフロード四輪車、パーソナルウォータークラフト(ジェットスキーの商標で展開しています)、汎用エンジンを開発製造しています。さらに詳しく

TVSモーター(TVS motor)

1982年にスンダラム・アイアンガー氏によって設立されたインド大手のオートバイメーカーです。スズキからの技術供与で成長しました。BMWとも親密です。

KTM

オーストリアに本拠を置くバイクメーカーです。オフロードバイクに強みを持っています。

ピアッジオ(Piaggio)

イタリアに本拠を置くオートバイメーカーです。「ベスパ」シリーズは有名です。地域別売上高を見ますと、2019年度の売上高の約5割は欧米ですが、約3割をインドで売り上げております。

ドゥカティ(Ducati)

イタリアに本拠を置く高級バイクメーカーです。Audi(アウディ)が買収し、現在はフォルクスワーゲングループに属しています。

ロンシン・モーター(Loncin Motors)

重慶に本拠を置くオートバイメーカーです。BMWのオートバイのOEM生産やLoncinブランドのバイクの生産を行っています。オートバイ・エンジンや農機、造園機器も手掛けています。

リーファン(Lifan)

重慶に本拠を置く自動車・オートバイメーカーです。Lifanブランドにて展開しています。


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

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