電動バイク・スクーター・キックボードのカオスマップ

電動バイクや電動スクーター、キックボード業界のカオスマップと資金調達累積額の分析を行っています。電動バイクやスクーターの製造分野では中国や台湾メーカーの躍進が続きます。一方でシェアリングやレンタルの分野では国毎の規制に基づいたスタートアップが資金調達を活発化させています。ライム、バード、ゴゴロ、ティア、オラエレクトリック、バウンス、Ather Energy、VanMoof、ヒーローエレクトリック、Niu、カウボーイ、スーパーソコ、Luupといったスターアップに加え、伝統的なバイクメーカー(ホンダ、ヤマハ、BMW、ハーレー)等の動向や電動バイクの市場規模の情報を記載しています。

カオスマップ・業界マップ

電動バイク・スクーター・キックボード業界の直近投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは資金調達累計額となります。またIPOをした会社の場合は、直近1年間の資本金及び資本準備金の増減と合計を直近の資金調達額と資金調達累計額とみなしております。

電動バイク・スクーター・キックボードのカオスマップ(2022年11月)
電動バイク・スクーター・キックボードのカオスマップ(2022年11月) 出所:Trancxnや公表データからディールラボ作成

電動モビリティの製造とシェア&レンタル分野で区分して見てみると、シェア&レンタル側が比較的大きな資金調達を行っていることが分かります。製造側では中国のNiuが上場し、インドのAther Energyや台湾のゴゴロが存在感を示しています。電動アシスト自転車のスタートアップも資金調達を行っています。上記会社の資金調達累計額は、本ページの更新時点で約5788百万ドルとなっております。

市場シェアランキング(資金調達累積額ベース)

電動バイク・スクーター・キックボード会社の資金調達累計額を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額シェアを計算し、ランキング化すると、2022年11月時点では、1位はライム、2位はオラエレクトリック、3位はバードとなります。

電動バイク・スクーター・キックボード会社の市場シェア(資金調達累積額ベース)

順位会社名市場シェア
1位ライム30.41%
2位オラエレクトリック14.96%
3位バード13.23%
4位ティア11.40%
5位ゴゴロ8.29%
6位Ather Energy5.80%
7位Niu5.37%
8位バウンス3.44%
9位VanMoof3.27%
10位カウボーイ2.18%
11位ヒーローエレクトリック1.24%
12位スーパーソコ0.27%
13位Luup0.13%
電動バイク・スクーター・キックボード会社の市場シェア(資金調達累積額ベース)出所:Trancxnや公表データからディールラボ作成
電動バイク・スクーター・キックボードの市場シェア
電動バイク・スクーター・キックボードの市場シェア 出所:Trancxnや公表データからディールラボ作成

電動二輪車の世界市場

電動二輪車の市場が拡大しています。調査会社のグランドビューリサーチによると、世界のe-Bike市場規模は、2021年の178億ドルで、2030年にかけて年平均13.5%で成長すると予測されています。⇒参照したデータの詳細情報
その中でも、特に中国が、中国の電動二輪車の保有台数、販売台数はともに、世界の8割強を占める規模と言われております。
中国での電動二輪車の拡大は、規制が緩いことも影響しています。中国では電動二輪車の運転にあたり、運転免許の取得、車両税や保険も必要なく、イメージでいうと日本で電動自転車に乗るのと同じ法的な扱いとなっています。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

20年後、私たちはどんな自動車に乗っているのか? 電気自動車・ハイブリッド車・燃料電池車、そして自動運転車の未来
まるわかりEV
バイク業界の世界市場シェアの分析

会社概要

Luup(ループ)
本社所在地 日本
設立年 2018年
創業者 岡井大輝
Luupは、アプリによる電動キックスクーターのプラットフォームを展開しています。

Cowboy(カウボーイ)
本社所在地 ベルギー
設立年 2017年
創業者 Adrien Roose、Karim Slaoui、Tanguy Goretti
カウボーイは、電動アシスト自転車のメーカーです。

Super SOCO(スーパーソコ)
本社所在地 台湾
設立年 2015年
Super SOCOは、電動二輪車のメーカーです。

Hero Electric(ヒーローエレクトリック)
本社所在地 インド
設立年 2007年
創業者 Gaurav Munjal、Naveen Munjal、Vijay Munjal
Hero Electric(ヒーローエレクトリック)は、リチウムイオン電池ベースの電動スクーターの開発会社です。

Niu
本社所在地 中国
設立年 2014年
創業者 token hu
Niuは、NQiシリーズ、MQiシリーズ、UQiシリーズなどの電動スクーターを開発しています。

Ola Electric(オラエレクトリック)
本社所在地 インド
設立年 2017年
創業者 Anand Shah、Ankit Bhati、Ankit Jain、Bhavish Aggarwal
Ola Electric(オラエレクトリック)は電動スクーターの開発会社です。AI搭載のロボットを使って電動スクーターを開発しています。

Ather Energy
本社所在地 インド
設立年 2013年
創業者 Arun Vinayak、Swapnil Jain、Tarun Mehta
Ather Energyは、電動スクーターの開発会社です。

VanMoof
本社所在地 オランダ
設立年 2009年
創業者 Taco Carlier、Ties Carlier
VanMoofは、電動アシスト自転車のメーカーです。

Bounce(バウンス)
本社所在地 インド
設立年 2014年
創業者 Varun Agni、Vivekananda Hallekere、Anil Raju
Bounce(バウンス)はインドに本拠を置くバイクのレンタルプラットフォームを展開しています。

Tier(ティア)
本社所在地 ドイツ
設立年 2018年
創業者 Lawrence Leuschner、Julian Blessin、Matthias Laug
Tierは、アプリベースの電動キックスクーターのレンタルプラットフォームを展開しています。

Bird(バード)
本社所在地 米国
設立年 2017年
創業者 Travis VanderZanden
Birdは、アプリによる電動キックスクーターのレンタルプラットフォームを展開しています。

Gogoro(ゴゴロ、睿能創意股份有限公司
本社所在地 台湾
設立年 2011年
創業者 Horace Luke(陸学森、ホレイスルーク)、Matt Taylor
台湾に本拠を置く電動バイクメーカーです。充電ステーションでの電池交換ができる充電システムを含めインフラ事業も展開しています。利用状況に応じて料金を課金する仕組みに強みを持ちます。二輪車のテスラとの呼び名もあります。

Lime(ライム)
本社所在地 米国
設立年 2017年
創業者 Brad Bao、Adam Zhang、Caen Contee、Charlie Gao
Limeは、電動キックスクーターやバイクシェアリングサービスを予約できるアプリベースのプラットフォームです。

ELMOTO
本社所在地 ドイツ
設立年 2008年
創業者 Stefan Lippert、Oliver Seme
ELMOTOは、軽量な電動モーターサイクルの開発に注力しています。

Yadea(ヤデア)
本社所在地 中国
設立年 2018年
Yadea Technology Groupは、電動スクーターの開発を行っています。

キムコ(KYMCO、光陽機車)
台湾国内で最大手のオートバイメーカー。ホンダから技術供与ももとに事業を拡大させています。21年までに世界で50万台の電動バイクの販売を計画しています。

中国の電動バイクメーカー
中国においては、Yadea社(ヤエダ、雅迪科技集団)、1999年創業で電動自転車にも強いAima(愛馬、アイマ)、1997年創業のLuyuan(绿源电动、ルユアン)、1999年創業でSunra(サンラ)ブランドで展開する Xinri E 、1998年創業のTailg(台铃、タイル)が大手となっていますが、外部VCからの積極的な資金調達は行っていません。

事業展開の着眼点

電気自動車と同じように、電動二輪車(バイク・スクーター)は、航続距離を伸ばすためには、電池を多く搭載する必要があるため、本体価格が高くなるという構造があります。安価・軽量かつ航続距離の長い電池の開発は日進月歩であり、現段階において、電動二輪車の事業を拡大しようと考えた場合、いかに充電ネットワークを構築するかが重要な経営課題となってしまいます。よって、電動二輪車の事業は、特に初期段階においては、インフラの構築事業という側面も持つのです。
後述する台湾の電動バイクベンチャーのゴゴロは、電動バイクの販売でなく、自社で構築した充電ネットワークを利用した際に課金できる仕組みを開発しています。同じ型の電池を、他の電動バイクメーカーにも開放している点が特徴と言えます。
中国の場合、充電は家庭もしくはコンビニに急速充電器が設置されていて、1元10分程度で充電できる仕組みとなっています。

世界のバイクメーカーのEV化
中国国内で独自の進化を遂げている電動バイク・スクーターに後追いする形で、世界のバイク大手も今後電動バイクを投入する予定です。
例えば、米国に本社を置く大型バイクメーカーのHarley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン)は、2021年に電動二輪事業の新ブランドであるライブワイヤー(LiveWire)を立ち上げました。2021年12月にはライブワイヤーのSPAC上場を発表しています。
BMWのバイク事業を担うBMW Motorrad(ビーエムダブリュー・モトラッド)は、2014年に電動スクーターを販売しています。
インドのバイク大手で、日本の川崎重工業からの技術供与を受け成長したBajaj Auto(バジャージ)も。2020年に電動バイクの販売を開始する予定です。
ヤマハのeビーノをはじめとしてホンダも国内での実験的な使用を開始しています。

積極的に投資を行っている事業会社やベンチャーキャピタル

Uber、Alphabet、KDDIオープンイノベーションファンド、ベインキャピタル、Andreessen Horowitz、テマセク、Generation Investment Management、Sequoia Capital、Caisse de depot et placement du Quebec、Goldman Sachs、Mubadala、Northzone、B Capital Group、Accel、North west Venture Partners、Felix Capital、Hero MotoCorp、SoftBank Group、Hyundai Motor、Tiger Global Management、Xiaomi、Index Ventures

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した市場規模の情報

Grand View Research

シェアをする

  • facebook
  • hatebu
  • linkedin
  • line
EN