ヘッジファンド業界の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。Bridgewater Associates(ブリッジウォーター・アソシエーツ)、AQR Capital Management(AQRキャピタル・マネジメント)、Man Group(マン・グループ)、Renaissance Technologies(ルネサンス・テクノロジーズ)といったヘッジファンド大手の概要や動向も掲載しています。
【市場シェア】
ヘッジファンド各社の2021年の運用資産残高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年のヘッジファンド業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はミレニアム・マネジメント、2位はシタデルインベストメントグループ、3位はブリッジウォーター・アソシエーツとなります。⇒参照したデータの詳細情報
ヘッジファンドの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
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1位 | ミレニアム・マネジメント | 11.37% |
2位 | シタデルインベストメントグループ | 8.45% |
3位 | ブリッジウォーター・アソシエーツ | 7.85% |
4位 | アレス・マネジメント | 6.78% |
5位 | マリナーインベストメントグループ | 6.71% |
6位 | バリアズニーアセットマネジメント | 6.03% |
7位 | マン・グループ | 5.05% |
8位 | AQRキャピタル・マネジメント | 4.85% |
9位 | ルネサンス・テクノロジーズ | 4.06% |
1位はイスラエル・イングランダー氏率いるミレニアム・マネジメントです。アービトラージ戦略を得意とします。
2位はケン・グリフィン氏率いるシタデルインベストメントグループです。マルチ戦略を得意とします。
3位は、著名投資家レイ・ダリオ氏が率いるブリッジウォーター・アソシエーツです。新興国株式に大きな比重をかける戦略でも有名です。
上位3社は米国のヘッジファンドですが、7位はイギリスのマン・グループとなります。オックスフォード大学と提携し、マネージド・フューチャー戦略に基づいた絶対リターンを追求します。
8位は数学者としても有名なジェームズ・シモンズ氏率いるルネサンス・テクノロジーズです。3位はクリフォード・アスネス氏率いるキャピタル・マネジメントです。クオンツ運用と呼ばれる数量的分析に基づく運用を得意とします。
【市場規模】
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、ヘッジファンド業界の2021年の世界市場規模を3兆ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のユーリカヘッジによると、2022年5月の同業界の運用資産残高は2兆3795億ドルです。
調査会社のスタティスタによると、2021年の同市場規模は4.53兆ドルです。⇒参照したデータの詳細情報
ヘッジファンドの戦略
ヘッジファンドの戦略は大きく8つあります。
- 主に株式の割安株を買い、割高株を売るロング・ショート戦略
- 何らかの理由でミスプライスが発生した債券等の売買を行うアービトラジー戦略(裁定取引)
- M&A等の重要なイベントでの値動きからのリターンを狙うイベント・ドリブン戦略
- いくつかの戦略を同時に行い、戦略の分散化を図るマルチ戦略
- あらゆる指標の相関関係から収益を狙うマネージド・フューチャー戦略(CTA)
- 世界全体の経済動向のモデルに基づき売買を行うグローバル・マクロ戦略
- 各商品間の価格差から収益を上げるレラティブ・バリュー戦略
- 経営不振の企業への投資を行うディストレス戦略
さらに業界を詳しく知るためのお薦め書籍と関連サイト
ヘッジファンドのアクティブ投資戦略
天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す
ファイナンス理論全史
オルタナティブ投資入門
資産運用・アセットマネジメント会社の世界市場シェアの分析
金融業界でM&Aの対象となる会社の分析
【会社の概要】
Bridgewater Associates(ブリッジウォーター・アソシエーツ)
レイ・ダリオ氏が率いる世界最大級のヘッジファンドです。1975年に設立されました。グローバル・マクロ戦略に基づき運用を行っています。2009年にサブプライムローンの破たんによる住宅市場の下落を予測したことでも有名です。
AQR Capital Management(AQRキャピタル・マネジメント)
1998年に米国で創業されたヘッジファンドです。AQRはApplied Quantitative Research略であり、名前の由来の通り、株式や債券の数量分析に基づくクオンツ運用を得意とします。大学の理系の博士課程を修了した人材を積極的に採用しています。
Man Group(マン・グループ)
英国に本拠を置く最古参のヘッジファンドです。砂糖商社から発展し、ヘッジファンドとして1994年にロンドン証券取引所に上場しました。CTAやマネッジドフューチャーといったクオンツ運用を得意とし、オクスフォード大学やケンブリッジ大学と提携しています。
Citadel Investment Group(シタデルインベストメントグループ)
1990年にケン・グリフィン(Kenneth Griffin)によって設立されたヘッジファンドです。転換社債のアービトラージ取引で成功し、現在はマルチストラテジーが主軸になっています。子会社にシタデル証券を有しており、マーケットメーカーとしても有数の規模になっています。
Mariner Investment Group(マリナーインベストメントグループ)
1992年に設立されたヘッジファンドです。2010年に日本のオリックスが買収をしています。2021年にマリナーのCEOや創業者等がオリックスから持ち分を買収しています。マルチストラテジーが主軸となっています。
Balyasny Asset Management(バリアズニーアセットマネジメント)
2001年にドミトリー・バリアズニー(Dmitry Balyasny)氏などによって設立されたヘッジファンドです。ロングショート戦略で成功し、現在はマルチストラテジーを主軸としています。
Ares Management(アレスマネジメント)
1997年にAntony Ressler氏などによって設立されたヘッジファンドです。クレジット投資が主軸です。
Renaissance Technologies(ルネサンス・テクノロジーズ)
著名数学者でもあるジェームズ・シモンズ(James Simons)氏が設立したヘッジファンドです。1982年に設立されました。クオンツ運用を得意としています。ジェームズ・シモンズ氏は2009年に引退をし、現在はPeter Brown氏が会社を運営しています。
Elliott Management Corporation(エリオット・マネジメント・コーポレーション)
Elliott Management(エリオットマネジメント)は、ポール・シンガー(Paul Singer)氏率いるヘッジファンドです。ディストレス戦略を得意とし、アクティビストとしても有名です。過去豪英資源大手のBHPグループに対する米石油事業の分離、米国の通信タワー大手であるクラウンキャッスルや韓国のサムスン電子への特別配当の支払い、塗料大手アクゾ・ノーベルの会長解任等を要求しています。
Millennium Management(ミレニアム・マネジメント)
1989年に設立されたイスラエル・イングランダー氏率いるヘッジファンドです。アービトラージ戦略を得意とします。
Two Sigma Investments(ツーシグマインベストメンツ)
2002年にジョン・オーバーデック氏とデビットシーゲル氏によって設立されたヘッジファンドです。クオンツ運用を得意とします。
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。
参照した売上高ランキング
参照した市場規模