EMS(電子機器などの受託生産メーカー)の世界市場シェアの分析

EMS(電子機器などの受託生産メーカー)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。鴻海/フォックスコン、ペガトロン、クアンタ等主要な受託生産メーカー概要も掲載しています。

世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第5巻に記載のEMSメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位ホンハイ、2位ペガストロン、3位クアンタ・コンピューターとなります。

1位 ホンハイ 17%
2位 ペガストロン 8%
3位 クアンタ・コンピューター 6%
4位 コンパルエレクトロニクス 6%
5位 ジェイビルサーキット 5%
6位 フレックス 4%

なお、EMSはエレクトリック・マニュファクチュアリング・サービスの略です。EMSメーカーは、パソコン、スマホ、家電、薄型テレビの組み立てなど、幅広い電子機器の製造を行っています。台湾企業が、中国に製造拠点を設けて、安い人件費を活用して、事業を拡大させています。

市場規模

調査会社のグローバルマーケットインサイツによれば、2019年のEMS業界の世界市場規模は5000億ドルです。2020年から2026年に年平均5%での成長を見込ます。また調査会社のニューベンチャーリサーチによれば2019年の同業界の規模は5550億ドルです。

世界の主要な生産受託企業の一覧

鴻海精密工業(ホンハイ、Hon Hai)
台湾に本拠を置くEMS世界最大手です。傘下にフォックスコン・テクノロジー・グループ(Foxconn Technology Group、富士康)やシャープがあります。アップルのiPhone等の製造受託で存在感を示します。

Pegatron(ペガトロン)
台湾に本拠を置くEMS大手です。2008年にパソコンメーカーのASUS(エイスース)より分社化。拡張現実など自社製品にも近年力を入れている。

クアンタ・コンピューター(Quanta Computer、広達電脳)
台湾に本拠を置くEMS大手です。パソコンの製造受託に強みを持ちます。

コンパルエレクトロニクス(Compal Electronics)
台湾に本拠を置くEMS大手です。ノートパソコンの製造受託に強みを持ちます。

Flex(フレックス)
シンガポールに本拠を置くEMS大手です。2008年に米国のEMS大手ソレクトロンを買収しEMS事業を拡大しました。Xbox、カシオやコダックのデジカメ等の製造受託をしています。携帯電話やデジタルカメラの受託生産に強みを持ちます。2015年にフレクストロニクス(Flextronics)から現社名へと社名変更しました。

Wistron NeWeb(ウィストロン)
台湾に本拠を置くEMS大手です。携帯電話等の生産受託に強みを持ちます。

Jabil Circuit(ジェイビルサーキット)
米国に本拠を置くEMS大手です。デルやGM向けの生産受託で成長しました。家電や車向けの電子基盤の受託でも存在感を示します。主要顧客には、アマゾン、アップル、シスコ、ゴープロ、HP、インジェニコ、キーサイトテクノロジーズ、エリクソン、ネットアップ、ノキアネットワークが含まれます。

GPV
デンマークに本拠を電子機器受託製造サービス大手です。投資ファンドのSchouw & Co(ソイウ)傘下にあります。

ソイウ社

ソイウ(Aktieselskabet Schouw & Co.)は、デンマークに本拠を置くポートフォリオマネジメント会社です。主にデンマークの製造会社等に投資を行い、長期的な視点で企業価値向上策を講じることを得意とします。大きく6つの事業で構成され、傘下のBioMar社が水産養殖用飼料、Fibertex Personal Careが衛生用品向け不織布事業、Fibertex Nonwovensが工業製品用不織布の製造、HydraSpecmaが油圧部品の製造、Borg Automotiveが自動車部品の再生製造、GPVが電子機器の受託製造(EMS)を手掛けています。

ソイウの事業は、6つの事業から構成されますが、大枠での分類では、BioMar(バイオマー)の水産養殖用飼料事業、Fibertex(ファイバーテックス)の不織布関連事業、産業財製造事業に大きく分かれます。売上構成比で、其々おおむね、水産養殖用飼料事業は約55%、不織布関連事業は20%、産業財製造事業は25%となっています。
図 各事業の売上構成比

ソイウの事業構成

ソイウの事業構成
出所:同社

BioMar(バイオマー)
ソイウの売上の約55%、EBITDAの約40%を稼ぐ中核事業です。水産養殖用飼料業界は、オランダのNutreco(ニュートレコ)傘下のスクレッティング(Skretting)、カーギル(Cargil)傘下のEWOS(イウォス)と同社によって、ほぼ市場が寡占されていることが特徴です。トップ3以外のデンマークのAller Aqua、アジアではチャロンポカパン(CP)、中国のトンウェイグループ(Tongwei、通威)とも競合しています。
バイオマーは、鮭、マス、スズキ、ティラピア、タイ、エビ向け等約40の魚種向けの飼料を、年間1百万トン程度製造・販売しています。売上の約75%はサーモンからの売上となっています。
なお、水産用原料である、油脂はNordsildmel、Aker BioMarine社等から、タンパク質はカーギル、Caramuru、ED&F社から、添加物はDSM、Lallemand社から調達を行っています。販売先は、養殖大手である、マリンハーベスト、レロイ・シーフード、サルマール、英国のスコティッシュ・シーファーム、チリのアクアチリ、マルチエキスポート、Camanchca、ギリシャのDias、Selonda等があげられます。
図 飼料事業の市場構造

飼料事業の市場構造

飼料事業の市場構造
出所:同社

Fibertex Personal Care(ファイバーテックス・パーソナル・ケア)/Fibertex Nonwovens(ファイバーテックス・ノンウーヴン)
産業財及び消費財(衛生製品)向けの不織布の製造を行っています。衛生製品向けのスパンボンド式不織布では、年間約11万トン程度生産しており世界大手です。産業財向けでは、ニードルパンチ、スパンレース、スピニング等の不織布を年間約5.5万トン生産しています。市場は年間約6~7%での成長を見込んでいます。
スパンボンド式不織布の製造機器は、Reifenhäuser、Celli Nonwovens社、ポリプロピレンはBorealis、Braskem、Tasnee等から調達し、製品はP&G、SCA、キンバリークラーク、オンテックス、Abena、ユニチャーム、花王等へ販売しています。主な競合会社には、Avinitiv、Fitesa、Avgol、Pegas、Union、東レ、旭化成があげられます。

HydraSpecma(ハイドラスペクマ)
同社は、北欧大手の油圧機器メーカーです。主に建機・マテハン機器、風力発電向けの機器に強みを持ちます。世界の圧機器メーカーの競合には、イートン(Eaton)、パーカー(Parker)、ボッシュレックスロス(Bosch Rexroth)、建機車両用油圧機器に強いダンフォス(Danfoss)が4強。業界最大手は、ドイツのボッシュレックスロス、2位以下の米国のパーカー、英国のイートン、デンマークのダンフォスが追う形となっています。

その他の会社としては、自動車パーツの再生(リマン)部品を供給する欧州大手のBorg社、EMS(Electronics Manufacturing Service、電子機器の製造受託サービス)を手掛けるGPV社があります。GPVはプリント基板の製造を得意として、タイのSVI、フィンランドのScanfil、スウェーデンのNote、ノルウェーのKitronと競合しています。
ソイウは、コペンハーゲン証券取引所に上場している。株主は、Eskildsen一族が保有する投資会社であるGivesco A/Sが約28%、Hornsylds財団が約15%の株式が大株主。

事業再編・買収
リマン製品大手のBorg Automotive、エビ向け飼料に強いAlimentsa、EMS事業を行うBHEを買収しています。

サンミナ
米国に本拠を置きます。医療機器や通信機器関連の受託生産に強みを持ちます。

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