EC業界の世界市場シェアの分析

企業が消費者に製品・サービスを販売するBtoC取引を行うEC企業の市場シェアと市場規模について分析を行っています。アマゾン、JDドットコム、アリババ・グループ、アップル、ウォルマート、ベストバイ、クーパン、オットーグループ、イーベイ、エアビーアンドビー、楽天グループ、ベストバイ、ブッキング・ホールディングス、ショッピファイ、エイソスといった大手EC企業の概要も掲載しています。

【EC業界とは】

EC(イーコマース)はインターネット上での商品やサービスの売買・取引を指します。毎年拡大を続けており、今後も堅実な成長が見込まれる業界です。

ECは販売者・消費者の違いによって、次の3タイプに分かれます。

 ・BtoB(Business to Business):企業から企業に向けたサービス・取引
 ・BtoC(Business to Customer):企業から一般の消費者に向けたサービス・取引
 ・CtoC(Customer to Customer):個人が個人に提供するサービス・取引(オークション・中古販売など)

当データベースでは、EC市場の中でも特に成長が著しいBtoC(企業が直接一般消費者に商品を提供するモデル)の市場規模を採用し、主要企業の市場シェアを分析しています。なお、EC企業が展開する事業の中には、自社サイトで商品やサービスを販売するだけでなく、売り手と買い手をつなぐマーケットプレイス(取引市場)などEC取引に関わるサービスも含まれます。

【市場シェア】

EC企業の2022年度の売上高ならびに収益を分子に、また後述するEC業界の市場規模を分母にして、2022年のEC業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアマゾン、2位はJDドットコム、3位はアリババ・グループとなります。

EC業界の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1 アマゾン 15.14%
2 JDドットコム 4.48%
3 アリババグループ 2.80%
4 アップル 2.39%
5 ウォルマート 2.23%
6 クーパン 0.61%
7 オットーグループ 0.39%
8 イーベイ 0.30%
9 エアビーアンドビー 0.26%
10 楽天グループ株式会社 0.25%
11 ベストバイ 0.23%
12 ブッキング・ホールディングス 0.22%
13 ショッピファイ 0.17%
14 エイソス 0.14%
EC業界の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)

過去10年間で飛躍的に売上を伸ばしてきたEC業界。その中でもランキングに挙がる上位企業は、巨大なマーケットプレイスを提供したり、実店舗とオンラインのマルチチャネルでの集客を図ったりと、時代の流れやトレンドに乗った成長戦略で成功しています。

アマゾンが圧倒的首位に立つEC業界ですが、世界の中で最も収益を挙げている国は中国です。上位3社のうち2社が中国企業であることからも、EC業界において中国は重要な販路だということがわかります。

また、先進国の中ではEC事業は成熟期に入っており、今後は新興国を中心に拡大を続けることが予想されます。中国系EC企業は、インドやインドネシアなど市場の拡大が確実なアジアの国々でも実績を伸ばし巨大な経済圏を形成していることからも、今後の成長に期待がかかります。

アマゾンやアリエクスプレス(アリババ・グループ)などのマーケットプレイスが活況を帯びる中で、単独のブランドのECサイトは苦戦を強いられています。今後ブランド独自のECサイトを拡大するためには、エイソスのようにいくつもブランドを立ち上げてコミュニティを構築したり、自社ポイントを活用したロイヤリティプログラムやシームレスさ(チャネルやデバイス間での障害・複雑さがない状態)を向上させたりすることが重要になります。

【市場規模】

当データベースでは、EC業界(BtoC)の世界市場規模を3兆2700億ドルとしております。参照した各種統計データは次の通りです。

調査会社スタティスタによると、2022年のBtoC分野のEC業界の市場規模は3兆2700億ドルです。2027年まで年平均11.51%の成長率で拡大すると見込まれています。

調査会社インターナショナルマーケットアナリシスリサーチ&コンサルティンググループによると、2022年のBtoC分野のEC業界の市場規模は4兆4000億ドルです。2023年から2028年まで年平均8.1%の成長が見込まれます。

調査会社プレシデンスリサーチによると、2022年のBtoC分野のEC業界の市場規模は4兆1400億ドルです。2022年から2030年まで年平均7.6%の成長が見込まれます。

【M&Aの動向】

市場規模が急速に拡大しているEC業界ではM&Aが活発です。

2014年 アップルが米オーディオ機器大手ビーツ・エレクトロニクスを30億ドルで買収
2015年 アリババが中国大手動画配信サイトYouku Tudou Inc.を37億ドルで買収
2017年 アマゾンがスーパーマーケット大手ホールフーズを137億ドルで買収
2018年 ウォルマートがインド大手ECサイトフリップカートを160億ドルで買収
2020年 イーベイが自社のクラシファイド部門をノルウェーのアビデンタに92億ドルで売却
2021年 アマゾンが米映像制作大手MGMを84.5億ドルで買収
2022年 JDドットコムが中国運輸大手デボス・ロジスティクスを14.1億ドルで買収
2022年 ショッピファイが米物流大手Deliverrを21億ドルで買収
2022年 アマゾンが米医療サービス大手ワン・メディカルを39億ドルで買収
2022年 アマゾンが米ロボットメーカーiRobotを17億ドルで買収

特に業界最大手アマゾンは、創業以来100以上の企業買収を実施し、規模を拡大しています。また、ウォルマートによるフリップカートの大型買収のように、小売業やその他サービス業がEC事業を強化するため企業買収を行う例も見られます。

【会社の概要】

アマゾン

アマゾンは1994年に設立されたeコマース運営会社です。書籍のオンライン販売が祖業です。在庫リスクをおい、書籍~家電まで幅広い商品を取り扱います。eコマース以外にも領域を拡大し、クラウドサービス、電子書籍端末、音楽・メディアの配信サービス等も展開しています。
クラウドサービスはAWSで展開しています。低コストのクラウドサービスであることから、AWSとITのアイディアさえあれば、いつでもだれでもどこでもほぼコストゼロでIT起業が可能な環境になったとも言われています。さらに詳しく

JDドットコム

JDドットコム(京東商城)は、中国のEC最大手です。中国国内での事業を中心に、ウェブサイト・アプリで幅広い製品を直販しています。そのジャンルは多岐に渡り、家電から衣料品、書籍まで豊富な品揃えが魅力です。中国全域の配送は自社のネットワークを使っており、物流体制まで整えています。

アリババ・グループ

アリババ(阿里巴巴、Alibaba)は、馬雲(ジャックマー)氏によって設立された中国のeコマース最大手です。C2Cのタオバオ(淘宝網)はB2CのTモール(天猫)などを展開しています。クラウド分野ではアリクラウドを展開しています。アリババピクチャーズやアリヘルスなどの子会社上場にも積極的です。アリペイ等の決済分野は別法人で展開しています。さらに詳しく

アップル

Apple(アップル)は、故スティーブ・ジョブズ氏が設立した米国を代表するメーカーです。Mac、iPhone、iPad、アップルウォッチといった革新的なハードウェア、独自のCPU、iTunesやiOSといった洗練されたソフトウェアが高度に融合させる独創的なビジネスモデルが特徴です。アップルペイで金融決済も手掛けることでアップル経済圏を構築しつつあります。さらに詳しく

ウォルマート

ウォルマートは米小売り大手です。ディスカウントストアやスーパーセンターの経営が主軸ですが、EC分野でも急成長を遂げています。2018年にインドEC大手フリップカートを160億ドルで買収したことでも話題となりました。

クーパン

クーパンは韓国のEC大手で、ソフトバンクグループから出資を受けていたことでも有名です。2010年設立と比較的新しい会社ですが、2021年にはニューヨーク市場で46億ドルの大規模上場を果たすまでに成長しました。ECプラットフォーム「クーパン」を韓国国内で展開し、翌日受取の「ロケット配送」などのサービスが支持されています。

オットーグループ

オットーグループはドイツ・ハンブルグの通信販売企業です。元々は通販カタログや電話通販を展開していましたが、現在ではEC大手として、ドイツ国内ではアマゾンに次ぐ売上を誇っています。ECサイト「OTTO」では衣料品やインテリア用品などを中心に取り扱い、安定した利用者数を獲得しています。

イーベイ

イーベイは米大手の通信販売業者です。米国を中心に、世界40の地域でECモールを展開しています。イーベイサイト内に出店すれば、「越境EC」と呼ばれる海外向けのインターネット通販ができるということで、海外への販路拡大や売り上げ増加を狙う日本企業も多く利用しています。

エアビーアンドビー

エアビーアンドビーは旅行情報・予約サイトを運営している旅行系EC大手です。自社のマーケットプレイス上で宿泊・ホームステイ・旅行サービスなどを提供しています。2008年に設立したのち、世界各地で事業を展開して急成長を遂げました。

楽天グループ

楽天グループはインターネットサービスの日本大手です。ECサイト「楽天市場」のほか、クレジットカード、銀行、証券などの金融サービス、携帯キャリアのモバイルサービスなど70以上のサービスを提供しています。各サービスで「楽天会員」などのメンバーシップを結びつけ、独自の「楽天経済圏(エコシステム)」を形成することに成功しています。

ベストバイ

ベストバイは米大手家電量販チェーンです。電子機器や家電などを、店舗・ウェブサイトで販売しています。「オンラインで購入して、店舗で受け取る」というサービスが人気で、オンラインでの売上を伸ばすために実店舗を上手く利用している点が特徴的です。

ブッキング・ホールディングス

ブッキング・ホールディングスは米国の旅行系EC大手です。ブッキングドットコムやアゴダなど主要旅行EC企業を子会社に有している他、レンタカー予約を取り扱う「レンタルカーズドットコム」やレストラン予約を取り扱う「オープンテーブル」もグループ企業の一員です。

ショッピファイ

ショッピファイはカナダのEC企業大手です。月額料金を払えば本格的なECショップを開設・運用できるプラットフォームを運営しており、個人から大企業まで簡単にネットショップを開けます。約175か国で170万以上のビジネスをサポートしています。

エイソス

エイソスはイギリスのファッション・ビューティー関連のEC大手です。ASOS DesignやASOS Editionを始めとした17のブランドを、ヨーロッパを中心に世界各国で販売しています。

参照したデータの詳細情報について


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