バス業界(バス製造会社)の世界市場シェアの分析

バス業界の世界シェア、業界ランキング、市場規模について分析をしています。世界大手のバスメーカーである、中国の3強(ユートン、キンロン、SAIC福田)、欧州3強(トライトン、ボルボ、CNHインダストリアル)やインドのアショック・レイランドの概要や動向も掲載しています。

【バス業界とは】

EV(電気)バスの動向

今後の環境規制からリチウムイオン電池等を動力源にしたEVバスのニーズが高まっていくものと考えられています。中国のリチウムイオン電池メーカー大手であるBYD(比亜迪股份有限公司)はEVバスの分野では、同じく中国のユートンバスと競って、世界大手となっています。

日本でもBYDのバスを採用するバス会社が出てきていますが、ディーゼルエンジンのバスが1台2千万円程度に対して、EVバスはその3倍程度すると言われており、普及にあたっては低価格が重要な決め手となるものと思われます。

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バスを良く知る基礎知識

【市場シェア】

バス業界(バス製造会社)の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のバス業界(バス製造会社)の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は北汽福田、2位はトレイトン、3位はダイムラーとなります。

バス業界の世界市場シェア(2023年)

順位 Company name
(English)
企業名 市場シェア
1位 SAIC Futon 北汽福田 35.00%
2位 Traton トレイトン 30.10%
3位 Daimler ダイムラー 9.62%
4位 Yutong 宇通客車 7.53%
5位 King Long 金龍客車 5.40%
6位 Iveco イベコ 4.76%
7位 Volvo ボルボ 4.05%
8位 Zhongtong 中通客車 1.18%
9位 Ankai 安海汽車 0.60%
バス業界(バス製造会社)の世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2024 Deallab

バス業界(バス製造会社)の市場シェア(2023年) ©2024 Deallab

1位は中国の北汽福田です。北京汽車の子会社で小型バスを得意とします。2位はフォルクスワーゲングループのトレイトンです。3位はドイツのダイムラーとなります。4位は宇通客車(ユートン)となります。5位は金龍客車(キンロン)。6位はイタリアのCNHインダストリルの傘下イベコ、7位はスウェーデンのボルボです。8位は山東省系の中通(ズートン)です。9位は安海汽車(アンカイ)です。

【市場規模】

当データベースでは、2023年のバス業界(バス製造会社)の市場規模を503億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社リサーチアンドマーケッツによると、2023年の同業界の市場規模は503億ドルです。2032年にかけて年平均6.3%で成長し、規模は869億ドルへと拡大することを見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率見込み
2023年 503億ドル
2032年 869億ドル 年平均6.3%
バス業界の市場規模推移©ディールラボ

バス業界(バス製造会社)の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

2001年 トヨタが日野自動車を子会社化
2002年 ダイムラーが三菱ふそうの43%の株式を買収
2003年 ジェイ・バス設立
2004年 ダイムラーが三菱ふそうの完全子会社化
2019年 VWがトラックバス事業をTratonとして分社化
2020年 Tratonがナビスターを買収
2021年 TRATON GROUP、Navistarの合併を成功裏に完了し、新たな時代の到来を告げる2022年 ダイムラー AG は、 メルセデス・ベンツ グループ AG に。
2023年 イヴェコ・グループによるニコラ・イヴェコ・ヨーロッパの完全支配権の取得

【会社の概要】

Volvo Group(ボルボ・グループ)

Volvo(ボルボ)グループは、スウェーデンに本拠を置くトラック・建機メーカーです。1928年にトラックメーカーとして設立されて以降、現在もトラックの売上がグループ全体の約60%超を占めるなど、最大の事業部門となっています。さらに詳しく

ボルボのバスブランド一覧

出所:同社アニュアルレポート

Traton(トレイトン)

Traton(トレイトン)は、フォルクスワーゲン(VW)傘下のトラック及びバスメーカーです。Volkswagen Truck&Bus(フォルクスワーゲントラック&バス)がトレイトンへ社名変更し、マントラック&バス、Scania(スカニア)がトレイトン傘下となりました。2018年に分社化上場しました。2020年に16.8%の株式を保有している米トラック大手のナビスター・インターナショナルの買収を発表しました。

MAN(マン)

1758 年に創業したルール地方の鉄工所にルーツがある、ドイツに本拠を置くエンジン・機械メーカーです。トラック・バス等の商用車、船舶・産業用エンジン等を手掛けています。MAN Diesel & Turbo(マンディーゼル&ターボ)は、MANグループの動力エンジニアリング部門です。1981 年には、船舶エンジンの老舗であるデンマークBurmeister & Wain(B&W)のディーゼルエンジン部門を買収し、船舶エンジンの分野では主要ライセンサーとして圧倒的な地位を占めています。メンテナンス等のサービスもグローバルで展開しています。トラックとバスは、MAN Truck & Bus(マン・トラック&バス)を通じて展開していましたが、マントラック&バスはトレイトン傘下となりました。

Scania(スカニア)

スウェーデンに本拠を置くトラック・バスメーカーです。元々はスウェーデンのサーブと親しかったのですが、フォルクスワーゲン(VW)傘下となりました。バスは、地盤の欧州のみならず、ラテンアメリカおよびアジアでも強みを有しております。

フォルクスワーゲン(VW)

1937年に設立されたドイツを代表する自動車メーカーです。第二次世界大戦後にビートルで成長を遂げ、ゴルフシリーズの成功で世界大手となりました。高級自動車である、Bentley、ランボルギーニ、ポルシェ、ブガッティやAudi(アウディ)を傘下に擁しています。2015年の排ガス不正ソフトウェア問題が課題となりましたが、現在ではEV化へ舵を切っています。トラック・バス事業は2018年にTraton(トレイトン)として分社化しました。フォルクスワーゲングループブランドの新車・中古車を調達できることが強みを活かした自動車リース事業も展開しています。さらに詳しく

Iveco(イベコ)

イタリアに本拠を置く建機・農機・バス・特殊車両メーカーです。FIATグループの創業一族が株主であるCNH Industrial(CNHインダストリアル)社傘下にあります。バスは、IVECO BUS (イベコバス、以前は Irisbus(アイリスバス)ブランドであった) とフランスのHeuliez Bus(ユーリエ・バス)ブランドで展開しています。

CNHインダストリアル

CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。フィアット創業家であるアニェッリ家が大株主となっています。
建機、農機、商用車(トラック)事業を全世界180ヶ国で展開しています。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。2022年1月に商用車・トラック事業を担うIveco(イベコ)が分社化上場をしました。さらに詳しく

Daimler(ダイムラー)

ドイツに本拠を置く大手自動車メーカーです。乗用車と自動車リースが事業の柱となっています。乗用車ではメルセデスベンツで高級車セグメントにフォーカスした世界展開をしています。1998年にクライスラーと合併したが、2007年にクライスラーを売却しました。インドではバーラト・ベンツ (BharatBenz) ブランドを展開しています。2021年にメルセデスベンツとダイムラートラックが分社化され、社名をメルセデスベンツグループへと変更しました。自動車リースはAthlonで展開しています。

分社化された、ダイムラートラックは、三菱ふそうトラック・バスを傘下に保有しています。バス分野はメルセデスベンツとゼトラ(Setra )ブランドで展開しています。売上の約66%が欧州となっています。さらに詳しく

宇通集団(Yutong Group、ユートングループ)

中国のバスメーカーです。鄭州市に本拠をおきます。1997年に上海証券取引所に上場しています。中国国内だけでなく、フランス、英国、オーストラリア、キューバ、ベネズエラ、ロシア、サウジアラビア等にもバスの輸出を行なっています。小型~大型バスまで全レンジのバスを生産しています。

金龍客車(King Long、キンロン)

1988年に設立された中国のバスメーカーです。廈門金龍汽車集団(キンロン・グループ)傘下にあります。中国では、中大型バスの分野においてはユートンとキンロンが双璧です。

北汽福田(Beiqi Foton Motor)

1996年に設立されたBAIC Group(北京汽車)の子会社で、主にトラック、バス、農機の製造を手掛けます。小型のバス製造を得意とします。トラックではドイツのダイムラーと合弁会社を設立しています。

中通客車(Zhongtong、ズートン)

1998年に山東バスとして設立された中国のバスメーカーです。1998年に現社名に変更し、2000年に深圳証券取引所へ上場しました。山東省に本拠を置きます。

BYD(比亚迪)

BYD(比亜迪)は、王伝福(Wang Chuanfu)氏によって1995年に設立された中国の電気自動車・車載電池メーカーです。スマホや産業機器向けのリチウムイオン電池の製造に加え、車載向けの電池と電気自動車製造の一貫生産体制が強みです。電気自動車は、SUVのTang、PHVのQin、セダン型のEVであるe6、e5等のブランドを展開しています。王氏は電池王とも称されています。電気自動車を含む新エネ車(EV自動車)でも世界最大規模を誇ります。ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイ傘下のMidAmerican Energyが大株主となっています。2020年には刀片電池と言われる長距離走行が可能な車載電池を開発しました。さらに詳しく

中車時代電動汽車(CRRC Times Electric Vehicle)

中国政府系の鉄道車両会社である中国中車(CRRC)の子会社として設立されました。電気自動車の製造を行っており、バス製造でも大手となりました。

安海汽車(Ankai Automobile)

1997年に安徽省によって設立されたバス会社です。2004年に乗用車や商用車を手掛ける安徽江淮汽車集団有限公司(Anhui Jianghuai Automobile Group Corp、JAC)の傘下に入りました。

Ashok Leyland(アショック・レイランド)

インドの商用車メーカーです。英国に在住する印僑であるヒンドゥージャ氏が指揮するヒンドゥージャ・グループ(Hinduja Group)傘下にあります。同グループ傘下には、インダスインド銀行(IndusInd Bank)、病院、ガソリンスタンド、ITベンダーのHGS等があります。競合にはタタモーターズがあります。

日本勢では、日野自動車が最大手、いすゞやトヨタがバス大手です。日野といすゞは合弁会社のジェイ・バスを通じてバスの製造を行っています。

ジェイ・バス

2003年に日野自動車といすゞ自動車のバス製造部門が統合して誕生した日本最大のバス製造会社です。日野自動車といすゞ自動車がそれぞれ50%の持分を所有します。同社によれば、国内の全需5,000台のうち、ジェイ・バスが約7割の3,500台を製造しています。

参照したデータの詳細情報について


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