水産飼料業界

水産飼料業界の世界市場シェア、業界ランキング、市場規模の情報について分析をしています。水産飼料の分野は、カーギル傘下のイウォス、デンマークのバイオマー、ニュートレコ傘下のスクレッティングの3社が大手です。

市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング」に記載の水産飼料業界の生産能力を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はスクレッティングの4.2%、2位はカーギルの3.8%、3位はバイオマーの2.3%となります。

  • 1位 スクレッティング 4.2%
  • 2位 カーギル 3.8%
  • 3位 バイオマー 2.3%
  • 4位 アレ・アクア 0.5%

水産飼料業界の世界1位は、スクレッティング社となります。世界2位は傘下のイウォスを擁するカーギルでとなります。世界3位は、デンマークのソイウ傘下のバイオマーとなっています。

市場規模

調査会社のグローバルマーケットインサイトによれば、2018年の水産飼料業界の市場規模は1005億ドルです。2019年〜2026年に年率平均11.9%で成長すると予測されています。
調査会社のエキスパートリサーチマーケットによれば、2019年の数量ベースの水産飼料の市場規模は55百万トンです。2020年〜2025年の成長率は10.4%となります。

業界の動向

スクレッティング(Skretting)

オランダの貿易会社であるSHVが保有するアニマルニュートリション大手であるNutreco(ニュートレコ)傘下の水産飼料会社です。
スクレッティングは、ニュートレコの水産飼料部門として、世界40か国以上で養魚飼料を提供しています。事業ユニットは、BUグローバルサーモン&南ヨーロッパ、BUアメリカ、BUアジア、BUアフリカと、地域別に展開しています。この他、研究開発拠点として、ノルウェーにスクレッティング水産養殖研究センター(ARC)があります。製造拠点はオーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、エクアドル、エジプト、フランス、ホンジュラス(JV)、イタリア、日本、ノルウェー、ナイジェリア(JV)、トルコ、スペイン、イギリス、アメリカ、ベトナムに有しています。現在の従業員数は2,900名、魚とエビの飼料を年間200万㌧生産しています。(出典:スクレッティング社ホームページ)

Nutreco(ニュートレコ)は、SHVホールディングス(SHV Holdings NV)傘下のオランダの肥料・飼料メーカーです。SHVホールディングスはオランダユに本拠を置く同国最大のフェンテナー・フォン・フリシンゲン家による同族経営企業である総合商社です。 1896年の設立。2014年にニュートレコを買収しました。ニュートレコ以外にも、石油・ガス事業を行うSHVエネルギー、食品および消費者製品の小売であるマクロ、重機オペレーションを行うマムート、PEファンドのNPMキャピタル を擁しています。

BioMar(バイオマー)

デンマークの水産養殖用飼料の生産、日用品、不織布、油圧部品、自動車部品の製造等を手掛けるコングロマリットであるSchouw & Co(ソイウ)傘下の水産飼料会社。1962年に設立されて以降、欧州を中心に、下表の地域で世界展開を行う。

出所:バイオマーホームページ

ソイウ社

ソイウ(Aktieselskabet Schouw & Co.)は、デンマークに本拠を置くポートフォリオマネジメント会社です。主にデンマークの製造会社等に投資を行い、長期的な視点で企業価値向上策を講じることを得意とします。大きく6つの事業で構成され、傘下のBioMar社が水産養殖用飼料、Fibertex Personal Careが衛生用品向け不織布事業、Fibertex Nonwovensが工業製品用不織布の製造、HydraSpecmaが油圧部品の製造、Borg Automotiveが自動車部品の再生製造、GPVが電子機器の受託製造(EMS)を手掛けています。

ソイウの事業は、6つの事業から構成されますが、大枠での分類では、BioMar(バイオマー)の水産養殖用飼料事業、Fibertex(ファイバーテックス)の不織布関連事業、産業財製造事業に大きく分かれます。売上構成比で、其々おおむね、水産養殖用飼料事業は約55%、不織布関連事業は20%、産業財製造事業は25%となっています。
図 各事業の売上構成比

ソイウの事業構成

ソイウの事業構成
出所:同社

BioMar(バイオマー)
ソイウの売上の約55%、EBITDAの約40%を稼ぐ中核事業です。水産養殖用飼料業界は、オランダのNutreco(ニュートレコ)傘下のスクレッティング(Skretting)、カーギル(Cargil)傘下のEWOS(イウォス)と同社によって、ほぼ市場が寡占されていることが特徴です。トップ3以外のデンマークのAller Aqua、アジアではチャロンポカパン(CP)、中国のトンウェイグループ(Tongwei、通威)とも競合しています。
バイオマーは、鮭、マス、スズキ、ティラピア、タイ、エビ向け等約40の魚種向けの飼料を、年間1百万トン程度製造・販売しています。売上の約75%はサーモンからの売上となっています。
なお、水産用原料である、油脂はNordsildmel、Aker BioMarine社等から、タンパク質はカーギル、Caramuru、ED&F社から、添加物はDSM、Lallemand社から調達を行っています。販売先は、養殖大手である、マリンハーベスト、レロイ・シーフード、サルマール、英国のスコティッシュ・シーファーム、チリのアクアチリ、マルチエキスポート、Camanchca、ギリシャのDias、Selonda等があげられます。
図 飼料事業の市場構造

飼料事業の市場構造

飼料事業の市場構造
出所:同社

Fibertex Personal Care(ファイバーテックス・パーソナル・ケア)/Fibertex Nonwovens(ファイバーテックス・ノンウーヴン)
産業財及び消費財(衛生製品)向けの不織布の製造を行っています。衛生製品向けのスパンボンド式不織布では、年間約11万トン程度生産しており世界大手です。産業財向けでは、ニードルパンチ、スパンレース、スピニング等の不織布を年間約5.5万トン生産しています。市場は年間約6~7%での成長を見込んでいます。
スパンボンド式不織布の製造機器は、Reifenhäuser、Celli Nonwovens社、ポリプロピレンはBorealis、Braskem、Tasnee等から調達し、製品はP&G、SCA、キンバリークラーク、オンテックス、Abena、ユニチャーム、花王等へ販売しています。主な競合会社には、Avinitiv、Fitesa、Avgol、Pegas、Union、東レ、旭化成があげられます。

HydraSpecma(ハイドラスペクマ)
同社は、北欧大手の油圧機器メーカーです。主に建機・マテハン機器、風力発電向けの機器に強みを持ちます。世界の圧機器メーカーの競合には、イートン(Eaton)、パーカー(Parker)、ボッシュレックスロス(Bosch Rexroth)、建機車両用油圧機器に強いダンフォス(Danfoss)が4強。業界最大手は、ドイツのボッシュレックスロス、2位以下の米国のパーカー、英国のイートン、デンマークのダンフォスが追う形となっています。

その他の会社としては、自動車パーツの再生(リマン)部品を供給する欧州大手のBorg社、EMS(Electronics Manufacturing Service、電子機器の製造受託サービス)を手掛けるGPV社があります。GPVはプリント基板の製造を得意として、タイのSVI、フィンランドのScanfil、スウェーデンのNote、ノルウェーのKitronと競合しています。
ソイウは、コペンハーゲン証券取引所に上場している。株主は、Eskildsen一族が保有する投資会社であるGivesco A/Sが約28%、Hornsylds財団が約15%の株式が大株主。

事業再編・買収
リマン製品大手のBorg Automotive、エビ向け飼料に強いAlimentsa、EMS事業を行うBHEを買収しています。

Cargill (カーギル)

EWOS(イウォス)、Purina(ピュリーナ)、AQUAXCEブランドで水産飼料を展開しています。
EWOS(イウォス)は穀物商社世界最大手であるカーギル(Cargil)傘下の水産飼料会社です。2015年に買収を行い、現在はカーギル・アクア・ニュートリションとして、40か所の製造拠点を所有し、20か国以上の国で事業を展開しています。サケ、エビ、ティラピア、他食用海水魚向けの飼料を提供しています。年間生産量は約2.1百万トンです。
カーギル自体は、フード・インディグリエント、アニマル・ニュートリション、食肉、製塩、穀物取引、金属取引の分野に事業を展開しています。
カーギルの事業のバリューチェーンは以下の表のとおりです。穀物や家畜の集荷、保管、輸送、飼料原料、搾油、食肉加工、食品成分抽出を行い、食品・飲料・日用品会社等に販売を行っております。

出所:カーギル・ホームページ

Aller Aqua A/S(アレ・アクア)
デンマークに本拠を置く水産飼料会社です。淡水魚及び海水魚向けの飼料を展開しています。

Ridley Corporation(リドリーコーポレーション)
オーストラリアで上場している動物飼料メーカー大手です。水産飼料や製塩事業も手掛けています。

業界関連図書

  • 増補改訂版 養殖の餌と水-陰の主役たち [単行本]
  • 改訂 魚類の栄養と飼料 [単行本]
  • 動物の飼料 第2版 [単行本]

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