アルミニウム業界の世界市場シェアの分析

アルミニウムの精製・製錬・圧延・加工業界やボーキサイト生産会社の世界市場シェア、市場規模、売上高ランキング、動向、バリューチェーンについて分析をしています。UCルサール、中国アルミ、アルコア、ヒンダルコ、UACJ 、ノルスク・ハイドロ等主要アルミニウム圧延会社の概要も掲載しています。

市場シェア(アルミニウム地金生産量ベース)

アルミニウム製錬会社の2020年の生産能力(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2020年のアルミニウム地金生産量ベースの市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位は中国アルミニウム、2位は中国宏橋、3位はUCルサールとなります。

アルミニウム製錬会社の市場シェアと業界ランキング(生産能力、2020年)

  • 1位 中国アルミニウム 10.0%
  • 2位 中国宏橋 7.58%
  • 3位 UCルサール 5.76%
  • 4位 信発集団 5.0%
  • 5位 リオティント 4.82%
  • 6位 EGA 3.79%
  • 7位 中国電力投資 3.79%
  • 8位 アルコア 3.48%
  • 9位 イーストホープ 3.33%
  • 10位 ハイドロ 3.18%

アルミニウム製錬会社の市場シェア(2020年、製錬能力ベース)
アルミニウム製錬会社の市場シェア(2020年、製錬能力ベース)

アルミニウム製錬会社の生産量別の世界シェア1位は、中国アルミニウムです。同社はアルミナ精製でも世界上位です。旺盛な中国国内での需要を背景に、2位も同じく中国の宏橋集団が入っています。3位はグレンコアと、アルミニウム事業を統合して誕生した、ロシアのUCルサール社となります。シベリアでの安価な水力発電を利用した製錬事業に強みを持ちます。4位は中国の信発集団です。5位はリオティントアルキャン、6位はエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)、7位は中国電力投資、8位はアルコアとなっています。同社はアルミの圧延を手掛ける会社は、アルコニックとして分社化をしています。

1位 中国アルミニウム 9.6%
2位 中国宏橋 8.9%
3位 UCルサール 6.0%
4位 信発集団 5.5%
5位 リオティント 5.0%
6位 EGA 4.1%
7位 中国電力投資 3.9%
8位 アルコア 3.3%
9位 ノルスク・ハイドロ 3.1%

市場シェア(売上高ベース)

アルミニウムメーカーの2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2020年のアルミニウム業界の売上高ベースの市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位は中国アルミニウム、2位はハイドロ、3位はヒンダルコとなります。

アルミニウムメーカーの市場シェアと業界ランキング(売上高、2020年度)

  • 1位 中国アルミニウム 15.87%
  • 2位 ハイドロ 11.05%
  • 3位 ヒンダルコ 10.22%
  • 4位 中国宏橋 8.61%
  • 5位 リオティント 6.20%
  • 6位 アルコア 6.19%
  • 7位 UCルサール 5.71%
  • 8位 コンステリウム 3.92%
  • 9位 アルコニック 3.80%
  • 10位 UACJ 3.57%
  • 11位 EGA 3.40%

アルミニウムメーカーの市場シェア(2020年度売上高)
アルミニウムメーカーの市場シェア(2020年度売上高)

アルミニウムメーカーの売上高世界1位は中国アルミニウムです。アルミニウム地金生産量とともに世界1位です。2位はノルウェーのハイドロです。ボーキサイトから圧延まで総合的に手掛けているのが強みです。3位はインドのヒンダルコ・インダストリーズです。インド国内の高い市場シェアを背景に、米国のノベリスやアレリスを買収して、圧延事業の海外展開を図ります。4位は中国の中国宏橋です。5位は米国のアルコアです。ボーキサイトから製錬工程に注力しています。アルミの圧延を手掛ける会社は、アルコニックとして分社化をしています。アルコニックは9位です。8位はオランダのコンステリウム、10位には日本の古河スカイと住友軽金属工業が経営統合して誕生したUACJが入っています。

1位 中国アルミニウム 18%
2位 ノルスク・ハイドロ 10%
3位 ヒンダルコ 9%
4位 中国宏橋 8%
5位 アルコア 7%
6位 リオティント 7%
7位 UCルサール 6%
8位 アルコニック 5%
9位 コンステリウム 4%
10位 UACJ 4%
11位 EGA 4%

ボーキサイトの生産量ランキング

ボーキサイト生産量ではアルコア(AWAC)とリオティントが生産量で世界首位を争っています。国別でみると、ボーキサイトの優良鉱山は豪州、中国、ブラジル、ギニアやインド等が挙げられます。

ボーキサイトの生産量ランキング(2020年)

  • 1位 リオティント 56 百万トン
  • 2位 アルコア 48 百万トン
  • 3位 UCルサール 21 百万トン
  • 4位 ハイドロ 9 百万トン

業界のバリューチェーン

アルミのバリューチェーンは、下図の通り、ボーキサイト→精製(リファイナリー、アルミナ)→製錬(スメルター、アルミニウム地金)→鍛造加工です。

日本は1970年まではアルミニウム製錬が盛んでしたが、オイルショックにより競争力を失いました。現在は、アルミ地金を輸入して圧延・加工しています。電力消費の少ないリサイクルも盛んです。海外のアルミメジャーはボーキサイト採掘から圧延加工まで一貫して行う垂直統合型です。

アルミバリューチェーン
アルミバリューチェーン 出所:業界再編の動向

もう少し、加工工程を詳しく見ると、精錬所でスラブ、ビレットやインゴット化されたアルミニウムが、圧延、押出、鋳造工程で、必要とされるアルミニウム製品になっていきます。

アルミニウムのバリューチェーン
アルミニウムのバリューチェーン
出所:一般社団法人日本アルミニウム協会ウェブサイト

アルミニウムの精製から製錬について

採掘したボーキサイトをか性ソーダ液で溶解すると、アルミナ(酸化アルミニウム、Al₂O₃)粉末が取れます。このアルミナを製錬(電気分解)するとアルミ地金(インゴット、ビレット)が得られます。それを加工(圧延、押出、鍛造)するとアルミ製品ができます。アルミ製品はリサイクルとする再生アルミ地金に生まれ変わります。

アルミニウムの製錬過程

下図の通りアルミナからアルミニウム製錬時に大量の電気を消費します。アルミニウム溶液(リキッドアルミニウム)から鍛造工程となります。

アルミ製錬の過程 出所:ノルスク・ハイドロ

市場規模

当サイトでは、下記データも参考にして、2020年のアルミニウム業界の市場規模を金額で1500億ドル、アルミニウム地金の生産量規模で66百万トンとして市場シェアを計算しています。
UCルサールによれば、2020年のアルミニウム地金の規模は年間66.1百万トン(2019年比1.3%増加)です。中国宏橋によれば、2020年の同市場規模は65.3百万トンです。Norsk Hydroによれば、2019年のアルミニウム地金の市場規模は年間89.8百万トンです。そのうち中国が約半分の47%、中国以外のアジアが18%、北米が15%となっております。また中国アルミによれば、2019年は63.8百万トンとなっています。
調査会社のグローバルマーケットインサイツによると、2020年のアルミニウムの市場規模は、1500億ドル超となります。2027年にかけて年平均5.0%での成長を見込みます。調査会社のアライドマーケットリサーチによれば、2018年のアルミニウム業界の市場規模は1472億ドルです。2019年~2016年で年平均3.2%の成長を見込みます。マーケットリサーチフューチャーによれば、2018年の同業界の市場規模は1635億ドルです。2025年までに年平均6.5%の成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

アルミニウムの価格推移

2020年5月から2021年にかけて中国や米国のインフラ投資への期待からアルミニウムの価格は上昇傾向にあります。




更に業界を詳しく知るための関連図書

世界の主要なアルミニウムメーカーの動向

アルミニウムメーカーには大きく3つに分かれます。ボーキサイトの発掘から製錬までの上流・中流工程に注力する会社と、下流工程である圧延・押出などの加工プロセスを行う会社、と上流から下流まで垂直統合している会社です。中国アルミやヒンダルコなどは上流から下流まで手掛けているのに対し、アルコアは下流工程をアルコニックとして分社化しています。

アルコア(Alcoa)

米国に本拠を置く世界最大級のアルミニウム生産会社です。アルコアのカナダ子会社であったアルキャン(Alcan)に買収を提案するものの、アルキャン(Alcan)は最終的にリオ・ティントに買収されました。アルミ地金の分野では、リオティントやロシアのルサールと競合しています。2016年に、アルミニウム圧延、エンジニアリング製品を手掛ける会社をアルコニック(Arconic)として分社化しました。アルコアはアルミニウムの上流から中流(ボーキサイト、アルミナ、アルミニウム製品)に経営資源を集中しています。ボーキサイトの採掘は主にオーストラリア、ブラジル 、ギニアで、アルミナの精製は、主にオーストラリア、ブラジル 、スペインで、アルミニウムの精錬はオーストラリア、ブラジル 、カナダ、アイスランド、ノルウェー、スペイン、米国で行っています。

アルコニック(Arconic)

米国に本拠を置くアルミ加工会社です。アルコアから分社化独立しています。アルミニウム圧延、アルミニウムの押出、エントランス、カーテンウォール、窓といった建築材の製造を行っています。アルミニウム圧延事業ではAMAG(オーストリア)、Hydro、Nanshan(中国)、コンステリウム(フランス)、 カイザー・アルミニウム(米国) 、ノベリス(米国)、グランジ(スウェーデン)、 神戸製鋼所、 UACJと競合しています。

ノベリス(Novelis)/ヒンダルコ・インダストリーズ(Hindalco Industries)

ノベリスは米国に本拠を置くアルミニウム圧延会社大手です。元々はカナダのアルキャンよりスピンオフする形で誕生しています。2007年にインドのコングロマリット大手のアディティア・ビルラ・グループ (Aditya Birla Group)傘下で、ボーキサイト精製からアルミ製錬を手掛けるヒンダルコ・インダストリーズ(Hindalco Industries)に買収されました。ヒンダルコとノベリスでアルミ分野の川上から川下までカバーできる体制となりました。インド国内の市場シェアでは圧倒的です。アルミニウムのリサイクルにも強みを持っています。2020年に同業のAlerisを買収しました。

UACJ

古河電気工業系の古河スカイと住友軽金属工業との経営統合により誕生したアルミニウム圧延大手です。アジアでは缶向け、欧米では自動車向けのアルミ板の販売が主力となっています。米国、欧州、スペインに生産拠点を所有しています。

神戸製鋼所

神戸製鋼所は旧鈴木商店の流れを汲む名門鉄鋼会社です。石川島播磨の源流の1社である播磨造船所は、神戸製鋼所より分社化して誕生した経緯があります。従来より鉄鋼業界における再編からは距離をおいてきたものの、2001年に当時の新日本製鐵と包括的な提携をした経緯から、現在でも日本製鉄と親密です。鉄鋼事業以外にも、溶接事業、アルミ・銅事業、機械事業、エンジニアリング事業、電力事業、建機事業、電力事業などを多角化展開しています。さらに詳しく

神戸製鋼所の祖業であり、自動車向けのエンジンに使われる特殊鋼である線材や高張力鋼板(ハイテン)といった、高い技術が要求される鉄鋼製品に注力しています。規模では、年間粗鋼生産量は約70万トン程度と、世界的に見れば、鉄鋼メーカーの上位50社にようやく入る程度です。売上高では約6000億円程度。利益は近時赤字が続き、祖業事業ではあるものの、収益面では全体の足を引っ張っているという状況です。
かつての欧州鉄鋼メーカーの雄であり、現在では自動車部品、エレベーター(2019年に売却をしました)、エンジニアリングの分野へ多角化に成功したティッセンクルップの粗鋼生産量は17万トン程度で、神戸製鋼所の規模より大きくなっています。鉄鋼業界の競争環境を改めてみると、規模では、新日鐵住金の2倍以上の差をつけているダントツのアルセロールミタルに、同じく規模を拡大して競争力強化を図る中国勢が、粗鋼生産量の上位をほぼ独占しつつあります。規模だけが競争優位の源泉のすべてではないと思われますが、欧州名門ティッセンクルップの規模を追わない戦略を勘案しますと、やはり一定のタイミングでの何らかの業界再編が行われる可能性は否定できないのかもしれません。また、今後需要が伸びていくと予想される電気自動車は、バッテリーが重く、軽量化へのニーズが強くなることからも、自動車部品への鉄鋼への需要が減少するものと思われれます。また、内燃車の象徴であるエンジンへの鉄鋼の需要も確実に減っていくものと考えられます。仮に、新日鐵住金が、神戸製鋼所の鉄鋼事業と経営統合を行うと、合計粗鋼生産量は約50万トン超程度、最近経営統合を行った宝武鋼鉄集団との距離を縮められ、線材分野の強化も図れます。国内2位で、世界10位前後のJFEスチールの場合、粗鋼生産量が約40万トンまで増え、増加率では新日鐵住金を上回り、上位5位を狙える位置につけることができ、さらには線材やハイテンといった分野で新日鐵住金に対して攻勢をかけることもできます。
 

ハイドロ(Norsk Hydro)

ノルウェーに本拠を置くアルミニウム総合大手です。ボーキサイトの精製から製錬、圧延までを一貫して手掛けています。ノルウェー政府が大株主となっています。2006年に石油・天然ガス事業をスタトイルと統合する一方で、2017年にアルミニウム押出大手ノルウェーのサパ(SAPA)を買収し、アルミニウム分野でのカバー範囲を拡充しています。2021年にアルミ圧延事業をKPSキャピタルに売却しました。

Constellium(コンステリウム)

オランダに本社を置く大手アルミ圧延会社です。旧Alcan Engineered Products 社。航空宇宙用、輸送機用、自動車用のアルミニウムを手掛けています。

中国アルミニウム(中國鋁業股份有限公司、Aluminum Corporation of China Limited、CHALCO)

中国に本拠を置く政府系のアルミニウム関連会社です。中国最大。アルミニウム製錬の分野でも大手です。酸化アルミニウム等の分野でも高い競争力を持ちます。

チャイナ・ホンチャオ・グループ(中国宏橋集団有限公司、China Hongqiao Group)

アルミニウム製錬分野では世界最大級です。溶融アルミニウム合金、アルミニウム合金地金、アルミ合金鋳造などを得意としています。

UC Rusal(UCルサール)

ロシア最大級のアルミ生産会社です。ロシアのRusal(ルサール)、ロシア同業のSual(スアール)、スイスのグレンコアのアルミ事業が統合して誕生しました。原料となるボーキサイトはグループ内で75%を賄っております。製錬事業の電力は、安価な電力源であるシベリア水力発電所(Siberian hydropower plants)から調達しています。
主要なボーキサイト鉱山はロシア、ジャマイカ、ギニア、ガイアナにあり、リファイナリー(精製)工場はロシア、アイルランド、ウクライナ、ジャマイカ、イタリア、ギニアにあります。スメルター(製錬工場)はロシアとスウェーデンになり、国際的なアルミバリューチェーンを構築しております。
関連会社に世界最大級のニッケル生産会社ノリリスク・ニッケルがあります。オレグ・デリパスカ氏が実質率いています。

リオ・ティント・アルキャン(Rio Tinto Alcan)

資源大手リオティントの子会社です。アルコアとリオ・ティントが競う形で、最終的にリオ・ティントがアルキャンを買収し、リオ・ティント・アルキャンが誕生しました。ボーキサイト採掘からアルミ製錬まで一貫して行っています。4か所のボーキサイト鉱山(オーストラリア、ブラジル、ギニア)と精製工場(オーストラリア、ブラジル、カナダ)、14の製錬工場(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイスランド、オマーン)を所有しています。

リオティントとは

Rio Tinto(リオティント)は、世界最大級の鉱業会社です。1995年に英国RTZ と豪CRA が統合して誕生しました。経営統合の経緯から、現在でもロンドンとシドニーの両証券取引所に上場をしています。鉄鉱石やアルミに強みを持ちます。アルミニウムは2007年に買収したリオ・ティント・アルキャンを通じて展開しています。石炭は豪州を中心に注力していましたが、2017年にCoal Allied Industrialをヤンコールへ、2018年にHail Creek炭田をグレンコア、Kestrel炭田をAdaroエナジーなどへ売却して撤退しました。ダイヤモンドにも強みを持ちます。ジンバブエのムロワダイヤモンド鉱山やカナダの鉱山での生産を行っています。

Emirates Global Aluminium (EGA、エミレーツ・グローバル・アルミニウム)

ドバイとアブダビのアルミ生産会社のDubai Aluminium (DUBAL) とEmirates Aluminium (EMAL) が合併して誕生したドバイ及びアブダビ政府系の会社です。

Xinfa Group(信発集団)

1972年に設立された中国の大手アルミ製錬会社です。アルミニウム地金の生産量では世界有数の規模です。

China Power Investment Corporation(SPIC、国家電力投資集団)
中国の電力会社大手の一角ですが、ボーキサイト発掘からアルミ地金の製錬の垂直統合された事業を行っています。

Compagnie des Bauxites de Guinee(CBG)
ギニア政府とHalco Mining(アルコアとリオティントの合弁会社)が運営するボーキサイト生産・アルミ精製・製錬会社です。


アルミニウム用語集

  • アルミニウム鍛造はAluminum Casting
  • アルミニウム押出しはExtrusions
  • アルミニウム圧延はRolling
  • アルミナは酸化アルミニウムの通称
  • 酸化アルミニウムはaluminum oxide(アルミニウム・オキサイド)
  • 水酸化アルミニウムはaluminum hydroxide(アルミニウム・ハイドロオキサイド)


参照したデータの詳細情報について


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