M&Aや再編対象となる素材メーカーの分析

今後M&Aや業界再編が予想される素材関連会社について一覧表を作成しています。特にセラミック、研磨材、アルミ加工、繊維加工会社などが売却の対象となる可能性があります。

なお、本記事の作成日以降にM&Aによって下記会社が買収されている可能性もありますことを予めご了承下さい。※はプライベートエクイティやベンチャーキャピタルが買収や出資を行った着眼点への考察コメントです。

アルミ圧延と押出でM&Aの対象となる会社

アルミ加工業界ではアルミニウム圧延や押出会社を買収する動きが続いています。アルミ圧延の大手の一角であるノルウェーのノルスク・ハイドロが圧延事業を2021年に売却しました。企業価値に対する売上高倍率は0.6~1.4倍です。

発表年買手対象会社売手想定企業価値通貨単位売上高倍率(倍)
2016Chequers
Capital
PhoenixGreen Arrow Capital1億ドル1.4
2021KPSキャピタルSpeiraNorsk Hydro14億ユーロ0.6
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算©各種資料よりディールラボ作成

調査会社のマーケッツアンドマーケッツによると、2020年のアルミ圧延の市場規模は452億ドルです。2025年にかけて6.7%での成長を見込みます。調査会社のグランドビューリサーチによると、2020年のアルミ圧延の市場規模は573億ドルです。2028年にかけて7.8%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

アルミ圧延と押出でM&Aの対象となる会社

社名:三菱アルミニウムの圧延押出事業
本社所在地:日本
買収を発表した年:2021年11月
買収後の株主:アポロ
三菱マテリアルがアルミニウム圧延押出事業とアルミ缶大手であるユニバーサル製缶をアポロが買収した昭和アルミニウムに売却しました。

社名:Aludium
本社所在地:スペイン
株主:アトラス
Aludiumは、スペインに本拠を置くアルミニウム鋳造圧延メーカーです。主に建設、飲料、化粧品業界向けにアルミニウムのコイル、シート、シェット、ストリップを製造しています。アトラスホールディングスが保有しています。

社名:Phoenix
本社所在地:イタリア
買収年:2016年
株主:Chequers Capital
Phoenixは1972年に設立されたアルミ押出ダイスメーカーです。Chequers Capitalが買収をしました。

社名:Speira(元Norsk Hydroのアルミ圧延事業)
本社所在地:ノルウェー
買収年:2021年
株主:KPSキャピタルパートナーズ
ノルスク・ハイドロ(Norsk Hydro)がアルミの圧延事業を13.8億ドルでKPSキャピタルパートナーズへ売却しました。買収後Speiraへと社名を変更しました。

社名: Metra Holding(メトラホールディング
本社所在地: イタリア
買収年: 2021年
株主: KPS Capital Partners
メトラホールディングはイタリアに本拠を置くアルミニウム押出メーカーです。押出に加え、塗装、酸化、機械加工、溶接、組み立ても行い、主に産業用および建築・建設用に使用されています。

アルミニウム製錬分野でM&Aの対象となる会社

社名:Aluminium Dunkerque(アルミニウムダンケルク)
本社所在地:フランス
買収を発表した年:2021年10月
現在の株主:アメリカンインダストリアルパートナーズ
Aluminium Dunkerque(アルミニウムダンケルク)は、1991年に設立されたフランスに本拠をおくアルミニウム製錬メーカーです。

特殊鋼・金属分野でM&Aの対象となる会社

社名: 日立金属
本社所在地: 日本
買収年: 2021年
株主: ベインキャピタル、日本産業パートナーズ
日立金属は特殊鋼、自動車鋳物、磁性材料、電線などを手掛ける素材メーカーです。ベインキャピタルと日本産業パートナーズが日立製作所から買収しました。さらに詳しく

セラミック分野でM&Aの対象となる会社

社名:Altadia
本社所在地:スペイン
買収を発表した年:2021年12月
買収後の株主:カーライル
Altadiaはセラミックタイル製造用の中間製品(インクジェットインク、ボディステイン、グレージングステイン、フリッツ&グレージングなど)を製造する世界最大のメーカーです。2021年12月にカーライルがローンスターから持分を買収しました。

社名:CeramTec
本社所在地:ドイツ
買収年:2017年
株主:BCP
CeramTec(セラムテック)は、1903年まで創業のルーツを遡ることができる、ドイツに本拠を置くテクニカル・セラミックスを製造・販売する会社です。2017年にBCパートナーズが、投資ファンドのシンベンより買収しました。シンベンが買収する前は、リチウム製品やセシウム製品を初めとする高品質金属試薬の世界大手米ロックウッド・ホールディングス(現アルベマー ル)が同社を保有していました。同社のテクニカル・セラミックスは、珪酸セラミックス、酸化物セラミックス、非酸化物セラミックス及び圧電セラミックスに分類される。自動車、電機、エネルギー、ヘルスケア分野等に幅広く利用されています。具体的には、アクチュエータ、砕石装置、プラーク除去機器、超音波洗浄、超音波溶着、電気絶縁、ワイヤー形成のための工具、オグジュラリー、歯科業界におけるクラウンとブリッジのための資材、絶縁リング、酸素測定セル、半導体の回路基板、ヒートシンク、ベアリング、高荷重に耐えるセラミック成型工具、弾道用タイル、ボールや転動体、エンジンのシリンダースリーブ、ピストン・リセス壁、ブレーキパッド、バッキングプレート、ベアリング、ブレーキディスク等に使用されています。

研削材・研磨材分野でM&Aの対象となる会社

社名:Winoa
本社所在地:フランス
買収年:2017年
株主:KPSキャピタルパートナーズ
Winoa(ウィノア)は、1961年に設立されたスチールショットグリッド(研削材)大手メーカーです。KPSキャピタルパートナーズが2017年に買収しました。

社名:Surfaces
本社所在地:イタリア
買収年:2020年
株主:TAアソシエイツ
セラミック、人工石、ガラス等の加工機器メーカー向けに、研磨用の機器や研磨剤を製造販売しています。2020年にTAアソシエイツが投資をしました。

繊維分野でM&Aの対象となる会社

社名:結晶質アルミナ繊維事業(三菱ケミカル)
本社所在地:日本
買収を発表した年:2021年9月
現在の株主:アポログローバルマネジメント
結晶質アルミナ繊維事業は排ガス浄化のための触媒であるアルミナ繊維を開発製造しています。
※内燃機関向けの触媒が今後減少すること可能性があるものの。産業向け及びEV向けでの新規需要の拡大も期待されます。

社名:Elevate Textiles(エレベート・テキスタイルズ)
本社所在地:米国
買収年:2016年
株主:プラチナムエクイティ
Elevate Textiles(エレベート・テキスタイルズ)は、プラチナムエクイティが2016年に買収をした工業用繊維メーカーのInternational Textile Group(インターナショナル・テキスタイル・グループ)と2018年にKPS Capital Partnersから買収をしたAmerican & Efird(アメリカン エファード)社が経営統合をして誕生しました。インターナショナル・テキスタイル・グループは、衣服向けのBurlington、デニム素材のCone Denim、エアバッグや防火服向け素材のSafety Components等のブランドを展開しています。American & Efird(アメリカン エファード)社は北米最大手の縫糸、刺繍糸、工業用繊維品メーカー、同社の糸は、衣料、生活資材(毛布、シーツ等)、自動車部品等の産業資材の縫製用に用いられています。統合後の会社は、37の縫糸工場を保有し、100ヶ国以上で各種糸の販売を行っています。同社の競合会社は、英国のコーツグループやドイツのアマンです。

社名:Universal Fiber Systems
本社所在地:北米
買収年:2015年
株主:HIGキャピタル
Universal Fiber Systemsは北米に本拠を置く産業用、軍用、アパレル向けの高品質合成繊維の製造しています。HIGキャピタルが2015年10月にSterling Groupから275億ドルで買収をしました。

社名:RHODIUS
本社所在地:ドイツ
買収年:2015年
株主:エクイストーン
フィルターに編み込むことでエアバッグの破裂を防ぐ部品として利用されています。エクイストーンが買収しました。

社名:37.5™
本社所在地:米国
株主:HIGキャピタル
米国に本拠を置く37.5™は、湿度に応じて温度を快適に保つスポーツウェアおよび寝具向け素材を販売しています。HIGキャピタルが買収しました。

ガラス分野でM&Aの対象となる会社

社名:Potters
本社所在地:米国
買収年:2020年
株主:Jordan Company
Potters Industriesは高速道路の安全標示用ガラスビーズの世界最大のメーカーです。Jordan Companyが買収しました。

参照したデータの詳細情報について


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