SaaS業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模の分析
  • 市場シェア

SaaS業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模の分析

SaaS業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模について分析をしています。マイクロソフト、オラクル、SAP、セールスフォース、アルファベット(Google)、アドビ、シスコ、IBMといったSaaS大手の概要や動向も記載しています。

【SaaS業界とは】

SaaSはSoftware as a Service(ソフトウェアアズアサービス)の略で、クラウドサービスの一種です。ソフトウェアをクラウド上で提供するサービスの総称で、ファイル作成、表計算、会計、財務、ERPなど様々な用途に利用されています。SaaSの代表的なサービスとしてはGoogle Apps(GmailやGoogleドキュメントなど)、Microsoft Office 365などがあり、企業・個人問わず広く利用されています。

クラウドサービスには、サーバーをクラウドサーバーとして提供するIaaS(Infrastructure as a Service、インフラストラクチャーアズアサービス)、開発者向けのミドルウェアをクラウド上で提供するPlatform as a Service(PaaS、プラットフォームアズアサービス)があります。IaaSとPaaSはソフトウェアの開発者などが利用するのに対して、SaaSはビジネス向け・個人向けなどソフトウェア関連の知識がない人でも利用する機会が多くあるのが特徴です。

SaaSはクラウドサービス上でデータを保存するため、ストレージに困らない・データの紛失リスクが少ないなどのメリットがあります。複数人が常に最新のデータを閲覧・編集できるので、チームなどでデータを共有したい時にも便利です。一方、PaaSやIaaSと異なりアプリケーション自体は既に作られたものなので、カスタマイズができないことがデメリットとして挙げられます。

【SaaS業界の世界市場シェア+ランキング】

SaaS運営会社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、2022年のSaaS業界の世界市場シェアを簡易に計算すると、1位はマイクロソフト、2位はオラクル、3位はセールスフォースとなります。

参照したデータの詳細情報

順位 会社名 市場シェア
1位 Microsoft Corporation(マイクロソフト) 33.66%
2位 Oracle Corporation(オラクル) 15.73%
3位 Salesforce, Inc.(セールスフォース) 12.01%
4位 Alphabet Inc. (Google、アルファベット) 10.06%
5位 CISCO SYSTEMS, INC.(シスコ) 9.12%
6位 Adobe Inc.(アドビ) 6.74%
7位 SAP SE(SAP) 3.19%
8位 International Business Machines Corporation(IBM) 2.75%
SaaS業界の世界シェアと業界ランキング(2022年)

SaaS業界の市場シェア(2022年)
*2023年会計年度のデータを使用(マイクロソフト:2022年7月-2023年6月、オラクル:2022年6月-2023年5月、セールスフォース:2022年2月-2023年1月)

1位のマイクロソフトはビジネス用ソフトウェア(ワード、エクセル、パワーポイント)や基幹OSであるWindowsのSaaSを推進しており首位となっております。
2位はデータベース管理ソフトに強みを持つオラクルです。
3位はCRMアプリケーションのSaaS提供を切り開いてきたセールスフォースです。各社ともに強みとするソフトウェアの領域が異なることが特徴です。

SaaS業界は常に進化し続けている業界の1つです。そのため主要企業は常に戦略をアップデートし、顧客獲得に向けてサービス向上に投資し続けなければいけません。また、上に挙げたSaaS業界のリーディングカンパニーにとって、インドや中国などの成長が見込まれる地域でのシェア拡大も重要な課題となってきます。

【SaaS業界の世界市場規模】

当サイトでは、2022年のSaaS業界の世界市場規模を2611.5億ドルと推計しています。推計にあたり参照した統計や調査データは以下の通りとなります。

調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年の同業界の市場規模は2611.5億ドルです。2023年から2030年にかけて年平均13.7%の成長率で推移し、同年には8192.3億ドルになると見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率
 2022年 2611.5億ドル
 2023年 3330.3億ドル 27.5%
 2030年 8192.3億ドル 13.7%
SaaS業界の市場規模 

マイクロソフトのOffice365に代表される販売方法の変化(Officeソフトウェアの切り売りからSaaS型のサブスクリプションサービスへの移行)は今後も継続し、さらにパブリックやプライベートクラウドを通じての人工知能(AI)サービス、機械学習、既存のサービスのデジタル化の進展はSaaSにとっても追い風となります。

【SaaS業界の売上高ランキング】

2023年度4-6月四半期売上高をベースとしたSaaS業界の売上高ランキングでは、1位マイクロソフト、2位オラクル、3位セールスフォースとなっています。
参照したデータの詳細情報

SaaS業界の売上高ランキング(四半期ベース)
*2023年6ー8月の売上高
**2023年5ー7月の売上高
***2023年3ー5月の売上高
その他は2023年4-6月の売上高

2022年度の市場シェアと比較すると、1位のマイクロソフトが盤石の地位を築いている一方で、Googleが急成長しています。アルファベット(Google)は2023年4-6月期のGoogle Cloudが年次ベースで33%収益が増加したと発表しており、会社全体での収益増加に貢献しています。


さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

XaaS(ザース)の衝撃 すべてがサービス化する新ビジネスモデル
IaaSで始める クラウドコンピューティング入門
クラウドサービス業界の世界シェアと市場規模
SaaS業界の世界市場シェアの分析

【M&Aの動向】

SaaS業界のM&Aは、既存事業の強化や買収先との相乗効果を期待して行われることが多いです。SaaS業界は変化が多く、顧客のニーズが多様化しやすいという特徴があります。自社のサービスのみで対応するのに限界を感じる企業も多く、大手企業ほど積極的にM&Aを取り入れています。

2018年 アドビがマーケティング支援ソフト開発のMarketoを47.5億ドルで買収

2018年 マイクロソフトがソースコード共有プラットフォームGitHubを75億ドルで買収

2019年 SAPがオンライン調査サービスQualtricsを80億ドルで買収

2021年 セールスフォースがビジネスチャットツール大手のSlackを277億ドルで買収

2022年 アルファベット(Google)がサイバーセキュリティ企業Mandiantを54億ドルで買収

2023年 SAPが2019年に買収したQualtricsの株を投資会社Silver Lake Managementに77億ドルで売却

売上マルチプルを見ると平均値が20.6倍、中央値が19.1倍と高めで、全体的に売上額に対して買収額が割高だと言えます。これは、SaaS企業がM&Aによる直接的な売上増を目指すというよりも、買収先のサービスと自社のサービス・ツールをつなげて、相乗効果を期待する傾向にあるからだと考えられます。

例えば、セールスフォースのスラック買収は他のM&Aと桁が違う大型案件ですが、売上マルチプルも40倍以上と高めです。セールスフォースはスラックの売上を取り込む狙いではなく、自社ツール「Customer 360」にスラックの機能を取り込みシェアを拡大する狙いでM&Aを実行したと考えられます。

【会社の概要】

Microsoft Corporation(マイクロソフト)

1975年にビル・ゲイツとポール・アレン氏によって設立されたソフトウェア会社です。オペレーションシステムのウィンドウズやドキュメントソフトのワード、計算ソフトをエクセルなどパソコンなどで必須のソフトを開発販売しています。ゲームの分野ではハードのゲーム機Xboxとネットワーク課金によって事業を成長させています。クラウドサーバーはAzureで展開しています。ソフトの販売から、クラウド型のサブスクリプションサービスへの移行も順調です。モバイル分野ではオペレーションシステムではグーグルのアンドロイドとアップルのiOSに差をつけられています。さらに詳しく

Oracle Corporation(オラクル)

Oracle(オラクル)は、1977年にラリー・エリソン氏によって設立された米国に本拠を置くデータベース管理ソフトウェア世界大手です。2010年にサンマイクロシステムズを買収しハードウェアにも強みを持ちます。オペレーティングシステム(Solaris、Oracle Linux)、Javaアプリケーション開発用のフレームワーク、オラクルクラウド、サーバー等のハードウェアなどを展開しています。さらに詳しく

Salesforce, Inc.(セールスフォース)

1999年にマーク・ベニオフ氏によって設立された米国に本拠をおくクラウド型のCRMアプリケーション提供大手です。営業支援サービスのSales Cloud、カスタマーサービスのService Cloudなどが有名です。2020年にSlack(スラック)運営会社の買収に合意しました。さらに詳しく

Alphabet Inc. (Google、アルファベット)

アルファベット(グーグル)は、1998年にラリーペイジ氏とセルゲイブリン氏によって設立された検索・メディア大手です。世界中の情報を検索可能にする壮大なアジェンダを掲げ、良質なコンテンツが上位表示される精度の高い検索サービスで世界を席巻しました。上位表示に広告も織り交ぜる検索連動広告、UIに優れたGmail、動画共有のユーチューブ、スマホの基幹システムAndroidに加え、クラウドコンピューティングのGoogle Cloud Platform、SaaS型のGoogle Workspaceといったクラウドサービスも提供しています。個人情報保護や掲載するデータへの使用料支払いといった観点から逆風も吹いています。社名をグーグルからアルファベットに変更しました。さらに詳しく

CISCO SYSTEMS, INC.(シスコ)

Cisco Systems(シスコシステムズ)は、1984年にスタンフォード大の学生によって設立されたネットワーク機器大手です。中興の祖であるジョンチェンバース(John Chambers)氏の強いリーダーシップのもとで、法人向けネットワーク機器を強化し、法人向けのスイッチ、ネット接続用ルーター、電話会議やビデオ会議システムで世界最大手となりました。SaaS型でWebex等のビデオ会議システムを提供しています。M&Aにも積極的です。さらに詳しく

Adobe Inc.(アドビ)

Adobe(アドビ)は、1982年に設立された米国に本拠を置くソフトウェア会社です。文書フォーマットとして幅広く使われているアドビPDF、画像作成・編集ファイルとして評判が高いPhotoshop等をSaaS型で展開しています。サイト構築からマーケティング管理まで行うデジタルエクスペリエンス事業も強化しています。さらに詳しく

SAP SE(SAP)

1972年に設立されたドイツに本拠を置くビジネス向けソフトウェアの開発大手です。基幹システムパッケージであるERPに強みを持ちます。経費精算のコンカー、人材管理、調達管理といったサービスをSaaS型で提供しています。

International Business Machines Corporation(IBM)

IBMは、1911年に設立された世界を代表する米国に本拠を置くIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウドサービス、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。さらに詳しく

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。既に会員の方はログインすると閲覧できます。まだ会員登録がお済みでない方は、こちらから会員登録ができます。

シェアをする

  • facebook
  • hatebu
  • linkedin
  • line
EN