RENAULT(ルノー)の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

技術者と商人であったルノー兄弟が1899年に自動車事業を生業とするルノー・フレール社を設立したのがルノーの始まりです。数々のレースに積極的に参加しては勝利を収め、顧客を獲得していったルノーは、やがてパリ市のタクシーの大量生産を受注。ルノーは手作り生産から分業による大量生産に移行します。1945年、ルノー社はド・ゴール将軍の行政命令によって国有化され、「ルノー公団」として新たなスタートを切ります。その後1990年に株式会社となり、1996年には完全に民営化されました。1999年、ルノーは、ヨーロッパ市場はもとより世界市場で競争力をつけるため、日産自動車との提携を決定します。これにより年間生産台数480万台、世界第4位(当時)の自動車メーカー・グループが誕生しました。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は55,537百万ユーロで、前年度比3%減となりました。営業利益は2,105百万ユーロになりました。営業利益率は4%になりました。パートナー向け売上高は、日産とダイムラーの車両生産減少、欧州でのディーゼルエンジン需要の低下、中国でのCKD事業の急激な落ち込みにより3.4ポイント減少しました。

2020年度
売上高は43,474百万ユーロで、前年度比22%減となりました。営業利益は1,999百万の赤字になりました。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続く中、販売台数は2,951,971台で、前年比21.3%減となりました。

2021年度
売上高は46,213百万ユーロで、前年度比6%増となりました。営業利益は1,398百万ユーロになりました。営業利益率は3%になりました。売上増加は、自動車市場の回復とコンパクトカー事業の成長によるものです。

2022年度
売上高は46,328百万ユーロで、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は2,191百万ユーロになりました。営業利益率は5%になりました。2022年度第2四半期末に発売された電気自動車 Megane E-TECH Electric、2021年第2四半期に発売されたArkana、2022年第1四半期に発売されたDacia Joggerの売れ行きは好調で、コンパクトカー事業が成功を収めています。

2023年度
売上高は52,376百万ユーロで、前年度比13%増となりました。営業利益は2,485百万ユーロになりました。営業利益率は5%になりました。売上の増加は、販売台数の増加と販売価格の上昇によるものです。販売価格上昇により自動車セグメントの売上高は7%上昇しました。現在RENAULTは、販売台数よりも価値、車両の充実、為替影響を相殺するための価格引き上げに重点を置いた経営方針を取っています。

RENAULT(ルノー)の業績推移

RENAULT(ルノー)の業績推移

業績推移(四半期)

2021年下半期(7ー12月)
売上高は22,856百万ユーロになりました。営業利益は827百万ユーロ、営業利益率は4%になりました。

2022年上半期(1ー6月)
売上高は21,121百万ユーロになりました。営業利益は939百万ユーロ、営業利益率は4%になりました。売上高は前年同期とほぼ同額でした。販売価格の上昇により売上高は+7.4ポイント増加しましたが、半導体不足に関連した欧州自動車市場の低迷による販売台数の減少により、売上高は相殺されました。

2022年下半期(7ー12月)
売上高は25,207百万ユーロになりました。営業利益は1,252百万ユーロ、営業利益率は5%になりました。

2023年上半期(1ー6月)
売上高は26,849百万ユーロになりました。営業利益は2,096百万ユーロ、営業利益率は8%になりました。売上高は前年同期比で30%増加しました(為替レートを一定にした場合)。これは、半導体部品供給問題の改善などにより販売台数が増えたことや(+15ポイント)、販売価格の上昇(+9ポイント)によるものです。

2023年下半期(7ー12月)
売上高は25,527百万ユーロになりました。営業利益は389百万ユーロ、営業利益率は2%になりました。

RENAULT(ルノー)の四半期業績推移

RENAULT(ルノー)の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比33%増の7.99ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比640%増の1.85ユーロになりました。配当性向は23%になりました

RENAULT(ルノー)のEPS・1株配当・配当性向の推移(四半期)

RENAULT(ルノー)のEPS・1株配当・配当性向の推移(四半期)

業績予想

2024年4月
2024年度第一四半期のレポートにて、2024年度通期の営業利益率は7.5%以上を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、自動車、ファイナンス、モビリティ・サービスに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

RENAULT(ルノー)の売上構成(サブセグメント別、2022年度)

RENAULT(ルノー)の売上構成(サブセグメント別、2023年度)

セグメント概略

自動車
乗用車および小型商用車の生産、販売、流通子会社と、同部門の資金管理を担当する子会社で構成されています。この部門には、主に日産自動車を中心とする自動車部門の関連会社および合弁会社への投資も含まれます。

ファイナンス
RCI バンク、その子会社、関連会社、合弁会社が、流通ネットワークとエンドユーザのためのファイナンスソリューションを提供しています。

モビリティ・サービス
カーシェアリング、短期レンタル、複数の人が1台の車を共有して目的地まで移動するサービスなどを提供しています。

M&A情報

2015年 F1 レーシング チームLotus F1 Teamを買収
2017年 小型商用車の電動化を専門とするPVIを買収
2018年 個人間の中古車販売サービスを提供するCarizyを買収
2022年 車両メンテナンスのデジタル化を専門とする新興企業Fixterを買収

EN