自動車シート業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。自動車シートメーカー世界大手であるリア・コーポレーション、アディエント、トヨタ紡織、フォルシア、マグナインターナショナル、テイ・エステック、日本発条(ニッパツ)、タチエスの動向についても掲載しています。
【自動車シート業界とは】
自動車部品の中でも、シートを製造しているのが自動車シート企業です。シート製造には、シートカバー、レザーやファブリックなどの表皮材、シートメカニズム、シートフォーム、ヘッドレストの設計、開発、組立技術が必要となります。シートはただ座るという役割だけでなく、急ブレーキ・急アクセルなどスピードが急に変わる際の快適性や安全性を担う重要な部品です。
近年では、シートの電動化やセンサー制御へのニーズは高まっており、電動化や自動化に対応する技術も必要となります。
シート製造の必要技術
シート製造には、シートカバー、レザーやファブリックなどの表皮材、シートメカニズム、シートフォーム、ヘッドレストの設計、開発、組立技術が必要となります。またシートの電動化やセンサー制御へのニーズは高まっており、電動化や自動化に対応する技術も必要となります。
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【自動車シート業界の世界市場シェア】
自動車シートメーカー各社の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、簡易に2022年の自動車シート業界の市場シェアを算出すると、1位はリア・コーポレーション、2位はアディエント、3位はトヨタ紡織となります。
*アディエントは2023年会計年度のデータ(2023/9締め)を使用
自動車シートの世界シェア(2023年)
順位 | Company name(English) | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | Lear Corporation | リア・コーポレーション | 22.2% |
2位 | Adient | アディエント* | 21.1% |
3位 | Toyota Boshoku | トヨタ紡織 | 14.1% |
4位 | Faurecia | フォルシア | 7.5% |
5位 | Magna International | マグナインターナショナル | 5.4% |
6位 | TSTech | テイ・エステック | 3.9% |
7位 | NHK SPRING CO.,LTD. | ニッパツ | 2.79% |
8位 | Tachi-S | タチエス | 2.76% |
1位と2位は、米国の自動車部品メーカーであるリア・コーポレーションとアディエント(旧ジョンソンコントロールズ)です。リア・コーポレーションがシート以外に電子システム(eシステム)も手がけているのに対して、アディエントはシート製造専業です。
3位はトヨタのグループ会社であるトヨタ紡織です。日本企業としては、ホンダ系列のテイ・エステック、独立系のニッパツとタチエスがランクインしています。
【自動車シート業界の世界市場規模】
当サイトでは、2022年の自動車シート業界の市場規模を686.4億ドルとしております。参照した統計データは以下の通りです。
調査会社のリポーツアンドデータによると、2022年の同業界の市場規模は686.4億ドルです。2032年にかけて5.6%での成長を見込み、同年には1120.9億ドルに達すると予測しています。⇒参照したデータの詳細情報
近年では、交通事故による怪我防止のために、デュアル・サイドエアバッグ、プリテンショナーシートベルトなどを装備する自動車が増えてきています。また、自動車用シートにスマートセンサーや空調装備を搭載していることも多く、安全性や快適性の提供が今後も重要視されていくと考えられます。
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2022年 | 686.4億ドル | – |
2032年 | 1120.9億ドル | 5.6% |
【M&Aの動向】
業界首位のリア・コーポレーションが積極的にM&Aをおこない、シート事業を強化しています。
2011年 ジョンソンコントロールズがシート製造のRECAROを買収
2012年 リア・コーポレーションが自動車用シート大手のギルフォード・ミルズを買収
2014年 リア・コーポレーションが自動車向けレザーのEagle Ottawaを買収
2016年 ジョンソンコントロールズが自動車シートのアディエントを分社化
2017年 リア・コーポレーションがGrupo Antolinの自動車用シート事業を買収
2017年 タチエスが富士機工の自動車用シート事業を61億円で買収
2020年 アディエントが2011年に買収したRECAROを投資会社へ売却
2022年 トヨタ紡織が自動車用シート部品のトヨタ車体精工成功を20億円で子会社化
2022年 リア・コーポレーションが自動車シートの試験装置を取り扱うInTouch Automationを買収
2023年 リア・コーポレーションがドイツの自動車用シート空調のIGBを1.4億ユーロで買収
【会社の概要】
Lear Corporation(リアコーポレーション)
1917年に設立された自動車や航空機シート製造会社であるアメリカン・メタル・プロダクツが源流となります。1988年にMBOを経て現社名となりました。1999年には、ユナイテッドテクノロジーズから自動車用配電システム事業を買収しました。現在は、祖業である自動車向けのシートと買収した自動車用電気・電子システムが主力となっています。
2012年 自動車用シート大手のギルフォード・ミルズを買収
2015年 自動車用レザーサプライヤーのEverett Smith Groupを買収
2017年 Grupo Antolinの自動車用シート事業を買収
2019年 コネクテッドカーソフトウェアのXevoを買収
Adient plc(アディエント)
米国に本拠をおく自動車用のシートメーカーです。2015年にジョンソンコントロールズから分社化上場しました。2011年には高性能シートブランドであるRECAROを製造するKeiperを買収しました。
ジョンソンコントロールズについて
Johnson Controls(ジョンソンコントロールズ)は、1885年に設立された米国に本社を置く業務用空調制御システム、セキュリティシステム、火災検知システム、ビル管理サービスを提供する会社です。電気式サーモスタットを発明した歴史を持ちます。2016年に火災警報分野に強いTyco(タイコ・インターナショナル)と経営統合をしました。世界150ヵ国で展開し、エネルギー効率ソリューションや各種オートメーション事業を展開しています。自動車用のバッテリー等の分野に強みがありましたが2018年に売却しました。さらに詳しく
TOYOTA BOSHOKU CORPORATION(トヨタ紡織株式会社)
1918年に豊田佐吉によって設立されたトヨタグループの源流の会社です。現在は自動車シート事業を中心に自動車内外装、フィルターや吸気系製品を手掛けています。
Faurecia(フォルシア)
1997年に設立されたフランスに本拠を置く自動車部品メーカーです。ステランティス(元PSAプジョー・シトロエン)のグループ会社です。空調、音響機器、安全運航システムや自動車シート等に強みを持ちます。2018年に日立より日産自動車やマツダ、三菱自動車など向けのOEM(相手先ブランドによる生産)のカーナビ大手であるクラリオンを買収しました。さらに詳しく
Magna International Inc.(マグナ・インターナショナル)
1957年に創業のカナダに本拠を置く自動車部品メーカーです。ボディ外装や構造、自動車シート、パワートレイン、自動車用電装品に強みを持ちます。自動車(完成車)製造受託の子会社も保有しています。2016年に変速機大手のドイツのゲトラグを買収しました。2021年に自動運転技術に強いスウェーデンのヴェオニアの買収を発表しました(その後断念)さらに詳しく
TS TECH Co.,Ltd.(テイ・エステック株式会社)
1960年に設立されたホンダ自動車系列の部品メーカーです。自動車・二輪車用シートや内装品を手掛けています。
NHK SPRING CO.,LTD. (ニッパツ、日本発條株式会社)
1936年に設立された自動車用ばねやシートに強みも持つ自動車部品会社です。板ばね、コイルばね、スタビライザ、トーションバー、ガスねじ、HDD用サスペンションなどを提供しています。
TACHI-S Co., Ltd.(株式会社タチエス)
1954年に立川スプリングとして設立された自動車部品メーカーです。日産自動車、三菱自動車、日野自動車が主な取引先となっています。
参照したデータの詳細情報について
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