食塩・工業塩業界

塩・食塩(ソルト)業界の世界シェア、業界ランキング、市場規模、再編の情報を分析しています。業界大手であるK+Sグループ、カーギル、中国国家塩産業、コンパスミネラルズ等の動向も掲載しています。

市場シェア

K+Sグループが2020年に公表した各社の塩の生産量を分子に、世界の生産量を分母にして塩業界の市場シェアを計算しますと、1位はK+S Groupの7.1%、2位は中国国家塩産業の6.8%、3位はコンパス・ミネラルズ・インターナショナルの4.8%となります。

1位 K+S Group 7.1%
2位 中国国家塩産業 6.8%
3位 コンパス・ミネラルズ・インターナショナル 4.8%
4位 カーギル 4.5%
5位 ダンピアソルト 3.2%
6位 ESSA 2.6%
7位 Artyomsol 2.6%
8位 アクゾノーベル 2.3%
9位 ザルツヴェルケ 1.6%
10位 サラン 1.3%

1位のドイツのK+Sグループは不動の1位です。過去10年に渡りM&Aを通じて塩の生産量を増加させてきました。塩とカリウム(炭酸カリ)の大手です。2020年に北米と南米の塩事業の売却プロセス開始を発表し、2020年10月に売却を発表しました。売却完了予定である2021年には、順位が変更する可能性があります。2位は中国の食塩を独占している中国国家塩産業(チャイナソルト)です。3位は米国のコンパス・ミネラルズ・インターナショナルです。工業用塩に強く道路凍結防止剤ではトップクラスです。4位は米国の穀物商社・穀物メジャーのカーギルが入っています。アクゾノーベルの北米塩事業を買収して事業を成長させています。食塩と工業塩の両方を手掛けています。5位は西豪州で事業を展開するダンピアソルトです。リオティントの子会社です。6位はメキシコ政府と三菱商事の合弁塩会社であるESSAです。

市場規模

調査会社のロスキル社によれば、2015年の塩・食塩業界の年間生産量は年間約295百万トンと推計されます。
調査会社のテクノナビによれば、生産量は数量ベースで2020年~2024年にかけて年率平均2%の成長し、2019年より33.57百万トン増加すると予想されています。逆算すると2019年の生産量は322百万トンとなります。
当サイトでは310百万トンを市場シェア算出のベースとなる市場規模としています。

生産方法と用途

塩の生産方法では、岩塩を原料とした塩が生産量の7割程度、海水を原料とする天日塩が3割程度と言われています。
用途としては、食塩の他に、工業用に使用されます。NaCLからCLとNaOHへと分解され、塩素は塩化ビニルやウレタンの原料となります。NaOHは苛性ソーダとなります。ガラス原料、洗剤や食品添加物の要素であるソーダ灰(炭酸ナトリウム)の原料でもあります。

業界の再編

  • 1997年 カーギルによるアクゾノーベルからの北米塩事業の買収
  • 2000年 K+S Groupによるソルベーから塩事業の買収
  • 2009年 K+S Groupによるモートン・ソルトの買収
  • 2016年 K+S Groupによる豪州のAshburton Saltの買収
  • 2020年 Stone Canyon IndustriesによるKissner Group Holdingsの買収
  • 2020年 K+S Groupによる米州塩事業のStone Canyon Industriesへの売却

業界の動向

K+S Group

ドイツに本拠を置く肥料・食塩メーカーです。カリウム肥料大手です。塩事業では、2000年にベルギーのソルベーから塩事業を買収したのに続き、2009年には米国の塩大手モートン・ソルト(Morton Salt)を買収し、塩生産量の拡大を図ってきました。2020年に負債削減のため米国の塩事業の売却検討を発表し、10月にStone Canyon Industries(ストーンキャニオンインダストリーズ)への売却を発表しました。ストーンキャニオンインダストリーズは、2020年4月にKissner Group Holdings(北米製塩事業を展開)を買収し、K+Sの製塩事業も買収し、同分野の事業を拡大しています。

China National Salt Industry Corporation (中国国家塩産業、中国盐业总公司)

中国に本拠を置く国営食塩会社です。食用食塩に関しては中国市場を独占しています。

Cargill(カーギル)

米国に本拠を置く1865年創業の穀物メジャー筆頭格です。食糧関連以外にも金融や製造業を営むコングロマリットです。塩の分野でも1997年にAkzoNobelから北米事業を買収して生産規模を拡大しています。食塩、家畜用の栄養補強材、硬水軟化剤、除氷製品などを手掛けています。非公開会社です。

Compass Minerals(コンパス・ミネラルズ・インターナショナル)

米国に本拠を置く塩・肥料メーカーです。塩は高速道路の凍結防止剤として利用されています。肥料は硫酸カリが主体です。

Dampier Salt(ダンピアソルト)

豪州に本拠を置く塩メーカーです。鉱山大手のリオティント傘下ですが、丸紅と双日も出資しています。ダンピア、ポートヘッドランド、マクラウド湖で天日による製塩を行っています。

Artyomsol

ウクライナに本拠を置く政府系塩メーカーです。Bryantsivska鉱山での岩塩が主体となります。

エクスポルタドラ デル サル メキシコ(ESSA、Exportadora de Sal, S.A. de C.V.)

三菱商事とメキシコ政府の合弁製塩会社です。天日塩田では世界最大級の生産規模を誇ります。

Suedwestdeutsche Salzwerke(ザルツヴェルケ)

ドイツに本拠を置く塩・食塩メーカー大手です。1517年に製塩を始めたハイルブロン岩塩鉱山がメインの鉱山となります。ライヘンハル盆地からの天然湧水塩水からも製塩を行っています。バーデンヴュルテンベルク州とハイルブロン市が株主となっています。

Salins(サラン)

フランスに本拠を置く塩・食塩メーカー大手です。フランス、スペイン、イタリア、チュニジア、セネガルで製塩事業を行っています。

アクゾノーベル

アクゾノーベル(Akzo Noble)は、オランダに本拠を置く世界最大級の化学・塗料会社です。1994年にオランダのアクゾとスウェーデンのノーベルが合併して誕生しました。ノーベルはノーベル賞の生みの親のアルフレッド・ノーベルが買収して誕生した由緒のある会社です。

塗料・コーティング事業と機能性化学事業が二本柱です。塗料・コーティング事業では、建築物、自動車、船舶、飛行機向けの事業を展開していて、塗料・コーティング業界における世界シェアでは世界上位にいちしています。2007年に英国の老舗名門化学メーカーのICIを買収し、塗料事業を強化しました。建築用塗料のDuluxやウッドデッキ用コーティング塗料のCuprinol等のブランドで展開しています。
機能性化学事業では、キレート、ペルオキシド、硫黄、エチレン化合物等を手掛けています。過去事業の売却を行っており、工業塩事業は米国の塩事業はカーギルに売却しました。欧州での工業塩事業に集中しています。保水事業はフィンランドの水処理大手のケミラ(Kemira)へ、ソーダ灰事業はYunus Brothers Groupへ売却を行っています。

1994年 AkzoとNobelが経営統合し、アクゾノーベルが誕生
1997年 カーギルによるダイヤモンド・クリスタル・ソルト部門の買収
2016年 BASFから工業用塗料部門の事業を買収
2017年 米国のPPGより敵対的な買収提案を受ける
2017年 米国のアクサルタ・コーティング・システムズとの経営統合の交渉を発表

三井物産

西オーストラリアのシャークベイとオンズローの塩田で生産を行っています。天日製塩の塩田で、食塩と工業塩を日本を含むアジア地域へ輸出しています。

アメリカン・ロック・ソルト(American Rock Salt)

1997年に設立された米国に本拠をおく製塩会社です。ハンプトンコーナー鉱山(ロチェスター南部)からの岩塩がメインとなり、年間18000トンの製塩能力を持っています。

塩・食塩(ソルト)業界の参考書

塩の世界史(上) – 歴史を動かした小さな粒 (中公文庫) [文庫]

日本と世界の塩の図鑑 [単行本(ソフトカバー)]

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