パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェアの分析

パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェアや市場規模の情報について分析をしています。サイムダービー、ゴールデンアグリリソーシーズ、フェルダグローバルベンチャーズ、アストラアグロレスタリ、ウィルマ―インターナショナル、クアラルンプールケポンといった油やし(パームオイル)農園運営大手の動向も掲載しています。

パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェア(2019年)

最新業界別売上高世界ランキング第9巻」に記載のパーム油農場運営会社各社のパーム油生産量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年のパーム油業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はFGV、2位はサイムダービー、3位はゴールデンアグリリソーシーズとなります。

1位 FGV 3.98%
2位 サイムダービー 3.31%
3位 ゴールデンアグリリソーシーズ 3.18%
4位 アストラアグロレスタリ 2.19%
5位 ケポン 1.79%
6位 ウィルマ― 1.71%

世界1位は、マレーシア政府系のフェルダ・グローバル・ベンチャーズ社です。世界2位はマレーシアに本拠を置くサイム・ダービー社です。世界3位は、シンガポールに本拠を置くゴールデン・アグリ・リソーシーズ社です。同社はシナルマスグループの中核企業でもあります。世界4位は、インドネシアのコングロマリットであるアストラグループ傘下のアストラアグロレスタリ社です。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、パーム油農場運営会社業界の2019年の世界市場規模を75.45百万トンとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。「グローバル市場規模の情報整理」に記載の米国の農務省のデータによると、2019年のパーム油の生産量は75.45百万トンです。
2007年~2020年のパーム油の生産量の推移は以下の通りです。

パーム油の生産量推移
パーム油の生産量推移 出所:グローバル市場規模の情報整理

同サイトに記載のジオンマーケットリサーチによると、2016年の同業界の市場規模は657億ドルです。2021年にかけて年平均7.2%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

パーム油とは

種をまいた後、約30か月で実をつけ始め、約36か月で収穫可能となります。
7~18年がパームの実の収穫量のピークで、約25年が寿命となります。
1ヘクタール当り、18-30トンのパームの実が収穫できます。
収穫されたパームの実(Fresh Fruit Bunch、FFB)は、図のように真ん中の白いKernel(種)とRed Fruit(実)に分かれます。

パームの実
パームの実 出所:シナルマス

両方の部分からパーム油が取れます。種からとれた油をPalm Kernel Oil(パームカーネル油)といい、マーガリンやセッケンの原料となります。実からとれた油はレッドパームオイルとして食用となります。

パーム油業界の動向

Sime Darby(サイムダービー)

2007年にSime Darby、Guthrie及びGolden Hopeの3社が経営統合して誕生です。源流はSime Darbyは、1910年にWilliam Sime氏とHenry Darby氏によって設立されたパーム油の貿易会社となります。Guthrieは、1821年にAlexander Guthrie氏によって設立された英国系企業です。パーム油とゴムの貿易を主体としています。Golden Hopeは、1905年に設立されたコーヒー等の貿易会社です。年間2.48百万トンの粗パーム油(crude palm)を産出します。

Golden Agri-Resources(ゴールデンアグリリソーシーズ)

1996年に設立されたシンガポールに本拠を置くアブラヤシ農園運営会社です。シナルマスグループの中核会社としてウィジャヤ一族(Widjaja Family)の資産管理会社であるFlambo International社が約50%の持分を保有しています。シンガポール証券取引所に上場しています。子会社であるPT SMART社やPT Dami Mas Sejahtera社を通じてパーム油農園の運営から流通・販売までを行っています。パーム油の輸送も自前で行っています。

Felda Global Ventures(フェルダグローバルベンチャーズ、FGVホールディングス)

マレーシア政府系のパーム油農園運営大手です。上場していますが、最大手の株主はFederal Land Development Authority(連邦土地開発公社)です。パーム油関連事業以外では2009年に製糖大手であるMSM Malaysia(MSMマレーシア)を買収しました。フランス系の穀物商社であるルイ・ドレイファスと戦略的提携もしています。カナダの穀物商社であるBungeとも大豆搾油の合弁会社を運営しています。

Astra Agro Lestari(アストラアグロレスタリ)

インドネシアに本拠を置く自動車や金融大手であるアストラグループの傘下企業です。ゴムプランテ ーション運営を主軸にヤシ油・紅茶・ココアのプランテーション運営や食用油製造も手掛けています。

Wilmar Group(ウィルマ―グループ)

シンガポールに本拠を置くプランテーション運営企業です。上流のヤシ農場の運営から、パーム油精製、トレーディング、最終商品の提供を行う世界的な製油会社です。パーム油生産においては川上から川下まで一貫体制をとっています。製粉事業は中国を中心に手掛けています。製粉事業は、関連会社も含めて年間約11百万トンの生産能力を有しています。インドではAdani、中国ではCOFCOと共同で事業を行っています。搾油事業に関しては年間41百万トンを有しています。製糖事業は、豪州の旧Colonial Sugar Refining Company(CSR)からSucrogenを買収し製糖事業を強化しています。シンガポール証券取引所に上場していますが、米国の穀物メジャーであるArcher-Daniel Midlandが約25%の株式を保有しております。

Wilmar社のCrushing能力一覧

Wilmar製粉能力
出所:同社ホームページ

Salim Ivomas Pratama(サリム・イボマス・プラタマ)

インドネシア最大の財閥であるサリムグループ傘下企業です。パーム油プランテーションの運営は子会社のサリム・イボマス・プラタマを通じて行っています。

Kuala Lumpur Kepong(クアラルンプールケポン)

マレーシアに本拠を置くプランテーション運営会社です。ヤシ油、天然ゴム、ココア、オレオケミカル、石鹸、ゴム手袋、トイレタリー等の製造販売を行っています。

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