パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェアの分析
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パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェアの分析

パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。サイムダービー、ゴールデンアグリリソーシーズ、フェルダグローバルベンチャーズ、アストラアグロレスタリ、ウィルマ―インターナショナル、クアラルンプールケポンといった油やし(パームオイル)農園運営大手の概要や動向も掲載しています。

【パーム油とは】

種をまいた後、約30か月で実をつけ始め、約36か月で収穫可能となります。
7~18年がパーム実の収穫量のピークで、約25年が寿命となります。
1ヘクタール当り、18-30トンのパームの実が収穫できます。
収穫されたパームの実(Fresh Fruit Bunch、FFB)は、図のように真ん中の白いKernel(種)とRed Fruit(実)に分かれます。
両方の部分からパーム油が取れます。種からとれた油をPalm Kernel Oil(パームカーネル油)といい、マーガリンやセッケンの原料となります。実からとれた油はレッドパームオイルとして食用となります。

パームの実

【市場シェア】

パーム油農場運営会社各社の2019年度のパーム油生産量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2019年のパーム油業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はFGV、2位はサイムダービー、3位はゴールデンアグリリソーシーズとなります。

パーム農場運営会社の世界市場シェアと業界ランキング(2019年)

順位会社名市場シェア(2020年)
1位FGV3.98%
2位サイムダービー3.31%
3位ゴールデンアグリリソーシーズ3.18%
4位アストラアグロレスタリ2.19%
5位ケポン1.79%
6位ウィルマ―1.71%
パーム農場運営会社の世界市場シェアと業界ランキング(2019年)
パーム油業界の世界シェア(2019年)
パーム油業界の世界シェア(2019年)

世界1位は、マレーシア政府系のフェルダ・グローバル・ベンチャーズ社です。世界2位はマレーシアに本拠を置くサイム・ダービー社です。世界3位は、シンガポールに本拠を置くゴールデン・アグリ・リソーシーズ社です。同社はシナルマスグループの中核企業でもあります。世界4位は、インドネシアのコングロマリットであるアストラグループ傘下のアストラアグロレスタリ社です。

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、パーム油農場運営会社業界の2020年の世界市場規模を75.45百万トンとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のスタティスタによると、2020年のパーム油の生産量は75.45百万トンです。⇒参照したデータの詳細情報
2007年~2020年のパーム油生産量の推移は以下の通りです。

パーム油の生産量推移
パーム油の生産量推移 出所:グローバル市場規模の情報整理

同サイトに記載のジオンマーケットリサーチによると、2016年の同業界の市場規模は657億ドルです。2021年にかけて年平均7.2%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

さらに詳しく業界を理解するためのお薦め書籍と関連サイト

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【会社の概要】

Sime Darby(サイムダービー)

2007年にSime Darby、Guthrie及びGolden Hopeの3社が経営統合して誕生です。源流はSime Darbyは、1910年にWilliam Sime氏とHenry Darby氏によって設立されたパーム油の貿易会社となります。Guthrieは、1821年にAlexander Guthrie氏によって設立された英国系企業です。パーム油とゴムの貿易を主体としています。Golden Hopeは、1905年に設立されたコーヒー等の貿易会社です。年間2.48百万トンの粗パーム油(crude palm)を産出します。

Golden Agri-Resources(ゴールデンアグリリソーシーズ)

1996年に設立されたシンガポールに本拠を置くアブラヤシ農園運営会社です。シナルマスグループの中核会社としてウィジャヤ一族(Widjaja Family)の資産管理会社であるFlambo International社が約50%の持分を保有しています。シンガポール証券取引所に上場しています。子会社であるPT SMART社やPT Dami Mas Sejahtera社を通じてパーム油農園の運営から流通・販売までを行っています。パーム油の輸送も自前で行っています。

Felda Global Ventures(フェルダグローバルベンチャーズ、FGVホールディングス)

マレーシア政府系のパーム油農園運営大手です。上場していますが、最大手の株主はFederal Land Development Authority(連邦土地開発公社)です。パーム油関連事業以外では2009年に製糖大手であるMSM Malaysia(MSMマレーシア)を買収しました。フランス系の穀物商社であるルイ・ドレイファスと戦略的提携もしています。カナダの穀物商社であるBungeとも大豆搾油の合弁会社を運営しています。

Astra Agro Lestari(アストラアグロレスタリ)

インドネシアに本拠を置く自動車や金融大手であるアストラグループの傘下企業です。ゴムプランテーション運営を主軸にヤシ油・紅茶・ココアのプランテーション運営や食用油製造も手掛けています。

Wilmar Group(ウィルマ―グループ)

シンガポールに本拠を置くプランテーション運営企業です。上流のヤシ農場の運営から、パーム油精製、トレーディング、最終商品の提供を行う世界的な製油会社です。パーム油生産においては川上から川下まで一貫体制をとっています。製粉事業は中国を中心に手掛けています。製粉事業は、インドネシア、インド、中国で事業を展開しています。インドではAdani、中国ではYihai Flour Companyという名称でCOFCOと共同で事業を行っています。搾油事業に関しては年間41百万トンを有しています。製糖事業は、豪州の旧Colonial Sugar Refining Company(CSR)からSucrogenを買収し製糖事業を強化しています。シンガポール証券取引所に上場していますが、米国の穀物メジャーであるArcher-Daniel Midlandが約25%の株式を保有しております。

Wilmar社のCrushing能力一覧

Wilmar製粉能力
出所:同社ホームページ

Salim Ivomas Pratama(サリム・イボマス・プラタマ)

インドネシア最大の財閥であるサリムグループ傘下企業です。パーム油プランテーションの運営は子会社のサリム・イボマス・プラタマを通じて行っています。

Kuala Lumpur Kepong(クアラルンプールケポン)

マレーシアに本拠を置くプランテーション運営会社です。ヤシ油、天然ゴム、ココア、オレオケミカル、石鹸、ゴム手袋、トイレタリー等の製造販売を行っています。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

市場規模の情報
Statista

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