工作機械業界の世界市場シェアの分析

工作機械業界の世界シェアや市場規模について分析をしています。トルンプ、アマダ、ニデック、DMG森精機、シューラ―、オークマといった大手工作機械メーカーの概要や動向も掲載しています。

【工作機械とは】

日本工業規格によれば、工作機械とは、主として金属の工作物を切削・研削などによって不要な部分を取り除き、求められる形状に作り上げる機械の総称です。工作機械の製品を生み出す機械を「作っている」ことから、マザーマシーンとも言われています。日本とドイツのメーカーが歴史的に強い業界です。工作機械の種類には、プレス機械、板金機械、放電加工機、歯切り盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、マシニングセンタ、旋盤、研削盤、ターニングセンタ等があげられます。それぞれの機械ごとに得意とする企業があります。(例:日本のアマダは板金機械に強み)

また工作機械ごとに、旋削(削る)、穴あけ、中ぐり(穴を拡大する)、フライス削り、研削、歯切り、放電加工、レーザー加工等の得意とする加工役割があります。中には、これらの工程のいくつかを自働化する工作機械もあります。

日本の工作機械会社は、コンピューターによる自動制御を可能とするNC装置(数値制御装置)がついたNC工作機械を得意とし、中国勢との差別化を図っています。NC装置はファナックや三菱電機が強みを持っています。

【工作機械業界の世界市場シェア+ランキング】

工作機械メーカー各社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、工作機械業界の市場規模を分母にして、2023年の工作機械業界の市場シェアを簡易に算出すると、1位はドイツのトルンプ、2位は日本のDMG森精機、3位はアマダとなります。
参照したデータの詳細情報

工作機械業界の世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2024 Deallab

順位 Company name
(English)
企業名(日本語) 市場シェア
1位 Trumpf トルンプ 5.91%
2位 DMG MORI Co.,Ltd. DMG森精機株式会社 4.42%
3位 AMADA CO.,LTD. 株式会社アマダ 3.30%
4位 NIDEC CORPORATION ニデック株式会社、旧日本電産株式会社 2.45%
5位 SCHULER シューラー 2.10%
6位 Okuma オークマ 1.87%
7位 Makino Milling Machine Co., Ltd. 株式会社
牧野フライス製作所
1.85%
8位 JTEKT Corporation 株式会社ジェイテクト 1.55%
9位 Gleason Corporation グリーソンワークス 1.08%
10位 Georg Fischer ジョージフィッシャー 1.02%
11位 Hyundai Wia Corporation 現代ウィア 0.87%
12位 FANUC CORPORATION ファナック株式会社 0.85%

工作機械の世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2024 Deallab

1位はドイツのトルンプ、2位はドイツのDMGと森精機が経営統合して誕生したDMG森精機となります。3位はプレス機器最大手のアマダで、2位と3位を日本勢が占めています。4位にニデック(日本電産)が登場です。本業のモーターに加え、工作機械分野にも積極的に進出しています。

日本の工作メーカーの老舗であるオークマ、牧野フライスとJTEKTは常連です。5位にはアマダのプレス分野での競合であるドイツのシューラ―が位置しています。

なお、当該ランキングには売上高が非公表のため、日本の工作機械四天王の一角であるヤマザキマザック、またDoosan Machine Tools、Chiron Group、General Technology Groupが含まれておりません。

【工作機械業界の世界市場規模】

当データベースでは、2023年の工作機械業界の市場規模を928億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社プレスデンスリサーチによると、2023年の同業界の市場規模は928億ドルです。2032年にかけて年平均6%で成長し、規模は1568億ドルへと拡大することを見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率見込み
2023年 928億ドル
2032年 1568億ドル 6%/年平均
工作機械業界の世界市場規模の成長率見込み ©2024 Deallab

工作機械業界の世界市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

2012年 アンドリッツがシューラ―を買収

2015年 森精機がドイツのDMGを買収

2016年 MBKパートナーズが斗山マシンツールズを買収

2018年 アマダ、金属プレス加工の自動化装置メーカーを買収し、プレスマシンと自動化装置をトータルで提供できる体制を確立

2019年 ジェイテクト(以下ジェイテクト)は、豊精密工業株式会社(以下豊精密)の株式を取得し、子会社化

2019年 グリーソン、資産取引によりデトワイラー・グループからフェスラー・ホーニング事業の買収を完了

2022年 シューラーは、イタリアの機械工学会社 Sovema Group を買収し、自動車産業やその他の分野向けのバッテリーセル製造ソリューションの大手システムサプライヤーに

2023年 牧野フライス製作所、株式会社エツキの株式を取得し、子会社化

2023年 ジョージフィッシャー、ドバイの大手配管システム会社の過半数株式を取得

2024年 ニデック(日本電産)、Linear Transfer Automation Inc. 及び関連2社(カナダ)を買収

【会社の概要】

Trumpf(トルンプ)

1923年に設立されたドイツに本拠を置く大手工作機械メーカーです。工作機械の中でも板金機械が主力です。非上場です。

DMG MORI Co.,Ltd.(DMG森精機株式会社)

DMG森精機はNC旋盤やマシニングセンターなど切削系工作機に強い日本の森精機とドイツの工作機械大手のDMGが経営統合をして誕生しました。

General Technology Group(通用技術集団、Genertec)

通用技術集団は国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の監督下にある中央管理型の国有企業です。超精密CNC工作機械、CNCシステムなどの分野で積極的に再編を行い、機械工具集団、ハルビン測定工具集団、北京工作機械研究所、大連機床、瀋陽機床等の工作機械の会社を傘下に収めています。

Shenyang Machine Tool(瀋陽機床)

中国瀋陽に本拠を置く大手工作機械メーカーです。中大型の金属切削機械に強みを持ちます。2011年には工作機器業界の売上高で世界最大となりましたが、2019年に会社更生法を申請し、同業の中国通用技術がスポンサーとして再建支援をしています。

Dalian Machine Tool Corporation(通用技術集団大連機床、DMTG)

旋盤やマシニングセンタ等に強みを持ちます。中国の国営企業である通用技術集団傘下企業です。積極的なM&Aが特徴で、Ingersoll (インガソルランド)傘下の特殊機械事業、マシニングセンタに強いZimmermann を買収しています。通用技術集団傘下となり2019年に通用技術集団大連機床が設立されました。

オーストリアに本拠を置くコングロマリット企業です。製紙パルプ、水力発電向けの電気機械装置、固液分離機器、工作機械を手掛けています。工作機械は買収したSCHULER(シューラー)を通じて展開しています。

ドイツに本拠を置くプレス機世界大手メーカーです。金属成型プレス、鍛造プレス、硬貨用プレス等のプレス機を製造しています。プレス機分野は、特に自動車向けの高張力鋼板(ハイテン)のプレス成型への需要が高まっており、日本のアイダエンジニアリング、日本電産等と競合しています。

斗山マシンツールズは韓国に本拠を置く工作機械メーカーです。建機大手の斗山インフラコアの事業部門でしたが、2016年にMBKパートナーズが買収しました。

1802年に設立されたスイスに本拠を置く製造会社です。液体や気体の輸送のための配管パイプ、自動車の鍛造品、工作機械の3部門で事業を展開しています。ミーリングマシンや放電加工機等の製品に強みを持ちます。

Gleason Corporation(グリーソンワークス)

米国に本拠を置く工作機械メーカーです。歯車に関するベベルギヤ加工機やシリンドリカルギヤ加工機の製造に強みを持ちます。

1976年に設立された韓国の現代自動車・起亜自動車のグループ会社です。主に自動車部品と旋盤、プレスライン等の工作機械を製造販売しています。

ドイツに本拠を置くCNC立形フライス盤、複合旋盤加工機、およびターンキー製造ソリューションに強みを持つ工作機械メーカーです。CHIRONとSTAMAブランドで展開しています。

自動車部品メーカーですが、研削盤、切削機、マシニングセンタ等の工作機械も手掛けています。

板金加工機に強みを持つ日本の大手工作機械メーカーです。

マシニングセンタに強みを持つ工作機械メーカーです。

ニデック(日本電産)は、1973年に永守重信氏によって設立された日本を代表するモーターメーカーです。精密モーターと言われるHDD用モーターやCD・DVD用モーター等で圧倒的な強みを持ちます。産業用モーターはエマソンエレクトリックから産業用モーター・ドライブ事業を買収し強化しています。精密小型モーター(HDDモーターを含む)、車載モーター、家電・産業用モーター、機器装置、光学品が主軸です。さらに詳しく

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