本記事では、ホテル業界の世界市場シェア、市場規模、および近年の主要な事業動向について分析しています。マリオット・インターナショナル、ヒルトン、ハイアットホテルズ、アコー、インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)など、世界の主要メガホテルチェーンの業績、ブランド戦略、M&A動向について掲載しています。
なお、ディズニーなどホテル事業単体の売上高が未公開の企業については、本ランキングの対象外としています。
【ホテル業界とは】
ホテル業界とは、旅行者やビジネス客に対して宿泊施設および付随するホスピタリティサービスを提供する業界のことです。
近年、大手グローバルチェーンの多くは自社で不動産を所有しない「アセットライト(資産軽量化)戦略」を採用しており、コアビジネスは「運営受託(マネジメント契約)」や「フランチャイズ(ライセンス供与)」へと移行しています。
具体的な業務領域は、大きく以下の3つに分類されます。
ホテル運営・アセット管理:
客室の維持・清掃、料飲(レストラン・宴会)の提供、フロント業務、および顧客データの管理。
レベニューマネジメント(収益最適化):
ビッグデータやAIを活用した需要予測に基づく、客室料金のダイナミックプライシング(変動料金制)の運用。
デジタルマーケティング&会員囲い込み:
独自のアプリ開発や直販(ダイレクト予約)の強化、および世界規模のロイヤルティプログラムを通じたブランディング。
【市場シェア】
ホテル業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年のホテル業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はマリオット、2位はヒルトン、3位はハイアットホテルズとなります。
なお、ディズニーなどホテル事業単体の売上が未公開の企業については、当ランキングの対象外としております。
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| 順位 | Company name(English) | 企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Marriott International | マリオット | 1.26% |
| 2位 | Hilton Worldwide | ヒルトン | 0.58% |
| 3位 | Hyatt Hotels | ハイアットホテルズ | 0.34% |
| 4位 | Accor | アコー | 0.32% |
| 5位 | Intercontinental Hotels | インターコンチネンタルホテルズ | 0.25% |
| 6位 | Minor Hotels | マイナーホテルズ | 0.19% |
| 7位 | H World Group | 華住集団 | 0.18% |
| 8位 | Meliá Hotels International | メリア・ホテルズ・インターナショナル | 0.12% |
| 9位 | Shanghai Jin Jiang International Hotel Group | 上海錦江国際酒店集団 | 0.10% |
| 10位 | Choice Hotels International | チョイスホテルズインターナショナル | 0.08% |
| 11位 | Wyndham Hotel Group | ウィンダムホテルグループ | 0.07% |
| 12位 | BTG Hotels | 北京首旅酒店 | 0.05% |
| 13位 | Toyoko INN | 東横INN | 0.05% |
世界第1位は、米国のマリオットグループです。
売上高のみならず、客室数の面でも世界第1位を誇る世界最大のホテルグループです。
「JWマリオット」や「ザ・リッツ・カールトン」をはじめ、ラグジュアリーからミドルスケールまで30以上のブランドをグローバルに展開しています。
過去のスターウッド買収によって圧倒的なネットワークを構築し、不動産を持たない「アセットライト経営」も強固に機能しています。これにより安定した収益基盤を確立しており、世界全体での開発計画(パイプライン)も約61万室と過去最高を更新し、さらなる成長を加速させています。
世界第2位は、ヒルトンホテルです。
一時期は大株主だった中国のHNAグループの債務問題がありましたが、現在は持分が完全に売却され、健全な経営体制に戻っています。
最新の発表では年間6.7%の客室純増を達成しており、開発中の客室数も過去最高の52万室に達するなど高い拡大ペースを維持しています。
世界第3位は、米国のハイアットホテルズです。
パークハイアットなどの名門ブランドを持ち、近年は積極的なM&Aにより急成長を遂げました。最新の戦略ではザ・スタンダードなどの買収完了に伴い、高付加価値な「ライフスタイルホテル」の新規開発計画が前年比で約50%急増している点が特徴です。
世界第4位は、フランスのアコーです。
ラグジュアリーの「ソフィテル」やエコノミーの「イビス」を展開する欧州最大のチェーンで、ラッフルズホテルの運用会社を買収したことでも知られています。
欧州やアジアの需要を堅調に取り込み、世界に5,695軒を超える巨大なネットワークを展開して安定した成長を続けています。
大手メガホテルチェーンによる急速な規模拡大や積極的なM&A、新規開発パイプラインの積み増しなど、世界規模でのシェア獲得競争は一段と加速しています。その一方で、グローバル市場全体を見渡すと、独立系ホテルや地域密着型チェーンが占める割合が依然として高く、市場全体としては大きく分散(断片化)しているのがホテル業界の特徴です。
【市場規模】
当データベースでは、2025年のホテル業界の市場規模を2兆805億ドルとしております。
参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社フォーチュンビジネスインサイツによると、2025年の同業界の市場規模は2兆805億ドルです。2034年にかけて年平均7.54%で成長し、規模は3兆9,314億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 成長率見込み |
| 2025 | 2兆805億ドル | – |
| 2026 | 2兆1,978億ドル | – |
| 2034 | 3兆9314億ドル | 7.54% |

【M&Aの動向】
2015年 アコーによるシンガポールのラッフルズホテルの買収
2016年 マリオットによるスターウッドホテルの買収
2018年 錦江国際酒店などによるラディソンホテルグループの買収
2021年 ヒルトングランドバケーションによるダイヤモンドリゾーツのアポログローバルからの買収
2021年 カスケードインベストメント(ビルゲイツ氏の投資会社)がフォーシーズンズホテルを買収
2022年 ハイゲートがヴァイスロイ・ホテルアンドリゾート を買収 (2021年売上、57.6百万米ドル)
2022年 チョイスホテルズインターナショナル、ラディソンホテルズアメリカの買収を完了
2022年 ウィンダム ホテルズ&リゾーツがヨーロッパのホテルブランド「ウィーン ハウス」を買収
2023年 ウォルト・ディズニー・カンパニー、コムキャストからHuluの残り株式を取得
2024年 ハイアット、スタンダード・インターナショナルとその象徴的なホテルブランドであるザ・スタンダードとバンクハウス・ホテルの買収を完了
2025年 インターコンチネンタルホテルズグループPLC(IHG)は、Ruby SARLからRubyTMブランドと関連知的財産を買収
【会社の概要】
Marriott International(マリオット・インターナショナル)
米国に本拠を置く世界最大のホテルチェーングループであり、売上高・客室数ともに世界第1位を誇ります。米ナスダック市場に上場。JWマリオット、ザ・リッツ・カールトン、ルネッサンス、コートヤードに加え、2016年に買収した旧スターウッド系(シェラトン、W、セントレジス、ウェスティン等)を包括し、ラグジュアリーからミドルスケールまで30以上のブランドをグローバルに展開しています。不動産を過度に保有しないアセットライト経営を強固に機能させ、開発パイプラインは過去最高を更新し続けています。
Hilton Worldwide(ヒルトン・ワールドワイド)
米国に本拠を置く世界大手のホテルチェーングループです。一時期は中国の海航集団(HNAグループ)が大株主でしたが現在は解消され、健全な独立体制に戻っています。Hilton Hotels & Resorts、ウォルドーフ・アストリア、コンラッド、ハンプトンなどのブランドを展開し、2021年にはタイムシェア大手のダイヤモンドリゾートを買収しました。年間6%を超える高い客室純増率を維持し、開発計画も過去最高規模で推移しています。
Hyatt Hotels(ハイアットホテルズ)
米国に本拠を置く高級ホテルグループです。創業オーナーであるプリツカー家が上場後も大株主として関与しています。パークハイアット、グランドハイアット、ハイアットリージェンシー、アンダースなどを展開するほか、近年は積極的なM&Aによりライフスタイルブランド(「ザ・スタンダード」等)を相次いで傘下に収め、高付加価値セグメントでの存在感を急速に高めています。
Accor(アコー)
フランスに本拠を置く欧州最大のホテルチェーンです。エコノミーからラグジュアリーまで幅広く展開し、ソフィテル、メルキュール、ノボテル、イビスに加え、買収したFRHI(フェアモント、ラッフルズ、スイスホテル)の高級ブランドも統合しました。欧州や中東、アジア市場を中心に強固なネットワークを構築し、ライフスタイル分野も含めた多角的な展開を進めています。
InterContinental Hotels Group(IHG、インターコンチネンタルホテルズ・グループ)
イギリスに本拠を置く世界最大級のホテルチェーングループです。インターコンチネンタル、シックスセンシズ、キンプトン、ホテルインディゴ、ホリデイ・インなどのブランドを展開しています。ラグジュアリー・ライフスタイルセグメントの強化や積極的なホテルコンバージョン(ブランド転換)を軸に、欧州や中国をはじめとするアジア太平洋地域で強固なネットワークを拡大しています。
Minor Hotels(マイナー・ホテルの概要)
タイに本拠を置く国際的なホテルグループ・投資企業です。「Anantara(アナンサラ)」や「Tivoli」、「NH Hotels」などの高級・ライフスタイルブランドを世界中で展開しています。特にアジア、中東、欧州市場に強く、近年は資産の所有と運営を組み合わせた機動的な拡大戦略で存在感を高めています。
H World Group(Hワールド・グループ / 華住酒店集団)
中国・上海に本拠を置く急成長中のホテルグループであり、近年躍進を遂げて客室数で世界トップクラスの規模(100万室超)に達しました。中国国内市場を最大のエンジンとしながら、ドイツのホテルチェーン「Deutsche Hospitality(シュタイゲンベルガー等)」を子会社化するなど欧州へも展開しています。エコノミーからアップスケールまで多層的なブランドポートフォリオを強みに、圧倒的な開発スピードでグローバル拡大を続けています。
Meliá Hotels International(メリア・ホテルズ・インターナショナル)
スペインに本拠を置く、地中海エリアをルーツとする世界的なホテルグループです。リゾートホテル開発に圧倒的な強みを持ち、「Meliá」、「Gran Meliá」、「INNSiDE」、「Paradisus」などのブランドを欧州、地中海沿岸、中南米、アジア太平洋地域で展開しています。レジャー・リゾート市場における高いブランド力と、持続可能性を重視した運営体制が特徴です。
Shanghai Jin Jiang International Hotel Group(錦江国際酒店 / ジンジャン・グループ)
中国・上海に本拠を置く中国最大のホテルグループであり、客室数ベースで世界第2位の規模を誇ります。国内市場での圧倒的なネットワークを基盤に急成長を遂げ、2018年には欧州のラディソンホテルグループを買収するなど国際展開を加速しました。エコノミーから中高級セグメントまで幅広いブランドを擁し、グローバル市場で強力なプレゼンスを発揮しています。
Choice Hotels International(チョイス・ホテルズ・インターナショナル)
米国に本拠を置く老舗の大手ホテルチェーングループです。主にエコノミーからアッパー・ミドルスケールのセグメントに強みを持ち、Comfort Inn、Quality Inn、Clarionなどのブランドを展開しています。北米市場を主軸にフランチャイズ展開を加速し、近年はロングステイ(長期滞在)向けブランドの拡充により安定した成長を続けています。
Wyndham Hotel Group(ウィンダム・ホテル&リゾーツ)
米国に本拠を置く世界最大級のフランチャイズ主導型ホテルグループです。Super 8、Days Inn、Ramada、Wyndhamなどのブランドを主にエコノミーからミドルスケールセグメントを中心に展開しています。世界各地に圧倒的な数のホテル数を有し、堅実なロイヤルティプログラムとアセットライトなビジネスモデルを背景に安定した収益基盤を築いています。
BTG Hotels(北京首旅酒店(グループ)股份有限公司)
中国・北京に本拠を置く大手国有ホテルグループです。中国国内市場を中心に「如家(Home Inn)」ブランドをはじめとするエコノミー・ミドルスケールのホテルネットワークを多数展開しています。中国全土を網羅する強固なチャネルと豊富な宿泊施設数を背景に、国内の観光・ビジネス需要を強力に取り込んでいます。
Toyoko INN(東横INN)
日本に本拠を置く日本最大級のビジネスホテルチェーンです。「安心・快適・清潔」をコンセプトにした均一化されたエコノミータイプの客室を大量供給するビジネスモデルを確立しています。日本国内だけでなく、韓国や欧米など海外主要都市への展開も進めており、効率的な運営システムと高い稼働率で安定した成長を続けています。
