黒鉛電極業界の世界市場シェアの分析

黒鉛電極メーカーの世界市場シェアと市場規模について分析を行なっています。グラフテック、方大炭素、SGL、昭和電工、東海カーボン等の主要な黒鉛電極メーカーの概要も掲載しています。

市場シェア

黒鉛電極メーカー会社の2020年度の生産能力(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の黒鉛電極業界の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位は昭和電工、2位はグラフテック、3位は方大炭素となります。

黒鉛電極メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2020年)

  • 1位 昭和電工 14.69%
  • 2位 グラフテック 13.99%
  • 3位 方大炭素 13.29%
  • 4位 東海カーボン 6.71%
  • 5位 HEG 5.59%
  • 6位 CIMM 4.90%
  • 7位 グラファイトインディア 4.69%
  • 8位 介休志尧 4.20%
  • 9位 吉林炭素 4.20%
  • 10位 Enegoprom 3.50%
  • 11位 日本カーボン 2.10%
  • 12位 SECカーボン 1.96%

黒鉛電極メーカーの世界シェア(2020年)
黒鉛電極メーカーの世界シェア(2020年)

昭和電工はSGLカーボンの黒鉛電極事業を買収し、米国のグラフテックを抜き、世界1位となっています。2位には、米国のグラフテックです。投資会社のブルックフィールド傘下で再建を果たし、2018年に再上場しています。3位は中国の黒鉛電極最大手である方大炭素となっています。4位は日本の東海カーボンです。SGLカーボンの買収事業を買収しました。5位はSGLカーボンの前身によって技術支援を受け設立された経緯を持つグラファイトインディアとなります。黒鉛電極大手である、昭和電工、東海カーボン、グラファイト・インディアにSGLカーボンが関係しているのは興味深いです。

市場規模

なお当データベースでは、黒鉛電極の世界全体の生産キャパシティと推計される143万トンを2020年の市場シェア計算の分母としております。参照した統計資料は次の通りです。昭和電工によると、UHP(ウルトラハイパワー)グレードの黒鉛電極の2019年市場規模は年間60万トンです。他グレード(HP、RP)も合わせると年間90万トンとなります。2020年の全グレードの市場規模は約75万トンです。調査会社のモードーインテリジェンスによると、2020年の同業界の世界市場規模は44億ドルです。2026年にかけて年平均6.5%での成長を見込みます。CIMMグループによると、2017年の黒鉛電極メーカーの生産能力は143万トンとなります。⇒参照したデータの詳細情報

欧米は鉄鋼の電炉生産が主流となっています。環境負荷が低い電気炉への切り替えは今後も増加していくもと予想されます。

地域別電炉鋼比率 出所:東海カーボン

黒鉛電極業界の特徴

黒鉛電極は電炉で鉄スクラップを溶解させる時に必要となる電極棒で、電極を製造する際に大量の電気を消費するのが特徴です。溶解(アーク放電)させる時の温度は約1600度、黒鉛電極の温度は3000度に達すると言われています。黒鉛(グラファイト)は主に天然グラファイトと人造グラファイトに大別されます。天然グラファイトは産出地が偏在(主に中国)しているため、電極の原料であるグラファイトは、人造グラファイトが用いられています。人造グラファイトは、ニードルコークス(ガソリン精製の副産物であるデカンオイルから作る石油コークスや石炭由来の石炭コークス)とピッチ樹脂を混合→炭化(1000℃程度で焼成)→含浸処理→3000℃で黒鉛化という過程で作成されますグレードによって使用されるコークスが異なり、RP は石油コークスであり、HP は石油コークスと ニードルコークス、UHP は ニードルコークスとなります。コークスの価格と黒鉛電極の価格は強い相関にあります。

石油コークは、ConocoPhillips、グラフテック、ペトロコークス(JXグループ)が大手です。

過去の再編

  • 2010年 グラフテックによる 米Seadrift Coke とC/G Electrodes LLC の買収
  • 2012年 昭和電工による 中国Sinosteel Sichuan Carbonの買収
  • 2015年  Brookfield Asset Management によるグラフテックの買収
  • 2016年 昭和電工によるSGLカーボンの黒鉛電極事業の買収
  • 2017年 東海カーボンによるSGLカーボンの北米拠点の買収
  • 2018年 グラフテックの上場

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

世界の主要な黒鉛電極メーカーの動向

Graftech(グラフテック)

米大手黒鉛電極メーカーです。2015年に投資会社のBrookfield Asset Management社が買収し、2018年に再上場しています。2020年の黒鉛電極年間生産量は20万トンです。

ブルックフィールドによるグラフテック買収ケーススタディ

  • 対象会社のグラフテック(GT)は米国を代表する黒鉛電極老舗メーカー。
  • 買収先はカナダを代表する資産運用会社のブルックフィールド・アセットマネジメント社。
  • 2015年5月発表。買収総額は695.3百万ドル。直近の対象会社株価に2%のプレミアム。
  • 買収の背景として中国企業との競争による黒鉛電極の価格競争の激化、鉄鋼需要の低迷が考えられる。
  • 対象会社の直近2期の業績は低迷していた。
  • 黒鉛電極市場は寡占的な市場。

グラフテック業績
グラフテック業績
©業界再編の動向

FangdaCarbon Tech(方大炭素新材料科技股份有限公司、ファンダ・カーボン・テック)

中国の蘭州に本拠を置く黒鉛電極メーカーです。UHP以外にもRP、HPグレードの電極を製造しています。黒鉛電極以外に、ファーネスカーボンブリック、アルミニウムおよびカーボンカソードブロック、カーボンブリックライニング付きサブマージアーク炉、ハイグレードカーボンペースト、特殊カーボン製品なども製造販売しています。

昭和電工(Showa Denko)

昭和電工は、1939年に設立された日本を代表する化学・素材メーカーです。戦前は森コンツェルンの中核企業でした。また設立の経緯から味の素グループとも関係が深い会社です。2020年に日立化成を買収し、日立化成は昭和電工マテリアルズとなりました。石油化学、産業ガス、高純度ガス、アルミニウム圧延、ハードディスク、黒鉛電極、パワー半導体用SiCエピウェハ、LED、モーター用のレアアース磁石合金、リチウムイオン電池材料、セラミックス製品、工業薬品など幅広い分野を手掛けています。黒鉛電極の分野では、2012年に中国のSinosteel(中国中鋼集団)より傘下の四川炭素(Sichuan Carbo)、2016年にドイツのSGLカーボンより黒鉛電極事業を買収しました。2020年の黒鉛電極の年間生産量は21万トンです。アルミ缶事業も手掛けています。

日本カーボン(Nippon Carbon)

1927年に日本初の人造黒鉛電極の製造に成功したカーボン専業大手です。航空機向けの新素材である炭化ケイ素連続繊維(CMC)の開発に成功しています。

東海カーボン(Tokai Carbon)

カーボン専業大手です。2017年にSGLカーボンの北米拠点を買収しました。また2019年にはカソード大手のブランズのカーボンサボエを買収しています。

Graphite India(グラファイト・インディア)

1967年に設立されたインドの大手黒鉛電極メーカーです。設立に際してSGLカーボンの前身であるGreat Lakes Carbon Corporationが技術面で支援をしています。SGLカーボンはドイツのSIGRI(シグリ)社とGLCCが経営統合して誕生しています。

HEG

1977年に設立された印大手黒鉛電極メーカーです。設立当初フランスのアルミニウム大手であったペシネー(Pechiney)傘下のSavoie(カーボンサボエ)より技術支援を受けています。なおSavoieはペシネーがアルカンに、そのアルカンがリオティントに買収されたのち、2016年にファンド傘下に入りました。2019年に東海カーボンがカーボンサボエを買収しています。

Energoprom(エネゴプロム)

露大手黒鉛電極メーカーです。

Superior Graphite Company(スーパーグラファイトカンパニー)

米大手黒鉛電極メーカーです。

SEC Carbon

カーボン専業大手です。カソード分野に強みを持ちます。

介休志尧(Jiexiu Zhiyao Carbon)

2003年に設立された中国の山西省(Shanxi Province)に位置する黒鉛電極メーカーです。60万トンのUHP黒鉛電極の生産量があります。

CIMM

1998年に設立された中国に本拠を置く黒鉛電極メーカーです。銅型管、耐火物などの生産も行っています。

その他の中国の黒鉛電極メーカーとしては、南通揚子(Nantong Yangzi Carbon)、中是控股集団の子会社である吉林炭素(Jinlin Carbon)、開封炭素、西姆東海、山東八三、方大撫順があります。

参照したデータの詳細情報について


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