ゲーム開発・ゲーム機器業界の世界市場シェアの分析

ゲーム開発・ゲーム機器業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析を行っています。テンセント、ソニー、マイクロソフト、任天堂、網易、アクティビジョン・ブリザード、エレクトロニック・アーツといったゲーム会社の概要も記載しています。

【ゲーム開発・ゲーム機器業界とは】

電子機器を使用したゲームの開発及びゲーム機器・ゲームソフトの販売を行っています。従来のゲーム機器(プレイステーション、Xbox、ニンテンドーなど)に加えて、近年ではスマートフォンやコンピューターを利用したゲームの需要が拡大しています。

自分以外のユーザーとオンラインで繋がり同時に遊べるクロスプレイやeスポーツ、VRやARなどの入出力技術、人工知能の活用など、高度で最先端の機能を取り入れています。

【ゲーム開発・ゲーム機器業界の世界市場シェア+ランキング】

ゲーム開発・ゲーム機器会社各社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2022年のゲーム開発・ゲーム機器業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はテンセント、2位はソニー、3位はマイクロソフトという順位となります。

ゲーム開発・ゲーム機器会社の市場シェア(2022年)

順位 会社名 市場シェア
1位 Tencent(テンセント、騰訊) 18.55%
2位 SONY GROUP CORPORATION(ソニーグループ株式会社) 12.76%
3位 Microsoft Corporation(マイクロソフト コーポレーション) 7.13%
4位 Nintendo Co., Ltd.(任天堂株式会社) 5.61%
5位 Netease, Inc.(網易) 4.98%
6位 Activision Blizzard, Inc.(アクティビジョン・ブリザード) 3.47%
7位 Electronic Arts Inc.(エレクトロニック・アーツ) 0.89%
ゲーム開発・ゲーム機器会社の世界シェアと業界ランキング(2022年) ©2024 Deallab
*マイクロソフトの売上高は2023年会計年度(2022年7月~2023年6月)のものを使用

ゲーム業界の市場シェア(2022年) ©2024 Deallab

アジア太平洋地域が主要市場で、全世界の売上のおよそ半数を占めます。ソニー・任天堂を擁する日本に加えて、オンラインゲームとモバイルゲームの需要が圧倒的に高い中国も市場をけん引しています。実際、世界の中で最もプレイヤーが多いのは中国となっています。

ゲーム機器開発各社は次世代型テレビゲームの開発に焦点を当てており、プレイステーション5、ニンテンドースイッチ、Xboxなどが人気です。近年ではゲームをしながらインターネットを閲覧できるマルチユーティリティ機能を備えた商品が開発され、各社ともカスタマーエクスペリエンスや顧客満足度を重視する傾向にあります。

【ゲーム開発・機器大手3社の指標比較】

シェア上位3社の売上成長率(過去5年)、配当性向、ROE(自己資本利益率)を比較すると、下記のグラフの通りとなります。売上高成長率はテンセントが最も高く、中国マーケットでの需要拡大を受けて順調に成長しています。

配当性向と自己資本利益率が高いのはマイクロソフトで、配当の高さ・収益性の高さ両方の観点で、投資対象としても魅力的な企業だということが分かります。

ゲーム開発・ゲーム機器大手3社の指標比較(2022年)

*売上高成長率は過去5年分

**配当性向は過去12ヶ月分

***自己資本利益率は直前期の当期利益と期初と期末の自己資本額の平均値から計算

【ゲーム開発・ゲーム機器業界の世界市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、ゲーム開発・ゲーム機器業界の2022年の世界市場規模を2,170.6億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年の同業界の市場規模は2,170.6億ドルです。2023年から2030年にかけて年平均13.4%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率
2022年 2,170.6億ドル
2023年 2,423.9億ドル 13.4%
2030年 5,836.9億ドル 13.4%
ゲーム開発・ゲーム機器業界の市場規模 ©2024 Deallab

【四半期ベースの売上高ランキング】

ゲーム会社の2023年の四半期ベースの売上高ランキングは、1位テンセント、2位ソニー、3位マイクロソフトとなっています。1位のテンセントは堅調な成長率を維持しています。年次ベースで見るとマイクロソフトが任天堂をわずかに引き離して3位につけていますが、四半期ベースでは任天堂とマイクロソフトがほぼ拮抗しています。⇒参照したデータの詳細情報

ゲーム開発・ゲーム機器業界の四半期ベースの売上高ランキング ©2024 Deallab
*2023年4-6月、その他は2023年1-3月の四半期売上高

【M&Aの概要】

2016年 テンセントがソフトバンクからSupercellを買収

2018年 テンセントが仏ゲーム開発会社UBIsoftへ出資

2020年 エレクトロニックアーツがCodemasterを12億ドルで買収

2021年 エレクトロニックアーツがGlu Mobileを24億ドルで買収

2022年 テンセントがUBIsoftへの出資率を引き上げる

2022年 ソニーがモバイルゲーム開発スタジオのSavage Game Studioを買収

2022年 ソニーがデスティニーシリーズで有名な米国のゲーム会社バンジーを36億ドルで買収

2022年 ソニーがカナダのゲーム開発会社ヘイブン・エンターテインメント・スタジオを買収

2022年 ソニーがエピックゲームズへ10億ドルを追加出資

2023年 ソニーがProbably Monsters傘下のFirewalk Studiosを買収

ソニーはエピックゲームズへ三度にわたって出資を行っています。2020年に2.5億ドル、2021年に2億ドル、2022年に10億ドルを出資した結果、エピックゲームズの株を約4.9%保有する株主となりました。エピックゲームズへの出資でメタバース分野の提携を強化する狙いがあります。

また、2022年にはマイクロソフトがアクティビジョン・ブリザードを買収するとの発表がありました。両社は2023年7月の買収完了を目指していましたが、独占禁止法違反の疑いから米英両国の規制当局の承認を得られず、期限内に買収が完了しませんでした。マイクロフトは買収期限を10月に延長し、引き続き買収へ向けて動いています。買収額は687億ドルを予定しており、ゲーム関連業界では最大規模の案件となります。

ゲーム業界の買収マルチプル(企業価値売上高倍率) ©2024 Deallab

売上マルチプルの平均値は10.9倍、中間値は12.8倍となりました。買収額に対する売上高の倍率を見てみると、3倍〜20倍とばらつきがあります。

さらに業界に詳しくなるための関連書籍や業界団体

ゲームプランナー入門
ゲームの今 ゲーム業界を見通す18のキーワード
ブロックチェーンゲーム・NFTゲームのカオスマップ
任天堂とアクティビストの対話の定期レビュー

【会社の概要】

Tencent(テンセント、騰訊)

テンセント(腾讯)は、馬化騰(マー・フアテン)氏によって1998年に設立された中国のインスタントメッセンジャー・オンラインSNSアプリ最大手です。ソーシャルゲームでも中国最大です。SNSアプリの総合化を進め、テンセントのアプリはアリババグループのアリペイと並び決済等でも活用されています。買収や出資も積極的に行っており、2016年にスウェーデンのSupercellを買収、またアクティビジョン・ブリザードやユービーアイソフト、フォートナイトで有名なEpic Games、音楽レーベル大手のユニバーサルミュージック等へも出資を行っています。さらに詳しく

SONY GROUP CORPORATION(ソニーグループ株式会社)

ソニーは、日本を代表する総合電機メーカーです。ソフトウェアとハードウェアが融合したエコシステム構築を目指しています。ゲーム機器、音楽、金融、映画、音響やテレビ等のエレクトロニクス、イメージセンサーで事業を展開しています。

イメージセンサー分野では、ルネサンスの山形工場を買収する等圧倒的な強みを持ちます。2015年には東芝の大分工場の一部を買収しました。競合他社を引き離すために、2019年以降3年間で約6000億円の設備投資を実施し、現状強みを発揮するスマホ更なる需要(複眼化)に対応しつつ、今後の主戦場になると考えられる車載や産業機器向けの分野を伸ばす予定です。日米欧の3極での拠点構築に積極的です。

テレビでは、ブラウン管の時代からテレビ事業の競争力を保っております。液晶パネルの製造はしておらず、EMSの台湾ホンハイ(Hon Hai Precision)へのOEM比率を高めています。

ゲーム機では、プレイステーション・シリーズを展開し、ハードと課金の両面で成長しております。ビデオカメラでは、ハンディカムで一世風靡しました。スマホでのビデオ利用に押され同市場も縮小しているなか、デジタルカメラはミノルタの一眼レフを買収しています。ミラーレスやプロ向けの機種に注力をしています。さらに詳しく

Microsoft Corporation(マイクロソフト コーポレーション)

1975年にビル・ゲイツとポール・アレン氏によって設立されたソフトウェア会社です。オペレーションシステムのウィンドウズやドキュメントソフトのワード、計算ソフトをエクセルなどパソコンなどで必須のソフトを開発販売しています。ゲームの分野ではハードのゲーム機Xboxとネットワーク課金によって事業を成長させています。クラウドサーバーはAzureで展開しています。ソフトの販売から、クラウド型のサブスクリプションサービスへの移行も順調です。モバイル分野ではオペレーションシステムではグーグルのアンドロイドとアップルのiOSに差をつけられています。さらに詳しく

Nintendo Co., Ltd.(任天堂株式会社)

任天堂は1889年に花札メーカーとして設立されたゲーム会社です。ゲーム機のハードとゲームソフトの開発の両方を手掛ける垂直統合型のビジネスモデルが特徴です。1983年に発売されたファミコン、ニンテンドーDS、Wiiとゲーム機市場を切り開いてきました。現在は、コンソール型ゲーム機であるスイッチやマリオブラザーズ関連のゲームソフトが主軸です。総資産に占める現預金同等物の割合が高いことでも有名です。さらに詳しく

日本の大手ゲーム関連会社

バンダイナムコやカプコンといった従来型のゲームソフト開発会社に加え、オンラインゲーム型のDバンダイナムコやカプコンといった従来型のゲームソフト開発会社に加え、オンラインゲーム型のDeNA、Gree、ラグナロクオンラインで急成長したガンホー・オンライン・エンターテイメント等も成長しています。

Netease, Inc.(網易)

中国に本拠を置くポータルサイト運営会社です。オンラインゲームやモバイルゲームに強みを持っています。2023年6月には、中国で初めて人工知能(AI)を採用したスマートフォンゲーム「ジャスティス・モバイル」をリリースしました。代表作としてはジャスティス・モバイルの他、レーシング・マスター、エギーパーティーなどがあります。

Activision Blizzard, Inc.(アクティビジョン・ブリザード)

2007年にアクティビジョンとフランスのヴィヴェンディ・ゲームズが合併して誕生した世界最大級のゲームソフト開発会社です。2013年にビベンディ・ユニバーサルより独立をしました。2015年に英国の大手オンラインゲーム会社King Digital Entertainment(キングデジタルエンターテイメント)を買収しました。億ゲーのコールオブデューティやキャンディクラッシュなどの有力ゲームを展開しています。2022年にマイクロソフトにより買収される予定だと発表されました。マイクロソフトとともにメタバースでの事業展開を加速する予定です。

Electronic Arts Inc.(エレクトロニック・アーツ)

米国に本拠を置く1982年に創業された世界大手のゲームソフト開発会社です。シムシティ等数多くのヒットゲームソフトを開発しています。人気のゲームソフトに、FIFAシリーズ、ワイルドハーツ、バトルフィールドなどがあります。

日本の大手ゲーム関連会社

バンダイナムコやカプコンといった従来型のゲームソフト開発会社に加え、オンラインゲーム型のDバンダイナムコやカプコンといった従来型のゲームソフト開発会社に加え、オンラインゲーム型のDeNA、Gree、ラグナロクオンラインで急成長したガンホー・オンライン・エンターテイメント等も成長しています。

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