ファストファッション業界の世界市場シェアと市場規模について分析を行っています。インディテックス、シーイン、ファーストリテイリング、H&M、GAPなどのファストファッション会社の概要も記載しています。

【ファストファッションとは】

ファストファッション会社とは、自社で企画した低価格な衣料品を短いサイクルで生産し、大量生産・大量販売を手がけるビジネスモデルを取り入れたアパレルメーカーの総称です。

ファストファッションのビジネスモデルを図解すると次の通りになります。

なお、アパレル市場は価格帯の高い順にラグジュアリー、トレンド、マスボリュームの3つに大別されると言われており、アパレル企業は各市場の特性に合わせて、価格設定・ブランディング設定を行います。ファストファッションブランドはマスボリュームに分類されます。

【ファストファッション業界の市場シェア】

ファストファッション業界の2022年度の売上高（⇒参照したデータの詳細情報）を分子に、後述する市場規模を分母にして、2022年のファストファッション業界の市場シェアを簡易に計算すると、1位はインディテックスとなります。

ファストファッション会社の世界シェアと業界ランキング（2022年）

*推計データ

ファストファッション業界のシェア1位は、ZARAを擁するインディテックスです。スペインに本拠を置くインディテックスは世界最大のアパレル企業の1つでもあり、首位の座を維持しています。

ZARA以外にもH&M（スウェーデン）、ネクスト、プライマークを擁するABF、エイソス（すべて英国）、マンゴ（スペイン）など、ヨーロッパ系企業が多くランクインしています。

インディテックス・H&M・GAPと並んで、ファストファッションの巨大企業として知られているのが、ユニクロやGUを展開するファーストリテイリングです。日系企業としては唯一のランクインとなりました。

また、中国の新興ブランドシーインがここ数年で急成長を遂げ、シェア3位に浮上しました。2008年創業と新しい会社にもかかわらず、安さを売りにした商品戦略で確実にシェアを広げています。

業界上位3社の成長率と収益力比較

業界トップ4のポジションにいるインディテックス、SHEIN、ファーストリテイリング、H&Mのうち、財務状況が公表されている3社（インディテックス、ファーストリテイリング、H&M）の売上高成長率（過去5年平均）、EBITDA成長率（過去5年平均）、ROE（直前期）について比較をしました。

リフィニティブのデータを加工して作成

※売上高成長率、EBITDA成長率は過去5年平均

売上高成長率は、インディテックスとファーストリテイリングが拮抗しています。EBITDA成長率はファーストリテイリング、ROEはインデティックスが高くなっています。

このグラフから、3社のうちシェア首位のインディテックスは、自己資本を効率よく使い利益を生み出していることがわかります。また、ファーストリテイリングは売上高成長率、EBITDA成長率ともに高いことから収益力を順調に伸ばしていることがわかります。H&Mは総じてどの指標も低めで、成長が鈍化しているとの見方もできます。

【ファストファッション業界市場規模】

当データベースで市場規模を算出するため参照した各種統計データは、次の通りです。

調査会社ザ・ビジネスリサーチカンパニーとリサーチアンドマーケッツによると、2022年のファストファッション業界の市場規模は1064.2億ドルです。2023年から2027年にかけて年平均10.7％で成長し、同年には1849.6億ドルに達すると見込んでいます。

調査会社アリードマーケットリサーチによると、2022年の同市場規模は1032億ドルです。2023年から2032年にかけて年平均10.7％で成長し、同年には2911億ドルに達すると見込んでいます。

調査会社バリファイドマーケットリサーチによると、2021年の同市場規模は1223億ドルです。2023年から2030年にかけて年平均10.13％で成長し、同年には2835億ドルに達すると見込んでいます。

一方、ランキング12社の売上高合計が1424億ドルとなっていることから、市場シェアを計算する上では便宜上こちらの数字を市場規模としています。

【M&Aの動向】

• 2019年　フォーエバー21（FOREVER 21）が連邦破産法11条の適用を申請
• 2020年　オーセンティックブランズグループやサイモン・プロパティー・グループ等の投資家連合がフォーエバー21を買収
• 2021年　LBrands（エルブランズ）がヴィクトリアズシークレットを分社化
• 2023年　シーインがSPARCグループの株式1/3を取得
• 2023年　シーインが英ファストファッションMissguidedを買収すると発表

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

2030年アパレルの未来
ものがたりのあるものづくり　ファクトリエが起こす「服」革命
ファッション業界大研究
M&Aや再編対象となる衣料・アパレルメーカーの分析
縫糸・縫い糸業界の世界市場シェアの分析

【会社の概要】

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは、ユニクロブランドにて世界展開を進めるファストファッション会社です。テニス等のスポーツウェア分野にも進出しています。

ABF

アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズは、1935年にガーフィールド・ウェストン氏によって設立されたベーキング会社を源流とするアソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズは、英国に本拠を置く食品成分・食品メーカーです。ベーキングパウダー、イースト菌やラクトース等の食品添加物に強みを持ちます。紅茶は英国王室御用達のトワイニングス（Twinings）ブランドを世界展開。トワイニングといえば、アール グレイ（EARL GREY、ベルガモットの香りが吹き付けられたさわやかな紅茶）が有名です。ファストファッションはPrimarkブランドで展開しています。砂糖はAB SugarにてBritish Sugarブランドで展開しています。酵素は、AB Enzymes（ABエンザイムズ）で展開しています。ベーキング、非デンプン多糖、洗剤、プロテアーゼ、フィードといった酵素を製造・販売しています。さらに詳しく

H&M（ヘネス＆モリッツ、Hennes&Mauritz）

H&Mは、スウェーデンを本拠とするファストファッション大手です。H&Mブランドで世界展開をしています。

Inditex（インディテックス）

インディテックスは、スペインを本拠とするファストファッション世界最大手です。ZARAブランドで世界展開をしています。Pull&Bear、MassimoDutti、Bershka等のブランドも展開しています。

GAP（ギャップ）

GAPは米国に本拠を置くカジュアル衣料大手です。GAPブランド以外にも低価格帯のOldNavy、BananaRepublic、スポーツ衣料のAthleta等のブランドを展開しています。

SHEIN（シーイン）

2008年にXu Yang Tian氏によって設立された中国の女性向けファストファッション会社です。中国企業ながら、中国の広州工場で製造したアパレルを、中国外の主にZ世代と言われる女性向けに越境ECで販売するビジネスモデルで急成長しています。ビッグデータ解析によるファッション企画、オンラインで管理された委託工場での小ロットでの高速生産＆出荷、在庫反物活用した徹底した原価低減、国際郵便を活用した無関税ロジスティクスといったビジネスモデルで、既存ファストファッションを凌駕する低価格を確立し、急成長しています。

シーイン（SHEIN）の格安ファッションの仕組み

SHEINと通常のファストファッション業界のビジネスモデルの違い

Next（ネクスト）

ネクストは英国に本拠を置くカジュアル衣料大手です。

American Eagle Ourfitters（アメリカンイーグルアウトフィッター）

アメリカンイーグルアウトフィッターは、米国に本拠を置き、アメリカンイーグルブランドでカジュアルファッションブランドを展開しています。水着ブランドのAerieも展開しています。

Abercrombie&Fitch（アバクロンビー＆フィッチ）

アバクロンビー＆フィッチは、米国に本拠を置くカジュアル衣料大手ファストファッション・衣料専門店です。アバクロという通称で知られています。HollisterとAbercrombieブランドが主軸です。

Esprit Holdings（エスプリホールディングス）

エスプリは香港に本拠を置くファッション・靴・アクセサリーメーカーです。

ユナイテッドアローズ

ユナイテッドアローズは日本に本拠を置くカジュアルファッション衣料のセレクトショップ運営会社です。商品構成に合わせて。ユナイテッドアローズ、ビューティ&ユース、グリーンレーベル リラクシングといった店舗で商品を販売しています。

参照したデータの詳細情報について

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