段ボール業界の世界シェア、業界ランキング、市場規模について分析をしています。インターナショナルペーパー、玖龍紙業、ウェストロック、スマーフィットカッパー等世界大手の段ボール会社の動向も掲載しています。
市場シェア
「最新業界別売上高世界ランキング第2巻」に記載の段ボールメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。
- 1位 インターナショナルペーパー 5.8%
- 2位 ウェストロック 4.5%
- 3位 スマーフィットカッパ 3.7%
- 4位 玖龍紙業 2.9%
- 5位 DSスミス 2.9%
- 6位 レンゴー 1.9%
- 7位 王子ホールディングス 1.5%
- 8位 理文造紙 1.1%
- 9位 モンディグループ 0.8%
市場規模
調査会社のリサーチアンドマーケッツによれば、2019年の段ボール業界の世界市場規模は2626億ドルです。2020年から2025年に年平均4.1%で成長すると見込まれます。
再編の歴史
- 2005年 アイルランドのジェファーソンスマーフィットと蘭カッパパッケージングが経営統合をしてスマーフィットカッパ設立
- 2011年 ロックテンによるスマーフィット・ストーン・コンテナーズの買収
- 2011年 インターナショナルペーパーによるテンプル・アイランドの買収
- 2011年 レンゴーによるベトナムのアルカマックス・パッケージングの買収
- 2012年 スマーフィットカッパによるオレンジ・カントリー・コンテナー・グループの買収
- 2012年 ドイツのDSスミスによるスウェーデンのスヴェンスカ・セルローサの段ボール事業の買収
- 2013年 PCAによるボイジー(Boise)の買収
- 2015年 ロックテンとメッドウェスタヴェコが経営統合しウェストロック設立
段ボールの作り方
段ボールには大きく段ボール原紙を貼り合わせる貼合工程、貼合工程で生まれた段ボールシートを加工する製箱工程に分かれます。段ボールを製造するためには、段ボール原紙の原料となる古紙パルプ(古紙のこと)と木材パルプが必要となります。段ボールメーカーの中で、木材パルプからの製造をしているのは、インターナショナルペーパー等の大手製紙メーカーとなっており、日本のレンゴーは行っていません。また、中芯とライナーを貼りあわせるためのコルゲータ等への大きな投資が必要となる段ボールシートの製造工程は、中国系の段ボール大手の玖龍紙業や理文造紙は行っておりません。最終工程の段ボールの加工については、大きな投資が必要ないこともあり、段ボール加工作業の専業が多く参入しています。
段ボール業界の世界大手企業の動向
インターナショナルペーパー(International Paper)
1898年に設立された米国テネシー州に本拠を置く世界最大級のパルプ製紙会社です。インダストリアルパッケージング、パルプ、印刷紙が大きな事業の柱となっています。2000年に北米同業のチャンピオンインターナショナル、2011年にはインドの大手製紙会社APPM(Andhra Pradesh Paper Mills Rajahmundry、アンドラプラデッシュ・ペーパー・ミルズ)の過半数を取得する等、買収により規模を拡大しています。インダストリアルパッケージング事業で、段ボールを製造販売しています。段ボールの原紙製造に加え、段ボールの貼合加工も行っています。また、2011年に段ボール大手の米Temple-Inland(テンプルインランド)買収しました。さらに詳しく
玖龍紙業(Nine Dragons Paper)
中国に本拠を置く大手段ボールメーカー紙です。パルプからライナーボード(linerboard、段ボールシートの表面の厚紙)や中しん原紙であるコルゲータミディアム(Corrugating medium)、すき合わせ板紙(coated duplex board)などの製造をしています。香港証券取引所に上場しています。
ウェストロック(West Rock)
2015年、パルプ製紙大手のRock-Tenn(ロックテン)と包装材大手のMeadWestvaco(メッドウエストヴェイコ)が経営統合をし、誕生しました。主力事業は、段ボール紙と商品用包装用紙の製造・加工です。なおロックテンは、2011年に段ボール大手のSmurfit-Stone Container(スマーフィット・ストーン・コンテナー)社を買収しました。直近では、SP Fiber、Cenveo Packaging、Star Pizza、MPS、U.S. Corrugated、Island Container、Hannapak、Plymouth Packaging、Schlüter Print Pharma、KapStone、Linkx、UBSを買収しています。
スマーフィットカッパ(Smurfit Kappa)
アイルランドに本拠を置く大手段ボールメーカーです。2005年のジェファーソンスマーフィット(Jefferson Smurfit)社とカッパパッケージング(Kappa Packaging)社の経営統合によって誕生しました。
DSスミス(DS Smith)
イギリスに本拠をおく包装・段ボールメーカーです。段ボール紙から包装用段ボールへの加工などを行っています。
理文造紙(Lee&Man Paper)
中国の段ボールメーカー大手です。板紙、パルプ、ティッシュが事業の3分柱です。日本製紙と資本提携を結んでいましたが、2015年に提携を解消しました。
レンゴー
1909年に創業した日本を代表する段ボール紙メーカーです。製紙、段ボール、紙器、軟包装、重包装をコア事業としています。東南アジアは、タイのサイアムセメントグループ傘下のSCGパッケージングとダンボール分野で合弁会社(タイ・コンテナーズ・グループ、レンゴーの持分は30%)を設立しております。2020年にタイ・コンテナーズ・グループを通じてベトナムのビエンホア・パッケージングを買収し、東南アジアでのダンボール事業を強化してります。
王子ホールディングス
日本を代表する製紙メーカーです。板紙、段ボール、おむつ、感熱紙、パルプ、新聞、印刷情報用紙で事業を展開しています。
Mondi(モンディ)
1967年に資源大手アングロアメリカンによって設立された製紙・段ボール会社です。段ボール、フレキシブルパッケージ、不織布、印刷情報用紙などを手掛けています。2007年に分社化され、ロンドン証券取引所に上場しました。
ジョージアパシフィック(Georgia Pacific)
米国に本拠を置く建材・包装材大手メーカーです。段ボール以外にも、ウッドパネル、不織布、トイレットペーパー等を製造しています。親会社はKoch Industries(コークインダストリーズ)です。
段ボール業界の用語集
- 木材パルプ:パルプとは、紙を作るための原料のことで、通常は木材チップを溶かしたものから繊維を取り出すことで製造します。
- 中芯:段ボールの上下の紙(ライナー)に挟まれた波をうった形に加工された紙の部分のこと。
- ライナー:段ボールの上下の紙のこと。
- コルゲータ:中芯とライナーを貼りあわせる機械のこと。
業界関連図書
- 第13次業種別審査事典(第3巻) 【木材・紙パ・化学・エネルギー 分野】 [単行本]
- 国内の段ボールメーカーの売上高ランキングや市場シェア等の情報が記載されています。
- 紙パルプ 日本とアジア〈2017〉 [単行本]
- 中国の紙パルプ上位メーカーの情報が記載されています。
- トコトンやさしい段ボールの本 (今日からモノ知りシリーズ) [単行本]
- 段ボール箱圧縮強さの解析と実務 [単行本]
- 段ボール包装技術 実務編 [単行本(ソフトカバー)]