ウェストロックの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Westrock(ウェストロック)は、2015年にパルプ製紙大手のRock-Tenn(ロックテン)と包装材大手のMeadWestvaco(メッドウエストヴェイコ)が経営統合をして誕生しました。主力事業は、段ボール紙と商品用包装用紙の製造・加工です。飲料・食品・日用品パッケージなど消費財向け梱包材を得意とします。
なおロックテンは、2011年に段ボール大手のSmurfit-Stone Container(スマーフィット・ストーン・コンテナー)社を買収しました。直近では、SP Fiber、Cenveo Packaging、Star Pizza、MPS、U.S. Corrugated、Island Container、Hannapak、Plymouth Packaging、Schlüter Print Pharma、KapStone、Linkx、UBSを買収し、M&Aによる成長戦略を強化しています。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は18,289百万ドルで、前年度比12%増となりました。営業利益は1,494百万ドルになりました。営業利益率は8%になりました。売上の増加は2018年に買収したKapStoneによる影響と価格調整によるものです。

2020年度
売上高は17,579百万ドルで、前年度比4%減となりました。営業利益は256百万ドルの赤字になりました。営業赤字の原因は、のれん減損として1,333百万ドルを計上した為です。

2021年度
売上高は18,746百万ドルで、前年度比7%増となりました。営業利益は1,281百万ドルになりました。営業利益率は7%になりました。売上の増加は、価格調整と販売量の増加によるものです。

2022年度
売上高は21,257百万ドルで、前年度比13%増となりました。営業利益は1,327百万ドルになりました。営業利益率は6%になりました。売上の増加は価格調整によるもので、販売量は減少しました。売上原価率は、前年度とほぼ同じでした。段ボール事業における販売量減少の理由は主に、2022年度第4四半期の市場の軟化と顧客の在庫調整によるものです。

2023年度
売上高は20,310百万ドルで、前年度比4%減となりました。営業利益は1,512百万ドルの赤字になりました。売上減少の主な原因は、販売量の減少と為替の変動によるものです。売上原価率は1%程度上昇しました。これは販売量の減少による影響です。段ボール事業においては事業買収により売上が747百万ドル増加しました。営業赤字の原因は、のれん減損として1,893百万ドル計上した為です。

ウェストロックの業績推移
ウェストロックの業績推移

業績推移(四半期)

2024年第1四半期(10ー12月)
売上高は4,620百万ドルになりました。営業利益は84百万ドル、営業利益率は2%になりました。

ウェストロックの四半期業績推移

ウェストロックの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比278%減の-6.44ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比10%増の1.1ドルになりました。

希薄化後EPSの推移
希薄化後EPSの推移

売上構成

セグメントは、段ボール事業、包装材事業、グローバルペーパー事業、流通事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ウェストロックの売上構成(2021年度)
ウェストロックの売上構成(2023年度)

段ボール事業
消費財メーカーや工業製品メーカー、段ボール箱メーカーに販売する段ボール原紙、段ボールシート、段ボールケース、印刷済みライナーボードを製造する一貫した段ボール製造システムを運営しています。段ボールシートを、1色刷りの保護用カートンから、グラフィカルで鮮やかな店頭用パッケージまで、さまざまな段ボール製品に加工できる点も強みです。

包装材事業
繊維(再生繊維も含む)を原料とする板紙工場と、紙器、内装仕切り、挿入物、ラベルなどを加工する消費者包装用コンバーティング事業を運営しています。食品、紙、飲料、乳製品、たばこ、菓子、健康・美容用品などの包装に使用されています。
夜間宅配便業界向けの速達郵便用パッケージの製造、折り込みチラシやラベルの提供、硬質包装やその他の印刷物の製造も行っています。
園芸市場向けには、取引カード(クレジット、デビットなど)、パンフレット、製品資料、マーケティング資料(冊子、フォルダー、折り込み、カバーシート、スリップケースなど)、栽培用タグ、植物用支柱などのパッケージング製品を提供しています。

グローバルペーパー事業
商業用紙を取り扱っており、主に段ボール原紙、板紙、特殊グレードの外部顧客への販売から収益を上げています。段ボール包装、紙器、食品サービス、液体包装、タバコおよび商業印刷市場にサービスを提供しています。

流通事業
流通およびディスプレイ組立て業務から構成されており、主にパッケージング製品の流通とディスプレイ製品の組立てから収益を上げています。 倉庫や流通施設のネットワークを通じて、段ボール包装材や、ストレッチフィルム、空隙充填材、カートンシールテープやその他の特殊テープなどの特殊包装製品を販売しています。

直近のM&A(合併買収)

2017年以降パッケージング周辺の事業を中心に積極的にM&Aを行っています。

2011年 
スマーフィット・ストーン・コンテナーを買収
2015年 
パルプ製紙大手のロックテンと包装材大手のメッドウエストヴェイコが経営統合
2015年 
リサイクル段ボール原紙、クラフト紙、袋紙を製造するSP Fiberを買収
2016年 
ディスプレイ包装ソリューション大手の Cenveo Packagingを買収
2017年 
Star Pizzaを買収
2017年 
パッケージング ソリューションを設計、作成、製造する印刷およびパッケージング会社であるMulti Packaging Solutions(MPS)を買収
2017年 
U.S. Corrugatedから段ボール工場を買収
2017年 
段ボール梱包、倉庫保管、段ボール箱の設計などのソリューションを提供するIsland Containerを買収
2017年 
包装メーカーであるHannapakを買収
2017年 
顧客の仕様に従ってあらゆる製品タイプに正確なサイズのオンデマンド段ボール包装を製造するPlymouth Packagingを買収
2017年 
分注装置事業をSilgan Holdingsへ売却
2018年 
さまざまな紙製品や包装材料を製造するKapStoneペーパー&パッケージングを買収
2018年 
リーフレットや小冊子の制作を専門とするSchlüter Print Pharmaを買収
2019年 
印刷サービスを提供する UBS Printing Groupを買収
2019年 
自動包装機を製造するLinkxを買収
2022年
紙、段ボール箱、固形繊維、折りたたみ容器の製造などの包装ソリューションを提供する紙包装会社 Grupo Gondi の買収を完了

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