ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)業界の世界市場シェアの分析

ビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process Outsourcing、BPO)業界の世界市場シェアと市場規模の情報について分析をしています。コンバージズ、IBM、アクセンチュア、タタ、ウィプロ等世界大手BPOの動向も掲載しています。

BPO業界の世界市場シェア(2019年)

「最新業界別売上高世界ランキング第9巻」に記載のBPOサービスプロバイダー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)業界の2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はTCS、2位はアクセンチュア、3位はIBMとなります。

1位  TCS 9.2%
2位  アクセンチュア 8.6%
3位  IBM 7.5%
4位  キャップジェミニ 6.9%
5位  オートマチック・データ・プロセッシング 6.6%
6位  インフォシス 5.3%
7位  ウィプロ 3.5%

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、BPO業界の2019年の世界市場規模を2215億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。調査会社のグランドビューリサーチによると、2019年の同業界の市場規模は2215億ドルです。2027年にかけて年平均8%での成長を見込みます。また、調査会社のザビジネスリサーチカンパニーによると、2018年の同市場規模は、1994億ドルです。2014年以降6.1%で成長しており、2022年には市場規模が2786億ドルへ拡大することが見込まれます。

BPO業界の定義

BPOとは企業の特定分野の業務を外部の企業にアウトソースすることをいいます。アウトソースをする業務としてはITや管理系の業務が多く、ITアウトソーシング、人事業務(Human Resource Outsourcing、HRO)、財務・会計業務(Finance and Accouting, FA)、顧客管理(Customer Managemt, CM)、文書管理(Document Management)、保険申請といった多岐の領域にわたります。アクセンチュア、IBM、キャップジェミニといったシステムインテグレーターはグローバルクライアントへのITアウトソーシングを得意としています。
なお、製造業においても、ファブレス企業から製造工程の受託を受けている製造会社(EMSなど)、施設の運営受託(ファシリティマネジメント)、警備サービスの受託も広義ではBPOですが、別ページにてカバーしているため含んでおりません。

主要BPOサービスプロバイダーの動向

Automatic Data Processing(オートマチック・データ・プロセッシング)

1949年に設立された米国に本拠を置く給与計算代行大手です。勤怠管理、採用、福利厚生などの人事系サービス全般の提供も行なっています。

Genpact(ジェンパクト)

1997年に設立された北米に本社を置くBPO大手です。元々はGEの間接部門のアウトソース業務を担っていましたが、その後独立して誕生しました。業務プロセス全般のアウトソースを得意としています。日本においても日産や日立の人事・財務会計系のサービス会社を買収しています。

Secco(サーコ)

1929年に設立された英国に本拠を置くアウトソーシング会社です。行政からの各種サービス(入国管理、ファシリティマネジメント)の受託を行なっています。

IBM

IBMは世界を代表するIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウド、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。
クラウドコンピューティングの分野では、クラウドサービス業界の世界シェアの通り、アマゾンの展開するAWSやマイクロソフトと世界上位の座を競っています。
ITサービスのうち、顧客管理業務、財務・会計、人事、仕入れ調達、サプライチェーンマネジメントの分野のアウトソーシング・BPOでは、世界ランキングの上位に位置づけています。ビジネスインテリジェンスや統計解析の分野でもSASやSAPと世界上位を競います。コンサルティングの分野では、PwCコンサルティングを買収し、戦略及びITコンサルティングを総合的に展開し、コンサルティング業界の世界シェアではアクセンチュアと並び上位に位置します。デジタル広告分野はIBM iXという機能を持ち強化しています。デジタルマーケティングの技術を提供することで、WPP、オムニコム、インターパブリックに次ぐ規模となっています。コグニティブ・コンピューティングでは、ワトソンを活用したAI事業を展開しています。

1995年 ロータスを買収
2001年 Informixを買収
2003年 Rational Softwareを買収
2003年 ハードディスクドライブ (HDD) 事業を日立製作所に売却
2005年  パーソナルコンピュータ (PC) 事業を联想集团(レノボ)に売却
2005年 Ascential Softwareを買収
2006年 FileNet、Internet Security Systemを買収
2007年 DataMirrorを買収
2008年 Cognosを買収
2009年 統計ソフトのSPSSを買収
2010年 PwCコンサルティング、Sterling Commerce、Netezzaを買収
2011年 DemandTecを買収
2012年 Worklight、Kenexaを買収
2013年 ソフトレイヤー、Trusteerを買収
2014年 パソコン事業を联想集团(レノボ)に売却
2014年 グローバルファウンドリーズ(GF)に半導体製造事業 を売却
2016年 動画配信サービスのUstreamを買収
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Tata Consultancy Services(TCS、タタ)

タタは、1868年にペルシャ系ゾロアスター(拝火、インドではパルシーとも言われる)教徒であるジャムシェトジー・タタ氏がムンバイで設立した木綿貿易会社が発祥です。インド西部のムンバイに本拠を置きます。インド三大財閥の一角です。規模ではインド最大級で、塩からソフトまでと言われ、鉄鋼、自動車、ホテル、紅茶、ITサービス、時計、宝飾品、電力、通信、化学、食品、小売などに至る多岐分野で事業を展開する財閥です。海外100ヶ国で事業を展開し、約70万人の従業員と1000億ドル超の売上を計上しています。日本に企業では、三菱商事、新日鐵住金、日立製作所、スズキ、NTTグループ等と提携をしています。リライアンス、アーディティヤ・ビルラー・グループを擁するビルラグループを含めインド3大財閥と評されます。初代ジャムセトジー・タタ、二代目ドラブジ・タタ、三代目ノウロジ・サクラトヴァラ、四代目JRD・タタに続き、現在は五代目となるラタン・タタ氏がグループの総帥です。

タタ事業概略

タタ事業概略
出所:同社AR

タタ・サンズとタタ・インダストリアルズが、各グループ会社の最大株主として、強い影響力を有しています。タタ・サンズは、タタ一族の慈善財団が66%、シャポルジ・バロンジ・グループが18%の議決権を保有しています。2012年にパロンジ家出身のサイラス・ミストリー氏がラタン・タタ氏を引き継ぎ、グループの総帥となりましたが、経営方針の違いから解任され、2016年にラタン・タタ氏が復活しました。現在は、ファミリー出身でないナタラジャン・チャンドラセカラン氏が率いています。

タタグループ 持ち分比率

タタグループ 持ち分比率
出所:同社

事業構成は大きくIT、鉄鋼、自動車・トラック、化学、飲料に分かれています。

IT:

タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)が中核です。全世界で包括的な IT の受託サービスを提供しています。TCSはタタ・グループの中で最大である39万人超の従業員を有しています。利益貢献もグループ中最大である。米国でのIT技術者の就労ビザ問題を抱えています。

鉄鋼:

タタ製鉄が中核です。インド内では最大です。日本製鉄と提携しています。2007年に120億ドル(約1兆1千億円)で英蘭コーラスCorus(コーラス、GBR/NLD)を買収しました。2016年に英国の航空、自動車、原油・ガス向けの特殊鋼事業を英鉄鋼商社リバティハウスに売却しております。2017年9月に欧州事業の独鉄鋼大手ティッセン・クルップとの統合を発表しましたが、英国の欧州連合(EU)離脱決定のあおりで売却が頓挫しました。ティッセンとの提携に活路を見いだすという機転に、同氏の経営手腕に対する評価は一気に高まりました。高止まりしている固定費用の削減が課題となっています。

自動車:

タタ自動車が中核です。売上高は約5兆円弱規模です。売上高がグループ最大です。商用車、乗用車、高級車、スポーツ・ユーティリティ(SUV)、バス、軍用車両を展開しています。2017年は、インド国内の約5000のディーラーを通じて、約1200万台超の販売しています。商用車では50以上、乗用車では11のモデルを販売しています。販売台数ベースの売上構成比は、乗用車26%、SUV36%、小型商用車は約286万台の23%、中大型商用車は約170万台の14%となっています。売上比率では、インド国内のタタ自動車が約1兆円、ジャガー・ランドローバーといった高級・SUVが約4兆円と好調です。一方、乗用車は超低価格車「ナノ」が低迷し、インド国内向け苦戦。独フォルクスワーゲン(VW)との戦略提携もとん挫してしまいました。タタ自動車(乗用車と商用車)部門のEBITDAマージンは約6%に対して、ジャガー・ローバー部門は約13%です。タタ自動車の規模及びマージンの改善が今後の課題と言えます。

タタ自動車の販売台数

タタ自動車の販売台数
出所:同社

商用車部門は韓国の大宇の商用車部門を買収(現タタ大宇)しました。商用車のインド国内の商用車の年間販売台数である880万台における市場シェアは約45%超を有しており、インド最大の商用車メーカーです。ウルトラ1518、シグナ3718、エース・ゴールド等が主要ブランドに強みがあります。乗用車の国内市場シェアは約6%程度です。

タタ商用車の実績

タタ商用車の実績
出所:同社AR

エース、マジック、シグナ

タタ商用車

タタ商用車
同社AR

商用車・トラックの内訳をみると、中・大型トラックがインド国内の市場シェアの55%を占めていることがわかります。

タタの商用車地域別売上高

タタの商用車地域別売上高
出所:同社AR

イギリス、韓国、タイ、南アフリカ、インドネシア、豪州、スロバキアで製造工場を保有しています。約5万台を輸出しており、商用車の輸出先としては、ネパール、バングラデシュ、スリランカ、南アフリカ、インドネシアで約80%を占めます。タタ大宇は約9000台を韓国で生産し、韓国内の市場シェアは約22%程度です。アルジェリアやベトナム向けの輸出が多いです。乗用車部門は高級セダンを展開するジャガーとレンジ・ローバーを展開しています。バス部門は、スペインのイスパノ・カロセーラを買収(現タタ・イスパノ)しました。売上高は近年堅調に推移しています。

タタ自動車売上推移

タタ自動車売上推移
出所:同社

化学:

タタ化学が主軸です。ソーダ灰業界では世界大手クラスです。製塩も行っています。

飲料:

タタ・グローバル・ビバレッジが主軸です。紅茶及びコーヒーに強みを持ちます。紅茶はTata Tea、テトリー(Tetley)ブランドを展開しています。2019年の紅茶事業の売上高は520億インドルピーで、1ルピー=0.013ドルの為替レートで米ドル換算売上高は7億ドルです。

ホテル事業:インディアン・ホテルズ(IHCL)が中核です。タージブランドのホテルを展開するもの、現状は事業の再構築に取り組んでいます。宝石事業、エアコン事業は、タイタン、ボルタスが展開しています。電力事業、時計・宝石事業、エアコン・空調ではインド国内では市場シェアトップです。その他、タタ電力が電力事業、タタ・コミュニケーションズがデータセンター・通信事業、タージホテルズでホテル事業、ボルタスがエアコン販売を展開しています。

タタの事業の業界ランキング

タタの事業の業界ランキング
同社AR

タタ財閥―躍進インドを牽引する巨大企業グループ
富を創り、富を生かす―インド・タタ財閥の発展
インド財閥経営史研究
インド財閥のすべて (平凡社新書)

Wipro(ウィプロ、旧Western India Products Limited)

インド大手ITソリューション会社です。インドの大手ITサービス会社の略称であるSWICH(サティヤム・コンピュータ・サービス、ウィプロ、インフォシス・テクノロジーズ、タタ・コンサルタンシー・サービシズ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、HCLテクノロジーズ)の一角です。

Accenture(アクセンチュア)

ITコンサルティング大手です。元アンダーセンコンサルティングです。

Cap Gemini(キャップジェミニ)

仏大手ITコンサルティング会社です。ITシステム設計から受託に強みを持ちます。

Infosys(インフォシス)

1981年に設立されたインドのITサービスプロバイダーです。SWICHの一角です。

Aegis(イージス)

インド大手財閥であるEssar Group傘下でBPOサービスを提供しています。

WNS Holdings

中堅BPOサービス提供会社です。

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