エアバッグ業界の世界シェアや市場規模について分析を行っています。世界大手のエアバッグメーカーのオートリブ、ZF、ジョイソン・セイフティ・システムズ、豊田合成の概要や動向も掲載しています。自動車部品会社におけるエアバッグ部門の数値抽出ができない場合は、ランキングから外しております。
【エアバックとは】
エアバックの設置場所
エアバッグの装着場所 ©2024 Deallab
運転席・助手席用エアバッグ
車両の乗員とステアリングホイール、インストルメントパネル、フロントガラスの間にエネルギーを吸収するクッションを提供します。
フロントセンターエアバッグ
側面衝突時に前列の乗員同士の衝突を防ぐことができます。運転席と助手席の間のスペースに展開し、遠方からの衝突を保護します。
サイドエアバッグ
乗員とドアの間で膨らみます。このエアバッグは、胸部傷害のリスクを約25%低減します。
サイドカーテンエアバッグ
サイドウインドー上部のルーフラインから展開し、乗員の頭部とウインドーや飛来する硬い物体との間に緩衝材を供給します。
ニーエアバッグ
乗員の足にかかる衝撃を分散させ、足や膝の負傷を軽減します。
歩行者用エアバッグ
歩行者と車両の事故の際に、頭部への衝撃を緩和し、その程度を軽減することを目的としています。フロントガラスとAピラーに沿って車外に展開されます。
【エアバッグ業界の世界市場シェア+ランキング】
エアバッグメーカー各社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2023年のエアバッグ業界の世界シェアを簡易に試算しますと、1位はオートリブ、2位はZFとなります。3位はジョイソン・セイフティ・システムズ、4位はトヨタ向けに強い豊田合成となります。(⇒参照したデータの詳細情報)
エアバック業界の市場シェア (2023年) ©2024 Deallab
順位 | Company name(English) | 企業名(日本語) | 市場シェア |
1位 | autoliv | オートリブ | 13.10% |
2位 | ZF | ZFフリードリヒスハーフェン | 12.84% |
3位 | joyson safety systems | ジョイソン・セイフティ・システムズ | 9.74% |
4位 | Toyoda Gosei | 豊田合成株式会社 | 5.59% |
世界1位は、2021年に続きスウェーデンのオートリブ社です。2位は2021年には4位だったZF、3位は旧タカタを買収したジョイソン・セイフティ・システムズ、4位はトヨタ向けに強い豊田合成となります。
【エアバッグ業界の世界市場規模】
当データベースでは、2023年のエアバッグ業界の市場規模を539億ドルとしております。参照にした各種統計データは次の通りです。調査会社のプレスデンスによると、2023年の同市場規模は539億です。2025年には624億ドルへ拡大し、2032年にかけて年平均成長率は8.0%で成長、同年には1077億ドルへと規模が拡大することを見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023 | 539億ドル | – |
2025 | 624億ドル | 7.69% |
2032 | 1077億ドル | 8.40% |
エアバック業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
カラー徹底図解 クルマのメカニズム大全
不具合連鎖
自動車部品業界の世界市場シェアの分析
シートベルト業界の市場シェアの分析
【M&Aの動向】
2015
オートリブ、MACOM自動車ソリューション事業の買収を完了。
2023
ZF、商用車の次世代フリートコネクティビティを推進するためにインテリックを買収。
2023
豊田合成株式会社は、芦森工業株式会社との間で、セーフティシステム事業に関する資本業務提携の強化に向けた協議に入る旨を決定。
【会社の概要】
Autoliv(オートリブ)
Autoliv(オートリブ)はスウェーデンに本拠を置く自動車パーツメーカーです。1953年にLindblads Autoserviceとして設立されました。エアバッグ、シートベルト、チャイルドディート等の安全性部品に強みを持ちます。欧州系の自動車メーカーであるルノー、VWに、フィアットクライスラー(FCA)、ダイムラー加え、ヒュンダイ、フォード、ホンダなどとも幅広く取引があります。2018年にADASや自動走行に必要となるセンサー、ブレーキなどのエレクトロニクス関連事業をVeoneer(ベオニアもしくはヴィオニア)として分社化し、オートリブはパッシブセーフティに特化した会社となりました。さらに詳しく
ZF(ZFフリードリヒスハーフェン)
ZF(ZFフリードリヒスハーフェン)は、1915年にフリードリッヒスハーフェン伯爵よって設立された飛行船用のトランスミッションを製造会社(ツァーンラート・ファブリーク、Zahnradfabrik=歯車工場)を起源とするドイツに本拠を置く自動車部品メーカーです。ツァーンラート・ファブリークの頭文字であるZFが現在の社名となっています。フリードリヒスハーフェン市が管理する飛行船で有名なZeppelin財団(ツェッペリン財団)が93.8%、レムフェルデ市のユルゲン&イルムガルト・ウルデルップ博士財団が6.2%の株式を保有する非公開会社でもあります。トランスミッション、シートベルトといった予防安全技術、サスペンションやシャシー等のパワートレイン関連分野に強みを持ちます。2014年に米国の自動車部品メーカー大手でパワートレインやブレーキに強いTRWを買収しました。2019年に米国のワブコホールディングスを買収し、ブレーキなどの衝突安全技術分野の強化も果たしました。さらに詳しく
《ZFによるTRW買収ハイライト》
2014年ドイツの大手自動車部品メーカーのZFフリードリヒスハーフェン社が米国の大手自動車部品会社TRW社を買収
TRW社は自動車のエアバッグ等のセーフティ分野に強みを持つ独立系自動車部品会社
ZF社はシャシーや変速機が主力製品
買収金額は約117億ドル。終値に対して1.7%のプレミアム
ZFは本件買収によって、北米地域における事業強化と、特にセーフティ分野の補完をすることができた
TRW社を買収することで、規模では自動車部品業界のトップ3に入る
TRW社の直近の業績は堅調。2013年の売上、営業利益はそれぞれ174億ドル、12億ドルであった
Joyson Safety System(ジョイソン・セイフティ・システム)
前身は日本を代表するエアバッグやシートベルトメーカーであったタカタです。同社は、エアバックのリコール問題から寧波均勝電子(Ningbo Joyson Electronic)の傘下にある米国の自動車部品メーカー、キー・セイフティー・システムズ社(KSS)へ事業を譲渡し、2018年にジェイソン・セイフティ・システムズが設立されました。
旧タカタの再生タイムライン
2017年 民事再生法の適用を申請
2018年 中国の寧波均勝電子の米子会社現JSSがエアバッグ事業以外を買収し、エアバッグ基幹事業は清算へ
Toyoda Gosei(豊田合成株式会社)
トヨタ自動車グループにおける非金属部門の中核企業です。合成ゴムや合成樹脂から成型する自動車部品などを得意とします。セーフティ事業として、エアバッグも手掛けています。
HYUNDAI MOBIS Co., Ltd.(現代モービス株式会社)
1977年に設立された韓国に本拠を置く現代自動車の系列部品メーカーです。シャシーモジュール、コックピットモジュール、フロントエンドモジュール、サイドレーダー、ステアリングホイール、マウントディスプレイ、ボディ、内装、エアバック等幅広い分野を手掛けています。主に現代自動車および起亜自動車に販売をしています。
Continental(コンチネンタル)
Continental(コンチネンタル)は、1871年に創業されたドイツのハノーヴァーに本拠を置くタイヤ・ブレーキ等の自動車部品メーカーです。シーメンスやモトローラより自動車制御関連の事業も積極的に買収しています。2008年にドイツのベアリング大手のシェフラ―を傘下にもつシェフラー家が支配株主となりました。大きくタイヤ事業と自動車部品事業に分かれます。タイヤ事業の世界シェアではミシュラン、ブリジストン、グッドイヤーのトップ3に次ぐ規模を誇っています。自動車部品メーカーにおける規模でも、ボッシュやデンソー等に匹敵する世界最大級の自動車部品メーカーです。自動車部品の中でも、ブレーキ、パワートレイン、シャーシ、インパネ、カーオーディオ、ディスプレイといった分野の世界シェアでは上位に位置しています。さらに詳しく
その他のメーカー
エアバックのメーカーとしては、他に芦森工業があります。
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