ターボチャージャー・過給機メーカーの世界シェアの分析 2021
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ターボチャージャー・過給機メーカーの世界シェアの分析 2021

ターボチャージャー・過給機業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。ギャレット、ボルグワーナー、三菱重工、石川島播磨(IHI)、ABB、マンエナジーソリューションズといった大手ターボチャージャーメーカーの概要や動向も掲載しています。

ターボチャージャー(過給機)とは

過給機は、エンジンの空気の密度を高めることで、エンジンの燃焼エネルギーを高める仕組みももつ機器の総称です。排気量の少ないエンジンでも大きなパワーを得ることができます。ターボチャージャー(過給機)は、船舶エンジン、自動車エンジン等で使われています。

【市場シェア】

ターボチャージャーメーカー各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年のターボチャージャー業界の世界シェアを簡易に試算しますと、1位はギャレットモーションとなります。⇒参照したデータの詳細情報

ターボチャージャーメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

順位 会社名 市場シェア
1位 ボルグワーナー 42.9%
2位 ギャレットモーション 21.2%
3位 三菱重工業 12.8%
4位 IHIターボ 7.6%
5位 MANエナジーソリューションズ 7.1%
6位 ABB 5.9%
ターボチャージャーメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

ターボチャージャー業界の世界シェア(2021年)
ターボチャージャー業界の世界シェア(2021年)

ターボチャージャー・過給機業界の市場シェア1位はボルグワーナーです。2位はギャレットモーションです。2020年に経営破綻し、投資ファンドの傘下に入りましたが、2021年に再上場を果たしました。3位は三菱重工、4位はIHI、5位はマンエナジーソシューションズ、6位はABBです。

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、ターボチャージャー(過給機)業界の2021年の世界市場規模を170億ドルとしております。参考にしたデータは以下の通りです。

調査会社バンテッジマーケットリサーチによると、2021年の同業界の市場規模は170億ドルです。2028年にかけて、年平均5.1%で成長し、同年には229億ドルへと市場が拡大する見込みです。
調査会社のマーケットリサーチフューチャーによると、2020年の同業界の市場規模は172.1億ドルです。2027年にかけて年平均7.13%での成長を見込みます。
調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年度の同業界の市場規模は161.3億ドルです。2027年にかけて5.3%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

ターボチャージャーの市場規模 成長率見込み
2021年 170億ドル 5.1%
2020年 172.1億ドル 7.13%
2019年 161.3億ドル 5.3%
注)成長率は市場規模推定時点での見込み
ターボチャージャーの推定市場規模の推移 ©ディールラボ

ターボチャージャー(過給機)業界の市場規模推移
ターボチャージャー(過給機)業界の市場規模推移
注)成長率は市場規模推定時点での見込み

調査会社のアイエイチエスによれば、2019年の自動車向けターボチャージャー業界の世界市場規模は金額ベースで110億ドル、台数ベースで5000万台です。乗用車が約90%、商用車は10%です。2019年から2023年に年平均4%での成長、ディーゼル車は減少もしくは横ばいですが、ガソリン車向けが成長すると見込まれます。今後電気自動車(EV)の進展次第では、市場が縮小する可能性もあります。


さらに詳しく業界を知るためのお薦め書籍と関連サイト

ターボ機械 (入門編)
ターボチャージャーの性能と設計
コンプレッサー業界の世界市場シェアの分析

【会社の概要】

Garrett Motion(ギャレット・モーション)

Garrett Motion(ギャレット・モーション)は、米国に本拠をおくターボチャージャーやエレクトリックブースティングの専業メーカーです。1999年にハネウェル(Honeywell)がAlliedSignal(アライドシグナル)より買収しましたが、2019年にGarrett Motion(ギャレット・モーション)として分社化されました。2020年にチャプター11を申請しましたが、2021年にCenterbridge PartnersとOaktree Capital Managementがスポンサーとなり、債務再編手続きを終了しました。2021年5月に再上場を果たしました。

BorgWarner(ボルグワーナー)

1928年に設立された米国に本社を置く自動車部品メーカーです。オートマチックトランスミッション等の変速機の先駆者です。1899年に誕生したKühnle, Kopp & Kausch(KKK)を源流とするターボチャージャーにも強みがあり、BMW、ダイムラー、フィアットクライスラー、フォード、GM、VW、ボルボ等のメーカーへ供給しています。2020年にデルファイオートモーティブからパワートレイン関連事業が分社化したデルファイ・テクノロジーズを買収しました。ターボチャージャー、エミッションシステム、サーマルシステム、ガソリン点火技術、アクチュエーター、ガソリンおよびディーゼルエンジン用燃料噴射装置の開発・製造を行っています。

三菱重工業のターボチャージャー事業

三菱重工エンジン&ターボチャージャにてターボチャージャー事業を展開しています。

三菱重工について

1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。さらに詳しく

石川島播磨(IHI)

日本を代表する重工大手です。船舶用エンジン向けのターボチャージャーで技術を蓄積しました。IHIターボがVW、メルセデスベンツ、トヨタ向けにターボチャージャーを提供しています。同社資料によれば国内では三菱重工を上回る市場シェアです。

ABB

ABB(エービービー)は、スイスに本拠を置く重電・重工業大手です。ABBはAsea Brown Boveri(アセア・ブラウン・ボベリ)の略です。1988年にスウェーデンのアセアとスイスのブラウン・ボベリが経営統合して誕生しました。アセアとブラウン・ボベリは1890年代に創業された両国を代表する老舗重電メーカーです。発電・送変電機器と自動化機器やソフトウェア事業に強みを持ちます。原子力発電と火力発電における発電機器事業は、それぞれWestinghouse(ウェスティングハウス)とAlstom(アルストム)に売却し撤退しました。2018年にGEよりエレクトリフィケーション事業を行うGEインダストリアルソリューションを買収しました。2020年には電力システムやパワーグリッド事業を日立に売却し、事業ポートフォリオの入れ替えを行っています。さらに詳しく

MAN Energy Solutions(マンエナジーソリューションズ)

MAN (マン)は1758 年に創業したルール地方の鉄工所にルーツがある、ドイツに本拠を置くエンジン・機械メーカーです。トラック・バス等の商用車、船舶・産業用エンジン等を手掛けています。MAN Energy Solution (マンエナジーソリューション、旧Diesel & Turbo(マンディーゼル&ターボ))は、MANグループの動力エンジニアリング部門です。1981 年には、船舶エンジンの老舗であるデンマークBurmeister & Wain(B&W)のディーゼルエンジン部門を買収し、船舶エンジンの分野では2ストロークと4ストロークエンジンの主要ライセンサーとして圧倒的な地位を占めます。2015年には、スウェーデンのCryogenic ABから船用ガス燃料供給事業の買収もしております。メンテナンス等のサービスもグローバルで展開しています。船舶エンジン以外にも、発電所や大型工場向けのガス及びディーゼルエンジン、蒸気タービン、ターボエクスパンダー(高圧ガス膨張機)やターボチャージャーを製造しています。

その他のターボチャージャーメーカー

その他、ボッシュとマーレの合弁会社として設立され現在はファウンテインヴェスト・パートナーズ傘下のBMTS Technologyやドイツの Continental(コンチネンタル)が参入をしています。

参照したデータの詳細情報について


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