船外機(小型ボート向けの外付け可能なエンジン)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ブランズウィック、ヤマハ発動機、スズキ、ホンダ、トーハツといった船外機メーカー大手の概要や動向も記載しております。
【船外機業界とは】
船外機業界は、主にボートや小型船舶の推進力を提供する船外機を製造、販売、修理、メンテナンスする業界を指します。船外機は、エンジン、プロペラ、ステアリング機構を一体化した装置で、船体の外側に取り付けられます。レジャー、漁業、商業、軍事など、さまざまな分野で使用されています。レジャー用途では、ヨットやフィッシングボート、ウォータースポーツ用のボートなどに使用されます。商業や軍事用途では、パトロールボートや救命艇などに使用されます。船外機の性能、燃費、環境対応性などが重要な評価基準となります。特に近年では、環境規制の強化に伴い、よりクリーンで燃費の良い船外機の需要が高まっています。
【船外機業界の世界市場シェア】
船外機メーカーの2022年度の売上高を分子に、後述する業界の2022年の市場規模を分母として船外機業界の世界市場シェアを簡易に計算すると、1位はヤマハ発動機、2位はブランズウィック、3位はスズキ、4位はボルボ、5位はホンダ、6位がトーハツとなります。
船外機業界の世界市場シェアと業界ランキング(2022)
順位 | 企業名 ※日本語 | 市場シェア |
1 | Yamaha Motor(ヤマハ発動機株式会社) | 24.12% |
2 | Brunswick Corporation(ブランズウィック・コーポレーション、マーキュリー) | 21.52% |
3 | Suzuki Motor(スズキ株式会社) | 11.15% |
4 | Volvo Penta(ボルボペンタ) | 7.54% |
5 | Honda(ホンダ) | 5.47% |
6 | TOHATSU CORPORATION(トーハツ株式会社) | 3.21% |
1位は日本のヤマハ、2位は米国のブランズウィックです。両社はレジャーボートやクルーザーの分野でも競合しております。
3位、5位、6位は、スズキ、ホンダ、トーハツと日本企業がランクインしており、日本企業の存在が目立つ業界です。
4位のボルボペンタはスウェーデンの船舶および産業用エンジンメーカーで、ボルボ・グループの子会社です。
なお、ホンダは空冷式の船外機を販売しておりますが、マリン事業の売上が非開示のため売上高は推計値となります。
【船外機業界の世界市場規模】
当サイトでは、2022年の船外機業界の市場規模を、105億ドルとしております。参照した調査会社は下記の通りです。
調査会社GROBAL MARKET INSIGHTSの2022年時点の予測よると、船外機市場は2023年から2032年にかけて平均5.1%の成長が見込まれております。
また、調査会社VERIFIED MARKET RESERCHの2021年時点の予測によると、2023年から2030年にかけて平均3.22%の成長を見込んでおり、今後も市場規模が拡大していくことが予想されます。
年 | 市場規模 | 平均成長率 |
---|---|---|
2022年 | 105億ドル | – |
2032年 | 170億ドル | 5.1% |
船外機の仕組み
主にガソリンを燃料とした4ストロークエンジンの動力を用いて、ジェットポンプに水を吸収・噴流させて進みます。なお、船外機の2馬力以下、全長3.3m未満のボート(通称ミニボートと呼ばれています。正確には船の全長に0.9をかけた長さが 3 m未満かつ動力の出力が 1.5kw 未満)は、船舶免許が必要なく、また船舶検査も必要ありません。ミニボートは、ゴム製のもので数万円~10万円程度で、船外機も2馬力以下では12~13万円程度で購入できます。
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
船外機 安心・安全マニュアル トラブルシューティング&メインテナンス入門ガイド
船外機こだわりエンジニアリング講座
ヨット・クルーザー・ボート業界の世界シェアと市場規模
【M&Aの動向】
・2017年 ヤマハ発動機株式会社は、ボート用燃料タンクなどのプラスチック製品を製造・販売する米国企業Kracor(クレーコー)社の事業譲渡を受けた
・2017年 ヤマハ発動機株式会社は、走行時のボートの姿勢制御を行うトリムタブ等を製造・販売する米国企業Bennett Marine(ベネットマリン)社を買収
・2021年 ゼネラルモーターズは、シアトルを拠点とする電動ボート会社ピュア・ウォータークラフト(Pure Watercraft)の株式25%を取得
・2021年 ブランズウィック・コーポレーションは船舶用電子機器とセンサーの世界的リーダーであるナビコ( Navico)の買収を10億5000万ドルで完了
・2021年 ボルボ・ペンタは、ルウェーの船舶用バッテリーおよび電動ドライブライン・ソリューション・サプライヤーであるZEM ASの過半数株主となると発表
【会社の概要】
Volvo Penta(ボルボペンタ)
ボルボペンタはスウェーデンの船舶および産業用エンジンメーカーで、ボルボ・グループの子会社です。船舶および産業用の内燃機関(ICE)等を提供しています。
Brunswick Corporation(ブランズウィック・コーポレーション、マーキュリー)
Brunswick Corporationは、アメリカ合衆国に拠点を置く大手のレジャー用品メーカーです。主要な製品は、船外機、船内エンジン、プロペラ、エンジン制御システム、クルーザー、スターンドライブ、トローリングモーター、電子部品、船舶パーツなどがあります。船外機は「マーキュリー」名前で親しまれています。
Yamaha Motor(ヤマハ発動機株式会社)
ヤマハ発動機株式会社は、日本の企業で主要な事業領域には、オートバイ、船外機、電動アシスト自転車などが含まれています。ヤマハ発動機は船外機の製造でも知られており、小型から中型の船舶に使用される船外機を提供しています
Suzuki Motor(スズキ株式会社)
スズキ株式会社は、日本の企業で主要な事業領域は、自動車、オートバイ、船外機などです。スズキは船外機の製造でも知られており1965年に船外機の生産を開始し、2022年10月には世界累計生産台数が400万台を達成しました。
Honda (ホンダ)
ホンダは、日本の企業で自動車やオートバイなどの製造・販売を行っています。また、船外機の製造にも取り組み、細江船外機工場(静岡県浜松市)で船外機の生産を行っています。
TOHATSU CORPORATION(トーハツ株式会社)
トーハツ株式会社は日本の船外機メーカーでマリン事業と防災事業を中心に展開しています。マリン事業では、船外機の製造が中心となっており、トーハツ船外機は日本初の量産機として1956年に歴史を刻みました。トーハツマリーン株式会社は、トーハツのグループ会社であり、船外機の製造に特化しており、2018年1月に船外機の累計生産台数が400万台を達成しました。
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