ワイヤーハーネス業界の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。アプティブ、住友電工、TEコネクティビティ、レオニ、リア、矢崎部品、古河電工といったワイヤーハーネス大手の概要や動向も掲載しています。
【ワイヤーハーネス業界とは】
【業界に関する補足】(ワイヤーハーネスとは)
電子機器の電気や信号を伝える部品の集合体を、ワイヤーハーネスと言います。電線(ワイヤー)、多芯電線と端子やコネクタといった機器で構成され、他の製品との接続が容易にできる点が特徴です。

ワイヤー・ケーブル・ハーネスのそれぞれの特徴
ワイヤーハーネスの代表的な用途は自動車です。特にエンジンやスピーカー、ライトなどの車内の機器をつなぎ、電力供給・情報伝達をおこなう役割を担っています。
従来のワイヤーハーネスは銅でできており、車体が重くなる要因でした。しかし、近年では銅から軽量のアルミニウムへと転換が進んでおり、車体も軽くなり燃費が向上することから、今後はアルミのワイヤーハーネスが主流になると考えられます。
自動車以外にも、ワイヤーハーネスは医療機器やインフラ設備(自動改札など)に使用されています。
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【市場シェア】
【シェア+ランキング】
ワイヤーハーネス業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年のワイヤーハーネス業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は住友電工、2位はアプティブ、3位はTEコネクティビティとなります。
⇒参照したデータの詳細情報順位 | Company name (English) |
会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | Sumitomo Electric Industries | 住友電工 | 24.02% |
2位 | Aptiv | アプティブ | 26.40% |
3位 | TE Connectivity | TEコネクティビティ | 8.04% |
4位 | Lear | リア | 7.03% |
5位 | Leoni | レオニ* | 5.27% |
6位 | Yazaki Parts* | 矢崎部品* | 5.29% |
7位 | Furukawa Electric* | 古河電工 | 2.36% |
*2024年の数値未公開のため、2023年の数値を採用
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*2024年の数値未公開のため、2023年の数値を採用
2021年に首位だった米国のアプティブを住友電工が追い抜き、トップに立ちました。アプティブは他部品の製造事業を強化している一方、住友電工はワイヤーハーネスの品質を上げて安定供給が可能という特徴があります。
3位はスイスのTEコネクティビティ、4位は米国に本拠を置く自動車部品メーカー、リアとなりました。日系企業としては古河電工と矢崎部品がランクインしています。
ワイヤーハーネスはEV車の普及によって、今後も安定した需要があると考えられます。特にアルミなどの軽量素材の需要が高まっていくことが見込まれます。実際、住友電工は2025年をめどに自動車用のワイヤーハーネスをすべてアルミ製に置き換える予定を発表しています。
【ワイヤーハーネスの世界市場規模】
当データベースでは、2024年のワイヤーハーネス業界の市場規模を865億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社プレスデンスリサーチによると、2024年の同業界の市場規模は865億ドルです。2034年にかけて年平均3.47%で成長し、規模は1,217億ドルへと拡大することを見込んでいます。
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
2024 | 865億ドル | – |
2034 | 1,217億ドル | 3.47% |

【M&Aの動向】
ワイヤーハーネス業界のM&Aはそれほど活発ではありません。
矢崎総業(矢崎部品)は、2010年代前半に国外でのシェアを伸ばすため国外のワイヤーハーネスメーカーを買収していました。一方、住友電工は2007年の住友電装買収以降、安定した経営基盤づくりに重きを置いています。
2007年 住友電工が住友電装を完全子会社化
2011年 矢崎総業(矢崎部品の親会社)がイタリアのワイヤーハーネスメーカーCablelettra S.p.Aを買収
2012年 矢崎総業がロシアのワイヤーハーネスメーカーIVCを買収
2020年 アプティブがBorgWarnerと経営統合
2022年 アプティブがイタリア自動車部品大手のIntercable Automotiveを買収
2022年 レオ二が産業用電線事業を米ケーブル接続ソリューションのBizLinkに売却 2022年 アプティブ、TPGからウインドリバーの買収を完了
2024年 リア、WIPインダストリアル・オートメーションの買収を完了
住友電工、ドイツのケーブルメーカーSüdkabelを戦略的買収、Amprion向け2つの大型
2024年 HVDCケーブルプロジェクトを受注
2025年 TEコネクティビティ、急成長するエネルギー市場での地位拡大のためリチャーズ・マニュファクチャリングを買収
【会社の概要】
住友電工
住友電工は、1897年に設立された前身の住友伸銅場を引き継ぐ日本の大手電線、ケーブル及び自動車部品メーカーです。創業より電力用ケーブルや通信用ケーブルを手掛けています。ワイヤーハーネスや光ファイバーの分野でも世界大手です。 ワイヤーハーネスは傘下の住友電装が手がけています。2001年日立電線(日立金属)と電力用ケーブルのジェイ・パワーシステムズを設立し、その後2014年に住友電気工業が完全子会社化しています。光ケーブルは同社の横浜製作所が主力工場です。さらに詳しく
アプティブ(Aptive)
アプティブ(Aptive)は、ゼネラルモーターズ(GM)の自動車部品子会社が出自です。1999年にDelphi(デルファイ)として分社化しました。さらに2017年にパワートレイン等の事業をデルファイテクノロジーズとして分社化し、コネクター、ワイヤーハーネス、車載センシングを含む事業はアプティブへと社名を変更しました。なお、2020年にデルファイテクノロジーズはBorgWarnerと経営統合をしました。
TEコネクティビティ(TE Connectivity)
スイスに本拠を置くコネクター大手です。元々は警備サービスや防犯機器製造大手のタイコ・インターナショナルのコネクター部門でしたが、Tyco Electronicsとして分社化後、TEコネクティビティーに社名変更をしました。現在はニューヨーク証券取引所に上場しています。
レオニ(LEONI)
1569年に事業を開始したドイツに本拠を置くケーブルメーカーです。ワイヤー、光ファイバ、ケーブル、ケーブルシステム ケーブル、ケーブルシステム、コネクターなどの製造販売を行っています。
リア(Lear)
米国に本拠を置く自動車部品メーカーです。車載シートやワイヤーハーネスを含むエレクトロニクス関連に強みを持ちます。
矢崎部品
ワイヤーハーネス、自動車用メーター等に強みを持つ部品メーカーの矢崎総業の子会社です。矢崎総業は非上場会社で、自動車向け以外にも、ガスメーターや温水器等を展開しています。
古河電工
電線やワイヤーハーネスの製造をおこなう非鉄金属メーカーです。電線に強みがあり、住友電工やフジクラと並んで電線メーカーの御三家と呼ばれています。光ファイバーの製造もおこなっています。
参照したデータの詳細情報について