電線・ケーブル業界

電線・ケーブル業界の世界市場シェア、動向や再編について分析をしています。欧州電線ケーブル巨人のプリズミアンが 米国の覇者であるジェネラルケーブルを買収する等業界再編が続いています。ネクサンス 、電線御三家(住友電気工業 、古河電気工業、フジクラ)といった世界大手電線ケーブル会社の動向も掲載しています。

市場規模

また、Grand View Researchによれば、電線・ケーブルの市場規模は、2017年で1,861億ドルと推計されています。ネクサンスの2018年のアニュアルレポートによれば、ケーブルの市場規模は2200億ユーロと推計されています。

本ページでは、市場シェアの計算にあたり1,861億ドルと採用しています。

なお、日本の電線ケーブルの市場規模は、経産省等の各種公表統計によれば、概ね1兆~2兆円程度で推移しています。

市場シェア

「電線・ケーブル製造会社の世界売上高ランキング」に記載されている2017年~2018年の各社の売上高を分子に、採用した市場規模を分母にして、簡易に電線・ケーブル会社の市場シェアを算出すると、1位はプリズミアの 6.1%、2位は住友電気工業の4.5%、3位はネクサンスの2.7%となります。

電線・ケーブル業界世界市場シェアランキング

1位 プリズミアン 6.1%

2位 住友電気工業 4.5%

3位 ネクサンス 2.7%

4位 フジクラ   1.8%

5位 コムスコープ 1.5%

6位 古河電気工業 1.4%

7位 LSケーブル 1.3%

8位 NKT 0.8%

9位 エルスウェディ 0.8%

10位 テハン 0.7%

1位はイタリアのプリズミアンです。2017年に米国のジェネラルケーブルを買収して1位の座を不動のものにしました。2位は日本の住友電工です。日立電線との合弁会社も取り込み、首位を目指します。3位はフランスのネクサンスです。旧アルカテル・ルーセントという名門の出自です。4位と6位は日本の電線御三家の古河電気工業、フジクラです。日本では、日立金属(日立電線)、三菱電線工業、昭和電線等が電線ケーブル分野で事業を展開しています。5位のコムスコープは通信ケーブルに強みを持っています。

再編の歴史

電線・ケーブル大手への集約が進む

1998年 Superior TelecomによるEssex Internationalの買収

1998年 ドイツのSiemensの電線事業をイタリアのPirelliが買収

1999年 Pirelliが英国電線大手のBICCを買収

2000年 フランスのAlcatelが電線事業をスピンオフしNexansが誕生

2001年 古河電気工業とフジクラが電力ケーブル会社のビスキャスを設立

2001年 住友電気工業と日立電線がジェイ・パワーシステムズを設立

2002年 三菱電線と昭和電線によるエクシムの設立

2004年 CommScopeによるAvaya買収

2004年 BeldenとCDTの経営統合

2005年 Pirelliより投資ファンド連合が電線事業を買収し、Prysmian Cableが誕生

2005年 フジクラ、三菱電線、西日本電線によるフジクラ・ダイヤケーブルの設立

2008年 Nexansが南米大手のMadecoを買収

2008年 Prysmian CableによるドイツのFacab-Lynenの買収

2008年 韓国のLS CableがSuperior Essexを買収

2011年 Prysmianと元々はオランダのフィリップスの電線事業のDrakaが合併

2012年 Nexansが米Amercableを買収

2012年 BELDENによる米PPC買収

2012年 General Cableによるアルミ電線会社のAlcan Cableのリオティントからの買収

2014年 住友電気がジェイ・パワーシステムズを完全子会社化

2015年 昭和電線がエクシムを吸収合併

2017年 プリズミアンによるジェネラルケーブルの買収

電線の種類

電線には、大きく分けて電力用電線、通信用電線、電子機器用の電線の3種類があります。

 電力用の電線は、送電(発電所→変電所)、配電(変電所→電気引込口)、配線(機器まで電気を導く)役割があります。架空送電線、地中送電ケーブル、絶縁電線等が代表的な電力用の電線です。

通信用電線は、電気信号を伝えるメタル通信ケーブル、光信号を送る光ファイバーケーブルがあります。メタル通信ケーブルには電話用ケーブル、テレビの音声や映像を伝える同軸ケーブルがあります。

電子機器の電線には、絶縁電線、同軸コード、多心ケーブル、平形電線(フラットケーブル)等があります。

光ファイバーや電話線も広い意味では電線です。電力用も高圧と低圧による電線の構造が異なります。電機を生み出すコイルとして利用される巻線等もあります。

国際電気標準会議が定めるIEC規格、米国のUL規格等、電線は電気事故を防ぐために各種規格による規制が存在します。

電線と言えば銅でしたが、最近ではコスト面や性能面からアルミ化の動きもあるようです。

主要電線・ケーブルメーカーの動向

Prysmian(プリズミアン)

イタリアのミラノ証券取引所に上場する世界大手の電線メーカーです。イタリアのタイヤメーカーのピレリとドイツのシーメンスの電線事業が発祥です。光ケーブルにも強みを持ちます。英国の電線大手BICCやオランダの同業でフィリップス発祥のDraka(ドラカ)社を買収し、英独伊蘭に地盤を持つ電線メーカー連合体として、更なる事業拡大を狙っています。2017年には北米大手のジェネラル・ケーブルを買収しました。

Nexans(ネクサンス)

フランスに本拠を置く世界大手の電線メーカーです。2000年にフランスの大手テクノロジーメーカーの名門Alcatel-Lucent(アルカテル・ルーセント)より分社化独立しています。現在はユーロネクスト証券取引所に上場しています。南米や北米の電線メーカーを買収し世界展開を狙っています。

住友電気工業

日本の大手非鉄金属メーカーです。電線のみならずワイヤーハーネスや光ファイバーの分野でも世界大手です。2001年日立電線(日立金属)と電力用ケーブルのジェイ・パワーシステムズを設立し、その後2014年に住友電気工業が完全子会社化しています。

General Cable(ジェネラル・ケーブル)

米国に本拠を置く電線メーカーです。電力電線、通信、建設業界向けの電線・ケーブルに強みを持ちます。2017年に伊プリズミアンが買収をしました。買収額は、総額で約30億ドル(約3400億円)です。

古河電気工業

古河財閥の中核です。住友電気、フジクラとともに電線御三家と称されています。ハードディスク用アルミ基板やリチウム電池用電材等の分野にも強みを持ちます。2001年フジクラと電力用ケーブルの合弁会社のビスキャスを設立しました。

LS Cable & System(LS電線、LSケーブル&システム)

韓国を代表する電線メーカーです。韓国のLGグループから2005年にLSケーブル&システムとして分社化独立をしました。2008年に米電線大手のSuperior Essexを買収しています。

レオニ(LEONI)

ドイツに本拠を置く自動車用電線メーカーです。シーメンスのケーブル事業や米自動車部品大手のTRWグループワイヤリングシステム事業を買収し事業を拡大しています。

フジクラ

日本の大手電線メーカーです。フレキシブルプリント基板や光ファイバーにも強みを持ちます。2005年に三菱電線工業、西日本電線とともにフジクラ・ダイヤケーブルを設立しています。

CommScope

米国に本拠を置く大手通信ケーブルメーカーです。同軸ケーブルやLAN等の分野でも強い事業基盤を持っています。

Southwire(サウスワイヤー)

米国に本拠を置く大手ケーブルメーカーです。電力や建設業界向けのケーブルに強みを持っています。

Elsewedy Electric(エルスウェディ・エレクトリック)

エジプトに本拠を置く大手電線・ケーブルメーカーです。1938年にエルスウェディ氏によって設立されました。

Taihan Electric Wire(テハン・エレクトリック・ワイヤ)

韓国に本拠を置く大手電線・ケーブルメーカーです。

ベルデン(Belden CDT)

米国に本拠を置く大手電線メーカーです。

電線ケーブルの業界団体

経済産業省(工業統計)

日本電線工業会

参考情報

JISハンドブック 電気設備I[一般/電線/他] (19;2019) [単行本]

『ケーブル年鑑2016』 [大型本]

光海底ケーブル (Parade books) [単行本]

電線・ケーブルハンドブック [単行本]

電柱のないまちづくり―電線類地中化の実現方法 [単行本]

身近な電線のはなし [単行本(ソフトカバー)]

コメント

タイトルとURLをコピーしました